
- 原産:ヨーロッパ/西アジア/アフリカ
- 科:スイカズラ(Caprifoliaceae)
- 同義語:マツムシソウ(Dipsacaceae)
- 属:マツムシソウ/スカビオサ(Scabiosa)
- 種:コルムバリア(Scabiosa columbaria)
- 別名:セイヨウイトバマツムシソウ/スモールスカビオサ(small scabious)/ドワーフ ピンクッション フラワー(dwarf pincushion flower)
- 品種:ブルーバルーン(Scabiosa columbaria ‘scabiosa blue balloon’)
- 開花時期:4月~11月※最盛期は5月~8月
- 花の色:青紫色・白色
- 葉の色:緑色
- 香り:
- 生活形:多年草(短命)
- 草丈:約20~30cm
- 株張り:
- バイオーム:
- 誕生花:6月30日
- 花言葉:風情/魅力/不幸な恋
- 用途:開花期間長い/切り花/種から育てる植物
- 購入方法:スカビオサ(ブルーバルーン)を楽天で購入
■スカビオサ(ブルーバルーン)の特徴
- 学名:Scabiosa columbaria ‘blue balloon’
- 花の色:青紫色・白色
- 葉の色:緑色
- 草丈:約20~30cm
- 備考:株は矮性で、花付きが抜群によく次々と花を咲かせるため、寄せ植えなどにも使いやすい品種です。花序を構成している、花(中心花)が盛り上がり、バルーンのような外観をしている点も魅力です。
■スカビオサ・コルムバリアとは!?

スカビオサ・コルムバリア(学名: Scabiosa columbaria)は、別名では「セイヨウイトバマツムシソウ」「スモールスカビオサ(small scabious)」「ドワーフ ピンクッション フラワー(dwarf pincushion flower)」とも呼ばれるスイカズラ科(旧マツムシソウ科)マツムシソウ属(スカビオサ属)の短命の多年草です。
スカビオサ・コルムバリアの原産地はヨーロッパ、西アジア、アフリカに広がり、自生地は乾燥気味の草原や日当たりの良い山地の斜面などに見られます。
■スカビオサ・コルムバリアの語源(由来)
- Scabiosaの由来:ラテン語で「疥癬」を意味する「scabies」に由来しており、重度の痒みを引き起こす疥癬を治療するためのハーブとして利用されていた事からきています。
- columbariaの由来:ラテン語で「鳩」を意味する「columba」から来ていると考えられています。
■スカビオサ・コルムバリアの特徴(魅力)
- スカビオサ・コルムバリアの魅力:本種は葉が単葉と分裂葉の2種類あり、特に茎葉は上部にいくほどに葉の切れ込みが深くなっていく点が特徴です。また一般的なスカビオサ属と比べて、花のサイズが約2.5~3.5cmと小ぶりですが、多数の茎を叢生し、集散状に頭花が次々と咲くため、花付きが抜群によく、開花期間も長めです。花は周辺花がそれほど巨大にならず、フリルしているため、ドーム状に盛り上がる中心花との組み合わせでクッションのような可愛らしい外観をしています。そのため、園芸では、この華やかで可愛らしい印象を与える花をロマンチックなお庭の中に添えて鑑賞したり、また収穫して切り花やアレンジメント等で利用する目的で栽培されたりします。
- 草姿:生育型は叢生型、または偽ロゼット型で、地面下に根茎を持っており、冬の期間をロゼットで過ごした後、春になると高さ約50~100cmまで茎を何本も伸ばして早ければ春頃から花を咲かせはじめます。
- 葉の特徴:葉は基部から発生する根生葉と茎から発生する茎葉があります。根生葉は基本的に単葉で概形はヘラ形をしていますが、茎葉は基本的に分裂葉になり、茎の上部にいくほどに切れ込みが深くなり、奇数羽状浅裂から奇数羽状全裂の範囲で差異がでます。
- 花の特徴:開花期は4月~11月、開花の最盛期は5月~8月です。花序は頭花集散花序で、これは茎頂で頭状花序が開花した後、茎の下部で枝分かれして更に頭状花序が集散状に次々と開花していく咲き方です。またこの咲き方により花が長く楽しめます。頭状花序は直径が2.5~3.5cmほど、花序を構成する花は、裂片が5個ある合弁花冠です。合弁花冠のうち、外側にある周辺花はやや大きく発達していてフリル状に波打っており、中央にある中心花は小さく、特に蕾の時は豆粒のような外観をしています。この周辺花と中心花で織り成すコントラストが、ふわふわとしたクッションのような見た目をしているため、可愛らしい雰囲気のお庭によく映えます。花の色は品種などにより変わりますが桃色・青色・紫色・白色があります。
- フラワーアレンジメント:スカビオサ・コルムバリアの花や花後の果実を収穫して切り花として楽しんだり、またドライフラワーにしてフラワーアレンジメントの素材として活用できたりします。ふわふわとした見た目の花は可愛らしい見た目をしてるため、切り花やアレンジメントの中で可愛らしい雰囲気を添える事が出来るでしょう。切り花として用いた場合、花瓶の中での寿命は5~7日ほどになります。
- 寄せ植え:スカビオサ・コルムバリアは、株は叢生して茎が行儀よく直立して高さを出すため、株にボリューム感または高さのある植物や、鉢縁から枝垂れるような植物と組み合わせると奥行きと立体感のある魅力的な寄せ植えになります。
- 苗の増殖:種子から簡単に苗を増やせるため、広い面積の花壇や庭を埋めるのに役立ちます。
■スカビオサ・コルムバリアの生活形と形態
●生活形・茎の形態
- 草丈:約50~100cm
- 生育型:偽ロゼット型・叢生型
- 偽ロゼット型:ある期間をロゼットで過ごしますが、その後に根生葉を残して茎が直立するもの。
- 叢生型:地際から茎が何本も出て叢生(株立ち)するもの。
- 茎の種類:根茎・直立茎
- 根茎:普通の根っこのように見える地面下にある茎です。
- 直立茎:茎がほとんど垂直に伸びる。
- 茎の色:緑色
●葉の形態
- 葉序:根生葉・対生葉序
- 葉身の概形:根生葉はヘラ形、茎葉は奇数羽状浅裂・奇数羽状中裂・奇数羽状深裂・奇数羽状全裂になり、茎の上部ほど分裂葉の切れ込みは深くなる。
- 分裂葉の裂片の概形:楕円形・線形
- 葉の色:緑色
●花の形態
- 花序:頭状集散花序で、頭状花序が集散状に枝分かれしながら次々と開花する。
- 頭状花序:花序軸の先端は短縮して円盤状になり、基部に総苞があり上面に花が密集します。マツムシソウ科の総苞は、キク科の頭花の総苞とは異なり、より葉状です。花序を構成する花は、外側(周辺花)がやや大きく発達していて、中央(中心花)は小さい。
- 頭状花序の直径:約2.5~3.5cm
- 総苞:頭状花序の基部で、複数の総苞片が集まり、花を保護している。
- 総苞の概形:杯状
- 総苞片の列:約1~3列
- 総苞片の形:針形・狭披針形
- 総苞片の色:緑色
- 小総苞(副萼):小花の基部にあり、萼の基部にある付属物で、概形は漏斗状です。
- 萼:萼筒で剛毛がある
- 花冠:合弁花冠で、花冠筒部は細長く、花冠裂片は5枚あり、3枚の大きな裂片と小さな2枚の裂片がある。※唇形花冠に分類される事もある。
- 花冠の色:青色・紫色・桃色・白色
- 雄蕊:4本
- 雌蕊:1本
●果実・種子の形態
- 果実の分類:痩果型多花果※複数の花が集まってついており、花の雌蕊が痩果になり、複数の痩果が癒着してひとまとまりになる事で、ひとつの果実のように見られるものです。
- 痩果型多花果の概形:球形・卵形
※植物の形態についてはこちらのページも参考にしてください。
スカビオサ・コルムバリアの切り花とドライフラワーの楽しみ方
切り花の作り方

- 収穫:切り花の収穫は花が十分水分を含んでいる朝の涼しい時間帯もしくは夕方におこないましょう。
- 花材の選び方:花の収穫は外側の花弁が開いてきたタイミングで行います。
- 水揚げ:葉は水揚げを悪くするため必要な分を除いて茎から全て取り外します。茎の切り口は水切りを行うか、必要に応じて湯揚げを行います。
- 花を生ける:花瓶の中に水を入れて花を生けます。
- 管理:直射日光を避けた15~20度の涼しい環境、またエチレンの感受性が高いためエチレンガスから離して管理すると日持ちがよくなります。また徐々に水揚げが悪くなるため、必要に応じて水切りを再度して水換えをしましょう。管理の方法にも左右されますが日持ちは7~10日程度です。
水切り法
水切り法とは、切り花の切り口を水中につけた状態で切り戻しを行い、切り口の更新を行う水揚げ方法です。水切りは、特定の植物または特定の条件を除いた、殆どの切り花で行われている、最も一般的な水揚げ方法になります。
水切り法は、水中で茎を切るため導管内に気泡が入りにくいメリットがあります。また水切り法を行うことで茎が詰まっている原因(微生物・空気・樹液など)を取り除いて、切り口の状態を正常に戻す効果があります。
水切り法のやり方
- 準備:花材と水の入った容器を準備する
- 茎の切断:切り花の切り口を水中に漬けて、その中で切り口の根元から上に約1~5cmの場所で斜めにカットします。※斜めにカットする事で吸水部が増えて水揚げ効率がよくなります。
- 切り花を生ける:切り口を別の容器にいれて水揚げするか、花器に入れて飾ります。
湯揚げ法
湯揚げ法とは、切り花の切り口をお湯の中と冷水につけて、吸水を改善する水揚げ方法です。※水切りなどをしても、水揚げが上手くいかない場合等に行われます。
湯揚げは、導管内にある空気を熱で膨張させて外に押し出す効果があります。また熱のショックで一気に吸水する効果があります。またお湯で熱するため、切り口部分の雑菌が死滅して、微生物の影響が抑えられます。
湯揚げの方法
- 準備:容器・お湯(約60~100度)・冷水を準備します。
- 花材の保護:花や葉が蒸気で弱らないように、切り花の上部を新聞紙でくるみ覆います。切り口の部分はお湯につけるため、茎の下部は新聞紙から出しておきましょう。
- 茎の切断:切り口の根元から上に約1~5cmの場所で斜めにカットします。
- お湯に浸ける:お湯(約60~100度)の中に切り口を浸して、切り口から空気が出てこなくなるのを待ちます。お湯につける時間は約20~60秒の間です。
- 冷水に浸ける:お湯から切り花を出した後、そのまま冷水の中に2時間程度浸けて水揚げします。
- 切り花を生ける:切り花を花器に入れて飾ります。
エチレン
エチレンとは、構造式CH2=CH2、二重結合で結ばれた炭化水素のひとつです。植物ホルモンの一つでもあり、切り花の世界では、老化を促進するため、花弁が通常よりも早く萎れたり落弁させたりして、日持ちの短縮原因となっています。そのためエチレン耐性の低い切花ではは発生源から遠ざける事が大切となってきます。
エチレンの主な発生源
- 線香の煙
- 煙草の煙
- 石油ストーブ
- 排気ガス
- 果物の近く
- 糖不足の切り花
- 枯れた植物(花がら等)
- 1部植物の雌蕊や花托
ドライフラワーの作り方

- 準備:花材(乾燥した果実)・麻紐・洗濯物干しを準備します。※花材は花が十分に開花している物を選んで下さい。
- 花材の下処理:花材が大きい状態のままでは乾燥に時間がかかったり、綺麗に乾燥しなかったりします。そのため花材を使いやすい大きさに切り分けて大きさを調整しましょう。花材の下葉は基本的に不要で、束ねる時などに邪魔になるため、茎の下部の不要な葉は落とします。
- 花材を束ねる:花材を1本または2~3本程度で束ねて、麻紐で茎の下部分をくくり固定しましょう。※花材を多く束ね過ぎると花材同士がくっついて乾燥した時に歪んだり、花材同士がくっつく事で風通しが悪くなり乾燥までに時間がかかり色落ちが進んだりします。
- 植物を吊るす:花材を逆さまにして、洗濯物干しに掛けたり、壁と壁の間に麻紐を張ってその間に花材を吊るしましょう。花材同士を密着させると風通しが悪くなり乾燥までに時間がかかり色落ちが進む事があるため、花材同士は離して乾かします。
- 管理する時の注意点:花は紫外線の影響で色褪せが進み痛みやすいため直射日光が当たる場所は避ける。多湿環境では乾燥までに時間がかかるため、風通しのよい部屋などに花を吊るして自然乾燥させたり、エアコン・除湿機を利用して部屋の湿度を減らす。またサーキュレーターで部屋全体の空気を循環させて花材を素早く乾燥させることも出来ます。
- 完成までの時間:温度・湿度・風通し等で変化しますが、普通は約1~2週間です。
- 完成後:花材として一時保管するか、スワッグやリース等のフラワーアレンジメントに利用できます。
■スカビオサ・コルムバリアの園芸品種を紹介
ブルーバルーン

学名:Scabiosa columbaria ‘blue balloon’
花の色:青紫色・白色
葉の色:緑色
草丈:約20~30cm
備考:株は矮性で、花付きが抜群によく次々と花を咲かせるため、寄せ植えなどにも使いやすい品種です。花序を構成している、花(中心花)が盛り上がり、バルーンのような外観をしている点も魅力です。
ビビットバイオレット

学名:Scabiosa columbaria ‘vivid violet’
花の色:紫色・桃色
葉の色:緑色
草丈:約30~50cm
備考:花付きが抜群によく春から晩秋にかけて長く開花する品種です。海外の試験では、うどんこ病に高い耐性も示しており、栽培がしやすくなっています。
ピンクミスト

学名:Scabiosa columbaria ‘pink mist’
花の色:桃色・クリーム色(中心花)
葉の色:緑色
草丈:約30~50cm
備考:花(頭花)のサイズが最大5cmに達する事があり、頭花を構成している周辺花が大きくフリル状に波打っています。そのため、強い存在感と優美さを感じさせる花姿を楽しめる品種です。桃色の花は、女性的な可愛らしい印象を与えるため、ロマンチックな雰囲気のお庭などによく合うでしょう。
ナナ

学名:Scabiosa columbaria ‘Nana’
花の色:青紫色
葉の色:緑色
草丈:約15~30cm
備考:名前が示すとおり矮性品種です。コンパクトに成長するため、スモールガーデンや鉢植えでの管理が楽になります。
フラッター ピュアホワイト

学名:Scabiosa columbaria ‘flutter pure white’
花の色:白色
葉の色:緑色
草丈:約30~40cm
備考:花(頭花)のサイズが大きく、頭花を構成している周辺花が大きくフリル状に波打っています。そのため、強い存在感と優美さを感じさせる花姿を楽しめる品種です。純白の花は明るさや清潔感を感じさせるため、エレガントなお庭の中に添えてみたり、エントランスガーデンにの中に添えて鑑賞してみたりするとよいでしょう。
■スカビオサ(マツムシソウ)属の主な種と園芸品種は下のリンクから紹介しています。
■スカビオサ・コルムバリアの育て方
花壇の土づくり
バイオーム
スカビオサ・コルムバリアの主なバイオームは温帯広葉樹林・地中海植生・乾燥性灌木地・サバンナなどにある。この植物の原産地はヨーロッパ、西アジア、アフリカに広がり、自生地は乾燥気味の草原や日当たりの良い山地の斜面などにあり、主な気候は温帯・冷帯・乾燥帯に属します。気温は場所により大きく変わり、年間降水量も平均的または平均より少なく、非常に乾燥している場所(年平均降水量が乾燥限界以下)でも生息できます。土質に関しては基本的に砂礫質で、水捌けがよく乾燥気味で、栄養も乏しい場所を好んで生息しています。一方で、多湿を苦手にしているため、ジメジメとした環境では根腐れして枯れる事が多いです。
※バイオームについてはこちらのページも参考にしてください。
日当り
スカビオサ・コルムバリアは、日向から半日影の範囲で育てることが出来ます。基本的に日光のよく当たる場所で最もよく成長して沢山の花を咲かせますが、夏場の暑さが厳しい地域では、西日が暑さ・強光・乾燥のストレスを増大させて、生育を悪くする可能性があるため、西日の当たらない半日影で育てるのが理想です。
日当りの分類
- 日向:直射日光が6時間以上当たる場所です。一般的に全方位に障害物がない、またはお庭の向きが南向きの場所になります。
- 半日影:直射日光が3時間から5時間程度当たる場所です。一般的にお庭の向きが東向きになる、西向きも半日影になるが西日が当たる環境にもなるため注意が必要です。
- 明るい日陰:直射日光が二時間程度まで、または間接光だけが当たるような比較的に明るい場所です。一般的にお庭の向きが北向き、または日差しを遮る障害物が多い環境です。
- 暗い日陰:森の中にあるような直射日光も間接光もほとんど当たらないような暗い場所です。
土壌の土質
- 土質:基本的に高い通気性と排水性を兼ね備える土壌を好みます。そのため土質は水捌けのよい砂壌土が適します。水分が停滞してジメジメと湿り過湿になりやすい粘土質の土質は許容せず、根腐れを引き起こすため避けた方が良いでしょう。
- 肥沃さ:自生地では砂や礫が多くて、腐植質が少ない、栄養分の乏しい痩せた場所に生息しています。この事からも分かる通り、堆肥を大量に入れる必要がありません。逆に堆肥を入れ過ぎると、夏場に蒸れて根腐れを引き起こす原因になることもあるため注意が必要です。栄養の与えすぎは生育不良につながる可能性もあります。土壌が極端に痩せていると感じる場合は、土壌の土に対して1~2割を目安に土壌に混ぜ込むとよいでしょう。
- PH:PHは6.5~7.5の中性から弱アルカリ性を好みます。土壌のPHを診断して適正範囲外にある場合は土壌改良材などを用いてPHを調節しましょう。PHが極端に外れた土壌では微量要素などの栄養補給が上手くいかずに生育不良になる場合があります。
土壌診断と改善の行い方
- 排水性の診断:深さ30cm程度・幅30cm程度の穴を掘り、穴の中を水で完全に満たす。一時間あたり約3~10cmの排水があれば、一般的な植物を育てるのに適した排水性になります。※それ以下またはそれ以上である場合は排水が悪い、または排水がよすぎる可能性があります。
- 排水性の改善:花壇を高くしたり、ロックガーデンを作り、植物を植える場所を周囲より高くする。また縦穴暗渠(縦穴排水)や排水溝をつくる。
- 作土層の診断:調べたい箇所の土壌に支柱を出来るだけ深くまでさします。支柱の入った部分が30cm前後あれば一般的な植物であれば、根を張るのに十分な作土層がありますが、それ以下であれば改善が必要です。また土壌を観察して石やゴミがあれば根を伸ばすのに邪魔になるため取り除いた方が良いでしょう。
- 作土層の改善:植物を植える箇所とその周囲をシャベルを使って30cm程度の深さまで掘り起こして解します。また石がある場合は土ふるいを使用して取り除きましょう。
- 土壌(土性)の性質の診断:土壌の通気性・保水性・保肥力を知るために、土壌を砂土・砂壌土・壌土・埴壌土・埴土に分類して、植物に合わせて土壌の改良をしましょう。
- 砂土:排水性と通気性が高く乾燥しやすいため、水分過剰による根腐れを引き起こしにくい。診断は、適度に湿らせた土を触った時にザラザラとした砂の粗い感触がある。手のひらや指で捏ねても全く固まらずに簡単に崩れる。
- 砂壌土:排水性と通気性が高く乾燥しやすい傾向がある、砂土と比べると、保水性と保肥力が少しあるため、乾燥気味の土壌を好む植物などに向いています。診断は、適度に湿らせた土を触った時に砂のザラザラ・粘土のヌルヌルとした感触がある。手のひらや指で捏ねると、緩く固める事が出来るが崩れやすい。
- 壌土:通気性・保水性・保肥力のバランスが高いため土壌管理がしやすい。診断は、適度に湿らせた土を触った時に砂のザラザラ・粘土のヌルヌルとした感触がある。手のひらや指で捏ねて伸ばすと、鉛筆程度の太さの棒状まで伸ばすことが出来る。 ただし伸ばした棒を曲げるのは難しい。
- 埴壌土:保水性・保肥力が高いため乾燥しにくい傾向がある。診断は、適度に湿らせた土を触った時に粘土のヌルヌルとした感触があり、砂のザラザラも少し感じる。手のひらや指で捏ねて伸ばすと、マッチ棒程度の太さまで伸ばすことが出来て、輪っかに曲げても切れにくい。
- 土壌(土性)の性質の改善:土壌の診断をしたら、植物が求める環境に合わせて土壌改良材をいれます。
- 通気性・排水性の改善:通気性・排水性の高い土壌改良材(パーライト・日向土・川砂・バーク堆肥 など)を混ぜ込む。
- 保水性の改善:保水性の高い土壌改良材(腐葉土・ピートモス・バーク堆肥・黒土)を混ぜ込む。
- PHの診断:土壌のPHを調べる方法は土壌酸度計を土壌に突き刺すタイプ・リトマス紙を溶液に浸すタイプ・ペーハー測定器を溶液に浸すタイプ・アースチェック液を溶液に垂らすタイプ等があります。製品によって調べ方がことなるため、詳しい手順は製品の取り扱い説明書をご覧下さい。
- PHの改善:PHを診断後に植物の適正なPHに合わせて、土壌改良材を入れてPHの改善をおこないます。
- PHを酸性に改善:ピートモスを使用する場合はPHを1下げるために、1㎡あたり、ピートモスを約1.2kgを入れて混和します。
- PHをアルカリ性に改善:苦土石灰を使用してPH1上げるには、1㎡あたり苦土石灰を約100~200g入れて混和します。
- 肥沃さの診断:肥沃さは土壌の色によりある程度診断できます。土壌の色は成分や状態を示しており、簡易的に植物を育てるのに適しているか調べる事が出来ます。黒色の場合は腐植が多く肥沃な傾向があり、赤色・黄色・白色の場合は腐植が少なく肥沃でない傾向があります。
- 肥沃さの改善:土壌に堆肥または微生物資材を入れます。堆肥を入れる量は土の量に対して二割から三割程度にします。入れ過ぎると通気性・排水性・保水性のバランスが崩れて植物が育つのに不適な環境になりやすいため注意してください。
※詳しい土壌診断と改善方法はこちらのリンクからご覧下さい
鉢土づくり
日当り
スカビオサ・コルムバリアは、日向から半日影の範囲で育てることが出来ます。基本的に日光のよく当たる場所で最もよく成長して沢山の花を咲かせますが、夏場の暑さが厳しい地域では、西日が暑さ・強光・乾燥のストレスを増大させて、生育を悪くする可能性があるため、西日の当たらない半日影で育てるのが理想です。
培養土
培養土を購入する場合は、山野草の培養土や、一般的な草花の培養土よりも少し通気性・排水性を高めた培養土がおすすめです。
培養土を自作する場合
- 培養土の特性:自生地が乾燥した砂礫質な場所にある事からも分かる通り、培養土は基本的に通気性・ 排水性が優れているものを作成する事が大切です。加えて、本種は中性から弱アルカリ性を好むため、土壌改良材も極端な酸性に傾く土壌改良材を使用しないように注意する必要があります。
- 土壌改良材(無機質):一般的な植物の培養土よりも、特に通気性と排水性を改善する目的で、赤玉土や日向土などの土壌改良材を8割~7割を目安にして多めに配合します。注意点として、PHが低い土壌改良材(鹿沼土)は、培養土を酸性に傾けてしまうため、利用を控えた方が良いことです。また通気性・排水性を高めるために、土粒が大き過ぎるものを使う事もやめた方がいいでしょう。土粒が大きいと、空隙ができすぎてしまい根の活着が悪くなったり、保水性も著く落ちて生育が悪くなる原因となります。
- 土壌改良材(有機質):腐葉土などの堆肥は、一般的な植物よりも少なめに2~3割を目安にしながら培養土の中に配合します。堆肥は培養土の水分・養分を保持して、根の活着を助け、生育を促進する効果がありますが、本種の場合は堆肥を入れ過ぎると、夏場に蒸れて過湿状態になり根腐れを引き起こす原因ともなります。そのため、バランスを考えて必要量を入れる事が大切です。加えて、本種は中性から弱アルカリ性の土壌を好むため、PHを下げる性質があるピートモスなどは利用を控えた方がよいでしょう。
培養土の配合例
- 日向土(細粒・小粒) + 赤玉土(小粒) + 腐葉土+ くん炭 + 元肥 =3:4:2:1:適量
- 赤玉土(小粒) + 桐生砂(細粒・小粒) + パーライト + 腐葉土 + ゼオライト + 元肥 =3:3:2:2:適量:適量
土壌改良材(無機質)
- 赤玉土:赤玉土とは関東ローム層の中層にある赤土を乾燥させて、粒の大きさごとに分けた土壌改良材です。
- 特徴:赤玉土は通気性・排水性・保水性のバランスが抜群に良いことから擬似団粒構造をした土壌改良材とも呼ばれています。無菌で雑菌が繁殖しにくく、雑草の種も含まれないため挿し木用土やインドアグリーンの土としても使われる。
- 比較:鹿沼土と比べて赤玉土の方が保水性・保肥力に優れており、PHが中性に近い弱酸性のため幅広い植物で利用しやすい。赤玉土は鹿沼土よりも粒が崩れて劣化しやすいため、使い続けると微塵が出て通気性・排水性を悪化させる事がある。
- 注意点:赤玉土はリン酸を固定してしまい、植物が吸収出来る状態で無くす事があるため、リン酸の肥料を多めにやる必要がある。赤玉土の粒はやや崩れやすいため再利用出来る割合が少ない傾向があり、微塵は粘土質になり通気性・排水性を悪くする事がある。
- 用途:一般的な草花・花木・多肉・サボテン・山野草・水生植物など幅広い植物の土壌改良材として利用されます。無菌のため挿し木・種まき用土・インドアグリーンの培養土などに利用される。
- 硬質赤玉土:硬質赤玉土は赤玉土を高温で焼いて硬質化したものです。
- 比較:硬質赤玉土は赤玉土と比べて、粒が硬いため砕けて劣化しにくく、通気性・排水性が高くなっています。一方で保水性が悪くなっているため、一般的な草花で使うと土壌が乾きやすくなり水やりの頻度が増えやすいです。
- 用途:多肉植物・サボテン・山野草などに使われる事が多い。
- パーライト:パーライトは、真珠岩や黒曜石を粉砕して小さくした後に、高温で熱して中に含まれる水分を発泡させ多孔質にした資材です。
- 特徴(真珠岩系):表面に光沢があり滑らか、通気性・排水性に非常に優れている、雑菌が発生しにくく、比重が0.1程度と小さく軽い。
- 特徴(黒曜石系):表面に光沢があり滑らか、通気性・排水性に非常に優れている、雑菌が発生しにくく、比重が0.1程度と小さく軽い。
- 用途:土壌の通気性・排水性を改善する目的、真珠岩系では通気性・排水性・保水性をバランスよく改善する目的で利用されます。一般的な草花の育成などでよく利用されており、比重が軽いため培養土の軽量化などに欠かせません。
- 日向土(ボラ土):日向土は別名でボラ土とも呼ばれる、宮崎県南部で産出される軽石です。
- 特徴:通気性と排水性に非常に優れており、多孔質なため保水性も適度に確保出来ている、比重は約0.6とバランスがよい。※鹿沼土と比較すると頑丈で形状が崩れにくいため再利用しやすく、PHが殆ど中性なため扱いやすい、一方で鹿沼土と比べると保水性がそれほど高くない。
- 用途:土壌の通気性や排水性を改善するのに利用されます。草地・岩場・高山地帯・砂地に自生する植物などを育てるのに向いており、一般的な草花から多肉・サボテン・山野草などの育成でも利用されます。す。
- 桐生砂:桐生砂とは群馬県桐生市近辺で産出されるやや風化の進んだ赤褐色の火山礫です。
- 特徴:通気性と排水性に非常に優れており、多孔質なため保水性も適度に確保出来ている。※鹿沼土と比較すると頑丈で形状が崩れにくいため再利用しやすく、PHがやや酸性に傾く中性なため扱いやすい、一方で鹿沼土と比べると保水性がそれほど高くない。
- 用途:土壌の通気性や排水性を改善するのに利用されます。岩場・高山地帯・砂地に自生する植物などを育てるのに向いており、多肉・サボテン・山野草・東洋ラン・盆栽等の育成でよく利用されます。
- ゼオライト:ゼオライトは沸石とも呼ばれる鉱物の一種です。
- 特徴:水質浄化・脱臭効果・高い保肥力などにあります。そのため、根腐れ防止や肥料の流失や肥効の継続に効果を発揮します。一方で、入れすぎると肥料が効きにくくなるなどのデメリットがあるため、土壌や培養土に5%程度混ぜて使われる事が多いです。
土壌改良材(有機質)
- 腐葉土:腐葉土は広葉樹の落ち葉を腐熟させた改良用土です。
- 腐葉土を選ぶ基準:腐葉土は完熟していて湿り気のある物を選びましょう。完熟していると、見た目が黒っぽくなり、葉の断片が小さくなっています。逆に油脂成分の多い針葉樹の葉が入っていたり、未熟な茶色の葉が混じっていたり、断片が大きく乾燥していたりする腐葉土は、植物の根を傷める原因にもなるため避けた方が良いでしょう。
- 腐葉土の特徴:土壌の膨軟性を高めるため空気の通りが良くなり根の成長を助ける。土壌の通気性・保水性・保肥力を高めるため植物が育ちやすい環境となる。腐葉土は微量要素を含んでいるため植物が栄養を補給して健康に成長する助けとなり、また微生物の働きも活性化するため土壌が肥沃になる。PHが中性のため扱いやすい。
- 用途:土壌の保水性・保肥力・通気性を改善したり、微生物を活性化して土壌を肥沃にしたりする働きがあるため、多くの植物を育てる際の改良用土として利用されます。
- くん炭:くん炭は、もみ殻を炭化させたものです。
- 特徴:通気性と排水性が抜群によいため根腐れ防止効果があります。菌根菌などの有用微生物を活性化させる効果があるため、植物が菌根菌と共生して病気に強くなったり水分・栄養を補給しやすくなる事がある。植物の成長に必要とされるミネラルを含有していて、またケイ酸が50%近く含有しているため茎・葉が頑丈になりやすく病害虫に強くなる傾向がある。PH8前後の高いアルカリ性を示す。
- 用途:根腐れ防止・酸性土壌の改善などのために土壌に10%程度混ぜて使われる事が多いです。
- 木炭(竹炭):木炭(竹炭)は木材または竹材を材料にして低酸素状態で高温に加熱して作られる炭です。
- 特徴:通気性と排水性が抜群によいため根腐れ防止効果があります。菌根菌などの有用微生物を活性化させる効果があるため、植物が菌根菌と共生して病気に強くなったり水分・栄養を補給しやすくなる事がある。植物の成長に必要とされるミネラルを含有していて、またケイ酸が50%近く含有しているため茎・葉が頑丈になりやすく病害虫に強くなる傾向がある。PHが8~10と高いアルカリ性を示す。
- 用途:根腐れ防止・酸性土壌の改善などのために土壌に10%程度混ぜて使われる事が多いです。
水やりの仕方
スカビオサ・コルムバリアは耐乾性が高い植物です。そのため、地植えで栽培している場合は、基本的に降雨に任せて栽培することが出来ます。ただし、生育期間に乾燥が続くと、生育や花付きが悪くなったりします。そのため、土壌や植物の状態を見ながら水やりを行う事が大切です。
注意する事は、極端に過湿状態にしてしまうことです。過湿が続くと病原菌が増えて株が腐敗する原因を作ったり、根の呼吸を邪魔して根腐れを引き起こす原因になったりします。そのため、長雨や水やりする頻度には注意が必要となります。
水やりのタイミング
生育期間中である春から秋は、生育旺盛で沢山の水を必要とするため、土壌の表層が乾燥したタイミングで水をたっぷり与えます。
冬の期間は生育が緩慢になるため、植物は水をそれほど必要としません。そのため、乾かし気味に管理してあげるとよいでしょう。
土壌の乾燥の確認方法
- 土壌表面の乾燥:土壌の表面の乾燥とは、土壌の最も上の部分の表面が乾燥している事です。土壌表面の乾燥の確認方法には目視・触感・専用の道具があります。
- 目視で確認:土は濡れているなら色が濃くなったり黒っぽくなったりしていて、乾燥すると色が白っぽくなります。
- 触感で確認:土の表面を指で触ってみてます。土は濡れていると湿り気があり、乾燥しているとサラサラとしています。
- 専用の道具:サスティーを土壌にさして使用します。サスティーは土壌が乾くと色が変化して水やりのタイミングを教えてくれます。
- 土壌の表層の乾燥:土壌の表層の定義は様々ありますが、ここでは土壌の表面より5cm以下にある事にして、また土壌の表層の乾燥とは土壌の表面から5cm以下が乾燥していることになります。
- 目視で確認:透明な植木鉢を使用して植物を育てます。透明で土の色の変化が分かるため、土表面から5cm以下の土の色が白っぽくなってきたら水やりを行います。
- 重量で確認:鉢植えで育てている場合は、水分量で鉢の重量が変わるため、土が乾燥した時の軽さを覚えておいて土の乾きを判断します。
- 道具で確認:割り箸・竹串などを用土の中に差してみて、引き上げた時の割り箸・竹串の色と湿り気を見て乾燥具合を確認します。
- 専用の道具:サスティーを土壌にさして使用します。サスティーは土壌が乾くと色が変化して水やりのタイミングを教えてくれます。
肥料の与え方
スカビオサ・コルムバリアは、基本的に乾燥した栄養の少ない痩せた土壌に生息しています。そのため、腐葉土などの堆肥が配合された土壌であれば、生育に必要な一定の栄養が含まれており、肥料がなくても栽培する事ができます。
ただし、肥料には生育を促進する働きもあります。そのため、必要に応じて春や秋に 株の周りに緩効性肥料を施してあげるのもよいでしょう。注意することは、土壌を過度に肥沃にしたり、肥料を与え過ぎることです。これらの過剰な栄養は根腐れを引き起こす原因となります。
肥料の与え方
- 追肥:植物が生育する途中で施す肥料です。土壌中の栄養素は植物が吸収して減っていくため、追肥を入れる事で補います。
- 肥料を与える時期:春と秋
- 肥料の成分:窒素・リン・カリがバランス良く入る水平型、またはリンが多く入る山型を選びます。
- 肥料の製品:緩効性・BB肥料など
- 肥料の施し方:肥料の与え方は製品により置き肥タイプ・差し込みタイプ・埋め込みタイプがあります。製品に合わせて、規定された分量・規定された頻度・規定された方法で施しましょう。
剪定のやり方
スカビオサ・コルムバリアは剪定せずに育てる事も出来ますが、一般的に沢山の花を咲かせる目的などで剪定が行われます。
剪定をするかは剪定理由を見ながら決めるとよいでしょう。
剪定を行う理由
- 開花期間の延長:花がらを残すと種作りにエネルギーが使われるため、花芽に栄養がまわらず次の花が咲きにくくなります。花がら摘みをする事で、花芽に栄養がいって次の花が咲きやすくなります。
花がら摘み
- 花がら摘みの時期:開花期間中
- 花がら摘みの方法:株を観察して、花が色褪せたり萎れたりしているものをみつけます。花の下に枝分かれしている部分が有り、そこから新たな花が咲いている場合は、枝分かれしている節の上で剪定します。枝分かれがない場合は茎の根元付近から剪定しましょう。
夏越しする方法
スカビオサ・コルムバリアの原産地はヨーロッパ、西アジア、アフリカで、これらの地域の気候は温帯から冷帯に属し、自生地は乾燥気味の草原や日当たりの良い山地の斜面にあるため、基本的に夏場は暑く乾燥気味の環境となります。
従って、日本の夏越しで注意する点は多湿と過湿、特に高温多湿が根腐れや腐敗などの病気を招き、株を衰退させて枯れることが多いため、夏越し対策として高温・多湿・過湿の予防が必要になってくるでしょう。
夏越し対策一覧
- 高温の改善:温度が高いことです。 植物の生育適温は一般的に15~30℃の間であり、それ以上の高温になると高温障害と呼ばれる様々な障害を引き起こします。高温の改善の方法は幾つかあるため下記を参考にして下さい。
- 日差しを避ける:強い日差しの当たらない場所で植物を管理します。植え付け時に日差しの当たる場所を避けたり、夏の期間だけ鉢植えを軒下に移動したりして対策するとよいでしょう。
- 日除けをつくる:植物と太陽の間に遮光ネットを張って強光を遮る方法があります。遮光ネットは雨避けにもなるため病気予防などにもおすすめです。
- 打ち水:庭や植物を置いているコンクリートの地面などに水を撒いて、水が蒸発する時に気化熱を奪う事を利用して、地面や大気の温度を下げます。
- 葉水:植物の茎や葉に水をかけることです。葉水で植物についた水滴は、蒸発する時に気化熱を奪うため植物の温度を下げる効果があります。※ただし水をかける事が植物が病気にかかる原因になる事もあるため病気にかかりやすい植物には避けた方がよいでしょう。
- 多湿・過湿の改善:空気中・土壌中の湿度が高い状態です。原因は様々で、壁に囲まれて空気の流れや太陽光が遮られている場所、雑草などで太陽光が遮られている場所、雨水が貯まりやすい場所、土壌の土質が悪い場所などでおきやすいです。多湿・過湿の改善の方法は幾つかあるため下記を参考にして下さい。
- 植物を移動:植物と育てる場所の相性が悪い場合は、植物を相性の良い場所に移動しましょう。
- 雑草の除去:雑草は風の流れや太陽光を遮り、育てている植物の成長を妨げる原因になると同時に、多湿を生み出す原因にもなります。多様性の一部ではありますが、見た目にも良くないことが多いため定期的に抜きましょう。
- 排水性の改善:雨水などが周囲から集まりやすい環境にあったり、硬盤があったりすると排水が上手くいかない場合があります。対策として排水溝を作ったり、縦穴暗渠(縦穴排水)をつくり雨水が外に流れる仕組みをつくりましょう。
- 花壇を高くする:植物を植える環境を周囲よりも高くして排水性を改善する事も出来ます。花壇をレイズベットにしたり、岩を並べてロックガーデンなどにしたりして、植物を育てるのもよいでしょう。
- 雨避けをつくる:植物の上に雨が当たらないように雨避けを張り、雨から植物を守る方法があります。雨避けの方法は様々ですが、雨避けの製品もあるため探してみるのもよいでしょう。雨避けは病気予防、多湿・過湿の改善にもなります。
- 土壌の改善:土壌は土質により乾燥のしやすさが変わります。植物の植え付け時や植え替え時に、植物に合わせた土壌の改善をしましょう。詳しくは花壇土からご覧下さい。
挿し木や株分けで増やす
スカビオサ・コルムバリアは株分けや挿し木によって増やす事ができます。
株分けの方法
- 株分け時期:春・秋
- 株を観察:株を観察して親株から離れた場所の地面から、発生している芽または新しい株を探します。ない場合は親株が十分に大きく成長しているのを確認します。
- 株を掘りあげる:親株と子株が離れている場合は子株のみをスコップで掘り起こして、地下茎を切り離します。子株がない場合は親株を掘りあげます。
- 株を分割する:親株がひと塊になっている場合は、株を観察して地下茎の節に芽・不定根が発生している場所をさがします。地下茎に芽・不定根をつけた状態で親株から切り離します。
- 株分け後:株分け後は根が乾燥する前に素早く植付けをおこないます。
挿し木の方法
- 挿し木時期:発根率の高い晩春から夏頃が適します。
- 培養土の準備:培養土は切り口が腐敗して吸水を阻害しないように、無菌のものを利用します。一般的にはバーミキュライト・赤玉土・パーライト・ピートモスなどが利用されていますが、専用の培養土もあるため近くのホームセンターで探すのも良いでしょう。
- 挿し穂の採取:株元から発生した健康な茎をカットして利用しましょう。また花芽分化が始まり生殖成長をしている茎は、発根率が極端に下がるため挿し穂に使うのは避けた方がよいでしょう。
- 挿し穂の整形:挿し穂は長さを5~7cm程度にわけて、挿し穂の上部の葉を残して、下部の葉を取り除きます。茎の下部分を斜めにカットして吸水部分を広くしておきましょう。
- 培養土に挿し穂を挿す:挿し穂を挿す場所を決めます。培養土の中に、割り箸等を利用して、事前に穴を空けておきます。挿し穂の切り口を下向きにして、培養土の中に挿し穂を入れましょう。通常は挿し穂の1/3程度をいれます。
- 管理:明るい日陰で土壌が完全に乾燥しない様に水やりを行いながら管理しましょう。
播種で増やす
スカビオサ・コルムバリアの種蒔の方法
- 播種時期:3月~5月・9月~10月
- 発芽適温:約20度
- 発芽日数:約7日~14日
- 備考:
種まき手順
- 種まきの時期:春または秋
- 培養土の準備:直播き・移植栽培※移植栽培はコストや手間が増えますが、苗を病害虫から保護したり、温度・水分の管理が楽になり成功率が高まります。
- 直播き:花壇やプランターの土を整えます。
- 移植栽培:プラグトレー・ピートポット・ポリポット・不織布育苗ポット・ジフィーセブンなどに種まき用の培養土を入れて栽培できます。おすすめは移植の際に根を傷めにくい不織布育苗ポット・ジフィーセブンなどです。
- 種の撒き方:点撒き・すじ撒き・バラ撒き
- 種まき後の管理:種が乾燥すると発芽率が落ちるため、基本的に土と種が乾燥しないように水やりを行い管理します。
- 発芽後:発芽が揃ったら、株どうしの間隔を見て、混んでる場所の苗を間引きます。また間引きした苗は別の場所に移植することもできます。※直播きする場合は成長に合わせて株どうしがくっついているものを状態がいい方を残し間引きするとよいでしょう。
- 定植:株がある程度の大きさなったら定植します。定植が遅れると移植時に根を傷付けるリスクが増えると同時に、苗が老化して定植後の成長も悪くなるリスクが高まります。一方で、移植が早すぎると低温障害にあったり害虫からの食害に合うリスクが高まります。そのため、バランスを見ながら定植を行いましょう。
※鎮圧は土と種の接着を高め水分の吸収をよくします。