- 原産:北アメリカ
- 科:スグリ(Grossulariaceae)
- 属:スグリ(Ribes)
- 種:ハナスグリ(sanguineum)
- 別名:フラワーイング・カラント(flowering currant)/レッドフラワー・カラント(redflower currant)
- 開花時期:2月~4月
- 花の色:赤色●桃色●白色〇
- 葉の色:緑色●
- 分類:落葉低木
- 草丈:約100~400cm
- 用途:生垣
目次 | ||
| ||
花壇土 | 鉢土 | 水やり |
肥料 | 剪定 | 夏越し |
冬越し | 増やし方 | 病気 |
ハナスグリとは!?
ハナスグリは学名Ribes sanguineum、別名では「フラワーイング・カラント(flowering currant)」や「レッドフラワー・カラント(redflower currant)」等とも呼ばれる北アメリカ原産の落葉低木です。
ハナスグリの語源(由来)
- 属名のRibesはラテン語で「小さく乾燥した実」や「スグリ属の実」を意味する「Ribes」もしくは、アラビア語で「酸っぱい」を意味する「rībās」からきています。
- 種小名のsanguineumはラテン語で「血の」「血色の」を意味しており花色に由来します。
- ハナスグリの由来は、花(ハナ)が綺麗なスグリ属の植物からきています。
ハナスグリの特徴(魅力)
- ハナスグリは一般的に春に開花する花を鑑賞する目的で育てられる植物です。
- 花は春の早い時期から開花して穂状に約5から40個の小花を連ねて弧状に広がりながら優雅に開花します。
- 一般的に赤色・桃色・白色に着色され花弁の様に広がる部分は萼片で花の中で最もよく目立ちます。
- 花弁は花の中央で垂直に伸びて筒状になっている白色もしくはクリーム色をした部分です。
- ハナスグリの果実は長球状で長さ約1cmあり青白色もしくは濃い紫色をしています。
- 果実は食用ですが「カシス」や「フサスグリ」等と比べると無味無臭で美味しさがないため殆ど食べられません。
- 花が終わると翌年の開花のために殆どの場合で強く剪定され果実が実る事は少ないです。
- ハナスグリの樹形は株立ち状(地際付近から幹・枝が立ち上がる茂る樹形)です。
- 生垣として利用する場合は品種によっても違いますが一般的に約70~100cm間隔に並べます。
- ハナスグリの葉は落葉性のため冬になるとありません。
- 葉は掌を開いたように浅くふち部分が裂けています。
ハナスグリの茎は木質で樹皮は褐色もしくは灰色(~灰褐色)をしています。樹高は約100(~400)cm、樹形は株立ち状(地際付近から幹・枝が立ち上がる茂る樹形)、茎は直立に伸びます。葉序は互生葉序、葉色は緑色で皺がより、葉身は3~5出掌状浅裂(~中裂)して縁部分に鋸歯があります。花序は総状花序、総状花序は弧状に垂れ長さ約5(~15)cmあり小花が5(~40)個付きます。花の大きさ直径約1cm、花は萼片が最も目立ち、萼片の数は5個で横に大きく開き、萼片の色は桃色・赤色・白色があります。花弁の数は5個で直立して筒状になり色は白色、雄蕊は5個、雌蕊は複合雌しべ(2個の心皮が合着して1個の雌蕊を形成する)で、子房は下位(花被基部より下にある)です。果実は液果、長球形で長さ約1cm、果実の色は青白色もしくは濃い紫色です。
ハナスグリの園芸品種
- キングエドワード二世(ribes sanguineum ‘king edward vii’)は、心地のよい葉の香りと、真紅色の美しい花色が特徴の園芸品種です。高さ250cm幅約150cmに成長します。
- ホワイト・アイシクル(ribes sanguineum ‘white icicle’)は早春に咲く白色の美しい花と、受粉後に実る殆ど黒色をした果実が魅力の園芸品種です。高さ幅ともに約200cmまで成長します。
スグリの主な種と園芸品種は下のリンクから紹介しています。
スグリの珍しい種類、主な種とおすすめの園芸品種の【2022】
ハナスグリの育て方
花壇の土づくり
日当たり
ハナスグリは日光のよく当たる場所で最も生産性が高まるため、直射日光が6時間以上あたる日向、もしくは午前中のみ日が当たり午後から日陰になる半日影で育てましょう。夏の暑さと日差しが厳しい地域では半日影が理想です。
作土層
ハナスグリがしっかり根を張り健康な成長するには、十分な深さの作土層(表層にある柔らかな土)が必要です。苗(根鉢)の1.5~3倍(深さ30~40cm)の深さまでスコップを使い穴を掘り、根張りを邪魔したり保水性や栄養の保持を悪くする石やゴミ等を取り除いておきましょう。
土壌の土質
ハナスグリはやや湿り気が保たれた通気性の良い壌土から砂壌土を好み、肥沃な土でよく育ちます。そのため植え付けの前に土壌診断を行い改善を行いましょう。
- 土を掘る時に土が硬い場合は作土層が十分でない可能性があります。
- スコップで土を深くまで掘り返し石等を取り除きます。
- 土を適度に濡らして手にとり握って土塊を作り通気性・保水性を診断します。
- 手のひらを開き土の塊がバラバラと崩れる場合は通気性と排水性の高い砂壌土や砂土に近い土壌です。栄養の乏しい土壌や乾燥に強い植物にむきます。必要に応じて田土や黒土などを入れ土壌を改善しましょう。
- 手のひらを開いても土の塊は崩れず、土塊を軽く指で押すと崩れる場合は通気性と保水性のバランスが良い壌土に近い土壌です。幅広い植物に向く土壌です。
- 手のひらを開いても土の塊が崩れず、指で押しても崩れる感じがない場合は粘土質で水捌けが悪い土壌の可能性があります。必要に応じて排水性・通気性を高める用土(川砂・パーライト等)を混和しましょう。
- 土壌に入る有機物の量を診断しましょう。土の色を見て、有機物が沢山入る肥沃な土の場合は有機物(腐植)が多く含むため土の色が黒っぽくなります。一方で有機物(腐植)が少ない場合は土の色が薄くなります。
- 土壌の状態とバランスを見ながら、2割から3割を目安に堆肥(腐葉土・バーク堆肥等)を土壌に混和しましょう。
鉢土づくり
日当り
ハナスグリは日当り好むため、基本的には直射日光が6時間以上当たる日向で管理しましょう。ただし夏場は強い日差しで葉焼けを引き起こす事もあるため必要に応じて西日の当たらない半日影に移動します。
培養土
ハナスグリの培養土を自作する場合は通気性と保水性のバランスが良く適度に肥沃な培養土で育てましょう。
赤玉土+ボラ土(細粒)+腐葉土=4:2:4
赤玉土(中粒)+鹿沼土+バーク堆肥+くん炭=4:2:3:1
水やりの仕方
ハナスグリは水をしっかり与える事で健康的な葉の成長を促したり、果実の生産性が高まります。
地植えしてる場合、極端な乾燥が続かない限りは水やりを行わないでも育てられますが、しっかり成長を促したい場合は土の表面(数cm)が乾いてきたら水やりを行いましょう。
鉢植えで育てる場合は土の乾燥が更に早くなるため、定期的な水やりが必要になります。土の表面(数cm)が乾いてきたタイミングで水やりを行うといいでしょう。
肥料の与え方
ハナスグリはある程度、肥沃な土壌であれば肥料がなくても育つ事が出来ますが、沢山の果実を実らせたい場合は毎年1回は肥料(寒肥)と土質を改善する堆肥を与える事が大切です。
元肥(寒肥)
寒肥は元肥と同様に肥効が長い物を選びましょう。具体的には配合肥料や緩効性肥料を選びます。また肥料の成分も元肥と同様に水平型肥料(窒素・リン・カリがバランスよく入る)もしくは山型肥料(リン酸多め)を選びます。
寒肥の施し方は株元から少し離した場所に何ヶ所か数cmの穴を掘り、その中に肥料を施します。
堆肥
堆肥は有機物が微生物により分解された肥料もしくは土壌改良材です。生態サイクルのない庭の花壇や鉢植えは、風雨や微生物の働き等により、土壌が年々劣化していき土が硬くなったり水はけが悪くなったりします。堆肥には【化学性・物理性・生物性】を高める効果があり、劣化した土を肥沃(植物の生育がよく生産性が高い土)な土に変える働きがあります。
堆肥の与え方
堆肥は寒肥を与える時期(初冬から晩冬の間)に一緒に与えると良いでしょう。株から少し離れた場所に堆肥(腐葉土もしくは牛糞堆肥等)を盛ってマルチングするか、穴を掘って埋めましょう。
剪定のやり方
ハナスグリの剪定は開花後(春頃)すぐに行います。剪定を行う事で花の生産性が高まり、まただらしなく成長しないため見た目もよくなります。
ハナスグリの間引き(切り戻し)剪定
ハナスグリの間引き剪定は、枯れた茎、生産性の古い茎等を剪定して取り除く事です。間引き(刈り込み)剪定を行う事で翌年の開花がよくなったり、風通しや日当たりがよくなるため害虫が発生しにくくなったり、病気予防にもなります。
ハナスグリの間引き剪定の時期は開花後すぐの春頃です。剪定が遅くなると翌年の開花に影響を与えるため注意が必要です。
間引き(切り戻し)剪定のやり方は2通りあります。
①間引き剪定は地際付近で一律に間引き剪定を行います。生産性の高い新しい芽の成長が強く促され開花がよくなり、またコンパクトで整った樹形がつくられます。
②地際から高さ30~50cm程度で茎の途中から切り戻し剪定を行います。ある程度高さを維持しながら優雅に広がる樹形がつくられ、沢山の花も見られます。
夏越しする方法
ハナスグリは夏の暑さや強い日差し、乾燥を苦手にしています。そのため必要に応じて夏越し対策が必要です。
ハナスグリの夏越し対策
- 鉢植えで育てている場合は、暑さと乾燥対策として、西日の当たらない半日影に移動するといいでしょう。
- 地植えで育てている場合は、株を弱らせない為に、必要に応じて遮光ネットを張るのも1つの対策です。
- 乾燥対策として地植えした株でも土の表面が乾燥してきたらしっかり水やりを行います。
- 鉢植えで育てている場合は、より乾燥が早くなるため注意が必要です。
- 堆肥でマルチングを行い土壌からの蒸発を抑える事もひとつの対策になります。
冬越しする方法
Hardiness:6b~8a
ハナスグリは耐寒性が高く冬越しの準備をする必要は基本的にはありません。
挿し木や株分けで増やす
ハナスグリは挿し木や取り木によって増やす事ができます。
ハナスグリの挿し木の方法
- ハナスグリの挿し木時期は初夏から初秋が最も根が出やすく成功率が高いです。
- ただし剪定された熟した茎で挿し木される事も多いです。
- 挿し穂は今年成長した弾力がある茎を長さ約10~15cmでとりましょう。
- 茎の下部分を斜めにカットして吸水部分を広くします。
- 茎の下部の葉を取り除きます。
- 挿し穂の切り口を水の中に30分程浸けて水揚げを行います。
- 発根促進剤をつけます。
- 挿し木用の培養土に幾つかの節を入れ挿し穂を深く挿します。
- 明るい日陰で土壌が完全に乾燥しない様に水やりを行いながら管理しましょう。
おすすめの発根促進剤
ハナスグリの取り木(圧条法)
取り木(圧条法)とは茎が柔軟で曲げやすい植物で行われる技法です。茎の1部を土に触れさせる、または茎全体を土に被せ発根させます。
- ハナスグリの取り木(圧条法)を行う時期は4月から7月が適します。
- 新しく出てきた茎(蘖)を曲げて2節程度を土中に埋めクリップ等で固定しておきます。
- 茎の先端部は土から出して支柱に括り垂直に誘引しておきましょう。
- 土中に埋めた茎がしっかり発根したら親株から切り離して、植え直します。
播種で増やす
ハナスグリの種蒔の方法
播種時期:
発芽適温:約
発芽日数:
発芽条件:
植物の病気
ハナスグリの病気
- 斑点病
- うどんこ病
- 根頭がんしゅ病
ハナスグリの害虫
- カイガラムシ