原産:ヨーロッパ/アフリカ/西アジア
科:マツムシソウ(Dipsacaceae)
属:マツムシソウ/スカビオサ(scabiosa)
品種:バタフライブルー(butterfly blue)
別名:セイヨウイトバマツムシソウ/スモールスカビオサ(small scabious)/ドワーフ ピンクッション フラワー(dwarf pincushion flower)
品種:ブルーノート(scabiosa columbaria blue note)
開花時期:4月~10月
花の色:青色●紫色●
葉色:緑色●
分類:多年草
草丈:約30cm
誕生花:6月30日
花言葉:風情/魅力/不幸な恋
用途:切り花
目次 | ||
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花壇土 | 鉢土 | 水やり |
肥料 | 剪定 | 夏越し |
冬越し | 増やし方 | 病気 |
スカビオサ(ブルーノート)とは!?
スカビオサ(ブルーノート)は基部でよく枝分かれするため沢山の花を咲かせる傾向にあり、またクッションの様なふんわりした花の形と、涼しげな青色(薄紫色)の花色がみりょな園芸品種です。透明感ある青色の花は、心を穏やかにしたり癒される様な優しい雰囲気をつくるため、リラックス出来るようなお庭や爽やかで気品のあるお庭等によくあいます。
スカビオサ(ブルーノート)は高さが30cmまでと背が低くコンパクトな草姿をしています。そのため鉢植えで育てやすく、幾つかの苗を並べて花壇の縁どり等に利用出来ます。ただし多湿を苦手にしているため、長雨で浸水する様な場所等は避け、水分が停滞する様な粘土質な土壌は改善する必要があるでしょう。
スカビオサ(コルムバリア種)とは!?
スカビオサ(コルムバリア種)は学名scabiosa columbaria、別名「セイヨウイトバマツムシソウ」や「スモールスカビオサ(small scabious)」等とも呼ばれヨーロッパ及びアフリカ、西アジアを原産とする多年草です。
スカビオサ(コルムバリア種)の語源(由来)
- 属名のScabiosaはラテン語で「疥癬」を意味する「scabies」に由来しており、重度の痒みを引き起こす疥癬を治療するためのハーブとして利用されていた事からきています。
スカビオサ(コルムバリア種)の特徴(魅力)
- スカビオサ(コルムバリア種)は英名で「dwarf(背の低い) pincushion flower(スカビオサ)」と呼ばれますが最大100cmまで成長して全体的に背が高くなる傾向にあります。
- また分枝もよく沢山の花を咲かせます。
- 花は直径が約2(~4)cmとコーカシカ種と比べると小降りです。
- クッションの様な柔らかな見た目をしており外周部の小花が大きくひらひらとしてフリルの様になります。
- 花は切り花としても魅力的で管理の仕方や場所にも左右されますが3日~5日程度の日持ちがあります。
- 葉の形はヘラ形(~さじ形)から縁部分が大きく裂ける羽状全裂まであり、通常は茎上部の葉ほど大きく裂けて細くなります。
- スカビオサ(コルムバリア種)は多年草ですが短命のスカビオサです。
スカビオサ(コルムバリア種)の草姿は叢生型(根元から多くの茎が出る)で、茎は直立に伸び分枝しながら高さ約20(~100)cm、幅が約30(~45)cmに成長します。葉は根生葉と茎葉があり、茎葉は互生葉序につきます。葉色は緑色、葉身はヘラ形・さじ形・羽状浅裂(~全裂)しており縁部分には鋸歯があります。花序は直径約2(~4)cmの頭花(筒状花が多数集まる)です。個々の花(頭花)の筒状花は裂片が5個あり、外周部の筒状花ほど大きく外側の裂片3個も大きくなります。花後に出来る果実は痩果です。
スカビオサ(コルムバリア種)の切り花の楽しみ方
- スカビオサ(コルムバリア種)の収穫は朝の涼しい時間帯もしくは夕方におこないましょう。
- 花の収穫は外側の花弁が開いてきたタイミングで行います。
- 水揚げは水に漬けて水切りと必要に応じて湯揚げを行います。
- 管理場所は出来るだけ低温環境(糖の消費や蒸散が抑えられる)でエチレン発生源から離した場所で楽しみましょう。
- 高温環境では日持ちが悪くなり、またエチレンの感受性が高い事からエチレンが発生する場所の近くに置くと花が萎れやすくなります。
- 管理は数日(約1~3日)ごとに水切りと水換えを行い、水揚げが悪いと感じる場合は必要に応じて湯揚げをしましょう。
- 日持ちは管理の方法でも左右されますが3~5日程度です。
水切り法
水切り法とは、切り花の切り口を水の中に付けた状態で切り戻しを行い、切り口の更新を行う水揚げ方法です。
水切りは、特定の植物または特定の条件を除いた、殆どの植物に行われている、最も一般的な水揚げ方法になります。
水切りは、水の中で茎を切るため導管内に気泡が入りにくいメリットがあります。また水切りを行うことで「微生物」「空気」「その他」が原因で詰まっている茎を取り除くため、切り口からの水揚げ正常に戻ります。
水切りの方法
切り花の切り口を水の中に浸けます。水の中につけた状態で、切口の根元から上に1~5cm程度を取り除くつもりで、ハサミを使って斜めにカットします。
切り口部分を斜めにすることで、吸水部分が広がり、水揚げの効果が高まります。
湯揚げ法
湯揚げ法とは、切り花の切り口をお湯の中と冷水につけて、吸水を改善する水揚げ方法です。※水切りなどをしても、水揚げが上手くいかない場合等に行われます。
湯揚げは、導管内にある空気を熱で膨張させて外に押し出す効果があり、また熱のショックで一気に吸水する効果があります。またお湯で熱するため、切り口部分の雑菌が死滅して、微生物の影響が抑えられます。
湯揚げの方法
- お湯(約60~100度)と冷水を準備します。
- 切り花の花や葉が湯気で弱らないように、新聞紙で切り花を覆います。ただし、切り口の部分はお湯につけるため、茎の下部は新聞紙から出しておきましょう。
- 切り口の根元から上に1~5cm程度を取り除くつもりで、ハサミを使って斜めにカットします。
- お湯(約60~100度)の中に切り口を付けて、切り口から空気が出てこなくなるのをまちます。お湯につける時間はおおよそ20~60秒です。
- お湯から切り花を出して、そのまま冷水の中に2時間程度浸けて水揚げします。
- 水揚げが終わったら必要に応じて水切りを行い花瓶に生けて楽しみます。
エチレン
エチレンは植物の世界では植物ホルモンの一つとして働いています。一般的には植物の成長の阻害や老化、成熟等に関与しており、切り花の世界では日持ちが短縮する要因として知られています。エチレンの感受性が低い切り花(キク・ガーベラ等)はエチレンの影響を受けにくいですが、エチレンの感受性が高い切り花(カスミソウ・スイートピー等)はエチレンの発生源から遠ざけて管理した方が良いでしょう。
エチレンの発生源
果実(バナナ・リンゴ・アボカド等)・枯れた植物(花がら等)・植物が病原菌に感染した部位・植物が損傷部位・たばこ・線香の煙・排気ガス等
スカビオサ(コルムバリア種)の栽培方法
園芸では、クッションを思わせる様なふわふわとした花の形や、茎に多数咲く花姿を鑑賞する目的で育てられる事が多く、またその花を収穫して切り花として利用する目的で育てられたりもします。スカビオサ(コルムバリア種)は比較的に背が高くなる事から花壇の中央に植えて高さと立体感を出したり、また矮性品種では花壇に並べて植えられて利用されたり、管理のしやすい鉢植えに植えて様々な場所で楽しまれたりします。
スカビオサ(コルムバリア種)を育てる際に注意する事は「長雨の浸水」や「高温多湿」です。何故ならスカビオサ(コルムバリア種)は長雨による浸水や高温多湿環境になると、株が弱りやすく枯れてしまったりするからです。そのため、出来るだけ長雨の影響が少ない場所に植えたり、土壌の排水性を高めておく等の対策が必要でしょう。
スカビオサの主な種と園芸品種は下のリンクから紹介しています。
スカビオサの珍しい種類、主な種とおすすめの園芸品種の紹介【2022】
スカビオサ(ブルーノート)の育て方
花壇の土づくり
日当たり
スカビオサ(ブルーノート)は日光のよく当たる場所で最もよく成長して沢山の花を咲かせます。ただし暑さの厳しい地域では、暑さを避けるため西日の当たらない半日影で育てた方がよい事もあります。植える場所は地域に合わせて直射日光が6時間以上当たる日向もしくは、午前中のみ日が当たる半日影で育てましょう。
土壌の土質
スカビオサ(ブルーノート)は、雨が降った後いつまでも湿っている様な多湿環境を苦手にしており、また高温多湿環境が続くと株が弱り枯れる事もしばしばあります。そのため土壌の排水性と通気性を上げて、適度に有機物の入る適度に肥沃な土壌で育ててあげましょう。
植付けの前に土壌診断を行いましょう。
①土を掘る時に硬い場合は作土層が十分でない可能性があります。
②土を濡らして握った時にバラバラと崩れる場合は保水性がない可能性があります。逆に土の塊が出来ても崩れる感じがない場合は粘土質で水捌けが悪い土壌の可能性があります。
③肥沃な土の場合は土の色が黒っぽくなります。土の色が薄い場合は土壌が肥沃じゃない可能性があります。
土壌診断後、作土層が十分でない場合はスコップで土を深くまで掘り起こし石等を取り除きます。土壌が粘土質な場合は必要に応じて通気性を高めるパーライトや川砂を入れましょう。また肥沃さはそれほど必要ありませんが、必要に応じて腐葉土や牛糞等の堆肥を混ぜこみ土壌改善を行いましょう。
鉢土づくり
日当り
スカビオサ(ブルーノート)は日当り好むため、基本的には直射日光が6時間以上当たる日向で管理しましょう。また3時間~5時間の半日影までで植えて育てる事が出来ます。長雨に当たり浸水状態や多湿環境が続くと株が弱りやすいため、必要に応じて雨の当たらない場所(軒下等)に移動するのも良いでしょう。
培養土
培養土は通気性の高い草花の培養土で育てられます。自作する場合は通気性が良く適度に肥沃な培養土で育てましょう。
- 赤玉土(小粒・中粒)+パーライト+腐葉土=4:2:4
- 赤玉土(小粒・中粒)+鹿沼土(小粒・中粒)+腐葉土=4:3:3
水やりの仕方
地植え
スカビオサ(ブルーノート)を地植えしている場合は乾燥に強いため、極端に乾燥する場合を除いて、基本的には降水のみで育てられます。 ただし葉や花が萎れている場合は直ちに水やりを行いましょう。
鉢植え
スカビオサ(ブルーノート)を鉢植えで育てる場合は土の乾燥が早くなるため、定期的な水やりが必要になります。基本的には土の表面(数cm)が乾いてきたタイミングで水やりを行うといいでしょう。土の表面の乾燥を確認する方法は目視(土の色)か、指の第1関節までを土に入れて乾燥しているかを確認します。
肥料の与え方
スカビオサ(ブルーノート)は栄養の乏しい土壌でも育ち、基本的にそれほど肥料を必要としません。逆に肥料を与え過ぎると株が短命になる可能性があります。
肥料を与える場所は、成長期に1度だけ緩効性肥料を与えましょう。
剪定のやり方
スカビオサ(ブルーノート)の剪定は「花がら摘み」「間引き」の2つに分かれます。
花がら摘み
スカビオサ(ブルーノート)は開花期間中の花がら摘みが大切です。何故なら枯れた花を残すと見た目が悪いばかりか、種を作り初めて株が弱り生育が衰えたり、蕾の花が咲にくくなったりするからです。 枯れた花を摘む事は、沢山の新しい花を咲かせる事に繋がります。
花がら摘みの方法は萎れた花もしくは枯れた花を、茎の途中の葉の上で剪定するだけです。
間引き剪定
スカビオサ(ブルーノート)の間引き剪定は、花が終わる秋頃に行いましょう。
間引き剪定の目的は不要な茎を取り除く事で、光合成を行う主要な葉にエネルギーを優先的に送ったり、光の通りや風通しをよくしたりする事で健康な成長を促す所にあります。
間引き剪定のやり方は、花が終わった茎を根元付近で強く切り戻し取り除くだけです。
夏越しする方法
スカビオサ(ブルーノート)は夏の暑さに耐えますが、多湿を苦手にしており、特に暑さと多湿のストレスが組み合わさる高温多湿を非常に苦手にしています。そのため必要に応じた夏越し対策が必要です。
スカビオサ(ブルーノート)の夏越し対策
- 鉢植えで育てている場合は軒下等に移動して雨に当てない工夫をするといいでしょう。
- 地植えする場合は雨にあたりにくい場所に植えてあげるのも1つの対策です。
- 多湿に弱いため土壌の排水性を高めて、浸水しないようにしておく事も大切です。
冬越しする方法
Hardiness:5b~9a
スカビオサ(ブルーノート)は耐寒性が高く冬越しの準備をする必要は基本的にありません。
挿し木や株分けで増やす
スカビオサ(ブルーノート)は挿し芽と株分けによって増やす事ができます。
スカビオサ(ブルーノート)の挿し木手順
- スカビオサ(ブルーノート)の挿し芽時期は生育が活発で発根力が高い晩春から初夏が適します。
- 長さ約7~10cmで茎をカットしましょう。
- ↳挿し穂の下部の葉を取り除き上部の葉を残します。
- 切り口に発根ホルモンを付けます。
- 挿し穂を湿らせた培養土に挿して下さい。
- 明るい日陰で土壌が完全に乾燥しない様に水やりをしっかり行い管理しましょう。
播種で増やす
スカビオサ(コルムバリア種)の種蒔の方法
播種時期:3月~4月・9~10月
発芽適温:約15度~20度
発芽日数:約7日~21日
光条件:
スカビオサ(コルムバリア種)の種まき手順
- ポットに種まき用の培養土を準備するか、直播きする場所の土壌を整えます。
- 種を土に置き軽く押し込みます(鎮圧と呼ばれる方法で土と種の接着を高め水分の吸収をよくする)
- 種の上に薄く土を被せます。
- 播種後は乾燥すると発芽率が落ちるため、必ず土と種が乾燥しないように水やりを行い管理しましょう。
植物の病気
スカビオサ(コルムバリア種)の病気
- 灰色カビ病
- 白絹病
スカビオサ(コルムバリア種)の害虫