


- 原産:ブラジル
- 科:ナス(Solanaceae)
- 属:ブルンフェルシア(Brunfelsia)
- 種:ニオイバンマツリ/ラティフォリア(Brunfelsia latifolia)
- 別名:ブルンフェルシア・ラティフォリア/イエスタデー・トゥデイ・トゥモロー(yesterday-today-tomorrow)/キスミークイック(kiss me quick)
- 開花時期:4月~9月※最盛期は5月~6月
- 花の色:紫色・白色
- 葉の色:緑色
- 香り:花
- 生活形:常緑低木
- 草丈:約50~180cm
- 株張り:
- 誕生花:4月23日/12月28日
- 花言葉:幸運/熱心/夢の名/浮気な人
- 用途:生垣/香りが良い/日陰植物
- 購入方法:ニオイバンマツリを楽天で購入
■ニオイバンマツリとは!?
ニオイバンマツリ(学名: Brunfelsia latifolia)は、別名では「ブルンフェルシア・ラティフォリア」「イエスタデー・トゥデイ・トゥモロー(yesterday-today-tomorrow)」「キスミークイック(kiss me quick)」とも呼ばれるナス科ブルンフェルシア属の常緑低木です。
ニオイバンマツリの原産地はブラジルの北東部と南東部にあり、自生地は山地の森林や林縁などにあります。
■ニオイバンマツリの語源(由来)
- Brunfelsiaの由来:ドイツの神学者で植物学者の(Otto Brunfels (1488-1534)への献名です。
- latifoliaの由来:ラテン語で「広い」を意味する「lati」と、ラテン語で「葉」を意味する「folia」の2語で構成されており、葉の概形に由来します。
- ニオイバンマツリ(匂蕃茉莉)の由来:匂(ニオイ)がある蕃(外国/異民)から来た、茉莉(ジャスミン)を意味しています。※ただしジャスミンとは科も属も違います。
■ニオイバンマツリの特徴(魅力)
- ニオイバンマツリの魅力:この植物は、非常に多花性で株を覆うように花が咲く点や、花にジャスミンに似た独特な甘い香りがある点から、他のブルンフェルシア属の類似種の中でも人気が高くよく栽培されている植物です。花は弁の縁部分が波打つためフリル状の外観をしており、花の色は紫色から白色と変化していくため、一株の中で複数の色の花が混在してグラデーションを楽しめます。また枝が不規則に曲がるため、ジグザグとした外観になりやすい点も、この植物の個性的な特徴です。
- 樹形の特徴:生育型は分枝型で、主軸がハッキリとしないくらいに分枝します。枝は不規則にジグザグと曲がる傾向があるため、不規則な形状の樹形になることがあります。
- 花の特徴:開花期は4月~9月、花序は頂生の集散花序です。花の形は高杯形花冠で、花弁の縁部分が緩く波打ち、フリル状の優美な外観となります。花の色は紫色・白色の複色で、咲き初めは紫色をしていますが、開花から2~3日経過すると白色に変化します。そのため、一株の中で紫色と白色の花が混在してグラデーションのような美しい色彩効果が生み出されます。
- 香り:ニオイバンマツリの花には、ジャスミンに似た甘く繊細な香りがあります。そのため、お庭のガーデンファニチャーの傍に植栽する事で、開花期には花の香りを楽しみながら休憩出来る他、また生垣として植栽する事で近くを通る人にも香りを楽しませることができます。
- 生垣:樹形はブッシュ状で枝葉は密に茂り、高さ約50~180cmまで成長します。また開花後に剪定をする事で、株の概形を整えることが出来るため、開花も楽しめる生垣として利用することが可能です。生垣として利用する場合は、株同士の間隔を50~80cmほどにして植栽をしましょう。
- シェードガーデン:耐陰性があるため、間接光しか入らないような明るい日陰でも育てることが可能です。
■ニオイバンマツリの生活形と形態
●生活形・茎の形態
- 樹高:50~180cm
- 生育型:分枝型
- 分枝型:主軸がハッキリとせず分枝が多いもの。
- 株の概形:ブッシュ状で横に広がる傾向がある
- 茎の色:緑色・淡褐色
●葉の形態
- 葉序:互生葉序
- 葉柄:有柄
- 葉身の概形:楕円形・長楕円形
- 葉身の長さ:約5~10cm
- 葉の縁部分:全縁
- 葉の質感:革質で光沢がある
- 葉の色:緑色
●花の形態
- 花序:集散花序
- 花:花托・萼・花冠(花弁)・雄蕊・雌蕊で構成されています。
- 萼:萼筒
- 萼筒の形:鐘形で裂片が5個
- 萼筒の色:緑色
- 花冠:高杯形花冠
- 花冠の形:花冠筒部は細長い筒状、花冠裂片は開出して平開している。花冠裂片の数は5枚、裂片の先端は円形になり、縁部分は緩く波打つ。
- 花冠の直径:約3~4cm
- 花冠の色:紫色・白色
- 雄蕊:二強雄ずい※2本の長い雄蕊と2本の短い雄蕊で構成されている。
- 雌蕊:1本
- 萼:萼筒
●果実・種子の形態
- 果実の分類:蒴果
- 蒴果の形:卵形
- 蒴果の長さ:約1.1~1.3cm
※植物の形態についてはこちらのページも参考にしてください。
■ニオイバンマツリの園芸品種を紹介
■ブルンフェルシア属の主な種と園芸品種は下のリンクから紹介しています。
■ニオイバンマツリの育て方
花壇の土づくり
バイオーム
ニオイバンマツリの主な生息環境は熱帯雨林・モンスーン林です。この植物の原産地はブラジルの北東部と南東部、自生地は山地の森林や林縁などにあり、主な気候は熱帯に属します。気温は基本的に暖かで、降水量は平均よりも多めです。土質に関しては基本的に腐植質と栄養分の多い肥沃で湿潤な場所を好んで生息してます。
※バイオームについてはこちらのページも参考にしてください。
日当り
ニオイバンマツリは、西日の当たらない半日影または明るい日陰の範囲で育てることが出来ます。日当たりの良い場所の方が花付きは良くなりますが、真夏の乾燥や強い日差しは株の生育を妨げ、生育不良に繋がります。そのため、基本的には西日の当たらない半日影で育てる事が理想です。
日当りの分類
- 日向:直射日光が6時間以上当たる場所です。一般的に全方位に障害物がない、またはお庭の向きが南向きの場所になります。
- 半日影:直射日光が3時間から5時間程度当たる場所です。一般的にお庭の向きが東向きになる、西向きも半日影になるが西日が当たる環境にもなるため注意が必要です。
- 明るい日陰:直射日光が二時間程度まで、または間接光だけが当たるような比較的に明るい場所です。一般的にお庭の向きが北向き、または日差しを遮る障害物が多い環境です。
- 暗い日陰:森の中にあるような直射日光も間接光もほとんど当たらないような暗い場所です。
土壌の土質
- 土質:基本的に保水性が高くて適度に湿り気を保てる土壌を好みます。そのため土質は壌土・植壌土あたりに調節してあげるとよいでしょう。
- 肥沃さ:肥沃な土壌を好みます。そのため、土壌の状態を見ながら堆肥(黒土・腐葉土など)を入れて土壌の物理性・生物性・化学性などを改善してあげるとよいでしょう。また堆肥を入れることで保水性も改善されます。
土壌診断と改善の行い方
- 排水性の診断:深さ30cm程度・幅30cm程度の穴を掘り、穴の中を水で完全に満たす。一時間あたり約3~10cmの排水があれば、一般的な植物を育てるのに適した排水性になります。※それ以下またはそれ以上である場合は排水が悪い、または排水がよすぎる可能性があります。
- 排水性の改善:花壇を高くしたり、ロックガーデンを作り、植物を植える場所を周囲より高くする。また縦穴暗渠(縦穴排水)や排水溝をつくる。
- 作土層の診断:調べたい箇所の土壌に支柱を出来るだけ深くまでさします。支柱の入った部分が30cm前後あれば一般的な植物であれば、根を張るのに十分な作土層がありますが、それ以下であれば改善が必要です。また土壌を観察して石やゴミがあれば根を伸ばすのに邪魔になるため取り除いた方が良いでしょう。
- 作土層の改善:植物を植える箇所とその周囲をシャベルを使って30cm程度の深さまで掘り起こして解します。また石がある場合は土ふるいを使用して取り除きましょう。
- 土壌(土性)の性質の診断:土壌の通気性・保水性・保肥力を知るために、土壌を砂土・砂壌土・壌土・埴壌土・埴土に分類して、植物に合わせて土壌の改良をしましょう。
- 砂土:排水性と通気性が高く乾燥しやすいため、水分過剰による根腐れを引き起こしにくい。診断は、適度に湿らせた土を触った時にザラザラとした砂の粗い感触がある。手のひらや指で捏ねても全く固まらずに簡単に崩れる。
- 砂壌土:排水性と通気性が高く乾燥しやすい傾向がある、砂土と比べると、保水性と保肥力が少しあるため、乾燥気味の土壌を好む植物などに向いています。診断は、適度に湿らせた土を触った時に砂のザラザラ・粘土のヌルヌルとした感触がある。手のひらや指で捏ねると、緩く固める事が出来るが崩れやすい。
- 壌土:通気性・保水性・保肥力のバランスが高いため土壌管理がしやすい。診断は、適度に湿らせた土を触った時に砂のザラザラ・粘土のヌルヌルとした感触がある。手のひらや指で捏ねて伸ばすと、鉛筆程度の太さの棒状まで伸ばすことが出来る。 ただし伸ばした棒を曲げるのは難しい。
- 埴壌土:保水性・保肥力が高いため乾燥しにくい傾向がある。診断は、適度に湿らせた土を触った時に粘土のヌルヌルとした感触があり、砂のザラザラも少し感じる。手のひらや指で捏ねて伸ばすと、マッチ棒程度の太さまで伸ばすことが出来て、輪っかに曲げても切れにくい。
- 土壌(土性)の性質の改善:土壌の診断をしたら、植物が求める環境に合わせて土壌改良材をいれます。
- 通気性・排水性の改善:通気性・排水性の高い土壌改良材(パーライト・日向土・川砂・バーク堆肥 など)を混ぜ込む。
- 保水性の改善:保水性の高い土壌改良材(腐葉土・ピートモス・バーク堆肥・黒土)を混ぜ込む。
- PHの診断:土壌のPHを調べる方法は土壌酸度計を土壌に突き刺すタイプ・リトマス紙を溶液に浸すタイプ・ペーハー測定器を溶液に浸すタイプ・アースチェック液を溶液に垂らすタイプ等があります。製品によって調べ方がことなるため、詳しい手順は製品の取り扱い説明書をご覧下さい。
- PHの改善:PHを診断後に植物の適正なPHに合わせて、土壌改良材を入れてPHの改善をおこないます。
- PHを酸性に改善:ピートモスを使用する場合はPHを1下げるために、1㎡あたり、ピートモスを約1.2kgを入れて混和します。
- PHをアルカリ性に改善:苦土石灰を使用してPH1上げるには、1㎡あたり苦土石灰を約100~200g入れて混和します。
- 肥沃さの診断:肥沃さは土壌の色によりある程度診断できます。土壌の色は成分や状態を示しており、簡易的に植物を育てるのに適しているか調べる事が出来ます。黒色の場合は腐植が多く肥沃な傾向があり、赤色・黄色・白色の場合は腐植が少なく肥沃でない傾向があります。
- 肥沃さの改善:土壌に堆肥または微生物資材を入れます。堆肥を入れる量は土の量に対して二割から三割程度にします。入れ過ぎると通気性・排水性・保水性のバランスが崩れて植物が育つのに不適な環境になりやすいため注意してください。
※詳しい土壌診断と改善方法はこちらのリンクからご覧下さい
鉢土づくり
日当り
ニオイバンマツリは、西日の当たらない半日影または明るい日陰の範囲で育てることが出来ます。日当たりの良い場所の方が花付きは良くなりますが、真夏の乾燥や強い日差しは株の生育を妨げ、生育不良に繋がります。そのため、基本的には西日の当たらない半日影で育てる事が理想です。
培養土
培養土を購入する場合は、一般的な草花の培養土で良いでしょう。
培養土を自作する場合
- 植物の好む環境に合わせて通気性・ 排水性・保水性のバランスを考えた用土の構成にする。
- 堆肥は土壌の物理性を改善して根張りをよくするだけでなく、栄養素を含有しており、微生物の働きを促進して土質を改善したり、植物の栄養補給に寄与する働きがあったりします。そのため、腐葉土などの堆肥をしっかり入れて植物の生育を促進しましょう。
- 鉢植えを移動する場合を考えて比重の軽い用土を利用したり、植物が倒れる可能性も考えて比重の重めの用土を選んだりする。
- 水やりの頻度を考えて保水性のよい用土を利用したり、植物の呼吸や成長を考えて通気性がしっかり保てる用土を選んだりする。
培養土の配合例
- 赤玉土(小粒・中粒)+腐葉土 +元肥=6:4:適量
- 赤玉土 +黒土 + 腐葉土 = 3:4:3
- 日向土(細粒・小粒)+ピートモス+くん炭 +元肥=5:4:1:適量
鉱石の土壌改良用土
- 赤玉土:赤玉土とは関東ローム層の中層にある赤土を乾燥させて、粒の大きさごとに分けた土壌改良材です。
- 特徴:赤玉土は通気性・排水性・保水性のバランスが抜群に良いことから擬似団粒構造をした土壌改良材とも呼ばれています。無菌で雑菌が繁殖しにくく、雑草の種も含まれないため挿し木用土やインドアグリーンの土としても使われる。
- 比較:鹿沼土と比べて赤玉土の方が保水性・保肥力に優れており、PHが中性に近い弱酸性のため幅広い植物で利用しやすい。赤玉土は鹿沼土よりも粒が崩れて劣化しやすいため、使い続けると微塵が出て通気性・排水性を悪化させる事がある。
- 注意点:赤玉土はリン酸を固定してしまい、植物が吸収出来る状態で無くす事があるため、リン酸の肥料を多めにやる必要がある。赤玉土の粒はやや崩れやすいため再利用出来る割合が少ない傾向があり、微塵は粘土質になり通気性・排水性を悪くする事がある。
- 用途:一般的な草花・花木・多肉・サボテン・山野草・水生植物など幅広い植物の土壌改良材として利用されます。無菌のため挿し木・種まき用土・インドアグリーンの培養土などに利用される。
- 硬質赤玉土:硬質赤玉土は赤玉土を高温で焼いて硬質化したものです。
- 比較:硬質赤玉土は赤玉土と比べて、粒が硬いため砕けて劣化しにくく、通気性・排水性が高くなっています。一方で保水性が悪くなっているため、一般的な草花で使うと土壌が乾きやすくなり水やりの頻度が増えやすいです。
- 用途:多肉植物・サボテン・山野草などに使われる事が多い。
- パーライト:パーライトは、真珠岩や黒曜石を粉砕して小さくした後に、高温で熱して中に含まれる水分を発泡させ多孔質にした資材です。
- 特徴(真珠岩系):表面に光沢があり滑らか、通気性・排水性に非常に優れている、雑菌が発生しにくく、比重が0.1程度と小さく軽い。
- 特徴(黒曜石系):表面に光沢があり滑らか、通気性・排水性に非常に優れている、雑菌が発生しにくく、比重が0.1程度と小さく軽い。
- 用途:土壌の通気性・排水性を改善する目的、真珠岩系では通気性・排水性・保水性をバランスよく改善する目的で利用されます。一般的な草花の育成などでよく利用されており、比重が軽いため培養土の軽量化などに欠かせません。
- バーミキュライト:バーミキュライトは、蛭石を高温処理して膨張させた土壌改良用土です。蛭石を膨張させた事で、薄板が層に重なりアコーディオンのような形状をしています。
- 特徴:保水性・保肥力が抜群に優れているため植物が欲しい時に水分や栄養を供給してくれる働きがあります。また何層にも重なり大きな隙間があるため通気性を改善する働きもあり、雑菌が発生しにくく、比重が0.1程度と小さく軽い。
- 欠点:比重の重い用土と組み合わせると粒が破壊されて通気性が悪くなる事もあるため注意が必要です。
- 用途:土壌の保水性・保肥力を改善するのに利用されます。一般的な草花の育成などでよく利用されており、比重が軽いため培養土の軽量化などでも利用されます。
- 日向土(ボラ土):日向土は別名でボラ土とも呼ばれる、宮崎県南部で産出される軽石です。
- 特徴:通気性と排水性に非常に優れており、多孔質なため保水性も適度に確保出来ている、比重は約0.6とバランスがよい。※鹿沼土と比較すると頑丈で形状が崩れにくいため再利用しやすく、PHが殆ど中性なため扱いやすい、一方で鹿沼土と比べると保水性がそれほど高くない。
- 用途:土壌の通気性や排水性を改善するのに利用されます。草地・岩場・高山地帯・砂地に自生する植物などを育てるのに向いており、一般的な草花から多肉・サボテン・山野草などの育成でも利用されます。す。
有機物の土壌改良用土
- 腐葉土:腐葉土は広葉樹の落ち葉を腐熟させた改良用土です。
- 腐葉土を選ぶ基準:腐葉土は完熟していて湿り気のある物を選びましょう。完熟していると、見た目が黒っぽくなり、葉の断片が小さくなっています。逆に油脂成分の多い針葉樹の葉が入っていたり、未熟な茶色の葉が混じっていたり、断片が大きく乾燥していたりする腐葉土は、植物の根を傷める原因にもなるため避けた方が良いでしょう。
- 腐葉土の特徴:土壌の膨軟性を高めるため空気の通りが良くなり根の成長を助ける。土壌の通気性・保水性・保肥力を高めるため植物が育ちやすい環境となる。腐葉土は微量要素を含んでいるため植物が栄養を補給して健康に成長する助けとなり、また微生物の働きも活性化するため土壌が肥沃になる。PHが中性のため扱いやすい。
- 用途:土壌の保水性・保肥力・通気性を改善したり、微生物を活性化して土壌を肥沃にしたりする働きがあるため、多くの植物を育てる際の改良用土として利用されます。
- ピートモス:ピートモス は水苔類やヨシ・スゲ等の植物が堆積して腐植し泥炭化した用土です。
- 特徴:腐葉土と比べて養分を殆ど含んでいないため、微生物を活性化する力が弱く無菌で清潔感がある。土壌の膨軟性を高めるため空気の通りが良くなり根の成長を助ける。土壌の保水力を高める効果が高く、通気性・保肥力も改善する。PHは基本的に強い酸性になる。
- 注意点:PHが3~4の強い酸性のため、一般的な植物を育てる際は調整済のピートモスを使用するか、アルカリ性の土壌改良材を入れて使用した方がよいでしょう。
- 用途:土壌の膨軟性を高めて、保水性・保肥力・通気性を改善するのに利用されたり、PHを酸性に調節する目的で利用されたり、無菌で雑菌が繁殖しにくいためインドアグリーンの植物の改良用土として利用されたり、挿し木や種まき用の培土として利用されたり、多くの植物を育てる際の改良用土として利用されたりしています。
- くん炭:くん炭は、もみ殻を炭化させたものです。
- 特徴:通気性と排水性が抜群によいため根腐れ防止効果があります。菌根菌などの有用微生物を活性化させる効果があるため、植物が菌根菌と共生して病気に強くなったり水分・栄養を補給しやすくなる事がある。植物の成長に必要とされるミネラルを含有していて、またケイ酸が50%近く含有しているため茎・葉が頑丈になりやすく病害虫に強くなる傾向がある。PH8前後の高いアルカリ性を示す。
- 用途:根腐れ防止・酸性土壌の改善などのために土壌に10%程度混ぜて使われる事が多いです。
水やりの仕方
ニオイバンマツリは基本的に一定の湿り気のある土壌を好みます。乾燥にも比較的に耐えますが、水分を十分に与える事で生育が良くなり、また蕾もよく開いて沢山の花を咲かせます。水やりのタイミングは日当たり・土壌の土質・気温などで変化するため、水やりの頻度なども考慮に入れながら、適切な環境で栽培する事も大切になります。水やりのタイミングは下記を参考にして下さい。
水やりのタイミング
生育期間中は生育旺盛でたくさんの水を必要とするため、土壌の表面が乾燥したタイミングで水をたっぷり与えます。
冬の期間は生育が緩慢になるため、植物は水をそれほど必要としません。そのため、乾かし気味に管理してあげるとよいでしょう。
土壌の乾燥の確認方法
- 土壌表面の乾燥:土壌の表面の乾燥とは、土壌の最も上の部分の表面が乾燥している事です。土壌表面の乾燥の確認方法には目視・触感・専用の道具があります。
- 目視で確認:土は濡れているなら色が濃くなったり黒っぽくなったりしていて、乾燥すると色が白っぽくなります。
- 触感で確認:土の表面を指で触ってみてます。土は濡れていると湿り気があり、乾燥しているとサラサラとしています。
- 専用の道具:サスティーを土壌にさして使用します。サスティーは土壌が乾くと色が変化して水やりのタイミングを教えてくれます。
- 土壌の表層の乾燥:土壌の表層の定義は様々ありますが、ここでは土壌の表面より5cm以下にある事にして、また土壌の表層の乾燥とは土壌の表面から5cm以下が乾燥していることになります。
- 目視で確認:透明な植木鉢を使用して植物を育てます。透明で土の色の変化が分かるため、土表面から5cm以下の土の色が白っぽくなってきたら水やりを行います。
- 重量で確認:鉢植えで育てている場合は、水分量で鉢の重量が変わるため、土が乾燥した時の軽さを覚えておいて土の乾きを判断します。
- 道具で確認:割り箸・竹串などを用土の中に差してみて、引き上げた時の割り箸・竹串の色と湿り気を見て乾燥具合を確認します。
- 専用の道具:サスティーを土壌にさして使用します。サスティーは土壌が乾くと色が変化して水やりのタイミングを教えてくれます。
肥料の与え方
ニオイバンマツリは、土壌に腐植が多く肥沃であれば追肥がなくても育てられます。ただし、基本的には定期的に肥料を与えた方がよく成長して沢山の花を咲かせます。そのため、土壌を肥沃にする目的で堆肥を入れたり、生育期間中はしっかり肥料を与えましょう。
堆肥の与え方
- 堆肥を入れる時期:植え付け時、または冬から早春に堆肥を入れます。
- 堆肥の入れ方:堆肥の入れ方は地植えと鉢植えでかわります。
- 地植え:植付けする時などに土壌改良を行い堆肥をいれて混和する。または株の周囲に堆肥を盛ったり、株の周囲に穴を掘り堆肥を入れます。
- 鉢植え:植え替え時に堆肥がしっかり入った新しい培養土を使う。または古い土に二割から五割ほど新しい土を混ぜて再利用する。
肥料の与え方
- 追肥:植物が生育する途中で施す肥料です。土壌中の栄養素は植物が吸収して減っていくため、追肥を入れる事で補います。
- 肥料を与える時期:早春から秋の生育期間中※肥料をあたえる頻度は製品によりかわります。
- 肥料の成分:窒素・リン・カリがバランス良く入る水平型を選びます。
- 肥料の製品:液肥・固形肥料(速効性・緩効性・BB肥料 など)がおすすめです。
- 施し方(液肥):液肥を規定された分量の水で希釈して、約10~14日の頻度で与えます。液肥は1箇所にかけるのではなく、植物の回りにかけて、土全体を湿らせるように与えましょう。
- 施し方(固形肥料):固形肥料の与え方は製品により置き肥タイプ・差し込みタイプ・埋め込みタイプがあります。製品に合わせて、規定された分量・規定された頻度・規定された方法で施しましょう。
剪定のやり方
ニオイバンマツリは剪定せずに育てる事も出来ますが、株のサイズを整えたり、形を整える目的で剪定することも出来ます。
剪定をするかは剪定理由を見ながら決めるとよいでしょう。
剪定を行う理由
- 形を整える:株は剪定しないと茎が徒長して外観が崩れることがあります。株の表面を剪定する事で、全体的な形が整い、また分枝する事で枝葉が密になりギュッと中身の詰まった株姿になります。
- 密度を高める:茎は剪定をしないと頂芽優勢の性質で分枝が抑制されて間延びした外観となりやすいです。そのため、植物の茎を途中で切って頂芽優勢を崩して、分枝を促して茎の数を増やし密度の高い株を作ります。
- コンパクト化:コンパクト化は、株のサイズを小さくコンパクトにする事で管理をしやすくする事です。株を剪定して小さくなる事で管理が楽になったり、株がギュッと詰まった見た目になりやすくなります。
- 発芽の促進:枯れた茎や古い茎が残っていると、太陽光が遮られたり、風通しが悪くなったり、不要な茎が成長の邪魔をしたりして、発芽の邪魔になります。そのため、剪定によって邪魔な茎・葉を取り除きます。
切り戻し
- 剪定の時期:生育期間中・早春
- 生育期間中の剪定:株が徒長したり衰退して見た目が弱々しくなることがあります。放置するとエネルギーが分散して花が咲きにくくなったり、見た目が改善されません。そのため、根本付近の健康な部分まで戻り、切り戻ししてあげるとよいでしょう。
- 早春の剪定:冬越し後の早春は、株が全体的に衰退して弱々しくなっています。そのため、地面付近の健康な部分まで切り戻しを行って、株の若返りを行いましょう。春になると新芽が出て新しい成長がはじまります。
刈り込み
- 剪定の時期:開花後
- 刈り込みのやり方:株全体を観察して、剪定後の輪郭線をイメージします。株の大きさを一定に保つ場合は、前年の刈り込みラインまで戻るように刈り込みしましょう。刈り込みバサミを使って、頭の中にある輪郭線に沿うように、枝葉を刈り込みバサミを使ってなぞるように剪定します。
夏越しする方法
ニオイバンマツリは、それほど夏越しが難しい植物ではありません。基本的な育て方に従えば夏越し対策を特段行う必要はありません。ただし、乾燥を苦手にしているため栽培環境と灌水などには注意が必要です。
夏越し対策一覧
- 乾燥の改善:乾燥は水分が不足した状態や湿度が低い状態になることです。植物が乾燥して萎れやすいと感じる場合は、育てている環境や土壌の状態が悪い場合があります。乾燥対策は幾つかあるため下記を参考にして下さい。
- 灌水をする:植物と土壌の状態を見ながら、適切に水やりを行いましょう。
- 土壌の改善:土壌は土質により乾燥のしやすさが変わります。植物の植え付け時や植え替え時に、植物に合わせた土壌の改善をしましょう。詳しくは花壇土からご覧下さい。
- 日差しを避ける:強い日差しの当たらない場所で植物を管理します。植え付け時に日差しの当たる場所を避けたり、夏の期間だけ鉢植えを軒下に移動したりして対策するとよいでしょう。
- 日除けをつくる:植物と太陽の間に遮光ネットを張って強光を遮る方法があります。遮光ネットは雨避けにもなるため病気予防などにもおすすめです。
- マルチング:地面の表面をバークチップや藁などのマルチング資材で覆います。急激な地温の上昇を防ぎ、高温による蒸発、泥はねからの病気の感染なども防いでくれます。
- 切り戻し:植物の葉の量が多いと、蒸散量が増えて乾燥しやすくなったり、風や光の通りが悪くなり病害虫の発生の原因になったりすることがあります。そのため、必要に応じて剪定を行い株をコンパクトにするとよいでしょう。
冬越しする方法

Hardiness:9~11
ニオイバンマツリは、軽い霜であれば耐えられるため、暖地や平地であれば地植えでも冬越し出来る事があります。ただし基本的に霜や凍結に弱いため、冬越し対策を行った方が良いでしょう。
冬越し対策一覧
- 軒下に移動する:植物を植えている鉢植えを軒下に移動する事で、霜を避けることができます。霜があまり降りない地域であれば、霜を避けるだけで冬越し出来ることもあります。
マルチング:株の周囲にマルチング資材を入れて株元と根を保護する。根を凍結や霜から守ったり、乾燥対策になったりします
- 方法:霜が降りる前の11月頃に行います。バーク堆肥や藁などのマルチング資材を準備します。育てている植物の周りに、マルチング資材を5~8cmほどの厚みになるように入れます。
植物にカバー:植物にビニールや寒冷紗などをかけます。植物を寒風から保護したり、霜から保護したり、昼夜の急激な温度変化を防ぐ働きがあったりします。
- ビニール・寒冷紗:植物の周りに支柱を立てて、ビニールまたは寒冷紗を支柱に巻き付けます。巻き付けたビニールまたは寒冷紗が落ちないように洗濯バサミや紐などを使い固定しましょう。※ビニールを巻く場合は穴を開けて通気性を確保してください。
- 苗キャップ:透明のカバーで苗や小さな植物を保護するための専用の製品です。専用のカバーを苗または小さな植物の上に被せて、風などで飛んでいかないように固定して利用します。
- 植物保護カバー:不織布などの保護カバーで植物を保護するための専用の製品です。大きめの植物や複数の植物を囲うのにも対応しており、専用の製品になるため、チャックなどがついていて扱いやすい所も魅力です。
温室:内部の温度を一定に保てるようにガラスやプラスチックフィルムなどで作られた建物です。植物を温室の中に入れる事で、寒さの軽減や寒風対策、霜・凍結対策ができます。
屋内に取り込む:植物を建物の中になります。冬の屋内は屋外と比べて温度が高く植物が凍結するリスクもありません。ただし屋内は太陽光が当たらないため、明るさなどには注意が必要になります。植物を窓辺で管理したり、植物育成ライトを活用して、植物が弱らないよう管理することが大切になるでしょう。
挿し木や株分けで増やす
ニオイバンマツリは挿し木によって増やす事ができます。
挿し木の方法
- 挿し木時期:発根率の高い晩春から夏頃が適します。
- 培養土の準備:培養土は切り口が腐敗して吸水を阻害しないように、無菌のものを利用します。一般的にはバーミキュライト・赤玉土・パーライト・ピートモスなどが利用されていますが、専用の培養土もあるため近くのホームセンターで探すのも良いでしょう。
- 挿し穂の採取:挿し穂の茎は弾力があり健康な部分をカットして利用しましょう。また花芽分化が始まり生殖成長をしている茎は、発根率が極端に下がるため挿し穂に使うのは避けた方がよいでしょう。
- 挿し穂の整形:挿し穂は長さを10cm程度にわけて、挿し穂の上部の葉を残して、下部の葉を取り除きます。茎の下部分を斜めにカットして吸水部分を広くしておきましょう。
- 培養土に挿し穂を挿す:挿し穂を挿す場所を決めます。培養土の中に、割り箸等を利用して、事前に穴を空けておきます。挿し穂の切り口を下向きにして、培養土の中に挿し穂を入れましょう。通常は挿し穂の1/3程度をいれます。
- 管理:明るい日陰で土壌が完全に乾燥しない様に水やりを行いながら管理しましょう。