原産:ヨーロッパ 科:ヒガンバナ(Amaryllidaceae) 属:スイセン/ナルキッスス(Narcissus) 種:クチベニズイセン(poeticus) 別名:ポエッツ・スイセン(poet’s daffodil)/ポエッツ・ナルキッソス(poet’s narcissus) 品種:アクタエア(narcissus poeticus ‘actaea’) 分類:多年草 草丈:約20~40cm 開花時期:3月~5月 切り花:約7~10日 花の色:黄色●橙色●赤色●白色〇 葉色:緑色● 花言葉:「詩人の心」「素敵な装い」 誕生花:12月30日/3月4日/4月3日 | ||
花壇土 | 鉢土 | 水やり |
肥料 | 剪定 | 夏越し |
冬越し | 増やし方 | 病気 |
スイセン(アクタエア)は直径約8cmにもなる純白の大きな花を咲かせる園芸品種です。スイセン(アクタエア)は一般的なクチベニズイセンと同様に白色の花被片と黄色の副花冠、副花冠の縁部分には口紅の様な赤色の縁どりがあります。
開花時期は早春から晩春、花色は白色や黄色、赤色があり、個々の花は6個の花被片と筒状の副花冠があり、花序は茎の頂部に1個の花を単頂花序に咲かせます。草姿は直立で高さ約20(40)cm × 幅は約15(20)cmまで成長します。葉色は緑色、葉身は線形もしくは剣形、葉序は根生葉につきます。
クチベニズイセンは学名Narcissus poeticus、別名「ポエッツ・スイセン(poet’s daffodil)」や「ポエッツ・ナルキッソス(poet’s narcissus)」等とも呼ばれるヨーロッパ原産の多年草です。
クチベニズイセンの語源(由来)
- 属名のナルキッソス(Narcissus)はギリシア神話に登場するナルキッソスに由来しており、古代ギリシア語の「νάρκισσος(nárkissos)」からきています。
- ↳伝承によると、女神ネメシスによる罰により自分しか愛せなくなったナルキッソスは、泉の水面にうつる美しい少年(自分)に恋をしてしまい泉から離れられなくなりました。自分に恋をするナルキッソスは寝食を忘れたため徐々に痩せ細り死んだと言われており、また一説には水面にうつる自分にキスをしようとして泉に落ちて水死したともいわれています。どちらにしてもナルキッソスが死んだ場所からはスイセンの花が咲き、この伝承からスイセンはナルキッソスと呼ばれています。
- 種小名のpoeticusは「詩」「詩人」を意味しており、古代から詩人によってスイセンにまつわる様々な神話が受け継がれ、スイセンの物語に影響を与えたことから名付けられています。
- ↳クチベニズイセンはナルキッソスが死んだ後に咲いたスイセンと言われています。また別の伝承では、ペルセポネがハデスによって冥界へと攫われる前に、友人と一緒に集めていたスイセンがクチベニズイセンと言われており、この伝承から習慣的に墓にそえる花となっています。
- クチベニズイセンの由来は、副花冠の縁部分にある赤色の縁どりが口紅に見える事からきており、またスイセンは中国名の水仙からきます。
- 英名のポエッツ・スイセン(poet’s daffodil)の由来は、香りがよく美しい花のクチベニズイセンが詩人(poet’s)に愛されて、伝承として古来から長く語り継がれてきた事からきています。
クチベニズイセンの特徴(魅力)
- クチベニズイセンはナルキッソスが泉の水面にうつる自分にキスをしようとして落ちた後に咲いた花として知られています
- ↳花の中央にある副花冠は唇の様な筒状の形をしており
- ↳副花冠の縁部分には口紅を連想させるハッキリとした赤色の縁どりがあります
- 花はスイセン特有のフローラルな香りがあり
- クチベニズイセンの花は切り花としても魅力があり
- ↳花瓶の中で約7~10日間花持ちします
- 夏の暑さや冬の寒さに強く丈夫で
- ↳基本的に放ったらかしで育てる事が出来ます
クチベニズイセンは地面下に褐色の球根(鱗茎)をもちます。葉は全て球根から出る根生葉で3~5個つき、葉色は灰みがかる緑色、葉の形は扁平で線形もしくは剣形をしており長さ約20(~40)cm、花茎と同様に直立します。花は最大40cmまで伸びる花茎の頂部に1個の花をつけ、個々の花は直径約3~5cmで白色の花被片が6個と中央に花被片より遥かに短い黄色(縁部分は赤色)の筒状の副花冠があり、また6個の雄蕊と雌蕊があります。
クチベニズイセンの毒性(既知の危険性)
クチベニズイセンは球根や葉にリコリンや他アルカロイドを含んでいるため、人間や家畜(犬や猫等)に対して有毒です。間違えて摂取した場合は、嘔吐・悪心・下痢・発汗・頭痛・昏睡等の症状を引き起こす可能性があり、さらに多量に摂取した場合は死亡する事もあります。そのため、クチベニズイセンは食べられません。
クチベニズイセンの切り花の楽しみ方
- クチベニズイセンの収穫は朝の涼しい時間帯もしくは夕方におこないましょう。
- 収穫の前に水を入れたバケツを準備しておきます。
- クチベニズイセンの収穫は蕾が開きかけ花の色付きが確認出来たタイミング以降で行いましょう。
- ↳収穫する際は粘液に触ると被れる事もあるため注意が必要です。触ったら手を洗いましょう。
- 収穫したら水に漬けて水切りを行いましょう。
- ↳水切りが終わったら粘液を洗い流して花瓶に生けて楽しみましょう。
- ↳管理の方法でも左右されますが日持ちは5~7日程度です。
- 管理は出来るだけ低温環境(糖の消費や蒸散が抑えられる)で数日(約1~3日)ごとに水切りと水換えを行いましょう。
水切り
水切りとは茎の根元を水の中に浸けた状態で、茎の根元から上に約1~5cmの部分でハサミを使い斜めにカットして、吸水面を広げる水揚げ方法です。水切りを行う目的は「細菌」「空気」「その他」が原因で茎が詰まり水揚げが悪くなってる部分を、水の中で切り戻して正常な状態に戻し水揚げを改善する事です。水切りは水の中で茎を切るため導管内に気泡が入りにくいメリットがあります。
クチベニズイセンの栽培
園芸では、スラリと伸びる花茎に咲く上品な花を鑑賞する目的で育てられたり、切り花として利用する目的で育てられたりします。落葉樹の下や植え込み等の日当たりのよい場所を中心に植えられる事が多く、また強健で放ったらでも育つ性質から隅っこの方に植えられる事もあります。
クチベニズイセンを育てる際に注意する事は基本的にありません。花をしっかり咲かせる場合は秋にリンが多めの緩効性肥料を与えた方がいいですが、基本的には低メンテナンスで育てられます。また夏の暑さや冬の寒さに強く丈夫なため放ったらかしでも大丈夫です。