
- 原産:日本
- 科:サクラソウ(Primulaceae)
- 属:サクラソウ/プリムラ(primula)
- 種:クリンソウ(Primula japonica)
- 別名:プリムラ・ジャポニカ/ジャパニーズ・プリムローズ(Japanese primrose)/ジャパニーズ・カウスリップ(Japanese cowslip)/クィーン オブ・プリムローズ(Queen of primroses)
- 開花時期:4月~6月
- 花の色:赤色・桃色・朱色・白色
- 葉の色:緑色
- 香り:
- 生活形:多年草
- 草丈:約30~90cm
- 誕生花:3月10日/4月10日/6月13日
- 花言葉:物思い・幸福を重ねる・物覚えのよさ
- 用途:背が高い花/種から育てる植物/日陰植物
- 購入方法:クリンソウを楽天で購入
■クリンソウとは!?
クリンソウ(学名: Primula japonica)は、別名では「プリムラ・ジャポニカ」「ジャパニーズ・プリムローズ(Japanese primrose)」「ジャパニーズ・カウスリップ(Japanese cowslip)」「クィーン オブ・プリムローズ(Queen of primroses)」とも呼ばれるサクラソウ科プリムラ属(サクラソウ属)に分類される多年草です。
クリンソウの原産地は日本(本州・四国・北海道)で、自生地は山間地の沢の辺、渓流沿いなどの湿地、林縁の湿った草地などに見られます。
■クリンソウの語源(由来)
- Primulaの語源:ラテン語で「最初」「早い」を意味する「primus」から来ており、プリムラ属の開花が早く春一番に咲くことに因んで、植物学者のCarl von Linnaeus (1707-1778)が命名しました。
- japonicaの語源:ラテン語で「日本の」を意味しており、自生地からきています。
- クリンソウの由来:花の形が仏閣の屋根にある九輪の形に似ている所からきています。
■クリンソウの特徴(魅力)

- 形態:草丈は30~90cm、生育型はロゼット型で、地際から放射状に葉を広げて、株の中心部から花茎を伸ばし、段咲きする個性的な花姿を作ります。
- 花の魅力:開花期間は4月から6月頃、花序は花軸の節ごとに複数の花が輪生し放射状に広がりながら段咲きします。その個性的な花姿から仏閣の屋根にある九輪の形に例えられたり、また五重塔のような見た目をしています。花は筒部が細長く、上部で裂けて5枚の裂片に分かれます。花の色は赤色・桃色・朱色・白色が見られ、花冠喉部の色が濃くなり、独特なアイ模様が見られます。この美しい花姿から、観賞用として広く栽培されており、また赤色や桃色の花の色がお庭に可愛らしい彩りを添えてくれるでしょう。
- 湿性植物:本種は、沢のほとりや渓流沿いなどの湿地に見られる植物です。そのため、池のほとりのジメジメした場所などで栽培することができます。ただし、抽水植物ではないため、常に水で浸かっているような場所では栽培出来ません。
- シェードガーデン:本種は比較的耐陰性があるため、午前中だけ日光に当たる場所から、日光が当たらず間接光しか入らないような明るい日陰までで栽培が可能です。
■クリンソウの生活形と形態

●生活形・茎の形態
- 生活形:多年草
- ライフサイクル:春から成長が始まり花茎を伸ばし開花し、夏も生育が続きますが暑さが厳しい地域では生育が緩慢になり、秋になり涼しくなると生育が再開し、冬になるとロゼット葉を残し休眠します。
- 草丈:約30~90cm
- 生育型:ロゼット型
- ロゼット型:地際から出る根生葉がロゼットを形成する。
- 茎の種類:花茎
- 花茎:基本的に葉を付けず花のみをつける茎です。
- 茎の色:緑色・淡褐色・赤紫色
●葉の形態
- 葉の位置:根生葉
- 葉序:束生(ロゼット)
- 葉柄:有柄
- 葉身の長さ:約15~40cm
- 葉身の概形:ヘラ形・倒披針形・倒卵形
- 葉の先端:鈍角・円形
- 葉の縁部分:不規則な鋸歯または歯牙があります。
- 葉の色:緑色
- 備考:葉脈に凹みがあり顕著な皺があります。
●花の形態
- 花序:花軸の節ごとに複数の花が輪生し、輪環状に段咲きします。
- 苞:花梗の付け根にあります。
- 花:花の直径約1~2.5cm、花托・萼・花冠・雄蕊・雌蕊で構成されています。
- 花托:萼・花冠・雄蕊・雌蕊を支えている。
- 萼:5枚の萼片の基部が合着する合片萼です。裂片は披針形、色は緑色です。
- 花冠:5枚の花弁が合着する合弁花冠です。花冠筒部は細長い筒状、花冠裂片は花冠筒部からほぼ水平に平開して、裂片の数は5枚、裂片の形は倒心形・倒卵形、花弁の色は赤色・桃色・朱色・白色が見られ、花冠喉部の色が濃くなる傾向があります。
- 雄蕊:5本で、花冠筒部に着生します。
- 雌蕊:1本
●果実・種子の形態
- 果実の分類:蒴果
※植物の形態についてはこちらのページも参考にしてください。
■クリンソウの園芸品種を紹介
●アップルブロッサム

学名:Primula japonica ‘apple blossom’
花の色:淡い桃色(サーモンピンク)・橙色
葉の色:緑色
草丈:約30~60cm
備考:淡い桃色を基調として、花冠喉部に鮮やかな橙色のアイ模様が入る品種です。そのため、可愛らしい雰囲気のお庭によく調和します。
●ミラーズクリムゾン

学名:Primula japonica ‘miller’s crimson’’
花の色:真紅色・黒色
葉の色:緑色
草丈:約30~60cm
備考:鮮やかな真紅色を基調として、花冠喉部に黒色のアイ模様が入る品種です。そのため、派手さの中に高級感があり、ラグジュアリーな雰囲気のお庭によく調和します。
■プリムラ属(サクラソウ属)の主な種と園芸品種は下のリンクから紹介しています。
■クリンソウの育て方
花壇の土づくり
●バイオーム
- 主なバイオーム:温帯広葉樹林・温帯針葉樹林
- 原産地:日本の本州・四国・北海道に分布します。
- 自生地:山間地の沢の辺、渓流沿いなどの湿地、林縁の湿った草地などに見られます。
- 気候:主に温暖湿潤気候・亜寒帯湿潤気候に属します。気温は夏に高温になる地域から冷涼な地域まであり、冬は寒冷な地域では氷点下になります。降水量は中程度または多めです。 本種は比較的冷涼で、湿地などの湿潤な場所を好み、夏場の高温や乾燥を苦手にしています。
- 日照:半日陰から明るい日陰を好みますが、冬の季節は日向も許容します。
- 土壌:湿性植物で、腐植質に富む保水性が高い肥沃な土壌を好みます。基本的に乾燥を苦手にしているため、砂質の土壌は好みません。
※バイオームについてはこちらのページも参考にしてください。
●日照条件
クリンソウは、西日の当たらない半日陰・明るい日陰の範囲で育てることが出来ます。冬の季節は日向も許容しますが、夏場の西日は高温と強光が重なり、植物に強いストレスを与えるため、日向は避けた方がよいでしょう。理想的な環境は、落葉樹の下で、夏場の高温期に明るい日陰に入り、冬の低温期は落葉した樹木の下で柔らかな日差しをしっかり浴びる環境です。
日照条件の分類(参考)
- 日向:直射日光が一日を通して6時間以上当たる場所です。一般的に全方位に障害物がない、またはお庭の向きが南向きの場所になります。
- 半日陰:直射日光が3時間から5時間程度当たる場所です。一般的には、午前中のみ日が当たり、午後から日陰になる場所となります。そのため、お庭の向きは東向き、または木漏れ日がはいるような場所です。
- 明るい日陰:直射日光が二時間程度までしか当たらないか、殆ど当たらずに間接光だけで明るい場所です。一般的にお庭の向きが北向き、または建物の影など日差しを遮る障害物が多い環境です。
- 暗い日陰:森の中にあるような直射日光も間接光もほとんど当たらないような暗い場所です。
●土壌の土質
- 土質:通気性と排水性が十分に確保されており、一定の湿り気が保たれる保水性のある土壌を好みます。そのため土質は壌土・埴壌土あたりに調節してあげるとよいでしょう。
- 肥沃さ:有機物をしっかりと含む肥沃な土壌を好みます。腐葉土やピートモスなどの有機物を入れることで、土壌の団粒化が促されて物理性(通気性・排水性・保水性)が向上したり、陽イオン交換容量が高くなり保肥力が向上したり、植物が必要とする栄養分を含有するため成長を補助したりする効果が期待出来ます。
- pH:pHは5.5~7.0の弱酸性~中性を好みます。土壌のpHを測定して適正範囲外にある場合は土壌改良材などを用いてpHを調整しましょう。pHが適正範囲から極端に外れた土壌では微量要素などの栄養を上手く吸収出来ずに生育不良になる場合があります。
土壌診断と改善の行い方(参考)
- 排水性の診断:深さ30cm程度・幅30cm程度の穴を掘り、穴の中を水で完全に満たす。一時間あたり約3~10cmの排水があれば、一般的な植物を育てるのに適した排水性になります。※それ以下またはそれ以上である場合は排水が悪い、または排水がよすぎる可能性があります。
- 排水性の改善:花壇を高くしたり、ロックガーデンを作り、植物を植える場所を周囲より高くする。また縦穴暗渠(縦穴排水)や排水溝をつくる。
- 作土層の診断:調べたい箇所の土壌に支柱を出来るだけ深くまでさします。支柱の入った部分が30cm前後あれば一般的な植物であれば、根を張るのに十分な作土層がありますが、それ以下であれば改善が必要です。また土壌を観察して石やゴミがあれば根を伸ばすのに邪魔になるため取り除いた方が良いでしょう。
- 作土層の改善:植物を植える箇所とその周囲をシャベルを使って30cm程度の深さまで掘り起こして解します。また石がある場合は土ふるいを使用して取り除きましょう。
- 土壌(土性)の性質の診断:土壌の通気性・保水性・保肥力を知るために、土壌を砂土・砂壌土・壌土・埴壌土・埴土に分類して、植物に合わせて土壌の改良をしましょう。
- 砂土:排水性と通気性が高く乾燥しやすいため、水分過剰による根腐れを引き起こしにくい。診断は、適度に湿らせた土を触った時にザラザラとした砂の粗い感触がある。手のひらや指で捏ねても全く固まらずに簡単に崩れる。
- 砂壌土:排水性と通気性が高く乾燥しやすい傾向がある、砂土と比べると、保水性と保肥力が少しあるため、乾燥気味の土壌を好む植物などに向いています。診断は、適度に湿らせた土を触った時に砂のザラザラ・粘土のヌルヌルとした感触がある。手のひらや指で捏ねると、緩く固める事が出来るが崩れやすい。
- 壌土:通気性・保水性・保肥力のバランスが高いため土壌管理がしやすい。診断は、適度に湿らせた土を触った時に砂のザラザラ・粘土のヌルヌルとした感触がある。手のひらや指で捏ねて伸ばすと、鉛筆程度の太さの棒状まで伸ばすことが出来る。 ただし伸ばした棒を曲げるのは難しい。
- 埴壌土:保水性・保肥力が高いため乾燥しにくい傾向がある。診断は、適度に湿らせた土を触った時に粘土のヌルヌルとした感触があり、砂のザラザラも少し感じる。手のひらや指で捏ねて伸ばすと、マッチ棒程度の太さまで伸ばすことが出来て、輪っかに曲げても切れにくい。
- 土壌(土性)の性質の改善:土壌の診断をしたら、植物が求める環境に合わせて土壌改良材をいれます。
- 通気性・排水性の改善:通気性・排水性の高い土壌改良材(パーライト・日向土・川砂・バーク堆肥 など)を混ぜ込む。
- 保水性の改善:保水性の高い土壌改良材(腐葉土・ピートモス・バーク堆肥・黒土)を混ぜ込む。
- PHの診断:土壌のPHを調べる方法は土壌酸度計を土壌に突き刺すタイプ・リトマス紙を溶液に浸すタイプ・ペーハー測定器を溶液に浸すタイプ・アースチェック液を溶液に垂らすタイプ等があります。製品によって調べ方がことなるため、詳しい手順は製品の取り扱い説明書をご覧下さい。
- PHの改善:PHを診断後に植物の適正なPHに合わせて、土壌改良材を入れてPHの改善をおこないます。
- PHを酸性に改善:ピートモスを使用する場合はPHを1下げるために、1㎡あたり、ピートモスを約1.2kgを入れて混和します。
- PHをアルカリ性に改善:苦土石灰を使用してPH1上げるには、1㎡あたり苦土石灰を約100~200g入れて混和します。
- 肥沃さの診断:肥沃さは土壌の色によりある程度診断できます。土壌の色は成分や状態を示しており、簡易的に植物を育てるのに適しているか調べる事が出来ます。黒色の場合は腐植が多く肥沃な傾向があり、赤色・黄色・白色の場合は腐植が少なく肥沃でない傾向があります。
- 肥沃さの改善:土壌に堆肥または微生物資材を入れます。堆肥を入れる量は土の量に対して二割から三割程度にします。入れ過ぎると通気性・排水性・保水性のバランスが崩れて植物が育つのに不適な環境になりやすいため注意してください。
※詳しい土壌診断と改善方法はこちらのリンクからご覧下さい
鉢土づくり
●日照条件
クリンソウは、西日の当たらない半日陰・明るい日陰の範囲で育てることが出来ます。冬の季節は日向も許容しますが、夏場の西日は高温と強光が重なり、植物に強いストレスを与えるため、日向は避けた方がよいでしょう。
●培養土
クリンソウの培養土を購入する場合は、一般的な草花の培養土または保水性が高い培養土で良いでしょう。
培養土を自作する場合
- 培養土の特性:山間地の沢の辺、渓流沿いなどの湿地などにあり、基本的に腐植が多く、膨軟性があり肥沃な土壌です。そのため、培養土を作成する場合も、堆肥がしっかりと入っていながら、無機質の土壌改良材も入れて、通気性・ 排水性・保水性が長く保たれるものをつくります。またpH5.5~ 7.0の弱酸性から中性の土壌を好むため、pHの値にも注意しながら培養土を作成しましょう。
- 土壌改良材(無機質):通気性・排水性・保水性を改善する目的で、赤玉土や日向土や鹿沼土などの土壌改良材を5割~7割を目安に配合します。土壌改良材の土粒は小粒・細粒を利用します。大きすぎる土粒を使うと、培養土の中に大きな空隙が出来て根の活着が悪くなり、保水性も悪くなり植物の生育が悪くなる原因となるため避けてください。
- 土壌改良材(有機質):腐葉土などの堆肥を全体の3割~5割を目安に培養土の中に配合すると、土壌の物理性・化学性・生物性を改善して、根の活着を高めて根張りをよくしたり、栄養素を含有しており、微生物の働きを促進して土質を改善したり、植物の栄養補給に寄与する働きがあったりします。
培養土の配合例
- 基本の配合:赤玉土(小粒)6割+腐葉土4割+元肥適量
- 保水性の高い配合:赤玉土(小粒)5割+バーミキュライト2割+腐葉土3割+元肥適量
- 培養土が長持ちする配合:日向土(細粒・小粒)5割+ピートモス(酸度調整済)4割+くん炭1割+元肥適量
- 肥沃な配合:赤玉土5割+ 腐葉土3割+牛糞堆肥2割+元肥適量
土壌改良材(無機質)
- 赤玉土:赤玉土とは関東ローム層の中層にある赤土を乾燥させて、粒の大きさごとに分けた土壌改良材です。
- 特徴:赤玉土は通気性・排水性・保水性のバランスが抜群に良いことから擬似団粒構造をした土壌改良材とも呼ばれています。無菌で雑菌が繁殖しにくく、雑草の種も含まれないため挿し木用土やインドアグリーンの土としても使われる。
- 比較:鹿沼土と比べて赤玉土の方が保水性・保肥力に優れており、PHが中性に近い弱酸性のため幅広い植物で利用しやすい。赤玉土は鹿沼土よりも粒が崩れて劣化しやすいため、使い続けると微塵が出て通気性・排水性を悪化させる事がある。
- 注意点:赤玉土はリン酸を固定してしまい、植物が吸収出来る状態で無くす事があるため、リン酸の肥料を多めにやる必要がある。赤玉土の粒はやや崩れやすいため再利用出来る割合が少ない傾向があり、微塵は粘土質になり通気性・排水性を悪くする事がある。
- 用途:一般的な草花・花木・多肉・サボテン・山野草・水生植物など幅広い植物の土壌改良材として利用されます。無菌のため挿し木・種まき用土・インドアグリーンの培養土などに利用される。
- 硬質赤玉土:硬質赤玉土は赤玉土を高温で焼いて硬質化したものです。
- 比較:硬質赤玉土は赤玉土と比べて、粒が硬いため砕けて劣化しにくく、通気性・排水性が高くなっています。一方で保水性が悪くなっているため、一般的な草花で使うと土壌が乾きやすくなり水やりの頻度が増えやすいです。
- 用途:多肉植物・サボテン・山野草などに使われる事が多い。
- 鹿沼土:鹿沼土は栃木県鹿沼地方で産出される、風化した軽石の総称です。
- 特徴:鹿沼土は通気性・排水性が抜群に優れており保水性・保肥力も高いため、培養土の通気性・保水性・保肥力のバランスをとりたい時に重宝されます。PHが4~5と酸性になります。
- 比較:赤玉土と比べると鹿沼土は粒が頑丈で崩れにくいため再利用しやすく、PHは酸性に強く傾いており、保水性が劣ります。一般的な軽石と比べると鹿沼土は保水性に優れており、やや粒が脆い傾向にあります。
- 注意点:酸性度が強めなため、アルカリ土壌を好む植物を育てる場合は避けた方がよい。
- 用途:一般的な草花・花木・多肉・サボテン・山野草・水生植物など幅広い植物の土壌改良材として利用されます。特にPHが酸性のため酸性土壌を好む植物に利用される事が多いです。
- ☆硬質鹿沼土:硬質鹿沼土は従来の鹿沼土から硬質なものを選別した用土です。その名前が示すとおり、鹿沼土よりも硬く丈夫で劣化しにくい用土です。
- パーライト:パーライトは、真珠岩や黒曜石を粉砕して小さくした後に、高温で熱して中に含まれる水分を発泡させ多孔質にした資材です。
- 特徴(真珠岩系):表面に光沢があり滑らか、通気性・排水性に非常に優れている、雑菌が発生しにくく、比重が0.1程度と小さく軽い。
- 特徴(黒曜石系):表面に光沢があり滑らか、通気性・排水性に非常に優れている、雑菌が発生しにくく、比重が0.1程度と小さく軽い。
- 用途:土壌の通気性・排水性を改善する目的、真珠岩系では通気性・排水性・保水性をバランスよく改善する目的で利用されます。一般的な草花の育成などでよく利用されており、比重が軽いため培養土の軽量化などに欠かせません。
- バーミキュライト:バーミキュライトは、蛭石を高温処理して膨張させた土壌改良用土です。蛭石を膨張させた事で、薄板が層に重なりアコーディオンのような形状をしています。
- 特徴:保水性・保肥力が抜群に優れているため植物が欲しい時に水分や栄養を供給してくれる働きがあります。また何層にも重なり大きな隙間があるため通気性を改善する働きもあり、雑菌が発生しにくく、比重が0.1程度と小さく軽い。
- 欠点:比重の重い用土と組み合わせると粒が破壊されて通気性が悪くなる事もあるため注意が必要です。
- 用途:土壌の保水性・保肥力を改善するのに利用されます。一般的な草花の育成などでよく利用されており、比重が軽いため培養土の軽量化などでも利用されます。
- 日向土(ボラ土):日向土は別名でボラ土とも呼ばれる、宮崎県南部で産出される軽石です。
- 特徴:通気性と排水性に非常に優れており、多孔質なため保水性も適度に確保出来ている、比重は約0.6とバランスがよい。※鹿沼土と比較すると頑丈で形状が崩れにくいため再利用しやすく、PHが殆ど中性なため扱いやすい、一方で鹿沼土と比べると保水性がそれほど高くない。
- 用途:土壌の通気性や排水性を改善するのに利用されます。草地・岩場・高山地帯・砂地に自生する植物などを育てるのに向いており、一般的な草花から多肉・サボテン・山野草などの育成でも利用されます。す。
土壌改良材(有機質)
- 腐葉土:腐葉土は広葉樹の落ち葉を腐熟させた改良用土です。
- 腐葉土を選ぶ基準:腐葉土は完熟していて湿り気のある物を選びましょう。完熟していると、見た目が黒っぽくなり、葉の断片が小さくなっています。逆に油脂成分の多い針葉樹の葉が入っていたり、未熟な茶色の葉が混じっていたり、断片が大きく乾燥していたりする腐葉土は、植物の根を傷める原因にもなるため避けた方が良いでしょう。
- 腐葉土の特徴:土壌の膨軟性を高めるため空気の通りが良くなり根の成長を助ける。土壌の通気性・保水性・保肥力を高めるため植物が育ちやすい環境となる。腐葉土は微量要素を含んでいるため植物が栄養を補給して健康に成長する助けとなり、また微生物の働きも活性化するため土壌が肥沃になる。PHが中性のため扱いやすい。
- 用途:土壌の保水性・保肥力・通気性を改善したり、微生物を活性化して土壌を肥沃にしたりする働きがあるため、多くの植物を育てる際の改良用土として利用されます。
- ピートモス:ピートモス は水苔類やヨシ・スゲ等の植物が堆積して腐植し泥炭化した用土です。
- 特徴:腐葉土と比べて養分を殆ど含んでいないため、微生物を活性化する力が弱く無菌で清潔感がある。土壌の膨軟性を高めるため空気の通りが良くなり根の成長を助ける。土壌の保水力を高める効果が高く、通気性・保肥力も改善する。PHは基本的に強い酸性になる。
- 注意点:PHが3~4の強い酸性のため、一般的な植物を育てる際は調整済のピートモスを使用するか、アルカリ性の土壌改良材を入れて使用した方がよいでしょう。
- 用途:土壌の膨軟性を高めて、保水性・保肥力・通気性を改善するのに利用されたり、PHを酸性に調節する目的で利用されたり、無菌で雑菌が繁殖しにくいためインドアグリーンの植物の改良用土として利用されたり、挿し木や種まき用の培土として利用されたり、多くの植物を育てる際の改良用土として利用されたりしています。
- 牛糞堆肥:牛糞堆肥は、牛糞を主原料にして、籾殻・藁・オガクズなどを加えて、微生物の力で発酵さて作られた土壌改良材または肥料です。
- 選ぶ基準:牛糞堆肥は見た目が黒っぽく、悪臭がない、しっかりと発酵しているものを選びましょう。
- 特徴:牛糞堆肥には少量ですが窒素・リン・カリの肥料成分を含んでおり、また中量要素や微量要素の養分も含まれているため、植物が栄養を補給して健康に成長する助けとなり、また微生物の働きも活性化するため土壌に団粒構造を作り肥沃な土壌を作り出す助けとなります。また土に混ぜるだけでも通気性・保水性・保肥力を高める効果があり植物が育ちやすい環境となります。
- 注意:牛糞堆肥は塩分濃度が高めで、分解も早いため、土量に制限のあるコンテナ栽培(プランター)ではあまり利用されません。
- 用途:培養土の中にひと握りほどの少量の牛糞を入れて肥沃さを高められることがある。土壌の保水性・保肥力・通気性を改善する目的、土の団粒化や土壌の肥沃化を促す目的で土壌改良で使用される事が多いです。
水やりの仕方
クリンソウは、自生地が沢の辺、渓流沿いなどの湿地、林縁の湿った草地にあり、基本的に一定の湿り気がある環境を好みます。一方で、抽水植物ではないため、常に水で浸かっているような場所では栽培出来ません。また本種は、乾燥を苦手にしており、栽培環境によっては水やりの頻度が高まるため管理に注意が必要となります。
●水やりの方法(地植え・鉢植え)
- 春・夏・秋の水やり:株は生育旺盛で、多くの水を必要とします。また乾燥を嫌うため、水切れには注意が必要です。基本的な水やりは、土壌の表面が乾燥したタイミングで水を与えます。また水やりが大変な場合は腰水で管理することも可能です。
- 腰水:腰水とは、鉢植えでの栽培時に、鉢底から水を吸わせる方法です。鉢植えが入る容器または受皿を準備し、この容器の上に鉢植えを乗せます。水を、鉢植えの3分の1程度浸かるまで注ぎ、水を貯めます。腰水の水位が高すぎると根の呼吸の邪魔になり、根腐れを引き起こす原因になるため、3分の1以下で管理した方がよいでしょう。また水が減ったら同程度に足して、汚れた場合は容器を洗い水を入れ替えて利用しましょう。
- 冬の水やり:休眠期は生育期ほど水分を吸収しないため、水やりの頻度は下げます。この時期に水分が多いと根腐れを引き起こす原因になることもあるため注意が必要です。ただし、土壌が完全に乾燥すると枯れてしまうこともあるため、土壌の表層の乾燥を目安に、水を与えると良いでしょう。
注意点
- 水やり時間帯:水やりの時間帯は、基本的に植物が水を欲しがりだす朝に与えるのが最適です。昼や夕方に与える事も出来ますが、季節によっては高温で水がお湯のようになり蒸れて根腐れを引き起こす可能性があります。また夕方に水やりを行うと、植物が水分をあまり必要としない夜間にも水がたっぷり残り呼吸を邪魔するなどして根腐れを引き起こす原因になる事があります。そのため、基本的に朝に水をやることが正しいですが、植物が萎れている場合は時間に関係なく直ぐに水やりを行って下さい。
- 水を与える量:1回に与える水の量はたっぷりです。鉢植えで植物を栽培している場合は、鉢底から水がしっかり流れるまで与えます。その際、水を与える場所が1箇所になると水の道が出来てしまい、特定の場所に水が流れないこともあるため水を与える場所を変えながら与えましょう。地植えで水やりを行う場合は、土壌の表面だけでなく奥まで水を染み込ませるつもりでしっかりと水を与えて下さい。
- 水を与える場所:水を与える場所は基本的に株元から少し離れた場所で、植物に直接かけないようにします。植物上に水が溜まると、そこから真菌などが植物の中に侵入し、病気を引き起こし腐敗させる原因になるため注意して下さい。
土壌の乾燥の確認方法
- 土壌表面の乾燥:土壌の表面の乾燥とは、土壌の最も上の部分の表面が乾燥している事です。土壌表面の乾燥の確認方法には目視・触感・専用の道具があります。
- 目視で確認:土は濡れているなら色が濃くなったり黒っぽくなったりしていて、乾燥すると色が白っぽくなります。
- 触感で確認:土の表面を指で触ってみてます。土は濡れていると湿り気があり、乾燥しているとサラサラとしています。
- 専用の道具:サスティーを土壌にさして使用します。サスティーは土壌が乾くと色が変化して水やりのタイミングを教えてくれます。
- 土壌の表層の乾燥:土壌の表層の定義は様々ありますが、ここでは土壌の表面より5cm以下にある事にして、また土壌の表層の乾燥とは土壌の表面から5cm以下が乾燥していることになります。
- 目視で確認:透明な植木鉢を使用して植物を育てます。透明で土の色の変化が分かるため、土表面から5cm以下の土の色が白っぽくなってきたら水やりを行います。
- 重量で確認:鉢植えで育てている場合は、水分量で鉢の重量が変わるため、土が乾燥した時の軽さを覚えておいて土の乾きを判断します。
- 道具で確認:割り箸・竹串などを用土の中に差してみて、引き上げた時の割り箸・竹串の色と湿り気を見て乾燥具合を確認します。
- 専用の道具:サスティーを土壌にさして使用します。サスティーは土壌が乾くと色が変化して水やりのタイミングを教えてくれます。
肥料の与え方
クリンソウは、土壌が肥沃であれば肥料が無くても育てる事ができます。ただし、肥料を与えることで株の生育が促進され、花の数も増えるため、適切な量の元肥と追肥を与えて育てた方が良いでしょう。
●肥料の与え方
- 元肥:元肥は植付け前または植付け時に土壌の中に入れて施す肥料です。
- 肥料の成分:基本的には窒素・リン酸・カリの内、リンが多く含まれる肥料を選びます。
- 肥料の製品:緩効性肥料・配合肥料(BB肥料など)がおすすめです。
- 施し方:基本的に全面施肥です。全面施肥とは、植物を植付ける土壌・培養土の中に、規定の量の元肥を入れて、偏りがないように混和する方法です。※全面施肥は肥料が植物の根に触れて肥焼けを引き起こす可能性があるため、肥効が緩やかに出る肥料を選ぶ。例として緩効性肥料やBB肥料などです。
- 追肥:植物が生育する途中で施す肥料です。土壌中の栄養素は植物が吸収して減っていくため、追肥を入れる事で補います。
- 肥料を与える時期:生育期の春から秋に追肥を施します。ただし、夏場の高温で生育が衰退している時に肥料を与えると根腐れを引き起こすこともあるため、夏の暑さが厳しい地域では肥料を止めましょう。
- 肥料の成分:基本的には窒素・リン酸・カリの内、リンが多く含まれる肥料を選びます。
- 肥料の製品:液肥・固形肥料(速効性・緩効性・BB肥料 など)がおすすめです。
- 施し方(液肥):液肥を規定された分量の水で希釈して、約10~14日の頻度で与えます。液肥は1箇所にかけるのではなく、植物の株元を中心に根が張っている範囲にまんべんなく、全ての根に液肥が行き渡るように施しましょう。
- 施し方(固形肥料):固形肥料の与え方は製品により置き肥タイプ・差し込みタイプ・埋め込みタイプがあります。製品に合わせて、規定された分量・規定された頻度・規定された方法で施しましょう。
剪定のやり方
クリンソウは剪定せずに育てる事も出来ますが、より健康で美しい株を維持するために剪定が推奨されます。例えば、花がら摘みをすることで、次の花芽に栄養が回り、沢山の花が咲きます。また古葉取りを行うことで病害虫予防や健康な葉に光が当たりやすくなるため生育の促進も期待できます。
●剪定方法
- 花がら摘みの方法:花がら摘みを行う時期は開花期間中です。株を観察して、花穂の中の個々の花の多くが萎れ鑑賞価値が落ちたタイミングで剪定します。剪定する場所は、花茎根元から切り取ります。これを行うことで、次の花が咲きやすくなり開花期間が伸びます。
- 古葉取り:株を観察して、枯れてしまった葉、葉が変色したり傷んでいて不要と感じる葉を探します。これらの不要な葉を根元付近でハサミなどを使いカットして取り除きましょう。これを行うことで、株元に太陽光が届き過湿を防ぎ、風通りが良くなり病害虫の発生を抑制します。また栄養が若い芽や葉に集中するため生産性も高まります。
夏越しする方法
クリンソウは、日本原産の植物ですが、自生が比較的冷涼な湿地にあり、極端な高温や乾燥を苦手にしています。そのため、高温・乾燥対策が必要です。下記に夏越し対策を書いてあるため、参考にしてください。
●夏越し対策一覧
- 高温の改善:温度が高いことです。 植物の生育適温は一般的に15~30℃の間であり、それ以上の高温になると高温障害と呼ばれる様々な障害を引き起こします。高温の改善の方法は幾つかあるため下記を参考にして下さい。
- 日差しを避ける:強い日差しの当たらない場所で植物を管理します。植え付け時に日差しの当たる場所を避けたり、夏の期間だけ鉢植えを軒下に移動したりして対策するとよいでしょう。
- 日除けをつくる:植物と太陽の間に遮光ネットを張って強光を遮る方法があります。遮光ネットは雨避けにもなるため病気予防などにもおすすめです。
- 打ち水:庭や植物を置いているコンクリートの地面などに水を撒いて、水が蒸発する時に気化熱を奪う事を利用して、地面や大気の温度を下げます。
- 葉水:植物の茎や葉に水をかけることです。葉水で植物についた水滴は、蒸発する時に気化熱を奪うため植物の温度を下げる効果があります。※ただし水をかける事が植物が病気にかかる原因になる事もあるため病気にかかりやすい植物には避けた方がよいでしょう。
- 乾燥の改善:乾燥は水分が不足した状態や湿度が低い状態になることです。植物が乾燥して萎れやすいと感じる場合は、育てている環境や土壌の状態が悪い場合があります。乾燥対策は幾つかあるため下記を参考にして下さい。
- 灌水をする:植物と土壌の状態を見ながら、適切に水やりを行いましょう。
- 土壌の改善:土壌は土質により乾燥のしやすさが変わります。植物の植え付け時や植え替え時に、植物に合わせた土壌の改善をしましょう。詳しくは花壇土からご覧下さい。
- 日差しを避ける:強い日差しの当たらない場所で植物を管理します。植え付け時に日差しの当たる場所を避けたり、夏の期間だけ鉢植えを軒下に移動したりして対策するとよいでしょう。
- 日除けをつくる:植物と太陽の間に遮光ネットを張って強光を遮る方法があります。遮光ネットは雨避けにもなるため病気予防などにもおすすめです。
- マルチング:地面の表面をバークチップや藁などのマルチング資材で覆います。急激な地温の上昇を防ぎ、高温による蒸発、泥はねからの病気の感染なども防いでくれます。
- 切り戻し:植物の葉の量が多いと、蒸散量が増えて乾燥しやすくなったり、風や光の通りが悪くなり病害虫の発生の原因になったりすることがあります。そのため、必要に応じて剪定を行い株をコンパクトにするとよいでしょう。
挿し木や株分けで増やす
クリンソウは、秋または早春に株分けすることで増やす事が可能です。
- 株分け時期:早春・秋
- 株を観察:株を観察して、株分けするのに十分な大きさの株になっている事を確認します。
- 株を掘りあげる:株をスコップで掘り起こして、軽く土を落とします。
- 株を分割する:株と株を解しながら、必要に応じてナイフやハサミ等も使い、株に出来るだけ芽と根をつけながら分割します。
- 株分け後:株分け後は根が乾燥する前に素早く植付けをおこないます。
播種で増やす
クリンソウの種蒔の方法
- 播種時期:1月~4月/9月~11月
- 発芽適温:約15~20度
- 備考:好光性種子
種まき手順
- 種まきの時期:1月~4月/9月~11月
- 培養土の準備:直播き・移植栽培※移植栽培はコストや手間が増えますが、苗を病害虫から保護したり、温度・水分の管理が楽になり成功率が高まります。
- 直播き:花壇やプランターの土を整えます。
- 移植栽培:プラグトレー・ピートポット・ポリポット・不織布育苗ポット・ジフィーセブンなどに種まき用の培養土を入れて栽培できます。おすすめは移植の際に根を傷めにくい不織布育苗ポット・ジフィーセブンなどです。
- 種の撒き方:点撒き・すじ撒き・バラ撒き
- 種まき後の管理:種が乾燥すると発芽率が落ちるため、基本的に土と種が乾燥しないように水やりを行い管理します。
- 発芽後:発芽が揃ったら、株同士の間隔を見て、混んでる場所の苗を間引きます。また間引きした苗は別の場所に移植することもできます。※直播きする場合は成長に合わせて株同士がくっついているものを状態がいい方を残し間引きするとよいでしょう。
- 移植:小さなプラグトレーやポットで移植栽培をしている場合は、本葉が2枚以上になったタイミングでポットなどに移植します。出来るだけ根鉢を崩さないように注意しましょう。
- 定植:株がある程度の大きさになったら定植します。定植が遅れると移植時に根を傷付けるリスクが増えると同時に、苗が老化して定植後の成長も悪くなるリスクが高まります。
※鎮圧は土と種の密着度を高め水分の吸収をよくします。