科:アヤメ(Iridaceae)
属:グラジオラス(Gladiolus)
種:ヒブリダス(hybridus)
別名:トウショウブ(唐菖蒲)/オランダショウブ(阿蘭陀菖蒲)/ソードリリィ(sword lily)
開花時期:6月~9月(7月~8月に最も開花)
花の色:赤色●桃色●橙色●黄色●青色●紫色●緑色●白色〇
葉色:緑色●
分類:多年草
草丈:約30~180cm
誕生花:3月23日/6月16日/7月2日/7月8日/7月13日/8月6日/11月26日
花言葉:全体「たゆまぬ努力・ひたむきな愛・満足・勝利・密会・用心」/赤色「堅固・用心深い」/桃色「たゆまぬ努力・ひたむきな愛・満足」/紫色「情熱的な恋」
用途:背が高い花/切り花
グラジオラスとは!?
グラジオラスは学名Gladiolus × hybridus、広義ではグラジオラス属全体をさしますが、一般的には園芸で親しまれる雑種のグラジオラスをさしている事が多く、4~5個の種(G. nanus・G. grandiflorus・G. Primulines等)が交配されて生まれた雑種です。またグラジオラスは別名では「トウショウブ(唐菖蒲)」や「ソードリリィ(sword lily)」等とも呼ばれており、球根をもつ多年草です。
グラジオラスの語源(由来)
- 属名のGladiolusはインド・ヨーロッパ祖語の「kelh₂」に起源があり、後にケルト祖語で「剣」を意味する「kladiwos」になり、幾つかの変化を経てラテン語で「小さな剣」を意味する「gladiolus」になっています。
- ↳Gladiolusの「剣」もしく「小さな剣」の由来は葉の形からきています。
- 種小名のhybridusは「雑種」を意味しています。
グラジオラスの特徴(魅力)
- グラジオラスは直径約5~15cmの大きな花が穂状に並び咲く豪華な花姿が魅力です。
- 花は色鮮やかな花色からパステルカラーまで様々あるためお庭の雰囲気に合わせて品種選びが出来る所も魅力です。
- 草姿は直立して高さ30cm程度の矮性な品種から180cmに達する高性な品種まであります。
- ↳矮性な品種は花壇に並べられて縁取りに利用する事も出来ます。
- ↳高性な品種は花壇に植えて立体感をつくったり収穫されて切り花にされたりします。
- ↳切り花としては管理の仕方にも左右されますが日持ち3~10日程度です。
- 葉は細く長く剣の様な形をしているため英名「ソード・リリィ(sword lily)」の由来にもなります。
- ↳1個の球根から1~9個の葉が出て扇状に広がります。
- 理想的な環境であれば水やりや肥料も殆ど必要なく放ったらかしで育てられます。
グラジオラスは地面下に葉鞘が乾燥し薄皮で包まれた球根(塊茎)をもちます。茎の色は緑色、高さ約30(~180)cmの間で成長します。葉は球根に1(~9)個付き、葉身は剣形をしています。花序は10~(30)個の花が片側に偏り穂状花序に付き、個々の花の大きさは直径約5(~15)cm、花被片は6個(外側3個は大きく内側3個は小さい)あり、雄蕊は3個、雌蕊は1個あります。花後に出来る果実は3室ある球状の蒴果です。
グラジオラスのタイプ別の違い
グラジオラスは主に3つの種(G. nanus・G. grandiflorus・G. Primulines)が使用されて交配されますが、使われる種によってそれぞれ性質が違うため、多くの場合で異なる傾向のグラジオラスになります。
グラジオラス・ナヌス種(G. nanus)
グラジオラス・ナヌス種を由来とする雑種は、高さ約30(~50)cmの細い茎を幾つか伸ばし、直径5cm迄の小さな花を穂状に咲かせます。一般的なグラジオラスと比較してミニチュアになる傾向にあります。
グラジオラス・グランディフロラス種(G. grandiflorus)
グラジオラス・グランディフロラス種を由来とする雑種は、茎が最大180cmまで伸びて非常に背が高くなり、最大15cmに達する大きな花と最大30個の花(芽を含む)を咲かせる事が出来ます。
グラジオラス・プリムリネス種(G. Primulines)
グラジオラス・プリムリネス種を由来とする雑種は、グランディフロラスの花ほど大きくないものの、可憐な花の形をしており複色等の美しい花色があります。
グラジオラスの切り花の楽しみ方
- グラジオラスの収穫は朝の涼しい時間帯もしくは夕方におこないましょう。
- 収穫の前に水を入れたバケツを準備しておきます。
- グラジオラスの収穫は花が1~2個だけ咲いているのを選び収穫しましょう。
- 収穫したら水に漬けた状態で水切りを行います。
- 水切りしたら花瓶に生けて楽しみます。
- ↳日持ちは管理の仕方で変わりますが約3~10日程度です。
- 管理は出来るだけ低温環境(糖の消費や蒸散が抑えられる)で数日(約1~3日)ごとに水切りと水換えを行います。
- ↳また花瓶の水に延命剤(栄養入り)を入れる事でも蕾が開きやすくなるため基本的には延命剤も利用しましょう。
水切り法
水切り法とは、切り花の切り口を水の中に付けた状態で切り戻しを行い、切り口の更新を行う水揚げ方法です。
水切りは、特定の植物または特定の条件を除いた、殆どの植物に行われている、最も一般的な水揚げ方法になります。
水切りは、水の中で茎を切るため導管内に気泡が入りにくいメリットがあります。また水切りを行うことで「微生物」「空気」「その他」が原因で詰まっている茎を取り除くため、切り口からの水揚げ正常に戻ります。
水切りの方法
切り花の切り口を水の中に浸けます。水の中につけた状態で、切口の根元から上に1~5cm程度を取り除くつもりで、ハサミを使って斜めにカットします。
切り口部分を斜めにすることで、吸水部分が広がり、水揚げの効果が高まります。
おすすめの延命剤
グラジオラスの栽培方法
園芸では、色鮮やかで大きく豪華な花を鑑賞する目的や、花を収穫して切り花として利用する目的で育てられます。草丈は最大180cmになる高性な品種から30cm程度の矮性な品種があるため、育てる品種に合わせて花壇の中央や後方等に植えて高さと立体感を出したり、花壇の前方や中央部に並べて縁どりとして楽しんだりすると良いでしょう。またグラジオラスは豊富な花色があるため、赤色や黄色等の色鮮やかな複数の花を組み合わせてカラフルなお庭をつくるのもいいかもしれません。
グラジオラスを育てる際に注意する事は「日向に植える」くらいです。一度活着すれば水やりや肥料を与える事が殆ど不要になるため放ったらかしでも育ちます。
グラジオラスの主な種と園芸品種は下のリンクから紹介しています。
グラジオラスの珍しい種類、主な種とおすすめの園芸品種等の紹介【2022】
グラジオラスの育て方
花壇の土づくり
日当り
グラジオラスは日光のよく当たる場所で最もよく成長して沢山の花を咲かせます。一方で日当たりの悪い場所では花付きが悪くなります。そのため基本的には直射日光が6時間以上当たる日向で育てますが、3時間~5時間の半日影までで植えて育てる事が出来ます。
土壌のPH
グラジオラスは土壌のPH6.0~6.5の間を好みます。PHが高すぎたり低すぎたりすると生育不良になる可能性が高くなります。そのため植付け前にPHを診断して、PHが高い場合はピートモスを入れたり、PHが低い場合は苦土石灰を入れる等してPHの改善を行いましょう。
土壌の土質
グラジオラスは土壌の土質をあまり選びません。基本的には通気性と排水性が良く、適度に肥沃な土壌であれば問題なく育ちます。
植付けの前に土壌診断を行いましょう。
①土を掘る時に硬い場合は作土層が十分でない可能性があります。
②土を濡らして握った時にバラバラと崩れる場合は保水性がない可能性があります。逆に土の塊が出来ても崩れる感じがない場合は粘土質で水捌けが悪い土壌の可能性があります。
③肥沃な土の場合は土の色が黒っぽくなるため、土の色が薄い場合は土壌の肥沃さが足りない場合があります。
土壌診断後、必要に応じて通気性を高めるパーライトや川砂を入れたり、保水性や保肥力を高める田土や黒土を混ぜたり、肥沃さが足りない場合は牛ふん堆肥や腐葉土等の堆肥を混ぜこみ土壌改善を行いましょう。
植付けの方法
グラジオラスの球根(塊茎)の植付け深さは、球根の大きさでも変わります。一般的には球根の高さの2倍の深さ、もしくは小さな球根では深さ約5~7cm、大きな球根では約10~15cmの間で植えましょう。
鉢土づくり
日当り
グラジオラスは日当り好むため、直射日光が6時間以上当たる日向もしくは、午前中のみ日が当たり午後から日陰になるような半日影で育てましょう。
培養土
グラジオラスは一般的な草花の培養土で育てられます。自作する場合は通気性と保水性のバランスが良く肥沃な培養土で育てましょう。
- 赤玉土(小粒・中粒)+腐葉土=6:4
- 赤玉土(小粒・中粒)+パーライト+腐葉土=4:2:4
水やりの仕方
地植え
グラジオラスは乾燥に強い植物のため、地植えしている場合は降水のみでも育てられます。 ただし水が十分に与えられないと成長が止まったり花がしっかり咲かない事があります。そのため必要に応じて、土の表面(数cm)が乾いてきたタイミングで水やりを行うといいでしょう。
鉢植え
グラジオラスを鉢植えで育てる場合は土の乾燥が早くなるため、定期的な水やりが必要になります。基本的には土の表面(数cm)が乾いてきたタイミングで水やりを行うといいでしょう。
肥料の与え方
グラジオラスに与える肥料は、基本的には植付け時に与える元肥のみです。必要に応じて球根を大きくする目的で花後にお礼肥を施しましょう。
元肥
グラジオラスの元肥は植え付け時もしくは、植付け2週間に前(有機肥料の場合)に与えましょう。
元肥は緩効性肥料もしくは配合肥料を選びましょう。肥料の成分は山型肥料(リン酸多め)を選びます。
元肥の与え方は花壇の場合も鉢植えの場合も、基本的に土壌に均一に混ぜこむ全面施肥です。規定された量を入れましょう。
お礼肥
グラジオラスのお礼肥は必ず必要なものではありませんが、球根を太らせる目的で必要に応じて花が終わったら与えます。
グラジオラスのお礼肥は速効性の高い化成肥料もしくは配合肥料(ぼかし肥料)を選びましょう。肥料の成分はカリが多いものを選びましょう。
お礼肥の施し方は、株元から少し離した場所に置き肥するか、5cm程度穴を掘って、その中に肥料を埋めます。
冬越しする方法
Hardiness:7b~8a
グラジオラスは耐寒性が高く冬越しの準備をする必要は基本的にはありません。
必要に応じて、盛土を行い球根を凍結から保護したり、球根を掘りあげて日陰で乾燥貯蔵しましょう。
乾燥貯蔵
乾燥貯蔵とは球根を掘り起こした後に、球根を乾燥させて貯蔵する方法です。
乾燥貯蔵のやり方
①球根を掘りあげます。
②球根に付いた土を水洗いする等して取り除きます。
③直射日光の当たらない風通しの良い場所で乾燥させます。
④必要に応じて根や皮を取り除きます。
⑤球根をネットの袋の中等に入れて乾燥させて風通しよい日陰等で保管します。