
- 原産:バルカン半島/トルコ
- 科:ミカン(Rutaceae)
- 属:ヘンルーダ/ルタ(Ruta)
- 種:ヘンルーダ/グラベオレンス(Ruta graveolens)
- 別名:コモンルー(common rue)/ウンコウ(芸香)/ハーブオブグレース(herb of grace)
- 開花時期:6月~7月
- 花の色:黄色
- 葉の色:青緑色・灰緑色
- 香り:葉
- 生活形:常緑亜低木
- 草丈:約30~100cm
- 誕生花:6月13日/12月8日
- 花言葉:悔恨/軽蔑/安らぎ/あなたを軽蔑する
- 用途:カラーリーフ/ 香りが良い
- 購入方法:ヘンルーダを楽天で購入
■ヘンルーダとは!?
ヘンルーダ(学名: Ruta graveolens)は、別名で「コモンルー(common rue)」「ウンコウ(芸香)」「ハーブオブグレース(herb of grace)」とも呼ばれるミカン科ヘンルーダ属(ルタ属)の常緑亜低木です。
ヘンルーダの原産地はバルカン半島とトルコで、自生地は丘陵地の乾燥した草原や岩場などに見られます。
■ヘンルーダの語源(由来)
- Rutaの語源:古代ギリシャ語の「ῥυτή」からきています。
- graveolensの語源:ラテン語で「重い」「強い」を意味する「gravis」と、ラテン語で「臭い」を意味する「olēns」の2語の造語で、本種の葉に強い香りがあることに由来します。
■ヘンルーダの特徴(魅力)
- 近縁種との比較:本種はコヘンルーダと比較して、葉を構成する小葉がヘラ形をして先端に丸みがあるため、長楕円形のコヘンルーダと比べて可愛らしい見た目をしており、また花を構成する花弁は縁部分に殆ど切れ込みがありません。
- クッションのような見た目:本種の葉は羽状に細かく分裂し、裂片が小さく細いため、繊細な外観をしています。さらに、この葉は密生しますが、光と風を通し空気を含んだ綿のような見た目をしているため、ふわふわとした柔らかな質感を生み出し、可愛らしさやメルヘンチックな雰囲気を演出したいお庭によく調和します。
- 葉の香り:本種は葉に精油を貯めた腺点があり、ここから精油を分泌させることで、柑橘類や山椒を想像させるような香りを漂わせます。そのため、この香りを楽しむ目的で、普段よく通る小道沿いに植えたり、ガーデンファニチャーの傍に植えて休憩しながら香りを楽しんだり、花壇の縁どりにして花を眺めながら香りを楽しむと良いかもしれませんね。
- カラーリーフ:葉の色は青緑色をしており、南国の海を想像させるようなトロピカルな色彩をしています。そのため、南国をテーマにするようなお庭や、明るく開放感あるお庭によく調和するでしょう。
- 花の美しさ:本種の花は集散花序に茎頂部に集まるように咲き誇ります。そのため、個々の花は1.5~2cm程度と小さいですが、ボリューム感のある花姿となります。花の色は鮮やかな黄色で、太陽や夏の砂浜を想像させる明るさと開放感を感じさせます。そのため、青緑色の葉の色とも調和し、トロピカルな雰囲気をお庭につくるでしょう。
- バタフライガーデン:本種はミカン科の植物であり、アゲハチョウの食草として選ばれています。そのため、親のアゲハ蝶は卵を産みにこの植物を訪問する他、葉っぱの上ではアゲハチョウの幼虫を観察することができます。そのため、昆虫と共生し、蝶々が舞うお庭作りをしたい人におすすめとなる植物です。
- 食文化:本種は伝統的にヨーロッパで古くから料理に用いられて来ましたが、微量な毒素が含まれることが知られるようになり、料理ではあまり使われなくなりました。現在でも、ヨーロッパの一部の国では料理の風味付けに利用されていますが、毒素を含むことから大量に摂取することは控えた方がよいでしょう。
- 毒性:本種は少量を風味付けのハーブとして利用し食べられる事もありますが、抽出物には変異原性や肝毒性があり、また多量に摂取した場合は嘔吐・胃痛・肝障害などを引き起こし、最悪死に至る可能性もあるため、最近では殆ど食べられなくなっています。また、植物から出る樹液は植物性光皮膚炎と呼ばれる症状を引き起こす可能性があります。これは、樹液が肌に付着した後に、紫外線を浴びると皮膚炎や水泡などの症状を引き起こします。そのため、本種を扱う際は作業時に長袖・手袋を着用して皮膚の露出を出来るだけ抑え、樹液が付着した際はすぐに洗い流すことが大切です。
- 育てやすさ:本種は耐寒性や耐乾性、栄養の乏しい環境に強いため比較的育てやすいです。しかし、夏場の多湿を苦手にしており、特に日本の夏の高温多湿で株が弱りやすい傾向があります。そのため、栽培時は夏の管理に注意が必要です。
■ヘンルーダの生活形と形態
●生活形・茎の形態
- 生活形:常緑亜低木
- ライフサイクル:春から秋に生育し、冬は生育が緩慢になり、一年を通し基本的に葉が落ちない。
- 草丈:約30~100cm
- 生育型:直立型・叢生型
- 直立型:主軸がハッキリとして直立している。
- 叢生型:地際から茎が何本も出て叢生(株立ち)するもの。
- 茎の種類:直立茎
- 直立茎:茎がほとんど垂直に伸びる。
- 茎の毛:無毛
- 茎の性質:茎は成熟すると木質化し、株は下から徐々に木質化する。
- 茎の色:緑色・灰緑色
●葉の形態
- 葉の位置:茎葉
- 葉序:互生葉序
- 葉柄:有柄
- 葉身の長さ:約7~15cm
- 葉身の概形:2回~3回羽状複葉
- 小葉の概形:ヘラ形・倒披針形・楕円形
- 葉の縁部分:全縁
- 葉の毛:無毛
- 葉の色:青緑色・灰緑色
- 備考:葉表面には半透明の腺点があり、光をかざすと点々とした透き通るためこれを確認できます。腺点は精油成分を貯め分泌しており香りがする。
●花の形態
- 花序:集散花序で、頂花が形成されると軸の成長が止まり、その下の節から1本の側枝が発生し、各先端に花を咲かせ、これを繰り返して上(中央)から下(外側)へと開花を繰り返します。花序全体の概形は平面状または半球状になります。
- 苞:節に付き、形は披針形、色は緑色・青緑色・灰緑色です。
- 花:花の直径約1.5~2cm、花托・萼・花冠(花弁)・雄蕊・雌蕊で構成されています。
- 花托:萼・花冠(花弁)・雄蕊・雌蕊を支えている。
- 萼:分類は離片萼で、萼片の形は披針形、色は緑色です。
- 花冠:分類は離弁花冠で、花弁の数は4~5枚、花弁は平開し、花弁の形はヘラ形で内側に巻き波打つ傾向があり、花弁の色は黄色です。
- 雄蕊:8本(花弁4枚)または10本(花弁5枚)で、花托から放射状に広がり、花糸の色は黄色、葯の色は橙色です。
- 雌蕊:心皮の数4~5枚、子房は花弁より上にある子房上位で団子のように膨らんでおり、花柱は1本、先端に小さな柱頭がある。
●果実・種子の形態
- 果実の分類:蒴果で、多心皮性子房(子房の心皮の数が4~5枚)からなり、果実が成熟すると数室に裂開して種子が露出する。
※植物の形態についてはこちらのページも参考にしてください。
■ヘンルーダ属(ルタ属)の主な種と園芸品種は下のリンクから紹介しています。
■ヘンルーダの育て方
花壇の土づくり
●バイオーム
- 主なバイオーム:地中海植生
- 原産地:バルカン半島/トルコ
- 自生地:丘陵地の乾燥した草原や岩場などに見られます。
- 気候:主に地中海性気候に属します。気温は夏場は高温で降水量が少なく乾燥し、冬場は最も寒い月の平均気温でも-3℃以上あり比較的温暖で、夏場の3倍以上の降雨量があり比較的湿潤です。本種は秋・冬・春の生育期に湿潤な環境を好み、休眠期の夏場は乾燥した環境を好みます。
- 日照:草原や林縁などに自生しており日向から半日陰を好みます。
- 土壌:土壌は基本的に砂質で通気性・排水性が高く、比較的痩せた場所にあり、また石灰岩を母材とした土壌にあるため中性から弱アルカリ性土壌によく見られます。
※バイオームについてはこちらのページも参考にしてください。
●日照条件
ヘンルーダは、日向から半日陰の範囲で育てることが出来ます。ただし日光のよく当たる場所で最もよく成長して沢山の花を咲かせるため基本的には日向で育てる方が良いでしょう。
日照条件の分類(参考)
- 日向:直射日光が一日を通して6時間以上当たる場所です。一般的に全方位に障害物がない、またはお庭の向きが南向きの場所になります。
- 半日陰:直射日光が3時間から5時間程度当たる場所です。一般的には、午前中のみ日が当たり、午後から日陰になる場所となります。そのため、お庭の向きは東向き、または木漏れ日がはいるような場所です。
- 明るい日陰:直射日光が二時間程度までしか当たらないか、殆ど当たらずに間接光だけで明るい場所です。一般的にお庭の向きが北向き、または建物の影など日差しを遮る障害物が多い環境です。
- 暗い日陰:森の中にあるような直射日光も間接光もほとんど当たらないような暗い場所です。
●土壌の土質
- 土質:基本的に高い通気性と排水性を兼ね備える土壌を好みます。そのため土質は水捌けのよい砂壌土が適します。水分が停滞してジメジメと湿り過湿になりやすい粘土質の土質は適さず、根腐れを引き起こす原因になるため避けた方が良いでしょう。
- 肥沃さ:過度な肥沃さは必要ありません。土壌の状態を見ながら、痩せていると感じる場合は適度に堆肥を入れるとよいでしょう。肥沃すぎる土壌は、特に夏場に蒸れやすく、根腐れの原因となるため注意が必要です。
- PH:PHは6.0~7.5の弱酸性から弱アルカリ性に適応します。土壌のPHを測定して適正範囲外にある場合は土壌改良材などを用いてPHを調整しましょう。PHが適正範囲から極端に外れた土壌では微量要素などの栄養を上手く吸収出来ずに生育不良になる場合があります。
土壌診断と改善の行い方(参考)
- 排水性の診断:深さ30cm程度・幅30cm程度の穴を掘り、穴の中を水で完全に満たす。一時間あたり約3~10cmの排水があれば、一般的な植物を育てるのに適した排水性になります。※それ以下またはそれ以上である場合は排水が悪い、または排水がよすぎる可能性があります。
- 排水性の改善:花壇を高くしたり、ロックガーデンを作り、植物を植える場所を周囲より高くする。また縦穴暗渠(縦穴排水)や排水溝をつくる。
- 作土層の診断:調べたい箇所の土壌に支柱を出来るだけ深くまでさします。支柱の入った部分が30cm前後あれば一般的な植物であれば、根を張るのに十分な作土層がありますが、それ以下であれば改善が必要です。また土壌を観察して石やゴミがあれば根を伸ばすのに邪魔になるため取り除いた方が良いでしょう。
- 作土層の改善:植物を植える箇所とその周囲をシャベルを使って30cm程度の深さまで掘り起こして解します。また石がある場合は土ふるいを使用して取り除きましょう。
- 土壌(土性)の性質の診断:土壌の通気性・保水性・保肥力を知るために、土壌を砂土・砂壌土・壌土・埴壌土・埴土に分類して、植物に合わせて土壌の改良をしましょう。
- 砂土:排水性と通気性が高く乾燥しやすいため、水分過剰による根腐れを引き起こしにくい。診断は、適度に湿らせた土を触った時にザラザラとした砂の粗い感触がある。手のひらや指で捏ねても全く固まらずに簡単に崩れる。
- 砂壌土:排水性と通気性が高く乾燥しやすい傾向がある、砂土と比べると、保水性と保肥力が少しあるため、乾燥気味の土壌を好む植物などに向いています。診断は、適度に湿らせた土を触った時に砂のザラザラ・粘土のヌルヌルとした感触がある。手のひらや指で捏ねると、緩く固める事が出来るが崩れやすい。
- 壌土:通気性・保水性・保肥力のバランスが高いため土壌管理がしやすい。診断は、適度に湿らせた土を触った時に砂のザラザラ・粘土のヌルヌルとした感触がある。手のひらや指で捏ねて伸ばすと、鉛筆程度の太さの棒状まで伸ばすことが出来る。 ただし伸ばした棒を曲げるのは難しい。
- 埴壌土:保水性・保肥力が高いため乾燥しにくい傾向がある。診断は、適度に湿らせた土を触った時に粘土のヌルヌルとした感触があり、砂のザラザラも少し感じる。手のひらや指で捏ねて伸ばすと、マッチ棒程度の太さまで伸ばすことが出来て、輪っかに曲げても切れにくい。
- 土壌(土性)の性質の改善:土壌の診断をしたら、植物が求める環境に合わせて土壌改良材をいれます。
- 通気性・排水性の改善:通気性・排水性の高い土壌改良材(パーライト・日向土・川砂・バーク堆肥 など)を混ぜ込む。
- 保水性の改善:保水性の高い土壌改良材(腐葉土・ピートモス・バーク堆肥・黒土)を混ぜ込む。
- PHの診断:土壌のPHを調べる方法は土壌酸度計を土壌に突き刺すタイプ・リトマス紙を溶液に浸すタイプ・ペーハー測定器を溶液に浸すタイプ・アースチェック液を溶液に垂らすタイプ等があります。製品によって調べ方がことなるため、詳しい手順は製品の取り扱い説明書をご覧下さい。
- PHの改善:PHを診断後に植物の適正なPHに合わせて、土壌改良材を入れてPHの改善をおこないます。
- PHを酸性に改善:ピートモスを使用する場合はPHを1下げるために、1㎡あたり、ピートモスを約1.2kgを入れて混和します。
- PHをアルカリ性に改善:苦土石灰を使用してPH1上げるには、1㎡あたり苦土石灰を約100~200g入れて混和します。
- 肥沃さの診断:肥沃さは土壌の色によりある程度診断できます。土壌の色は成分や状態を示しており、簡易的に植物を育てるのに適しているか調べる事が出来ます。黒色の場合は腐植が多く肥沃な傾向があり、赤色・黄色・白色の場合は腐植が少なく肥沃でない傾向があります。
- 肥沃さの改善:土壌に堆肥または微生物資材を入れます。堆肥を入れる量は土の量に対して二割から三割程度にします。入れ過ぎると通気性・排水性・保水性のバランスが崩れて植物が育つのに不適な環境になりやすいため注意してください。
※詳しい土壌診断と改善方法はこちらのリンクからご覧下さい
鉢土づくり
●日照条件
ヘンルーダは、日向から半日陰の範囲で育てることが出来ます。ただし日光のよく当たる場所で最もよく成長して沢山の花を咲かせるため基本的には日向で育てる方が良いでしょう。
●培養土
ヘンルーダの培養土を購入する場合は、一般的な草花の培養土よりも少し通気性・排水性を高めた培養土がおすすめです。※一般的な培養土に通気性・排水性を高める改良用土を混ぜるのも良いでしょう。
培養土を自作する場合
- 培養土の特性:自生地が乾燥した草原や岩場などにあり、土壌は基本的に栄養が少なめで土質は砂質です。そのため、培養土を作成する場合は、通気性・排水性を重視しながら、水やりの頻度も考えて適度な保水性も確保することが大切です。また堆肥も適度に入れる事で植物の成長がよくなります。
- 土壌改良材(無機質):一般的な植物の培養土よりも、特に通気性と排水性を改善する目的で、赤玉土や日向土などの土壌改良材を8割~9割を目安にして多めに配合します。ただし、通気性・排水性を高めるために、大きすぎる土粒を使うと、培養土の中に空隙ができすぎてしまい根の活着が悪くなったり、保水性も著しく落ちて生育が悪くなる原因となるため避けた方が良いでしょう。基本的には小粒を使用しましょう。
- 土壌改良材(有機質):腐葉土などの堆肥を全体の1割~2割を目安に培養土の中に配合します。堆肥は土壌の物理性・化学性・生物性を改善して、根の活着を高めて根張りをよくしたり、栄養素を含有しており、微生物の働きを促進して土質を改善したり、植物の栄養補給に寄与する働きがあったりします。ただし、堆肥の入れすぎは、夏場に蒸れて過湿状態になり、根腐れを引き起こす原因ともなるため注意が必要です。
培養土の配合例
- 基本の配合:赤玉土(小粒)8割+腐葉土2割+苦土石灰適量+元肥適量
- 培養土が劣化しにくい配合:日向土(細粒・小粒)5割+硬質赤玉土(小粒)3割+腐葉土1割+くん炭1割+元肥適量
- 比重が軽い配合:赤玉土(小粒)4割+パーライト4割+腐葉土2割+苦土石灰適量+元肥適量
土壌改良材(無機質)
- 赤玉土:赤玉土とは関東ローム層の中層にある赤土を乾燥させて、粒の大きさごとに分けた土壌改良材です。
- 特徴:赤玉土は通気性・排水性・保水性のバランスが抜群に良いことから擬似団粒構造をした土壌改良材とも呼ばれています。無菌で雑菌が繁殖しにくく、雑草の種も含まれないため挿し木用土やインドアグリーンの土としても使われる。
- 比較:鹿沼土と比べて赤玉土の方が保水性・保肥力に優れており、PHが中性に近い弱酸性のため幅広い植物で利用しやすい。赤玉土は鹿沼土よりも粒が崩れて劣化しやすいため、使い続けると微塵が出て通気性・排水性を悪化させる事がある。
- 注意点:赤玉土はリン酸を固定してしまい、植物が吸収出来る状態で無くす事があるため、リン酸の肥料を多めにやる必要がある。赤玉土の粒はやや崩れやすいため再利用出来る割合が少ない傾向があり、微塵は粘土質になり通気性・排水性を悪くする事がある。
- 用途:一般的な草花・花木・多肉・サボテン・山野草・水生植物など幅広い植物の土壌改良材として利用されます。無菌のため挿し木・種まき用土・インドアグリーンの培養土などに利用される。
- 硬質赤玉土:硬質赤玉土は赤玉土を高温で焼いて硬質化したものです。
- 比較:硬質赤玉土は赤玉土と比べて、粒が硬いため砕けて劣化しにくく、通気性・排水性が高くなっています。一方で保水性が悪くなっているため、一般的な草花で使うと土壌が乾きやすくなり水やりの頻度が増えやすいです。
- 用途:多肉植物・サボテン・山野草などに使われる事が多い。
- パーライト:パーライトは、真珠岩や黒曜石を粉砕して小さくした後に、高温で熱して中に含まれる水分を発泡させ多孔質にした資材です。
- 特徴(真珠岩系):表面に光沢があり滑らか、通気性・排水性に非常に優れている、雑菌が発生しにくく、比重が0.1程度と小さく軽い。
- 特徴(黒曜石系):表面に光沢があり滑らか、通気性・排水性に非常に優れている、雑菌が発生しにくく、比重が0.1程度と小さく軽い。
- 用途:土壌の通気性・排水性を改善する目的、真珠岩系では通気性・排水性・保水性をバランスよく改善する目的で利用されます。一般的な草花の育成などでよく利用されており、比重が軽いため培養土の軽量化などに欠かせません。
- 日向土(ボラ土):日向土は別名でボラ土とも呼ばれる、宮崎県南部で産出される軽石です。
- 特徴:通気性と排水性に非常に優れており、多孔質なため保水性も適度に確保出来ている、比重は約0.6とバランスがよい。※鹿沼土と比較すると頑丈で形状が崩れにくいため再利用しやすく、PHが殆ど中性なため扱いやすい、一方で鹿沼土と比べると保水性がそれほど高くない。
- 用途:土壌の通気性や排水性を改善するのに利用されます。草地・岩場・高山地帯・砂地に自生する植物などを育てるのに向いており、一般的な草花から多肉・サボテン・山野草などの育成でも利用されます。す。
- 軽石:軽石は溶岩が急冷されガスが吹き出す事で、多孔質で脆く軽くなった火山礫です。
- 特徴:通気性と排水性に非常に優れており、多孔質なため保水性も適度に確保出来ている、比重は約0.4~0.6とバランスがよい。※鹿沼土と比較すると頑丈で形状が崩れにくい、PHが殆ど中性なため扱いやすい、一方で鹿沼土と比べると保水性がそれほど高くない。
- 用途:土壌の通気性や排水性を改善するのに利用されます。岩場・高山地帯・砂地に自生する植物などを育てるのに向いており、多肉植物・サボテン・東洋ラン・盆栽・山野草などの育成でよく利用されます。
土壌改良材(有機質)
- 腐葉土:腐葉土は広葉樹の落ち葉を腐熟させた改良用土です。
- 腐葉土を選ぶ基準:腐葉土は完熟していて湿り気のある物を選びましょう。完熟していると、見た目が黒っぽくなり、葉の断片が小さくなっています。逆に油脂成分の多い針葉樹の葉が入っていたり、未熟な茶色の葉が混じっていたり、断片が大きく乾燥していたりする腐葉土は、植物の根を傷める原因にもなるため避けた方が良いでしょう。
- 腐葉土の特徴:土壌の膨軟性を高めるため空気の通りが良くなり根の成長を助ける。土壌の通気性・保水性・保肥力を高めるため植物が育ちやすい環境となる。腐葉土は微量要素を含んでいるため植物が栄養を補給して健康に成長する助けとなり、また微生物の働きも活性化するため土壌が肥沃になる。PHが中性のため扱いやすい。
- 用途:土壌の保水性・保肥力・通気性を改善したり、微生物を活性化して土壌を肥沃にしたりする働きがあるため、多くの植物を育てる際の改良用土として利用されます。
- くん炭:くん炭は、もみ殻を炭化させたものです。
- 特徴:通気性と排水性が抜群によいため根腐れ防止効果があります。菌根菌などの有用微生物を活性化させる効果があるため、植物が菌根菌と共生して病気に強くなったり水分・栄養を補給しやすくなる事がある。植物の成長に必要とされるミネラルを含有していて、またケイ酸が50%近く含有しているため茎・葉が頑丈になりやすく病害虫に強くなる傾向がある。PH8前後の高いアルカリ性を示す。
- 用途:根腐れ防止・酸性土壌の改善などのために土壌に10%程度混ぜて使われる事が多いです。
水やりの仕方
ヘンルーダは、自生地が地中海沿岸の乾燥した草原や荒れ地にあり耐乾性が強い植物です。そのため、水やりはあまり必要ありません。その一方で、乾燥した環境よりも、生育期に適度に水が与えられる環境の方がより良く成長するため土壌の状態を見ながら水やりをすることが大切になります。
地植えで栽培する場合は、基本的に降雨に任せて育てることが出来ます。ただし、雨が全く降らずに土壌が乾燥していたり、極端な暑さで乾燥が早くなっている場合は水やりが必要となります。鉢植えで育てる場合は、地植えと比べて乾燥がかなり早いため、定期的な水やりが必要です。培養土の状態を見ながら水やりをする必要があるでしょう。
注意することは、極端な過湿にしないことです。過湿が続くと病原菌が増えて株が腐敗する原因を作ったり、根の呼吸を邪魔して根腐れを引き起こす原因になったりします。そのため、水やりの頻度には十分な注意が必要です。
●水やりの方法
- 春の水やり:株は生育旺盛で、多くの水を必要とします。そのため、土壌の表層が乾燥したタイミングで水をたっぷり与えましょう。
- 夏の水やり:自生地の気候は地中海性気候で、この時期は降水量が少なく乾燥しており、日本の高温多湿を苦手にしています。この時期は、基本的に乾燥気味に管理しますが、完全に乾燥させると枯れることもあるため株の状態・土壌の状態を確認することも大切です。基本的には、多湿にならないよう注意しながら、朝の涼しい時間帯に土壌の表層が乾燥したタイミングで水をたっぷり与えましょう。注意点は、水やりの時間帯が午後になると、暑さで水分が高温になり根を傷めてしまったり、土壌中が蒸れて根腐れを引き起こしたりする可能性があることです。そのため、株が萎れているなどの緊急な場合を除いて、基本的には朝の涼しい時間帯に水やりを行いましょう。
- ただし、この時期は午後に水を与えると高温で水がお湯になり根を傷める可能性が高まったり、蒸れて根腐れする可能性が高まるため、水やりする時間帯は特に注意が必要でしょう。水やりは必ず朝もしくは夕方に行うようにしましょう。
- 秋の水やり:気候が穏やかになり、再び生育が旺盛になります。そのため、土壌の表層が乾燥したタイミングで水をたっぷり与えましょう。
- 冬の水やり:生育が緩慢になる季節で、植物は水をそれほど必要としません。土壌の乾燥も他の季節と比べると緩やかに進み、水やりの頻度も少なくなります。ただし、完全に乾燥すると枯れてしまう事もあるため、土壌の表層が乾燥した数日後に水を与えると良いでしょう。
土壌の乾燥の確認方法
- 土壌表面の乾燥:土壌の表面の乾燥とは、土壌の最も上の部分の表面が乾燥している事です。土壌表面の乾燥の確認方法には目視・触感・専用の道具があります。
- 目視で確認:土は濡れているなら色が濃くなったり黒っぽくなったりしていて、乾燥すると色が白っぽくなります。
- 触感で確認:土の表面を指で触ってみてます。土は濡れていると湿り気があり、乾燥しているとサラサラとしています。
- 専用の道具:サスティーを土壌にさして使用します。サスティーは土壌が乾くと色が変化して水やりのタイミングを教えてくれます。
- 土壌の表層の乾燥:土壌の表層の定義は様々ありますが、ここでは土壌の表面より5cm以下にある事にして、また土壌の表層の乾燥とは土壌の表面から5cm以下が乾燥していることになります。
- 目視で確認:透明な植木鉢を使用して植物を育てます。透明で土の色の変化が分かるため、土表面から5cm以下の土の色が白っぽくなってきたら水やりを行います。
- 重量で確認:鉢植えで育てている場合は、水分量で鉢の重量が変わるため、土が乾燥した時の軽さを覚えておいて土の乾きを判断します。
- 道具で確認:割り箸・竹串などを用土の中に差してみて、引き上げた時の割り箸・竹串の色と湿り気を見て乾燥具合を確認します。
- 専用の道具:サスティーを土壌にさして使用します。サスティーは土壌が乾くと色が変化して水やりのタイミングを教えてくれます。
肥料の与え方
ヘンルーダは、自生地が乾燥した草原や岩場などにあり、栄養の少ない痩せた土壌にも生育しています。そのため、腐葉土などの堆肥が配合された土壌であれば、生育に必要な一定の栄養が含まれており、肥料がなくても栽培する事ができます。過剰な栄養は、茎が徒長し草姿を乱す原因になったり、花数を減らす原因になったり、肥焼けして根腐れを引き起こす原因になったりしますが、適切な量の肥料には生育を促進する働きもあります。そのため、必要に応じて春に株の周りに緩効性肥料を施してあげるのもよいでしょう。
●肥料の与え方
- 芽出し肥:早春から春頃に新芽が動き出す前に、発芽の促進や初期の成長を促す目的で与えられる肥料です。
- 肥料の成分:窒素・リン酸・カリがバランス良く入る水平型、またはリンが多く入る山型を選びます。
- 肥料の製品:固形肥料(速効性・緩効性・BB肥料 など)がおすすめです。
- 施し方(固形肥料):固形肥料の与え方は製品により置き肥タイプ・差し込みタイプ・埋め込みタイプがあります。製品に合わせて、規定された分量・規定された頻度・規定された方法で施しましょう。
剪定のやり方
ヘンルーダは、株の健康や寿命を長く保ち、沢山の花を咲かせるために、定期的な剪定が不可欠となります。何故なら、茎が古くなると木質化して株全体の老化が早まり、寿命が短くなったり、生産性が落ちて葉や花の数が減ったり、また剪定をすることで若い茎の成長が促されるため、新枝に咲く花の数も増えやすくなります。
剪定時の注意点:本種の樹液は、有毒な化合物が含まれており、この物質が肌に付着した後に、紫外線を浴びると、植物性光皮膚炎と呼ばれる症状が現れ、皮膚炎や水泡を引き起こす可能性があります。そのため、作業時は長袖・手袋を着用して皮膚の露出を出来るだけ抑え、樹液が付着した際はすぐに洗い流して下さい。
●剪定の方法
- 早春の剪定:この時期は強い剪定をしても回復が早いため、強く切り戻して株の若返りを図ります。剪定の方法は、株全体の高さが2分の1から3分の1程度になるように、または茎の長さが10~15cm程度になるように切り戻します。この時、株全体の形をドーム状にするイメージで剪定すると見た目も良くなるでしょう。これを行うことで、若くて生産性の高い茎の成長が促され、また分枝で茎の数が増えて、結果的に花の数も増えます。
- 梅雨前の剪定:この剪定は、必須ではありませんが、病害虫予防のために行われることもあります。剪定の方法は、間引き剪定になり、混みあっている部分の枝を探して、不要な枝の方を剪定します。これを行うことで、株元への日当たりや風通しが改善され、多湿による病害虫の発生を抑制できます。
夏越しする方法
ヘンルーダは、自生地が草原や人為的攪乱を受けた荒れ地などにあり、気候は地中海性気候またはステップ気候で夏は暑く乾燥しています。そのため、本種は暑さと乾燥に強いですが、多湿や過湿を苦手にしています。特に日本の高温多湿で株が蒸れて、根腐れしたり病気にかかったりしやすく、株が衰退して枯れることも多いです。そのため、夏越し対策として多湿・過湿の予防が必要になってくるでしょう。
●夏越し対策一覧
- 多湿・過湿の改善:空気中・土壌中の湿度が高い状態です。原因は様々で、壁に囲まれて空気の流れや太陽光が遮られている場所、雑草などで太陽光が遮られている場所、雨水が貯まりやすい場所、土壌の土質が悪い場所などでおきやすいです。多湿・過湿の改善の方法は幾つかあるため下記を参考にして下さい。
- 植物を移動:植物と育てる場所の相性が悪い場合は、植物を相性の良い場所に移動しましょう。
- 雑草の除去:雑草は風の流れや太陽光を遮り、育てている植物の成長を妨げる原因になると同時に、多湿を生み出す原因にもなります。多様性の一部ではありますが、見た目にも良くないことが多いため定期的に抜きましょう。
- 排水性の改善:雨水などが周囲から集まりやすい環境にあったり、硬盤があったりすると排水が上手くいかない場合があります。対策として排水溝を作ったり、縦穴暗渠(縦穴排水)をつくり雨水が外に流れる仕組みをつくりましょう。
- 花壇を高くする:植物を植える環境を周囲よりも高くして排水性を改善する事も出来ます。花壇をレイズベットにしたり、岩を並べてロックガーデンなどにしたりして、植物を育てるのもよいでしょう。
- 雨避けをつくる:植物の上に雨が当たらないように雨避けを張り、雨から植物を守る方法があります。雨避けの方法は様々ですが、雨避けの製品もあるため探してみるのもよいでしょう。雨避けは病気予防、多湿・過湿の改善にもなります。
- 土壌の改善:土壌は土質により乾燥のしやすさが変わります。植物の植え付け時や植え替え時に、植物に合わせた土壌の改善をしましょう。詳しくは花壇土からご覧下さい。
挿し木や株分けで増やす
ヘンルーダは挿し木によって増やす事ができます。
●挿し木の方法
- 挿し木時期:発根率の高い晩春から夏頃が適します。
- 培養土の準備:培養土は切り口が腐敗して吸水を阻害しないように、無菌のものを利用します。一般的にはバーミキュライト・赤玉土・パーライト・ピートモスなどが利用されていますが、専用の培養土もあるため近くのホームセンターで探すのも良いでしょう。
- 挿し穂の採取:挿し穂の茎は弾力があり健康な部分をカットして利用しましょう。また花芽分化が始まり生殖成長をしている茎は、発根率が極端に下がるため挿し穂に使うのは避けた方がよいでしょう。
- 挿し穂の整形:挿し穂は長さを7~10cm程度にわけて、挿し穂の上部の葉を残して、下部の葉を取り除きます。茎の下部分を斜めにカットして吸水部分を広くしておきましょう。
- 培養土に挿し穂を挿す:挿し穂を挿す場所を決めます。培養土の中に、割り箸等を利用して、事前に穴を空けておきます。挿し穂の切り口を下向きにして、培養土の中に挿し穂を入れましょう。通常は挿し穂の1/3程度をいれます。
- 管理:明るい日陰で土壌が完全に乾燥しない様に水やりを行いながら管理しましょう。
播種で増やす
ヘンルーダの種蒔の方法
- 播種時期:3月~6月/9月~10月
- 発芽適温:約15~20度
- 発芽日数:14日~
- 備考:好光性種子
種まき手順
- 種まきの時期:春撒き・秋撒き
- 培養土の準備:直播き・移植栽培※移植栽培はコストや手間が増えますが、苗を病害虫から保護したり、温度・水分の管理が楽になり成功率が高まります。
- 直播き:花壇やプランターの土を整えます。
- 移植栽培:プラグトレー・ピートポット・ポリポット・不織布育苗ポット・ジフィーセブンなどに種まき用の培養土を入れて栽培できます。おすすめは移植の際に根を傷めにくい不織布育苗ポット・ジフィーセブンなどです。
- 種の撒き方:点撒き・すじ撒き・バラ撒き
- 種まき後の管理:種が乾燥すると発芽率が落ちるため、基本的に土と種が乾燥しないように水やりを行い管理します。
- 発芽後:発芽が揃ったら、株どうしの間隔を見て、混んでる場所の苗を間引きます。また間引きした苗は別の場所に移植することもできます。※直播きする場合は成長に合わせて株どうしがくっついているものを状態がいい方を残し間引きするとよいでしょう。
※鎮圧は土と種の接着を高め水分の吸収をよくします。