
- 原産:地中海沿岸/イラン
- 科:キンポウゲ(Ranunculaceae)
- 属:ニゲラ/クロタネソウ(Nigella)
- 種:クロタネソウ/ダマスケナ(Nigella damascena)
- 別名:ニゲラ・ダマスケナ/ラブ・イン・ア・ミスト(love-in-a-mist)/デビル・イン・ザ・ブッシュ(devil in the bush)
- 品種:グリーンマジック(Nigella damascena ‘green magic’)
- 開花時期:5月~9月
- 花の色:淡い緑色・白色
- 葉の色:緑色
- 香り:
- 生活形:一年草
- 草丈:約40~60cm
- 誕生花:3月8日/3月31日/4月21日/5月29日
- 花言葉:当惑/夢の中の恋/ひそかな喜び/夢で会いましょう
- 用途:切り花/ドライフラワー/プリザーブドフラワー/種から育てる植物
- 購入方法:ニゲラ(グリーンマジック)を楽天で購入
■ニゲラ(グリーンマジック)の特徴
- 学名:Nigella damascena ‘green magic’
- 花の形:半八重咲き
- 花の色:淡い緑色・白色
- 草丈:約40~60cm
- 備考:グリーンマジックは、花に花弁と萼片がありません。花のすぐ下にある、苞の数が普通のニゲラよりも多く、また花弁状に幅が広くなっており、色が淡い緑色から白色をしている点が特徴です。そのため、繊細さと爽やかさをかんじさせる品種です。
■クロタネソウとは!?

クロタネソウ(学名: Nigella damascena)は、別名で「ニゲラ・ダマスケナ」「ラブ・イン・ア・ミスト(love-in-a-mist)」「デビル・イン・ザ・ブッシュ(devil in the bush)」とも呼ばれるキンポウゲ科ニゲラ属の一年草です。
クロタネソウの原産地は地中海沿岸からイランに広がる地域で、自生地は草原や岩場、また人為的攪乱を受けた荒れ地などに見られます。
■クロタネソウの語源(由来)
- Nigellaの由来:ラテン語で「黒」を意味する「niger」からきており、黒い種の色に由来しています。
- damascenaの由来:ラテン語で「ダマスカス(Damascus)の」を意味しており、16世紀に本種がシリアのダマスカスからヨーロッパに持ち込まれたためと考えられています。
- クロタネソウの由来:種の色が黒色をしていることに由来します。
■クロタネソウの特徴(魅力)
- クロタネソウの魅力:本種は、種子が食用とされるニオイクロタネソウ(Nigella sativa)と違い、有毒なアルカロイドを含むため食用にできませんが、その一方で園芸品種が豊富で花の形や色の種類が多様にあり、観賞用として高い人気があります。花は植物界では珍しい青色を中心に、赤色・桃色・紫色・白色の花色もあり、特に花の中央部から真っ直ぐ突出している雌蕊の子房と、その先端で捻れて放射状に広がる花柱が、他の植物では見られないような独特な姿を作り出しています。さらに、花後には風船を想像させるような膨らんだ果実(蒴果)ができて、これはドライフラワーなどによく利用されます。また1枚の葉は縁部が細かく裂けて裂片が糸状をしているため、霞がかっているようなふんわりとした質感を呈し、繊細な印象を添えます。そのため、青花との調和がよく、エレガントな雰囲気を演出します。本種は一年草で開花・結実したら多くは夏から秋頃に枯れます。こぼれ種で増える事もあり、雑草化することもあるため注意が必要です。
- 草姿:生育型は一時ロゼット型で、生育初期はロゼットを形成して、その後に直立茎を伸ばして花を咲かせます。
- 葉の特徴:葉は葉縁部が細かく裂ける分裂葉で、2回羽状全裂または2回羽状深裂し、裂片は線形または糸状になります。そのため、空気を多く含んでいるふわふわとした綿や、光を通す霞のような幻想的な雰囲気をつくります。
- 花の特徴:開花期は種まき時期でかわり、春撒きでは7月~8月頃、秋撒きで5月~6月頃に咲きます。花は花托・萼・花弁(蜜腺)・雄蕊・雌蕊で構成されて、その直ぐ下に輪生する苞があります。一般的に鑑賞される部分は苞・萼・雌蕊・雄蕊の部分になり、特に花弁のようにうつくしい萼と、寄生している様子を見ているような雌蕊は重要な鑑賞部位として欠かせません。苞は葉と同様のため目立たない事もありますが、輪生する事で区別でき、苞は2回羽状全裂し、裂片が糸状でレースのような繊細な外観を呈します。萼は基本的に萼片が5枚以上あり、品種により差異があります。萼の色は青色が最も普通ですが、品種によっては赤色・桃色・紫色・白色もあり、好みに合わせて選ぶことが可能です。雌蕊は花の中央部から突出しており、雌蕊の下部を構成する子房は5枚の心皮が合着した複合雌蕊で直立しており、花柱で分離して放射状に広がり、多くが捻れて独特な外観となります。
- 果実の特徴:花が咲き終わると、 花を構成する雌蕊(子房)が風船のように膨らんで、蒴果が形成されます。蒴果は子房の部分が球状になり、上部にある花柱が角のように残ります。色は黄緑色で、成熟してくると赤紫色を呈し、完全に乾燥すると淡い褐色へと変化します。果実の中には黒色の種子が多数入っており、これは有毒なアルカロイドを含み、食べられません。
- フラワーアレンジメント:クロタネソウは、青色・紫色・赤色・桃色・白色の花や果実を収穫し、フラワーアレンジメントに利用できます。例えば、花は主に上品な印象を添える切り花として利用されます。また果実は乾燥した後も形が崩れず色も褪せにくいため、ドライフラワーに加工し、スワッグやブーケなどに入れる花材として利用されたりします。
切り花とドライフラワーの楽しみ方
切り花の作り方

- 収穫:切り花の収穫は花が十分水分を含んでいる朝の涼しい時間帯もしくは夕方におこないましょう。
- 水揚げ:葉は水揚げを悪くするため必要な分を除いて茎から全て取り外します。茎の切り口は水切りまたは湯揚げを行います。
- 花を生ける:花瓶の中に水と延命剤を入れて花を生けます。
- 管理:直射日光を避けた15~20度の涼しい環境で管理すると日持ちがよくなります。また徐々に水揚げが悪くなるため、必要に応じて水切りを再度して水換えをしましょう。管理の方法にも左右されますが日持ちは7~10日程度です。
水切り法
水切り法とは、切り花の切り口を水中につけた状態で切り戻しを行い、切り口の更新を行う水揚げ方法です。水切りは、特定の植物または特定の条件を除いた、殆どの切り花で行われている、最も一般的な水揚げ方法になります。
水切り法は、水中で茎を切るため導管内に気泡が入りにくいメリットがあります。また水切り法を行うことで茎が詰まっている原因(微生物・空気・樹液など)を取り除いて、切り口の状態を正常に戻す効果があります。
水切り法のやり方
- 準備:花材と水の入った容器を準備する
- 茎の切断:切り花の切り口を水中に漬けて、その中で切り口の根元から上に約1~5cmの場所で斜めにカットします。※斜めにカットする事で吸水部が増えて水揚げ効率がよくなります。
- 切り花を生ける:切り口を別の容器にいれて水揚げするか、花器に入れて飾ります。
湯揚げ法
湯揚げ法とは、切り花の切り口をお湯の中と冷水につけて、吸水を改善する水揚げ方法です。※水切りなどをしても、水揚げが上手くいかない場合等に行われます。
湯揚げは、導管内にある空気を熱で膨張させて外に押し出す効果があります。また熱のショックで一気に吸水する効果があります。またお湯で熱するため、切り口部分の雑菌が死滅して、微生物の影響が抑えられます。
湯揚げの方法
- 準備:容器・お湯(約60~100度)・冷水を準備します。
- 花材の保護:花や葉が蒸気で弱らないように、切り花の上部を新聞紙でくるみ覆います。切り口の部分はお湯につけるため、茎の下部は新聞紙から出しておきましょう。
- 茎の切断:切り口の根元から上に約1~5cmの場所で斜めにカットします。
- お湯に浸ける:お湯(約60~100度)の中に切り口を浸して、切り口から空気が出てこなくなるのを待ちます。お湯につける時間は約20~60秒の間です。
- 冷水に浸ける:お湯から切り花を出した後、そのまま冷水の中に2時間程度浸けて水揚げします。
- 切り花を生ける:切り花を花器に入れて飾ります。
ドライフラワーの作り方

- 準備:花材・麻紐・洗濯物干しを準備します。※花材は花が十分に開花している物を選んで下さい。
- 花材の下処理:花材が大きい状態のままでは乾燥に時間がかかったり、綺麗に乾燥しなかったりします。そのため花材を使いやすい大きさに切り分けて大きさを調整しましょう。花材の下葉は基本的に不要で、束ねる時などに邪魔になるため、茎の下部の不要な葉は落とします。
- 花材を束ねる:花材を1本または2~3本程度で束ねて、麻紐で茎の下部分をくくり固定しましょう。※花材を多く束ね過ぎると花材同士がくっついて乾燥した時に歪んだり、花材同士がくっつく事で風通しが悪くなり乾燥までに時間がかかり色落ちが進んだりします。
- 植物を吊るす:花材を逆さまにして、洗濯物干しに掛けたり、壁と壁の間に麻紐を張ってその間に花材を吊るしましょう。花材同士を密着させると風通しが悪くなり乾燥までに時間がかかり色落ちが進む事があるため、花材同士は離して乾かします。
- 管理する時の注意点:花材は紫外線の影響で色褪せが進み痛みやすいため直射日光が当たる場所は避ける。多湿環境では乾燥までに時間がかかるため、風通しのよい部屋などに花を吊るして自然乾燥させたり、エアコン・除湿機を利用して部屋の湿度を減らす。またサーキュレーターで部屋全体の空気を循環させて花材を素早く乾燥させることも出来ます。
- 完成までの時間:温度・湿度・風通し等で変化しますが、普通は約1~2週間です。
- 完成後:花材として一時保管するか、スワッグやリース等のフラワーアレンジメントに利用できます。
■クロタネソウの生活形と形態
●生活形・茎の形態
- 草丈:30~80cm
- 生育型:一時ロゼット型
- 一時ロゼット型:ある期間をロゼットで過ごしますが、その後に茎が直立して根生葉が枯れるもの。
- 茎の種類:直立茎
- 直立茎:茎がほとんど垂直に伸びる。
- 茎の色:緑色
●葉の形態
- 葉序:根生葉・互生葉序
- 葉柄:根生葉は有柄で、茎葉は無柄または極端に短い。
- 葉身の長さ:約2~16cm
- 葉身の概形:分裂葉で2回羽状深裂または2回羽状全裂し、裂片の形は線形または糸状になる。
- 葉の色:緑色
●花の形態
- 花序:単生
- 苞:花のすぐ下にあり、5枚以上の苞が輪生する。
- 苞の形:2回羽状全裂
- 苞の色:緑色・白緑色
- 花:花托・萼・花弁・雄蕊・雌蕊で構成されています。
- 萼:離片萼で、萼片の数は花の咲き方で5枚以上あり、萼片の形は卵形・披針形・楕円形をしており、色は青色・紫色・赤色・桃色・白色です。
- 花弁:蜜腺があり、極小さく目立たない。また八重咲き品種ではないこともある。
- 雄蕊:多数
- 雌蕊:通常は5枚ですが、稀に最大10枚の心皮が合着する複合雌蕊になり、各心皮は子房の部分で合着し直立しますが、花柱で分離して放射状に広がる傾向があり、また捻れて独特な外観となる傾向があります。
●果実・種子の形態
- 果実の分類:蒴果で多心皮性子房(子房の心皮の数が2枚以上)からなり、果実が成熟すると数室に裂開して種子が露出する。
- 蒴果の形:球状で風船のように膨らみ、先端に角の様な花柱が残ります。
- 蒴果の長さ:約1~5cm
※植物の形態についてはこちらのページも参考にしてください。
■クロタネソウの園芸品種を紹介
ミスジーキル・シリーズ

学名:Nigella damascena ‘miss jekyll’
花の形:半八重咲き
花の色:淡い青色・青色・桃色・白色
草丈:約45cm
備考:花のサイズは直径約4cm、花の形は半八重咲き、花の色は品種により変わります。
ミスジーキル・シリーズの品種
- ミスジーキル:花の色は淡い青色で、空を想像させるような爽やかな雰囲気を感じさせます
- ミスジーキル・ダークブルー:花の色は濃い青色で、落ち着いた雰囲気を醸し、男性的なカッコ良さを感じさせる品種です。
- ミスジーキル・ローズ:花の色は桃色で、女性的な可愛らしさを感じさせる品種です。
- ミスジーキル・アルバ:花の色は白色で、明るさや清潔感を感じさせる品種です。
アルビオンブラックポッド
学名:Nigella damascena ‘albion black pod’
花の形:半八重咲き
花の色:白色
草丈:約30~60cm
備考:花後に実る、赤紫色の果実(種子鞘)が魅力的な品種です。花は白色で、赤紫色の果実との相性が抜群によく上品な雰囲気を作り出します。
ムーディブルース
学名:Nigella damascena ‘moody blues’
花の形:半八重咲き
花の色:青色・濃紫色・白色
草丈:約30~50cm
備考:花の色は種子によって個体差があり、青色・濃紫色・白色・複色の範囲で変化します。全体的に上品で落ち着いた色合いをしているため、エレガントなお庭などによく合うでしょう。
オックスフォードブルー

学名:Nigella damascena ‘oxford blue’
花の形:半八重咲き
花の色:濃い青色
草丈:約75cm
備考:花の色は濃い青色を呈し、非常に落ち着いた雰囲気をつくります。そのため、格式高さを感じさせるようなお庭や、青色をテーマにするブルーガーデンなどにおすすめの品種です。
グリーンマジック

学名:Nigella damascena ‘green magic’
花の形:半八重咲き
花の色:淡い緑色・白色
草丈:約40~60cm
備考:グリーンマジックは、花に花弁と萼片がありません。花のすぐ下にある、苞の数が普通のニゲラよりも多く、また花弁状に幅が広くなっており、色が淡い緑色から白色をしている点が特徴です。そのため、繊細さと爽やかさをかんじさせる品種です。
■ニゲラ属(クロタネソウ属)の主な種と園芸品種は下のリンクから紹介しています。
■クロタネソウの育て方
花壇の土づくり
●バイオーム
クロタネソウが生息する主なバイオームは地中海性植生です。本種の原産地は地中海沿岸からイラン、自生地は草原や岩場、また人為的攪乱を受けた荒れ地にあります。主な気候は地中海性気候に属し、気温は一年を通して温暖で、最も寒い月でも平均気温が-3度以上ある。年平均降水量は乾燥限界以上あり、夏季は顕著に乾燥しており、夏季と比べ冬季は降水量が多い。日照は日向を好み、土壌は基本的に通気性・排水性が高い場所を好みます。
※バイオームについてはこちらのページも参考にしてください。
●日照条件
クロタネソウは、日向から半日影の範囲で育てることが出来ます。ただし日光のよく当たる場所で最もよく成長して沢山の花を咲かせるため基本的には日向で育てる方が良いでしょう。日当たりの悪い環境では、徒長して草姿を乱し、花数が減ります。
日照条件の分類(参考)
- 日向:直射日光が一日を通して6時間以上当たる場所です。一般的に全方位に障害物がない、またはお庭の向きが南向きの場所になります。
- 半日影:直射日光が3時間から5時間程度当たる場所です。一般的には、午前中のみ日が当たり、午後から日陰になる場所となります。そのため、お庭の向きは東向き、または木漏れ日がはいるような場所です。
- 明るい日陰:直射日光が二時間程度までしか当たらないか、殆ど当たらずに間接光だけで明るい場所です。一般的にお庭の向きが北向き、または建物の影など日差しを遮る障害物が多い環境です。
- 暗い日陰:森の中にあるような直射日光も間接光もほとんど当たらないような暗い場所です。
●土壌の土質
- 土質:基本的に高い通気性と排水性を兼ね備える土壌を好みます。そのため土質は水捌けのよい砂壌土が適します。水分が停滞してジメジメと湿り過湿になりやすい粘土質の土質は許容せず、根腐れを引き起こすため避けた方が良いでしょう。
- 肥沃さ:適度に肥沃な土壌を好みます。そのため、土壌の状態を見ながら堆肥(腐葉土など)を用土全体の2割を目安に混ぜ込むとよいでしょう。堆肥を入れることで土壌の通気性・排水性・保水性が改善され、根の活着を高め根張りをよくしたり、堆肥に含有する栄養素が微生物の働きを促進して土質を改善したり、さらに植物の栄養補給にも寄与します。
土壌診断と改善の行い方(参考)
- 排水性の診断:深さ30cm程度・幅30cm程度の穴を掘り、穴の中を水で完全に満たす。一時間あたり約3~10cmの排水があれば、一般的な植物を育てるのに適した排水性になります。※それ以下またはそれ以上である場合は排水が悪い、または排水がよすぎる可能性があります。
- 排水性の改善:花壇を高くしたり、ロックガーデンを作り、植物を植える場所を周囲より高くする。また縦穴暗渠(縦穴排水)や排水溝をつくる。
- 作土層の診断:調べたい箇所の土壌に支柱を出来るだけ深くまでさします。支柱の入った部分が30cm前後あれば一般的な植物であれば、根を張るのに十分な作土層がありますが、それ以下であれば改善が必要です。また土壌を観察して石やゴミがあれば根を伸ばすのに邪魔になるため取り除いた方が良いでしょう。
- 作土層の改善:植物を植える箇所とその周囲をシャベルを使って30cm程度の深さまで掘り起こして解します。また石がある場合は土ふるいを使用して取り除きましょう。
- 土壌(土性)の性質の診断:土壌の通気性・保水性・保肥力を知るために、土壌を砂土・砂壌土・壌土・埴壌土・埴土に分類して、植物に合わせて土壌の改良をしましょう。
- 砂土:排水性と通気性が高く乾燥しやすいため、水分過剰による根腐れを引き起こしにくい。診断は、適度に湿らせた土を触った時にザラザラとした砂の粗い感触がある。手のひらや指で捏ねても全く固まらずに簡単に崩れる。
- 砂壌土:排水性と通気性が高く乾燥しやすい傾向がある、砂土と比べると、保水性と保肥力が少しあるため、乾燥気味の土壌を好む植物などに向いています。診断は、適度に湿らせた土を触った時に砂のザラザラ・粘土のヌルヌルとした感触がある。手のひらや指で捏ねると、緩く固める事が出来るが崩れやすい。
- 壌土:通気性・保水性・保肥力のバランスが高いため土壌管理がしやすい。診断は、適度に湿らせた土を触った時に砂のザラザラ・粘土のヌルヌルとした感触がある。手のひらや指で捏ねて伸ばすと、鉛筆程度の太さの棒状まで伸ばすことが出来る。 ただし伸ばした棒を曲げるのは難しい。
- 埴壌土:保水性・保肥力が高いため乾燥しにくい傾向がある。診断は、適度に湿らせた土を触った時に粘土のヌルヌルとした感触があり、砂のザラザラも少し感じる。手のひらや指で捏ねて伸ばすと、マッチ棒程度の太さまで伸ばすことが出来て、輪っかに曲げても切れにくい。
- 土壌(土性)の性質の改善:土壌の診断をしたら、植物が求める環境に合わせて土壌改良材をいれます。
- 通気性・排水性の改善:通気性・排水性の高い土壌改良材(パーライト・日向土・川砂・バーク堆肥 など)を混ぜ込む。
- 保水性の改善:保水性の高い土壌改良材(腐葉土・ピートモス・バーク堆肥・黒土)を混ぜ込む。
- PHの診断:土壌のPHを調べる方法は土壌酸度計を土壌に突き刺すタイプ・リトマス紙を溶液に浸すタイプ・ペーハー測定器を溶液に浸すタイプ・アースチェック液を溶液に垂らすタイプ等があります。製品によって調べ方がことなるため、詳しい手順は製品の取り扱い説明書をご覧下さい。
- PHの改善:PHを診断後に植物の適正なPHに合わせて、土壌改良材を入れてPHの改善をおこないます。
- PHを酸性に改善:ピートモスを使用する場合はPHを1下げるために、1㎡あたり、ピートモスを約1.2kgを入れて混和します。
- PHをアルカリ性に改善:苦土石灰を使用してPH1上げるには、1㎡あたり苦土石灰を約100~200g入れて混和します。
- 肥沃さの診断:肥沃さは土壌の色によりある程度診断できます。土壌の色は成分や状態を示しており、簡易的に植物を育てるのに適しているか調べる事が出来ます。黒色の場合は腐植が多く肥沃な傾向があり、赤色・黄色・白色の場合は腐植が少なく肥沃でない傾向があります。
- 肥沃さの改善:土壌に堆肥または微生物資材を入れます。堆肥を入れる量は土の量に対して二割から三割程度にします。入れ過ぎると通気性・排水性・保水性のバランスが崩れて植物が育つのに不適な環境になりやすいため注意してください。
※詳しい土壌診断と改善方法はこちらのリンクからご覧下さい
鉢土づくり
●日照条件
クロタネソウは、日向から半日影の範囲で育てることが出来ます。ただし日光のよく当たる場所で最もよく成長して沢山の花を咲かせるため基本的には日向で育てる方が良いでしょう。日当たりの悪い環境では、徒長して草姿を乱し、花数が減ります。
●培養土
クロタネソウの培養土を購入する場合は、一般的な草花の培養土で良いでしょう。
培養土を自作する場合
- 培養土の特性:自生地が地中海沿岸の草原や荒れ地などにあり、基本的に通気性と排水性が高く保水性も兼ね備える、やや肥沃な土壌を好みます。そのため、培養土を作成する場合も、無機質と有機質の土壌改良材のバランスを考えながら、通気性・排水性・保水性が長く保たれるものを作りましょう。またPH6.5~ 7.5あたりの中性から弱アルカリ性を好むため、作成に使う土壌改良材も注意して選びましょう。
- 土壌改良材(無機質):一般的な植物の培養土よりも、特に通気性と排水性を改善する目的で、赤玉土や日向土などの土壌改良材を7割~8割を目安にして多めに配合します。注意点として、通気性・排水性を高めるために、土粒が大き過ぎるものを使うこともやめた方がいいでしょう。土粒が大きいと、空隙ができすぎてしまい根の活着が悪くなったり、保水性も著しく落ちて生育が悪くなる原因となります。
- 土壌改良材(有機質):腐葉土などの堆肥は、一般的な植物よりも少なめに2~3割を目安にしながら培養土の中に配合します。堆肥は培養土の水分・養分を保持して、根の活着を助け、生育を促進する効果がありますが、本種の場合は堆肥を入れ過ぎると、夏場に蒸れて過湿状態になり根腐れを引き起こす原因ともなります。そのため、バランスを考えて必要量を入れることが大切です。加えて、本種は中性から弱アルカリ性の土壌を好むため、PHを下げる性質があるピートモスなどは利用を控えた方がよいでしょう。
培養土の配合例
- 基本の配合:赤玉土(小粒)7割+腐葉土3割+苦土石灰適量+元肥適量
- 培養土が劣化しにくい配合:日向土(細粒・小粒)4割+硬質赤玉土(小粒)3割+腐葉土2割+くん炭1割+元肥適量
- 比重が軽い配合:赤玉土(小粒)4割+パーライト3割+バーミキュライト1割+腐葉土2割+苦土石灰適量+元肥適量
土壌改良材(無機質)
- 赤玉土:赤玉土とは関東ローム層の中層にある赤土を乾燥させて、粒の大きさごとに分けた土壌改良材です。
- 特徴:赤玉土は通気性・排水性・保水性のバランスが抜群に良いことから擬似団粒構造をした土壌改良材とも呼ばれています。無菌で雑菌が繁殖しにくく、雑草の種も含まれないため挿し木用土やインドアグリーンの土としても使われる。
- 比較:鹿沼土と比べて赤玉土の方が保水性・保肥力に優れており、PHが中性に近い弱酸性のため幅広い植物で利用しやすい。赤玉土は鹿沼土よりも粒が崩れて劣化しやすいため、使い続けると微塵が出て通気性・排水性を悪化させる事がある。
- 注意点:赤玉土はリン酸を固定してしまい、植物が吸収出来る状態で無くす事があるため、リン酸の肥料を多めにやる必要がある。赤玉土の粒はやや崩れやすいため再利用出来る割合が少ない傾向があり、微塵は粘土質になり通気性・排水性を悪くする事がある。
- 用途:一般的な草花・花木・多肉・サボテン・山野草・水生植物など幅広い植物の土壌改良材として利用されます。無菌のため挿し木・種まき用土・インドアグリーンの培養土などに利用される。
- 硬質赤玉土:硬質赤玉土は赤玉土を高温で焼いて硬質化したものです。
- 比較:硬質赤玉土は赤玉土と比べて、粒が硬いため砕けて劣化しにくく、通気性・排水性が高くなっています。一方で保水性が悪くなっているため、一般的な草花で使うと土壌が乾きやすくなり水やりの頻度が増えやすいです。
- 用途:多肉植物・サボテン・山野草などに使われる事が多い。
- パーライト:パーライトは、真珠岩や黒曜石を粉砕して小さくした後に、高温で熱して中に含まれる水分を発泡させ多孔質にした資材です。
- 特徴(真珠岩系):表面に光沢があり滑らか、通気性・排水性に非常に優れている、雑菌が発生しにくく、比重が0.1程度と小さく軽い。
- 特徴(黒曜石系):表面に光沢があり滑らか、通気性・排水性に非常に優れている、雑菌が発生しにくく、比重が0.1程度と小さく軽い。
- 用途:土壌の通気性・排水性を改善する目的、真珠岩系では通気性・排水性・保水性をバランスよく改善する目的で利用されます。一般的な草花の育成などでよく利用されており、比重が軽いため培養土の軽量化などに欠かせません。
- バーミキュライト:バーミキュライトは、蛭石を高温処理して膨張させた土壌改良用土です。蛭石を膨張させた事で、薄板が層に重なりアコーディオンのような形状をしています。
- 特徴:保水性・保肥力が抜群に優れているため植物が欲しい時に水分や栄養を供給してくれる働きがあります。また何層にも重なり大きな隙間があるため通気性を改善する働きもあり、雑菌が発生しにくく、比重が0.1程度と小さく軽い。
- 欠点:比重の重い用土と組み合わせると粒が破壊されて通気性が悪くなる事もあるため注意が必要です。
- 用途:土壌の保水性・保肥力を改善するのに利用されます。一般的な草花の育成などでよく利用されており、比重が軽いため培養土の軽量化などでも利用されます。
- 日向土(ボラ土):日向土は別名でボラ土とも呼ばれる、宮崎県南部で産出される軽石です。
- 特徴:通気性と排水性に非常に優れており、多孔質なため保水性も適度に確保出来ている、比重は約0.6とバランスがよい。※鹿沼土と比較すると頑丈で形状が崩れにくいため再利用しやすく、PHが殆ど中性なため扱いやすい、一方で鹿沼土と比べると保水性がそれほど高くない。
- 用途:土壌の通気性や排水性を改善するのに利用されます。草地・岩場・高山地帯・砂地に自生する植物などを育てるのに向いており、一般的な草花から多肉・サボテン・山野草などの育成でも利用されます。す。
- 軽石:軽石は溶岩が急冷されガスが吹き出す事で、多孔質で脆く軽くなった火山礫です。
- 特徴:通気性と排水性に非常に優れており、多孔質なため保水性も適度に確保出来ている、比重は約0.4~0.6とバランスがよい。※鹿沼土と比較すると頑丈で形状が崩れにくい、PHが殆ど中性なため扱いやすい、一方で鹿沼土と比べると保水性がそれほど高くない。
- 用途:土壌の通気性や排水性を改善するのに利用されます。岩場・高山地帯・砂地に自生する植物などを育てるのに向いており、多肉植物・サボテン・東洋ラン・盆栽・山野草などの育成でよく利用されます。
土壌改良材(有機質)
- 腐葉土:腐葉土は広葉樹の落ち葉を腐熟させた改良用土です。
- 腐葉土を選ぶ基準:腐葉土は完熟していて湿り気のある物を選びましょう。完熟していると、見た目が黒っぽくなり、葉の断片が小さくなっています。逆に油脂成分の多い針葉樹の葉が入っていたり、未熟な茶色の葉が混じっていたり、断片が大きく乾燥していたりする腐葉土は、植物の根を傷める原因にもなるため避けた方が良いでしょう。
- 腐葉土の特徴:土壌の膨軟性を高めるため空気の通りが良くなり根の成長を助ける。土壌の通気性・保水性・保肥力を高めるため植物が育ちやすい環境となる。腐葉土は微量要素を含んでいるため植物が栄養を補給して健康に成長する助けとなり、また微生物の働きも活性化するため土壌が肥沃になる。PHが中性のため扱いやすい。
- 用途:土壌の保水性・保肥力・通気性を改善したり、微生物を活性化して土壌を肥沃にしたりする働きがあるため、多くの植物を育てる際の改良用土として利用されます。
- くん炭:くん炭は、もみ殻を炭化させたものです。
- 特徴:通気性と排水性が抜群によいため根腐れ防止効果があります。菌根菌などの有用微生物を活性化させる効果があるため、植物が菌根菌と共生して病気に強くなったり水分・栄養を補給しやすくなる事がある。植物の成長に必要とされるミネラルを含有していて、またケイ酸が50%近く含有しているため茎・葉が頑丈になりやすく病害虫に強くなる傾向がある。PH8前後の高いアルカリ性を示す。
- 用途:根腐れ防止・酸性土壌の改善などのために土壌に10%程度混ぜて使われる事が多いです。
- 木炭(竹炭):木炭(竹炭)は木材または竹材を材料にして低酸素状態で高温に加熱して作られる炭です。
- 特徴:通気性と排水性が抜群によいため根腐れ防止効果があります。菌根菌などの有用微生物を活性化させる効果があるため、植物が菌根菌と共生して病気に強くなったり水分・栄養を補給しやすくなる事がある。植物の成長に必要とされるミネラルを含有していて、またケイ酸が50%近く含有しているため茎・葉が頑丈になりやすく病害虫に強くなる傾向がある。PHが8~10と高いアルカリ性を示す。
- 用途:根腐れ防止・酸性土壌の改善などのために土壌に10%程度混ぜて使われる事が多いです。
水やりの仕方
クロタネソウは、自生地が地中海沿岸の乾燥した草原や荒れ地にあり耐乾性が強い植物です。そのため、水やりはあまり必要ありません。その一方で、生育期に一定の湿り気がある環境で成長がよくなるため水やりが大切でもあります。地植えで栽培する場合は、基本的に降雨に任せて育てることが出来ます。ただし、雨が全く降らずに土壌が乾燥していたり、極端な暑さで乾燥が早くなっている場合は水やりが必要となります。鉢植えで育てる場合は、地植えと比べて乾燥がかなり早いため、定期的な水遣りが必要です。培養土の状態を見ながら水やりをする必要があるでしょう。注意する事は、極端な過湿にしないことです。過湿が続くと病原菌が増えて株が腐敗する原因を作ったり、根の呼吸を邪魔して根腐れを引き起こす原因になったりします。そのため、水やりの頻度には十分な注意が必要です。
●水やりの方法
- 春~夏:株は生育旺盛で、多くの水を必要とします。そのため、土壌の表面が乾燥したタイミングで水をたっぷり与えましょう。ただし、頻繁に水やりを行い、ジメジメとした環境を作ると根腐れを引き起こすこともあるため、必ず土壌の状態を確認してから水やりをして下さい。また受皿を利用している場合は、基本的には溜まった水を捨てるようにしましょう。根腐れの原因になります。
- 冬:生育が緩慢になる季節で、植物は水をそれほど必要としません。土壌の乾燥も他の季節と比べると緩やかに進み、水やりの頻度も少なくなります。ただし、完全に乾燥すると枯れてしまう事もあるため、土壌の表層または表面が乾燥した数日後に水を与えると良いでしょう。
土壌の乾燥の確認方法
- 土壌表面の乾燥:土壌の表面の乾燥とは、土壌の最も上の部分の表面が乾燥している事です。土壌表面の乾燥の確認方法には目視・触感・専用の道具があります。
- 目視で確認:土は濡れているなら色が濃くなったり黒っぽくなったりしていて、乾燥すると色が白っぽくなります。
- 触感で確認:土の表面を指で触ってみてます。土は濡れていると湿り気があり、乾燥しているとサラサラとしています。
- 専用の道具:サスティーを土壌にさして使用します。サスティーは土壌が乾くと色が変化して水やりのタイミングを教えてくれます。
- 土壌の表層の乾燥:土壌の表層の定義は様々ありますが、ここでは土壌の表面より5cm以下にある事にして、また土壌の表層の乾燥とは土壌の表面から5cm以下が乾燥していることになります。
- 目視で確認:透明な植木鉢を使用して植物を育てます。透明で土の色の変化が分かるため、土表面から5cm以下の土の色が白っぽくなってきたら水やりを行います。
- 重量で確認:鉢植えで育てている場合は、水分量で鉢の重量が変わるため、土が乾燥した時の軽さを覚えておいて土の乾きを判断します。
- 道具で確認:割り箸・竹串などを用土の中に差してみて、引き上げた時の割り箸・竹串の色と湿り気を見て乾燥具合を確認します。
- 専用の道具:サスティーを土壌にさして使用します。サスティーは土壌が乾くと色が変化して水やりのタイミングを教えてくれます。
肥料の与え方
クロタネソウは、自生地が地中海沿岸の栄養の乏しい荒れ地などにもあり、土壌に一定の肥沃さがあれば肥料が無くても育てる事ができます。特に過剰な栄養分は根腐れを引き起こしたり、徒長して草姿が乱れたり、株が軟弱になり病気や害虫や高温・低温などへの耐性が落ちる原因になるため、適切な時期と頻度で肥料を与える事が大切です。肥料は、生育を促進するために、植え付け時に元肥と生育期間中に追肥をあたえることができます。
●肥料の与え方
- 元肥:元肥は植付け前または植付け時に土壌の中に入れて施す肥料です。
- 肥料の成分:窒素・リン・カリがバランス良く入る水平型、またはリンが多く入る山型を選びます。
- 肥料の製品:緩効性肥料・配合肥料(BB肥料など)がおすすめです。
- 施し方:基本的に全面施肥です。全面施肥とは、植物を植付ける土壌・培養土の中に、規定の量の元肥を入れて、偏りがないように混和する方法です。※全面施肥は肥料が植物の根に当たるため、肥効が緩やかに出る肥料を選ぶ。例として緩効性肥料やBB肥料などです。
- 追肥:植物が生育する途中で施す肥料です。土壌中の栄養素は植物が吸収して減っていくため、追肥を入れる事で補います。
- 肥料を与える時期:早春から秋の生育期間中※肥料をあたえる頻度は製品によりかわります。
- 肥料の成分:窒素・リン・カリがバランス良く入る水平型、またはリンが多く入る山型を選びます。
- 肥料の製品:液肥・固形肥料(速効性・緩効性・BB肥料 など)がおすすめです。
- 施し方(液肥):液肥を規定された分量の水で希釈して、約10~14日の頻度で与えます。液肥は1箇所にかけるのではなく、植物の回りにかけて、土全体を湿らせるように与えましょう。
- 施し方(固形肥料):固形肥料の与え方は製品により置き肥タイプ・差し込みタイプ・埋め込みタイプがあります。製品に合わせて、規定された分量・規定された頻度・規定された方法で施しましょう。
播種で増やす
クロタネソウの種蒔の方法
- 播種時期:3月~5月・9月~10月
- 発芽適温:約20度
- 発芽日数:約7~21日
- 備考:嫌光性種子・直根性
種まき手順
- 種まきの時期:寒冷地では3月~5月、暖地などの温帯では9月~10月に行います。
- 培土の準備:直根性で基本的に移植を嫌うため直播きされる事が多いですが、根を傷めないよう移植できる場合は移植栽培も可能です。
- 直播き:花壇やプランターの土を整えます。
- 移植栽培:プラグトレー・ピートポット・ポリポット・不織布育苗ポット・ジフィーセブンなどに種まき用の培養土を入れて栽培できます。おすすめは移植の際に根を傷めにくい不織布育苗ポット・ジフィーセブンなどです。
- 種の撒き方:種子は嫌光性のため、種を撒いたら必ず覆土します。種の撒き方は、点撒き・すじ撒きするとよいでしょう。
- 種まき後の管理:種が乾燥すると発芽率が落ちるため、基本的に土と種が乾燥しないように水やりを行い管理します。
- 発芽後:発芽が揃ったら、株同士の間隔を見て、混んでる場所の苗を間引きます。いい苗を残しながら1~3本程度になるように間引きするとよいでしょう。また間引きした苗は別の場所に移植することもできます。※直播きする場合は成長に合わせて株どうしがくっついているものを状態がいい方を残し間引きするとよいでしょう。
- 定植:移植栽培してる場合は、本葉が2枚以上になったら定植します。定植が遅れると根を傷付けるリスクが増えると同時に、苗が老化して定植後の成長も悪くなるため、注意してください。
※鎮圧は土と種の接着を高め水分の吸収をよくします。