- 原産:中国
- 科:モクセイ(Oleaceae)
- 属:モクセイ(Osmanthus)
- 種:ギンモクセイ(fragrans)
- 別名:モクセイ/桂花
- 開花時期:9月~10月
- 花の色:黄色●白色〇
- 葉の色:緑色●
- 香り:花
- 分類:常緑小高木
- 草丈:約300~1000cm
- 誕生花:10月25日
- 花言葉:初恋/高潔
- 用途:生垣/香りが良い
目次 | ||
| ||
花壇土 | 鉢土 | 水やり |
肥料 | 剪定 | 夏越し |
冬越し | 増やし方 | 病気 |
ギンモクセイとは!?
ギンモクセイは学名Osmanthus fragrans、単にモクセイと呼ぶ場合はギンモクセイの事をさしており、また中国名では「桂花」と呼ばれる中国が原産の常緑小高木です。
ギンモクセイの語源(由来)
- 属名のOsmanthusは古代ギリシャ語で「香り」を意味する「ὀσμή(osmḗ)」と「花」を意味する「ἄνθοσ(ánthos)」の2語からきており、花の香りに由来しています。
- 種小名のfragransはラテン語で「匂い」「香り」を意味しており花の香りに由来しています。
ギンモクセイの特徴(魅力)
- ギンモクセイは単に「モクセイ」と呼ばれる事もあり、香りの良い白色もしくは黄色の花が特徴の植物です。
- 園芸では、キンモクセイほどの人気はないものの秋に一斉に開花する花と香りを楽しむ目的で育てられる事が多く、庭木とされたり、家の境界に並べられて生垣として利用されたりします。
- 樹皮は灰色をしており、空気の通路となる目立つ皮目があります。
- 花は枝の葉腋から複数の花が束生(葉・花・茎等が1箇所から束状に生える)するため、全体としては枝を覆うように橙色の花が咲きます。
- ギンモクセイの花は、キンモクセイよりも香りが薄いと言われており、また明るく清潔感を感じさせる白色(黄色)の花色が魅力です。
- ギンモクセイの生垣は樹形がある程度整ったフォーマルヘッジの生垣として利用されます。
- ギンモクセイの生垣はしっかりと切りそろえながら、花や花の香りを楽しめる所が魅力です。
- 葉は革のよう質感と光沢があり月桂樹の葉のような外観をしているため、とても美しいです。
- ただし葉が大きいため生垣として利用した場合、全体的に緩い印象を与えたり、刈り込み剪定を行った時に剪断された葉が気になるかもしれません。
- ギンモクセイの生垣は背が高く、常緑性があり、枝葉は密な事から生垣としての機能性(目隠し効果・侵入防止効果・防音効果・防風効果等)をしっかり発揮する事が出来ます。
- ギンモクセイの生垣の植付け間隔は苗の大きさ等でも変わりますが約30cm~60cmです。
ギンモクセイの樹高は約300(~1000)cm、樹皮の色は灰色もしくは淡褐色、樹皮は古くなると縦に避け、目立つ皮目があります。
葉序は対生葉序、葉色は緑色、葉柄は長さ0.8(~1.5)cm、葉身の大きさは長さ約7(~15)cm、幅は約2.5(~5)cm、葉身の形は楕円形でふち部分に鋸歯があり、葉は光沢があり革のような質感があります。
花序は腋花、葉腋から複数の花が束生(葉・花・茎等が1箇所から束状に生える)します。花は雌雄異株のため、雄株(雄花のみ)と雌株(雌花のみ)があります。雄花は筒状で裂片は平開して、裂片は4個、裂片の色は白色もしくは黄色、雄蕊は2個、不完全な雌蕊があります。雌蕊には雌蕊が1個あり、果実は核果(薄い外果皮・多肉質な中果皮・殻状の硬い内果皮がある)、核果は長球形、色は暗紫色をしています。
ギンモクセイの園芸品種の紹介
モクセイの主な種と園芸品種は下のリンクから紹介しています。
モクセイ属の珍しい種類、主な種と園芸品種の紹介【2022】
ギンモクセイの育て方
花壇の土づくり
日当たり
ギンモクセイは日光のよく当たる場所で最も生産性が高まり沢山の花を咲かせます。ただし夏の暑さが厳しい地域では半日影の方がよい場合もあります。環境に合わせて直射日光が6時間以上当たる日向、もしくは3時間から5時間の半日影で育てましょう。
作土層
ギンモクセイがしっかり根を張り健康な成長するには、十分な深さの作土層(表層にある柔らかな土)が必要です。苗(根鉢)の1.5~3倍の深さまでスコップを使い穴を掘り、根張りを邪魔したり保水性や栄養の保持を悪くする石やゴミ等を取り除いておきましょう。
土壌の土質
ギンモクセイは通気性と保水性のバランスがよく肥沃な壌土を好みます。基本的には幅広い土壌で育てる事が出来ますが、粘土質な土壌は生育不良を引き起こす可能性があるため避けた方がよいでしょう。植え付け前にしっかり土壌診断を行い、通気性と保水性のバランスがよく肥沃な壌土に改善してから植え付けを行いましょう。
- 土を掘る時に土が硬い場合は作土層が十分でない可能性があります。
- スコップで土を深くまで掘り返し石等を取り除きます。
- 適度に濡れた土を、手にとり握って土塊を作り、通気性・保水性などを診断します。
- 手のひらを開き土の塊がバラバラと崩れる場合は通気性と排水性の高い砂壌土や砂土に近い土壌です。栄養の乏しい土壌や乾燥に強い植物にむきます。
- 保水性を改善したい場合は保水性を高める用土(堆肥や黒土など)を入れると良いでしょう。
- 手のひらを開いても土の塊は崩れず、土塊を軽く指で押すと崩れる場合は通気性と保水性のバランスが良い壌土に近い土壌です。幅広い植物に向く土壌です。
- 植物に合わせて保水性を好む植物であれば保水性を高める用土(黒土なバーミキュライト等)を入れたり、乾燥を好む植物であれば排水性や通気性を高める用土(川砂やパーライトなど)を入れましょう。
- 手のひらを開いても土の塊が崩れず、指で押しても崩れる感じがない場合は粘土質で水捌けが悪い土壌の可能性があります。必要に応じて排水性・通気性を高める用土(川砂・パーライト等)を混和しましょう。
- 手のひらを開き土の塊がバラバラと崩れる場合は通気性と排水性の高い砂壌土や砂土に近い土壌です。栄養の乏しい土壌や乾燥に強い植物にむきます。
- 土壌に入る有機物の量を診断しましょう。土の色を見て、有機物が沢山入る肥沃な土の場合は有機物(腐植)が多く含むため土の色が黒っぽくなります。一方で有機物(腐植)が少ない場合は土の色が薄くなります。
- 土壌の状態とバランスを見ながら、2割から3割を目安に堆肥(腐葉土・バーク堆肥等)を土壌に混和しましょう。
鉢土づくり
ギンモクセイは日光のよく当たる場所で最も生産性が高まり沢山の花を咲かせます。ただし夏の暑さが厳しい地域では半日影の方がよい場合もあります。環境に合わせて直射日光が6時間以上当たる日向、もしくは3時間から5時間の半日影で育てましょう。
培養土
ギンモクセイの培養土を自作する場合は通気性と保水性のバランスが良く適度に肥沃な培養土で育てましょう。
赤玉土+鹿沼土+腐葉土=4:2:4
赤玉土(中粒)+バーク堆肥=5:5
水やりの仕方
生育初期
ギンモクセイは植え付けから1年、根が張り活着するまでは、土が完全に乾燥しないように定期的に水やりを行い育てましょう。
地植え
ギンモクセイは乾燥に強いため、地植えしている場合は極端に乾燥する場合を除いて、基本的には降水のみで育てられます。
鉢植え
ギンモクセイを鉢植えで育てる場合は土の乾燥が早くなるため、定期的な水やりが必要になります。基本的には土の表面(数cm)が乾いてきたタイミングで水やりを行うといいでしょう。
肥料の与え方
ギンモクセイはある程度、有機物を含んだ肥沃な土壌であれば肥料を必要としません。必要に応じて成長を促したい場合などは毎年晩冬から早春に1回、肥料(寒肥)と土質を改善する堆肥を与えましょう。
寒肥と堆肥の与え方
- 寒肥は晩冬から早春に与える肥料です。
- 肥料の種類は、肥沃な土を好むため有機肥料(配合肥料)が理想ですが、緩効性肥料でも問題ありません。
- 寒肥は株元から少し離れた場所に穴を掘り肥料を入れるか置き肥しましょう。
- 有機肥料の場合は匂い等で虫がよってくる可能性があるため、株から少し離した場所に穴を掘り肥料を与えた方が良いでしょう。
- 緩効性肥料の場合は株の近くの土の上に置く、置き肥で問題ありません。
- 堆肥とは有機物が微生物により分解された肥料もしくは土壌改良材です。生態サイクルのない庭の花壇や鉢植えは、風雨や微生物の働き等により、土壌が年々劣化していき土が硬くなったり水はけが悪くなったりします。堆肥には【化学性・物理性・生物性】を高める効果があり、劣化した土を肥沃(植物の生育がよく生産性が高い土)な土に変える働きがあります。
- 堆肥は寒肥を与える時期(初冬から早春の間)に、寒肥と一緒に与えると良いでしょう。株から少し離れた場所に堆肥(腐葉土もしくは牛糞堆肥等)を盛ってマルチングするか、穴を掘って堆肥を埋めましょう。
剪定のやり方
ギンモクセイの剪定は庭木として育てる場合と、形状を整え維持して生垣(トピアリー)などに利用する場合で剪定のやり方が違います。庭木として育てる場合は、枯れ枝や混みあった枝葉などをぬく間引き剪定や切り戻し剪定を行い樹形をつくります。生垣(トピアリー)として育てる場合は形状を維持するため切り戻し剪定もしくは刈り込み剪定を行い樹形をつくります。
庭木として剪定する方法
- 剪定する時期は晩冬(2月~3月)に1回行います。
- 芽が動く前の晩冬に剪定を行う事で、春からの強い成長を邪魔する事なく、また花芽を落とす事なく剪定する事が出来ます。剪定が遅くなると枝がしっかり伸びなかったり、花芽が上手くつかない場合があるため注意が必要です。
- 株全体を観察して枯れた茎・損傷した茎(折れてる茎等)・病気の茎を探して、これを根元から間引き剪定して取り除きます。
- 何故ならこれらの茎は日当りや風通しを阻害したり、健康に成長している茎に悪影響を及ぼしやすいからです。
- 株全体のバランスを見ながら、枝が混み合っている場所の枝を間引き剪定したり、著しく枝が伸びて外観を崩している徒長枝を切り戻し剪定しましょう。
- 枝が混み合っていると風通しや日当たりを悪化させる事があります。そのため生産性の落ちた古い枝や、太く伸びた枝、弱い枝、並行枝、逆さ枝、絡み枝などの不要と思われる不要枝を、株全体のバランスを見ながら、枝の根元から間引き剪定、もしくは枝の途中の節(芽・枝)の少し上で切り戻し剪定しましょう。
- 徒長枝とは他の枝と比べて著しく長く伸びて外観を乱す枝のことです。植物は基本的に頂芽優勢の性質があり、枝が間延びして外観を崩しやすいです。そのため必要に応じて枝の途中(芽・節がある場所の少し上)で切り戻す剪定を行って上げましょう。コツは全体の外観より少し奥目の節(芽・枝)の上で剪定するか、もしくはイメージする樹形より少し奥目の節(芽・枝)の上で剪定します。
生垣として剪定する方法
- 生垣の剪定は春(4月~5月)に計1回行います。
- 時期が遅くなると樹勢の回復が遅くなったり、花芽が上手くつかない事もあるため、注意が必要です。
- 刈り込みハサミやヘッジトリマーなどを使い刈り込み剪定を行い全体の外観を整えます。※刈り込み剪定を行うと大きな葉が途中で裁断されたり、葉のない枝が飛び出て、見た目が悪くなる事があります。その場合は必要に応じて後で、その部分の葉を切り戻し剪定で落としましょう。
- 刈り込み剪定をする時に、前回剪定した位置で剪定すると大きさが維持されます。また刈り込む位置を前年より内側もしくは外側にする事で全体を大きくしたり小さくしたりする事も出来ます。
- 刈り込み剪定を行なう際に上部をやや狭く下部をやや広く「▲」の形をイメージしながら剪定すると下部の枝葉にも光がしっかり当たるため、下枝の葉が落ちにくいです。
- 木の内側にある枯れ枝や太い枝を間引き剪定もしくは切り戻し剪定しましょう。
- 枯れ枝は、健康な枝の成長を阻害するため基本的に根元から間引き剪定して取り除きます。
- 太い枝は、残すと剪定した後の外観をゴツゴツとしたものにしやすいため、株全体のバランスを見ながら太い枝を少しずつ減らし、細い枝を増やしましょう。太い枝の剪定のやり方は、枝の根元から間引き剪定、もしくは枝分かれさせたい節(芽・枝)の上で切り戻し剪定を行いましょう。
夏越しする方法
ギンモクセイは夏の暑さに強いため、基本的には夏越し対策は不要です。
冬越しする方法
Hardiness:8a~11b
ギンモクセイは軽い霜であれば耐えられるため、暖地であれば地植えで育てることも出来ます。ただし寒冷地では強い霜や凍結で枯れる事もあるため、地植えや屋外での越冬が難しかったり、冬越し対策が必要になります。
ギンモクセイの冬越し対策
- 軽い霜が降りる地域であらば、霜対策として腐葉土などでマルチングをしたり、不織布などを被せるとよいでしょう。
- 鉢植えで育てている場合は、霜の当たらない軒下に移動したり、凍結が心配な場合は屋内や温室に移動したりするとよいでしょう。
挿し木や株分けで増やす
ギンモクセイは挿し木で増やす事が出来ます。
ギンモクセイの挿し木の方法
- ギンモクセイの挿し木時期は初夏から夏が適します。
- 挿し穂は今年成長した部分を長さ7~15cmとりましょう。
- 茎の下部分を斜めにカットして吸水部分を広くします。
- 茎の下部の葉を取り除きます。
- 挿し穂の切り口を水の中に30分程浸けて水揚げを行います。
- 挿し木用の培養土に幾つかの節を入れ挿し穂を深く挿します。
- 明るい日陰で土壌が完全に乾燥しない様に水やりを行いながら管理しましょう。
播種で増やす
ギンモクセイの種蒔の方法
播種時期:
発芽適温:約
発芽日数:
発芽条件:
植物の病気
ギンモクセイの病気
- 灰色カビ病
- 炭そ病
- 褐斑病
- 先葉枯病
- さび病
ギンモクセイの害虫
- カイガラムシ