
- 原産:ブルガリア/トルコ/イラン/コーカサス地方
- 科:アヤメ(Iridaceae)
- 属:クロッカス/サフラン(Crocus)
- 種:スペシオサス(Crocus speciosus)
- 別名:ビーバーシュタイン・クロッカス(Bieberstein’s crocus)
- 開花時期:10月~12月
- 花の色:白色・青色・紫色
- 葉の色:緑色
- 香り:
- 生活形:多年草
- 草丈:約10~15cm
- 誕生花:
- 花言葉:
- 用途:球根植物/ロックガーデン
- 購入方法:クロッカス・スペシオサスを楽天で購入
■クロッカス・スペシオサスとは!?
クロッカス・スペシオサス(学名: Crocus speciosus)は、別名で「ビーバーシュタイン・クロッカス(Bieberstein’s crocus)」とも呼ばれるアヤメ科クロッカス属(サフラン属)に分類される多年草です。
クロッカス・スペシオサスの原産地はブルガリア、トルコ、イラン、コーカサス地方で、高山草原、牧草地、落葉樹林の林床、疎林などに見られます。
■クロッカス・スペシオサスの語源(由来)
- Crocusの語源:古代ギリシャ語で「クロッカス(植物)」を意味する「κρόκος」からきています。
- speciosusの語源:ラテン語で「派手な」「素晴らしい」等を意味しており、本種の花が魅力的な事に由来します。
■クロッカス・スペシオサスの特徴(魅力)
- 形態とライフサイクル:生活形は球根から葉と花を展開するロゼット型または、球根が増え多数の葉や花を叢生させる叢生型です。秋になると休眠から覚めて球根から葉と花を展開し、冬は葉を展開したまま生育を続け、春も葉を展開し光合成を活発に行い球根を肥えさせ、夏になると地上部が枯れて休眠します。
- 花の魅力:本種の花の色は一般的に薄い青色から濃い青色(青紫色)で、花脈の色が濃くなり独特な模様が浮かぶ植物です。開花期は10月~12月頃で、秋咲きするクロッカスです。花序は単生、地面から花が直接出ます。花は6枚の花被片が基部で合着して細長い筒部を形成し、これが地面から出るため茎のような外観を呈します。花の上部では裂片が6枚に分離し、漏斗状に上向きに開くため、まるで地面から花が直接咲いたかのように見えます。
- 花絨毯:本種は球根で増殖し群生を形成します。開花期になると地面から花が直接開花するため、群生を形成させると紫色の絨毯を敷いたような美しい景観を作り出すことができます。
- ロックガーデン:本種は自生地が高山草原などにあり、砂礫が多く栄養の乏しい土壌に生息しています。そのため、土壌層が浅くて乾燥しやすいロックガーデンにも最適な植物のひとつとなります。
■クロッカス・スペシオサスの生活形と形態
●生活形・茎の形態
- 生活形:多年草
- ライフサイクル:秋に休眠から覚め成長が始まり花を開花させ、ほぼ同時に葉を展開します。冬も葉を展開し成長が続きます。春も葉を展開し光合成を活発に行い球茎を肥えさせます。夏は乾季に耐えるため地上部が枯れて休眠します。
- 草丈:約10~15cm
- 生育型:ロゼット型・叢生型
- ロゼット型:地際から出る根生葉がロゼットを形成します。
- 叢生型:球茎が増えると地際から葉が何本も出て叢生します。
- 茎の種類:球茎
- 球茎:茎が肥大化して卵状または球状をしており、外側が薄皮で包まれている球根です。
●葉の形態
- 葉の位置:根生葉
- 葉序:束生
- 葉の向き:直立・斜上
- 葉柄:無柄
- 葉身の概形:線形
- 葉の色:緑色
- 備考:無毛でやや肉厚です。
●花の形態
- 花序:単生(単頂花序)
- 苞:膜質で鞘状です。
- 花:花被・雄蕊・雌蕊で構成されています。
- 花被:6枚の花被片の基部が合着しています。筒部は細長く筒状で、裂片は漏斗状に開き、裂片の形は倒卵形・倒披針形で、色は白色・青色(青紫色)で、花脈の青色(青紫色)をしています。
- 雄蕊:3本で、色は黄色から橙色を呈します。
- 雌蕊:1本(心皮3枚・花柱1本・柱頭3個)で、柱頭は橙色・赤橙色を呈し、しばしば先端が細かく裂けます。
●果実・種子の形態
- 果実の分類:蒴果
※植物の形態についてはこちらのページも参考にしてください。
■クロッカス・スペシオサスの園芸品種を紹介
■クロッカス属(サフラン属)の主な種と園芸品種は下のリンクから紹介しています。
■クロッカス・スペシオサスの育て方
花壇の土づくり
●バイオーム
- 主なバイオーム:地中海植生・温帯草原・サバンナ・高山草原
- 原産地:ブルガリア、トルコ、イラン、コーカサス地方
- 自生地:高山草原、牧草地、落葉樹林の林床、疎林などに見られます。
- 気候:主に地中海性気候・高地地中海性気候・サバンナ気候に属します。気温は夏に高温になる地域から冷涼な地域まであり、冬は寒冷な地域では氷点下を大きく下回ります。降水量は基本的に夏場は乾燥しています。
- 日照:日向・半日陰
- 土壌:土壌は岩石の上の非常に浅い層や、土壌の形成初期段階にあり分化の進んでない土壌であることが多いです。土質は砂礫が多い傾向にあるため、通気性・排水性が高く、肥沃さがあまりありません。
※バイオームについてはこちらのページも参考にしてください。
●日照条件
クロッカス・スペシオサスは、日光のよく当たる場所で最もよく成長して沢山の花を咲かせるため基本的に日向で育てることが理想ですが、半日陰までで育てることが可能です。
日照条件の分類(参考)
- 日向:直射日光が一日を通して6時間以上当たる場所です。一般的に全方位に障害物がない、またはお庭の向きが南向きの場所になります。
- 半日陰:直射日光が3時間から5時間程度当たる場所です。一般的には、午前中のみ日が当たり、午後から日陰になる場所となります。そのため、お庭の向きは東向き、または木漏れ日がはいるような場所です。
- 明るい日陰:直射日光が二時間程度までしか当たらないか、殆ど当たらずに間接光だけで明るい場所です。一般的にお庭の向きが北向き、または建物の影など日差しを遮る障害物が多い環境です。
- 暗い日陰:森の中にあるような直射日光も間接光もほとんど当たらないような暗い場所です。
●土壌の土質
- 土質:基本的に高い通気性と排水性を兼ね備える土壌を好みます。そのため土質は水捌けのよい砂壌土が適します。水分が停滞してジメジメと湿りやすい粘土質の土質は許容せず、球根の腐敗を引き起こすため避けた方が良いでしょう。
- 肥沃さ:過度な肥沃さは必要ありません。土壌の状態を見ながら、痩せていると感じる場合は適度に堆肥を入れるとよいでしょう。肥沃すぎる土壌は、特に夏場に蒸れやすく、根腐れの原因となるため注意が必要です。
- pH:pHは6.0~7.0の弱酸性から中性を好みます。土壌のpHを測定して適正範囲外にある場合は土壌改良材などを用いてpHを調整しましょう。pHが適正範囲から極端に外れた土壌では微量要素などの栄養を上手く吸収出来ずに生育不良になる場合があります。
土壌診断と改善の行い方(参考)
- 排水性の診断:深さ30cm程度・幅30cm程度の穴を掘り、穴の中を水で完全に満たす。一時間あたり約3~10cmの排水があれば、一般的な植物を育てるのに適した排水性になります。※それ以下またはそれ以上である場合は排水が悪い、または排水がよすぎる可能性があります。
- 排水性の改善:花壇を高くしたり、ロックガーデンを作り、植物を植える場所を周囲より高くする。また縦穴暗渠(縦穴排水)や排水溝をつくる。
- 作土層の診断:調べたい箇所の土壌に支柱を出来るだけ深くまでさします。支柱の入った部分が30cm前後あれば一般的な植物であれば、根を張るのに十分な作土層がありますが、それ以下であれば改善が必要です。また土壌を観察して石やゴミがあれば根を伸ばすのに邪魔になるため取り除いた方が良いでしょう。
- 作土層の改善:植物を植える箇所とその周囲をシャベルを使って30cm程度の深さまで掘り起こして解します。また石がある場合は土ふるいを使用して取り除きましょう。
- 土壌(土性)の性質の診断:土壌の通気性・保水性・保肥力を知るために、土壌を砂土・砂壌土・壌土・埴壌土・埴土に分類して、植物に合わせて土壌の改良をしましょう。
- 砂土:排水性と通気性が高く乾燥しやすいため、水分過剰による根腐れを引き起こしにくい。診断は、適度に湿らせた土を触った時にザラザラとした砂の粗い感触がある。手のひらや指で捏ねても全く固まらずに簡単に崩れる。
- 砂壌土:排水性と通気性が高く乾燥しやすい傾向がある、砂土と比べると、保水性と保肥力が少しあるため、乾燥気味の土壌を好む植物などに向いています。診断は、適度に湿らせた土を触った時に砂のザラザラ・粘土のヌルヌルとした感触がある。手のひらや指で捏ねると、緩く固める事が出来るが崩れやすい。
- 壌土:通気性・保水性・保肥力のバランスが高いため土壌管理がしやすい。診断は、適度に湿らせた土を触った時に砂のザラザラ・粘土のヌルヌルとした感触がある。手のひらや指で捏ねて伸ばすと、鉛筆程度の太さの棒状まで伸ばすことが出来る。 ただし伸ばした棒を曲げるのは難しい。
- 埴壌土:保水性・保肥力が高いため乾燥しにくい傾向がある。診断は、適度に湿らせた土を触った時に粘土のヌルヌルとした感触があり、砂のザラザラも少し感じる。手のひらや指で捏ねて伸ばすと、マッチ棒程度の太さまで伸ばすことが出来て、輪っかに曲げても切れにくい。
- 土壌(土性)の性質の改善:土壌の診断をしたら、植物が求める環境に合わせて土壌改良材をいれます。
- 通気性・排水性の改善:通気性・排水性の高い土壌改良材(パーライト・日向土・川砂・バーク堆肥 など)を混ぜ込む。
- 保水性の改善:保水性の高い土壌改良材(腐葉土・ピートモス・バーク堆肥・黒土)を混ぜ込む。
- PHの診断:土壌のPHを調べる方法は土壌酸度計を土壌に突き刺すタイプ・リトマス紙を溶液に浸すタイプ・ペーハー測定器を溶液に浸すタイプ・アースチェック液を溶液に垂らすタイプ等があります。製品によって調べ方がことなるため、詳しい手順は製品の取り扱い説明書をご覧下さい。
- PHの改善:PHを診断後に植物の適正なPHに合わせて、土壌改良材を入れてPHの改善をおこないます。
- PHを酸性に改善:ピートモスを使用する場合はPHを1下げるために、1㎡あたり、ピートモスを約1.2kgを入れて混和します。
- PHをアルカリ性に改善:苦土石灰を使用してPH1上げるには、1㎡あたり苦土石灰を約100~200g入れて混和します。
- 肥沃さの診断:肥沃さは土壌の色によりある程度診断できます。土壌の色は成分や状態を示しており、簡易的に植物を育てるのに適しているか調べる事が出来ます。黒色の場合は腐植が多く肥沃な傾向があり、赤色・黄色・白色の場合は腐植が少なく肥沃でない傾向があります。
- 肥沃さの改善:土壌に堆肥または微生物資材を入れます。堆肥を入れる量は土の量に対して二割から三割程度にします。入れ過ぎると通気性・排水性・保水性のバランスが崩れて植物が育つのに不適な環境になりやすいため注意してください。
※詳しい土壌診断と改善方法はこちらのリンクからご覧下さい
●植え付け方法
- 植え付け時期:9月~11月
- 植え付け深さ:球根の2~3倍(約5~10cm)
鉢土づくり
●日照条件
クロッカス・スペシオサスは、日光のよく当たる場所で最もよく成長して沢山の花を咲かせるため基本的に日向で育てることが理想ですが、半日陰までで育てることが可能です。
●培養土
クロッカス・スペシオサスの培養土を購入する場合は、一般的な草花の培養土よりも少し通気性・排水性を高めた培養土がおすすめです。※一般的な培養土に通気性・排水性を高める改良用土を混ぜるのも良いでしょう。
培養土を自作する場合
- 培養土の特性:自生地が山岳地帯の岩場や斜面などの場所にある事からも分かる通り、基本的に砂礫質で有機物は少ないです。そのため、通気性・排水性が高く、比較的痩せた培養土を好みます。またpH6.0~ 7.0の弱酸性から中性の土壌を好むため、pHの値にも注意しながら培養土を作成しましょう。
- 土壌改良材(無機質):一般的な植物の培養土よりも、特に通気性と排水性を改善する目的で、赤玉土や日向土などの土壌改良材を8割~7割を目安にして多めに配合します。土壌改良材の土粒は小粒・中粒を利用します。大きすぎる土粒を使うと、培養土の中に大きな空隙が出来て根の活着が悪くなり、保水性も悪くなり植物の生育が悪くなる原因となるため避けてください。
- 土壌改良材(有機質):腐葉土などの堆肥は、一般的な植物よりも少なめに2~3割を目安にしながら培養土の中に配合します。腐葉土などの有機物は培養土の水分・養分を保持して、根の活着を助け、生育を促進する効果がありますが、本種の場合は堆肥を入れ過ぎると、夏場に蒸れて過湿状態になり根腐れを引き起こす原因ともなります。
培養土の配合例
- 基本の配合:赤玉土(小粒)7割+腐葉土3割+元肥適量
- 培養土が劣化しにくい配合:日向土(細粒・小粒)4割+硬質赤玉土(小粒)3割+ピートモス(調整済)2割+くん炭1割+元肥適量
- 比重が軽い配合:赤玉土(小粒)4割+パーライト3割+くん炭1割+腐葉土2割+元肥適量
土壌改良材(無機質)
- 赤玉土:赤玉土とは関東ローム層の中層にある赤土を乾燥させて、粒の大きさごとに分けた土壌改良材です。
- 特徴:赤玉土は通気性・排水性・保水性のバランスが抜群に良いことから擬似団粒構造をした土壌改良材とも呼ばれています。無菌で雑菌が繁殖しにくく、雑草の種も含まれないため挿し木用土やインドアグリーンの土としても使われる。
- 比較:鹿沼土と比べて赤玉土の方が保水性・保肥力に優れており、PHが中性に近い弱酸性のため幅広い植物で利用しやすい。赤玉土は鹿沼土よりも粒が崩れて劣化しやすいため、使い続けると微塵が出て通気性・排水性を悪化させる事がある。
- 注意点:赤玉土はリン酸を固定してしまい、植物が吸収出来る状態で無くす事があるため、リン酸の肥料を多めにやる必要がある。赤玉土の粒はやや崩れやすいため再利用出来る割合が少ない傾向があり、微塵は粘土質になり通気性・排水性を悪くする事がある。
- 用途:一般的な草花・花木・多肉・サボテン・山野草・水生植物など幅広い植物の土壌改良材として利用されます。無菌のため挿し木・種まき用土・インドアグリーンの培養土などに利用される。
- 硬質赤玉土:硬質赤玉土は赤玉土を高温で焼いて硬質化したものです。
- 比較:硬質赤玉土は赤玉土と比べて、粒が硬いため砕けて劣化しにくく、通気性・排水性が高くなっています。一方で保水性が悪くなっているため、一般的な草花で使うと土壌が乾きやすくなり水やりの頻度が増えやすいです。
- 用途:多肉植物・サボテン・山野草などに使われる事が多い。
- 鹿沼土:鹿沼土は栃木県鹿沼地方で産出される、風化した軽石の総称です。
- 特徴:鹿沼土は通気性・排水性が抜群に優れており保水性・保肥力も高いため、培養土の通気性・保水性・保肥力のバランスをとりたい時に重宝されます。PHが4~5と酸性になります。
- 比較:赤玉土と比べると鹿沼土は粒が頑丈で崩れにくいため再利用しやすく、PHは酸性に強く傾いており、保水性が劣ります。一般的な軽石と比べると鹿沼土は保水性に優れており、やや粒が脆い傾向にあります。
- 注意点:酸性度が強めなため、アルカリ土壌を好む植物を育てる場合は避けた方がよい。
- 用途:一般的な草花・花木・多肉・サボテン・山野草・水生植物など幅広い植物の土壌改良材として利用されます。特にPHが酸性のため酸性土壌を好む植物に利用される事が多いです。
- ☆硬質鹿沼土:硬質鹿沼土は従来の鹿沼土から硬質なものを選別した用土です。その名前が示すとおり、鹿沼土よりも硬く丈夫で劣化しにくい用土です。
- パーライト:パーライトは、真珠岩や黒曜石を粉砕して小さくした後に、高温で熱して中に含まれる水分を発泡させ多孔質にした資材です。
- 特徴(真珠岩系):表面に光沢があり滑らか、通気性・排水性に非常に優れている、雑菌が発生しにくく、比重が0.1程度と小さく軽い。
- 特徴(黒曜石系):表面に光沢があり滑らか、通気性・排水性に非常に優れている、雑菌が発生しにくく、比重が0.1程度と小さく軽い。
- 用途:土壌の通気性・排水性を改善する目的、真珠岩系では通気性・排水性・保水性をバランスよく改善する目的で利用されます。一般的な草花の育成などでよく利用されており、比重が軽いため培養土の軽量化などに欠かせません。
- 日向土(ボラ土):日向土は別名でボラ土とも呼ばれる、宮崎県南部で産出される軽石です。
- 特徴:通気性と排水性に非常に優れており、多孔質なため保水性も適度に確保出来ている、比重は約0.6とバランスがよい。※鹿沼土と比較すると頑丈で形状が崩れにくいため再利用しやすく、PHが殆ど中性なため扱いやすい、一方で鹿沼土と比べると保水性がそれほど高くない。
- 用途:土壌の通気性や排水性を改善するのに利用されます。草地・岩場・高山地帯・砂地に自生する植物などを育てるのに向いており、一般的な草花から多肉・サボテン・山野草などの育成でも利用されます。す。
土壌改良材(有機質)
- 腐葉土:腐葉土は広葉樹の落ち葉を腐熟させた改良用土です。
- 腐葉土を選ぶ基準:腐葉土は完熟していて湿り気のある物を選びましょう。完熟していると、見た目が黒っぽくなり、葉の断片が小さくなっています。逆に油脂成分の多い針葉樹の葉が入っていたり、未熟な茶色の葉が混じっていたり、断片が大きく乾燥していたりする腐葉土は、植物の根を傷める原因にもなるため避けた方が良いでしょう。
- 腐葉土の特徴:土壌の膨軟性を高めるため空気の通りが良くなり根の成長を助ける。土壌の通気性・保水性・保肥力を高めるため植物が育ちやすい環境となる。腐葉土は微量要素を含んでいるため植物が栄養を補給して健康に成長する助けとなり、また微生物の働きも活性化するため土壌が肥沃になる。PHが中性のため扱いやすい。
- 用途:土壌の保水性・保肥力・通気性を改善したり、微生物を活性化して土壌を肥沃にしたりする働きがあるため、多くの植物を育てる際の改良用土として利用されます。
- ピートモス:ピートモス は水苔類やヨシ・スゲ等の植物が堆積して腐植し泥炭化した用土です。
- 特徴:腐葉土と比べて養分を殆ど含んでいないため、微生物を活性化する力が弱く無菌で清潔感がある。土壌の膨軟性を高めるため空気の通りが良くなり根の成長を助ける。土壌の保水力を高める効果が高く、通気性・保肥力も改善する。PHは基本的に強い酸性になる。
- 注意点:PHが3~4の強い酸性のため、一般的な植物を育てる際は調整済のピートモスを使用するか、アルカリ性の土壌改良材を入れて使用した方がよいでしょう。
- 用途:土壌の膨軟性を高めて、保水性・保肥力・通気性を改善するのに利用されたり、PHを酸性に調節する目的で利用されたり、無菌で雑菌が繁殖しにくいためインドアグリーンの植物の改良用土として利用されたり、挿し木や種まき用の培土として利用されたり、多くの植物を育てる際の改良用土として利用されたりしています。
- くん炭:くん炭は、もみ殻を炭化させたものです。
- 特徴:通気性と排水性が抜群によいため根腐れ防止効果があります。菌根菌などの有用微生物を活性化させる効果があるため、植物が菌根菌と共生して病気に強くなったり水分・栄養を補給しやすくなる事がある。植物の成長に必要とされるミネラルを含有していて、またケイ酸が50%近く含有しているため茎・葉が頑丈になりやすく病害虫に強くなる傾向がある。PH8前後の高いアルカリ性を示す。
- 用途:根腐れ防止・酸性土壌の改善などのために土壌に10%程度混ぜて使われる事が多いです。
水やりの仕方
クロッカス・スペシオサスの水やりは、季節により異なります。基本的には、一般的な植物と同様に乾燥と湿潤の繰り返しで水やりをしますが、休眠期の夏に水を与えすぎると球根が腐敗する原因になるため注意が必要になります。
地植えで栽培する場合は、基本的に降雨に任せて育てることが出来ます。ただし、雨が全く降らずに土壌が乾燥している場合は水やりが必要となります。鉢植えで育てる場合は、地植えと比べて乾燥がかなり早いため、定期的な水遣りが必要です。培養土の状態を見ながら水やりをする必要があるでしょう。注意する事は、極端な過湿にしないことです。過湿が続くと病原菌が増えて株が腐敗する原因になったり、根の呼吸を邪魔して根腐れを引き起こす原因になったりします。そのため、水やりの頻度には十分な注意が必要です。
●水やりの方法
- 春の水やり:株は生育旺盛で、多くの水を必要とします。そのため、土壌の表面が乾燥したタイミングで水をたっぷり与えましょう。
- 夏の水やり:この時期は休眠期になり、基本的に水分を必要としません。水分を与えすぎると、球根が腐敗する原因にもなるため、地植えしている場合は長雨を避ける為に土壌から掘りあげ乾燥貯蔵することも考慮する必要があります。
- 秋の水やり:休眠期が終わり、成長が始まり葉や花を展開し初めます。そのため、土壌の表面もしくは表層が乾燥したタイミングで水をたっぷり与えましょう。
- 冬の水やり:生育が緩慢になり土壌の乾燥も他の季節と比べると緩やかに進むため、水やりの頻度も少なくなります。ただし、冬も生育期間中のため土壌の表面もしくは表層が乾燥したタイミングで水をたっぷり与えましょう。
注意点
- 水やり時間帯:水やりの時間帯は、基本的に植物が水を欲しがりだす朝に与えるのが最適です。昼や夕方に与える事も出来ますが、季節によっては高温で水がお湯のようになり蒸れて根腐れを引き起こす可能性があります。また夕方に水やりを行うと、植物が水分をあまり必要としない夜間にも水がたっぷり残り呼吸を邪魔するなどして根腐れを引き起こす原因になる事があります。そのため、基本的に朝に水をやることが正しいですが、植物が萎れている場合は時間に関係なく直ぐに水やりを行って下さい。
- 水を与える量:1回に与える水の量はたっぷりです。鉢植えで植物を栽培している場合は、鉢底から水がしっかり流れるまで与えます。その際、水を与える場所が1箇所になると水の道が出来てしまい、特定の場所に水が流れないこともあるため水を与える場所を変えながら与えましょう。地植えで水やりを行う場合は、土壌の表面だけでなく奥まで水を染み込ませるつもりでしっかりと水を与えて下さい。
- 水を与える場所:水を与える場所は基本的に株元から少し離れた場所で、植物に直接かけないようにします。植物上に水が溜まると、そこから真菌などが植物の中に侵入し、病気を引き起こし腐敗させる原因になるため注意して下さい。
土壌の乾燥の確認方法
- 土壌表面の乾燥:土壌の表面の乾燥とは、土壌の最も上の部分の表面が乾燥している事です。土壌表面の乾燥の確認方法には目視・触感・専用の道具があります。
- 目視で確認:土は濡れているなら色が濃くなったり黒っぽくなったりしていて、乾燥すると色が白っぽくなります。
- 触感で確認:土の表面を指で触ってみてます。土は濡れていると湿り気があり、乾燥しているとサラサラとしています。
- 専用の道具:サスティーを土壌にさして使用します。サスティーは土壌が乾くと色が変化して水やりのタイミングを教えてくれます。
- 土壌の表層の乾燥:土壌の表層の定義は様々ありますが、ここでは土壌の表面より5cm以下にある事にして、また土壌の表層の乾燥とは土壌の表面から5cm以下が乾燥していることになります。
- 目視で確認:透明な植木鉢を使用して植物を育てます。透明で土の色の変化が分かるため、土表面から5cm以下の土の色が白っぽくなってきたら水やりを行います。
- 重量で確認:鉢植えで育てている場合は、水分量で鉢の重量が変わるため、土が乾燥した時の軽さを覚えておいて土の乾きを判断します。
- 道具で確認:割り箸・竹串などを用土の中に差してみて、引き上げた時の割り箸・竹串の色と湿り気を見て乾燥具合を確認します。
- 専用の道具:サスティーを土壌にさして使用します。サスティーは土壌が乾くと色が変化して水やりのタイミングを教えてくれます。
肥料の与え方
クロッカス・スペシオサスは、葉を展開したり開花するための栄養が球根に含まれているため、成長のために肥料は殆ど必要としません。肥料よりも、十分な水分と日光に当たることが重要になります。基本的に土壌に、腐葉土などの堆肥が配合されていれば、生育に必要な一定の栄養が含まれており、肥料がなくても栽培できます。ただし、花後にお礼肥を与えることで、球根が肥り翌年の開花に良い影響をあたえるため、必要に応じ肥料を与えましょう。
●肥料の与え方
- 元肥:元肥は植付け前または植付け時に土壌の中にあらかじめ入れて施す肥料です。
- 肥料の成分:リン酸・カリが多く含まれる肥料を選びます。
- 肥料の製品:肥効が緩やかに出る、緩効性肥料・配合肥料(BB肥料など)がおすすめです。
- 施し方:全面施肥・溝施肥
- 溝施肥:球根を植える溝や穴の底に肥料を施します。基本的に球根の植え付け深さは5~10cmになり、その上に数センチ土をかぶせてから球根を置き、覆土します。
- お礼肥:開花後に消耗したエネルギーを補う目的や、翌年の開花や結実をよくする目的で、植物に与えられる肥料です。
- 肥料を与える時期:花後すぐ与えます。
- 肥料の成分:リン酸・カリが多く含まれる肥料を選びます。
- 肥料の製品:基本的に肥効が素早く出る液肥・固形肥料がおすすめです。
- 施し方(液肥):液肥を規定された分量の水で希釈して、約10~14日の頻度で与えます。液肥は1箇所にかけるのではなく、植物の株元を中心に根が張っている範囲にまんべんなく、全ての根に液肥が行き渡るように施しましょう。
- 施し方(固形肥料):固形肥料の与え方は製品により置き肥タイプ・差し込みタイプ・埋め込みタイプがあります。製品に合わせて、規定された分量・規定された頻度・規定された方法で施しましょう。
夏越しする方法
クロッカス・スペシオサスは、夏場は乾燥に耐えるため休眠します。この時期に、球根が湿ると不適切な時期に休眠から覚めてしまい生育不良を引き起こしたり、また日本では高温多湿になるため球根が腐敗して枯死するリスクも非常に高まります。そのため、夏越し対策では球根が濡れないようにする必要があるでしょう。
●降雨対策
- 鉢植え:軒下などの雨の当たらない場所に移動して水やりを止め、秋まで管理します。
- 地植え:雨の影響を受けない場所の場合は、球根は植えっぱなしで管理します。降雨の影響があり、長雨などが降って地面がジメジメするような場所の場合は球根を掘り起こし乾燥貯蔵しましょう。
- 乾燥貯蔵:葉が黄変し地上部が枯れたら球根を掘りあげます。球根を傷つけないように土を落とします。球根が湿った状態では雑菌が繁殖して腐敗するリスクがあります。そのため、球根を貯蔵する前に、外側を乾燥させて、傷ついている部分にはカルスを形成させましょう。球根を乾燥させる場所は、直射日光を避けた日陰の風通しのよい場所です。その場所に数日から1週間程度、仮置きして乾燥させます。球根が乾燥したら、球根をネットに入れる等して、通気性をよくした状態で、植え付け時期まで、直射日光を避けた日陰の風通しのよい場所に保管します。