- 原産:ヨーロッパ
- 科:スグリ(Grossulariaceae)
- 属:スグリ(Ribes)
- 種:クロスグリ(nigrum)
- 別名:クロフサスグリ/ブラック・カラント(black currant)/カシス(cassis)
- 品種:チタニア(ribes nigrum ‘titania’)
- 開花時期:4月~5月
- 果実時期:6月~7月
- 花の色:黄色●緑色●桃色●
- 葉の色:緑色●
- 実の色:黒色●紫色●
- 分類:落葉低木
- 草丈:約100~200cm
- 誕生花:7月7日/8月28日
- 花言葉:あなたを喜ばせる/あなたに嫌われたら私は死にます/あなたの不機嫌が私を苦しめる
- 用途:
目次 | ||
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花壇土 | 鉢土 | 水やり |
肥料 | 剪定 | 夏越し |
冬越し | 増やし方 | 病気 |
クロスグリ(チタニア)とは!?
クロスグリ(チタニア)は新しい株です。果実の生産性がとても高いため収量がよく、また耐病性や悪天候に対する耐性も高いため育てやすい所が魅力です。果実は高品質で甘酸っぱい優れた味のため料理用やデザート用等に使うカシスとして人気が高く商業的にも栽培されています。高さ約100~150cm幅約50~100cmまで成長するため育てる際は十分なスペースが必要です。
クロスグリ(カシス)とは!?
クロスグリ(カシス)は学名Ribes rubrum、別名では「ブラック・カラント(black currant)」や「クロフサスグリ」等とも呼ばれヨーロッパ原産の落葉低木です。
クロスグリ(カシス)の語源(由来)
- 属名のRibesはラテン語で「小さく乾燥した実」や「スグリ属の実」を意味する「Ribes」もしくは、アラビア語で「酸っぱい」を意味する「rībās」からきています。
- 種小名のrubrumはラテン語で「黒」や「夜」を意味する「niger」の語尾変化で、黒色の果実に由来しています。
- クロスグリの由来は、黒色をしたスグリ(酸っぱい丸い実)が沢山つく所からきています。
クロスグリ(カシス)の特徴(魅力)
- クロスグリ(カシス)は初夏から夏に実る果実を収穫して食べる目的で育てられる植物です。
- クロスグリ(カシス)の果実は黒く光沢がありぶどうの房の様に垂れ下がり4~20個が房状に実ります。
- クロスグリの果実は一般的にカシスと呼ばれており生で食べると甘酸っぱい味がします。
- 果実はジャムやシロップ等に甘く加工され食べられる事が多いです。
- クロスグリの果実にはビタミンCやポリフェノールが多く含有しています。
- ビタミンCやポリフェノールによる抗酸化作用(活性酸素の発生や働きを抑制して老化防止・ガン予防・生活習慣病予防等)やカシスポリフェノールにより血流改善等が期待出来ます。
- クロスグリ(カシス)の花で最も目立つ部分は萼片で黄緑色もしくは濃い桃色をしており5個の萼片は外側に強く巻きます。
- 花弁は5個とも直立して筒状になり黄緑色もしくはクリーム色をしています。
- クロスグリ(カシス)の樹形は株立ち状(地際付近から幹・枝が立ち上がる茂る樹形)です。
- 2年の幹(枝)で最も収量が高くなるため果実の収穫を目的とする場合は定期的に剪定され育てられるのが一般的です。
- クロスグリ(カシス)の葉は落葉性のため冬になるとありません。
- 葉は掌を開いたように浅くふち部分が裂けています。
クロスグリ(カシス)の茎は木質で樹皮は灰褐色もしくは褐色(~赤褐色)をしています。樹高は約100(~200)cm、樹形は株立ち状(地際付近から幹・枝が立ち上がる茂る樹形)、茎は直立に伸びます。葉序は互生葉序、葉柄は約3(~4)cm、葉身は幅が約3(~5)cmあり3~5出掌状浅裂(~中裂)して縁部分に鋸歯があります。花序は総状花序、総状花序は垂れ下がり長さ約3(~8)cmあり小花が4(~20)個付きます。花の大きさ直径約0.8cm、花の中で最も萼片が目立ち、萼片の数は5個で後ろに巻き、萼片の色は緑色もしくは桃色、花弁の色は黄色、花弁の数は5個で直立、雄蕊は5個、雌蕊は複合雌しべ(2個の心皮が合着して1個の雌蕊を形成する)で、子房は下位(花被基部より下にある)です。果実は液果、球形で直径約1.2(~1.5)cm、果実の色は光沢のある黒色です。
クロスグリ(カシス)の収穫時期や食べ方の紹介
- 食用部分:果実
- 収穫時期:6月~7月(果実が黒色に熟し柔らかくなったら)
- 食べ方:生食・ジャム・ゼリー・シロップ・タルト・ジュースなど
クロスグリ(カシス)の食べ方
クロスグリ(カシス)は初夏から夏にかけて黒色に熟した果実を食べる事が出来ます。果実は甘酸っぱく果実の中には種が多いです。果実は生のまま皮ごと食べられますが、ジャムに加工されたりシロップにしてジュースに入れる等して食べられる事が多いかもしれません。
クロスグリ(カシス)の果実の食べ方(ジャム)
- 必要な物を準備します。
- クロスグリの果実(例500g)・砂糖(例300g)・水(80g)・レモン果汁(適量)・瓶(殺菌済)
- クロスグリの果実の下処理を行います。
- 収穫した果実から花柄を取り除きます。
- 果実を水洗いします。
- 鍋の中に果肉と水を入れて約5分間煮ます。
- 鍋の中の果肉をザルに取り出し木ベラ等で果肉を潰し濾しましょう。
- 種等を取り除き滑らかなジャムを作りたい場合に行う処理です。
- 鍋の中に果肉(果汁)と砂糖とレモン果汁を入れて弱火で煮詰めます。
- 木ベラで約10分混ぜトロミが出てきたら完成です。
- 殺菌した瓶に保存して必要な時に取り出し食べましょう。
スグリの主な種と園芸品種は下のリンクから紹介しています。
スグリの珍しい種類、主な種とおすすめの園芸品種の【2022】
クロスグリ(チタニア)の育て方
花壇の土づくり
日当たり
クロスグリ(チタニア)は日光のよく当たる場所で最も生産性が高まるため、直射日光が6時間以上あたる日向、もしくは午前中のみ日が当たり午後から日陰になる半日影で育てましょう。夏の暑さと日差しが厳しい地域では半日影が理想です。また明るい日陰を許容しますが、果実の生産性や成長は著しく制限されます。
作土層
クロスグリ(チタニア)がしっかり根を張り健康な成長するには、十分な深さの作土層(表層にある柔らかな土)が必要です。苗(根鉢)の1.5~3倍(深さ30~40cm)の深さまでスコップを使い穴を掘り、根張りを邪魔したり保水性や栄養の保持を悪くする石やゴミ等を取り除いておきましょう。
土壌の土質
クロスグリ(チタニア)はやや湿り気が保たれた通気性の良い壌土から砂壌土を好み、肥沃な土でよく育ちます。逆にジメジメした過湿が長く続いたり浸水する様な土壌では根腐れ等の病気にかかりやすくなるため注意が必要です。植え付けの前に土壌診断を行い改善を行いましょう。
- 土を掘る時に土が硬い場合は作土層が十分でない可能性があります。
- スコップで土を深くまで掘り返し石等を取り除きます。
- 土を適度に濡らして手にとり握って土塊を作り通気性・保水性を診断します。
- 手のひらを開き土の塊がバラバラと崩れる場合は通気性と排水性の高い砂壌土や砂土に近い土壌です。栄養の乏しい土壌や乾燥に強い植物にむきます。必要に応じて田土や黒土などを入れ土壌を改善しましょう。
- 手のひらを開いても土の塊は崩れず、土塊を軽く指で押すと崩れる場合は通気性と保水性のバランスが良い壌土に近い土壌です。幅広い植物に向く土壌です。
- 手のひらを開いても土の塊が崩れず、指で押しても崩れる感じがない場合は粘土質で水捌けが悪い土壌の可能性があります。必要に応じて排水性・通気性を高める用土(川砂・パーライト等)を混和しましょう。
- 土壌に入る有機物の量を診断しましょう。土の色を見て、有機物が沢山入る肥沃な土の場合は有機物(腐植)が多く含むため土の色が黒っぽくなります。一方で有機物(腐植)が少ない場合は土の色が薄くなります。
- 土壌の状態とバランスを見ながら、2割から3割を目安に堆肥(腐葉土・バーク堆肥等)を土壌に混和しましょう。
鉢土づくり
日当り
クロスグリ(チタニア)は日当り好むため、基本的には直射日光が6時間以上当たる日向で管理しましょう。ただし夏場は強い日差しで葉焼けを引き起こす事もあるため必要に応じて西日の当たらない半日影に移動します。
培養土
クロスグリ(チタニア)の培養土を自作する場合は通気性と保水性のバランスが良く適度に肥沃な培養土で育てましょう。
赤玉土+ボラ土(細粒)+腐葉土=4:2:4
赤玉土(中粒)+鹿沼土+バーク堆肥+くん炭=4:2:3:1
水やりの仕方
クロスグリ(チタニア)は水をしっかり与える事で健康的な葉の成長を促したり、果実の生産性が高まります。
地植えしてる場合、極端な乾燥が続かない限りは水やりを行わないでも育てられますが、しっかり成長を促したい場合は土の表面(数cm)が乾いてきたら水やりを行いましょう。
鉢植えで育てる場合は土の乾燥が更に早くなるため、定期的な水やりが必要になります。土の表面(数cm)が乾いてきたタイミングで水やりを行うといいでしょう。
肥料の与え方
クロスグリ(チタニア)はある程度、肥沃な土壌であれば肥料がなくても育つ事が出来ますが、沢山の果実を実らせたい場合は毎年1回は肥料(寒肥)と土質を改善する堆肥を与える事が大切です。
元肥(寒肥)
寒肥は元肥と同様に肥効が長い物を選びましょう。具体的には配合肥料や緩効性肥料を選びます。また肥料の成分も元肥と同様に水平型肥料(窒素・リン・カリがバランスよく入る)もしくは山型肥料(リン酸多め)を選びます。
寒肥の施し方は株元から少し離した場所に何ヶ所か数cmの穴を掘り、その中に肥料を施します。
堆肥
堆肥は有機物が微生物により分解された肥料もしくは土壌改良材です。生態サイクルのない庭の花壇や鉢植えは、風雨や微生物の働き等により、土壌が年々劣化していき土が硬くなったり水はけが悪くなったりします。堆肥には【化学性・物理性・生物性】を高める効果があり、劣化した土を肥沃(植物の生育がよく生産性が高い土)な土に変える働きがあります。
堆肥の与え方
堆肥は寒肥を与える時期(初冬から晩冬の間)に一緒に与えると良いでしょう。株から少し離れた場所に堆肥(腐葉土もしくは牛糞堆肥等)を盛ってマルチングするか、穴を掘って埋めましょう。
剪定のやり方
クロスグリ(チタニア)は剪定しなくても育てられますが、剪定により収量が改善されたり、日当たりや風通しが改善され健康な成長を助けたり、大きさを制御して見た目を改善する効果などが期待できます。剪定は一般的には収量を増やす目的で「間引き剪定」が毎年1回行われます。
クロスグリ(チタニア)の間引き剪定
クロスグリ(チタニア)の間引き剪定は、生産性の落ちた古い茎、樹形を乱す不要な茎、枯れた茎などを取り除く事です。間引き剪定を行う事で、生産性を向上させたり、見た目を改善したり、日当りや風通しがよくなり健康な成長を促す働きがあります。
クロスグリ(チタニア)の間引き剪定の時期は冬から晩冬です。また枯れ枝であれば何時でも剪定して取り除く事が出来ます。
間引き剪定のやり方は枯れた茎や損傷した茎、病気の茎や交差する茎等の健康な成長を阻害する不要な茎を見つけて根元から間引き剪定します。次に生産性の高い2年目~3年目の茎を残し4年目以降の古い茎を健康な芽のある場所の上、もしくは地際から剪定します。最後に地面に付くように外側に広がる茎や内側をむいて成長する茎等を根元から剪定して8~12本の健康な茎をのこしましょう。
夏越しする方法
クロスグリ(チタニア)は夏の暑さや強い日差し、乾燥を苦手にしています。そのため必要に応じて夏越し対策が必要です。
クロスグリ(チタニア)の夏越し対策
- 鉢植えで育てている場合は、暑さと乾燥対策として、西日の当たらない半日影に移動するといいでしょう。
- 地植えで育てている場合は、株を弱らせない為に、必要に応じて遮光ネットを張るのも1つの対策です。
- 乾燥対策として地植えした株でも土の表面が乾燥してきたらしっかり水やりを行います。
- 鉢植えで育てている場合は、より乾燥が早くなるため注意が必要です。
- 堆肥でマルチングを行い土壌からの蒸発を抑える事もひとつの対策になります。
冬越しする方法
Hardiness:4a~8b
クロスグリ(チタニア)は耐寒性が高く冬越しの準備をする必要は基本的にはありません。
挿し木や株分けで増やす
クロスグリ(チタニア)は挿し木や取り木によって増やす事ができます。
クロスグリ(チタニア)の挿し木の方法
- クロスグリ(チタニア)の挿し木時期は晩夏から初秋が最も根が出やすく成功率が高いです。
- ただし多くは晩冬に剪定された茎で挿し木されます。
- 挿し穂は今年成長した弾力がある茎を長さ約10~15cmでとりましょう。
- 茎の下部分を斜めにカットして吸水部分を広くします。
- 茎の下部の葉を取り除きます。
- 挿し穂の切り口を水の中に30分程浸けて水揚げを行います。
- 発根促進剤をつけます。
- 挿し木用の培養土に幾つかの節を入れ挿し穂を深く挿します。
- 明るい日陰で土壌が完全に乾燥しない様に水やりを行いながら管理しましょう。
おすすめの発根促進剤
クロスグリ(チタニア)の取り木(圧条法)
取り木(圧条法)とは茎が柔軟で曲げやすい植物で行われる技法です。茎の1部を土に触れさせる、または茎全体を土に被せ発根させます。
- クロスグリ(チタニア)の取り木(圧条法)を行う時期は4月から7月が適します。
- 新しく出てきた茎(蘖)を曲げて2節程度を土中に埋めクリップ等で固定しておきます。
- 茎の先端部は土から出して支柱に括り垂直に誘引しておきましょう。
- 土中に埋めた茎がしっかり発根したら親株から切り離して、植え直します。
播種で増やす
クロスグリ(カシス)の種蒔の方法
播種時期:
発芽適温:約
発芽日数:
発芽条件:
植物の病気
クロスグリ(カシス)の病気
- 斑点病
- うどんこ病
- 根頭がんしゅ病
クロスグリ(カシス)の害虫
- カイガラムシ