- 原産:日本/朝鮮
- 科:アジサイ(Hydrangeaceae)
- 属:アジサイ/ハイドランジア(Hydrangea)
- 種:イワガラミ(Hydrangea hydrangeoides)
- 同義語:Schizophragma hydrangeoides
- 別名:岩絡み/ユキカズラ/ジャパニーズ・ハイドランジア・バイン(Japanese hydrangea vine)
- 品種:ロゼウム(schizophragma hydrangeoides ‘roseum’)
- 開花時期:5月~7月
- 花の色:白色〇桃色●
- 葉の色:緑色●
- 分類:落葉ツル性木本
- 登攀方法:気根
- 長さ:約500~1200cm
- 用途:ツル植物/日陰植物
- 購入方法:イワガラミ(ロゼウム)を楽天で購入
目次 | ||
| ||
花壇土 | 鉢土 | 水やり |
肥料 | 剪定 | 夏越し |
冬越し | 増やし方 | 病気 |
イワガラミ(ロゼウム)の特徴
- イワガラミ(ロゼウム)の特徴は、白色の花が成熟するにつれて美しい赤ピンク色に染まりロマンチックな雰囲気をつくる所にあります。
- 花の形はガクアジサイ型、両性花の回りに白色の装飾花が並び、光を通すレースような上品な花姿が楽しめます。
- 樹形はツル性、ツルの長さは約500~1200cm、気根を付着させながら岩壁などを登攀することが出来ます。
イワガラミとは!?
イワガラミの学名はHydrangea hydrangeoidesまたは同義語でSchizophragma hydrangeoides、別名では「ユキカズラ」や「ジャパニーズ・ハイドランジア・バイン(Japanese hydrangea vine)」とも呼ばれる落葉ツル性木本です。
イワガラミの原産地は日本および朝鮮、日本では九州・本州・四国・北海道に分布しており、山地の岩崖や林縁等に自生しています。
イワガラミの語源(由来)
- 属名のHydrangeaは、古代ギリシア語で「水」を意味する「ὕδωρ(húdōr)」と、「容器」を意味する「ἀγγεῖον(angeîon)」の2語からきており、水を入れるカップの様な形状をした果実の形に由来すると言われています。
- 種小名のhydrangeoidesは「アジサイに似た」を意味しています。
- イワガラミの由来は岩に絡み登る姿からきています。
イワガラミの特徴(魅力)
- イワガラミの特徴は、近縁のツルアジサイと違い花序の中の装飾花の萼片が一枚しかなくて樹皮が剥がれない所、花序はガクアジサイ型で光を通すレースのような上品な花を咲かせる所、花序は直径25cmに達する事もあり強い存在感を感じさせる所、樹形はツル性で気根を利用して登攀する能力がある所、非常に強健で育てやすい所などにあります。
- イワガラミは、ツルを誘引して壁面緑化として利用する目的・上品な花を鑑賞する目的・葉をカラーリーフとして楽しむ目的などで栽培されます。
- 樹形はツル性、ツルの長さは約500~2000cm、太さは5cmを越える事もあり、樹皮の色は淡い褐色から灰褐色、太いツルは樹皮が縦に裂ける、ただし樹皮は剥がれません。
- ツルは茎の途中から生える気根(付着根)を、他の植物や物体に浸透もしくは付着させて、張り付きながら登攀することが出来ます。※ただしツルから付着根を出して付着するまでは上手く登れないため、初めのうちは紐などでのサポートが必要です。
- 葉序は対生葉序、葉身の長さ約5~16cm、葉身の形は卵形もしくは広卵形、葉脈は網状脈、葉縁部分に鋸歯があり、葉の色は緑色です。
- 一部の品種では、葉の中に白色の班がはいるため、カラーリーフとして楽しまれることもあるようです。
- 開花期間は初夏から夏、花序は散房花序、散房花序の直径は約10~25cm、形状は平型、花は装飾花と両性花が組み合わさるガクアジサイ型です。※装飾花は中性花、両性花は通常花とも呼ばれる事がある。
- 装飾花:萼片の数は1個、萼片は大きく発達して花弁化しており、萼片の色は白色~クリーム色です。
- 両性花:花弁の数は5個、花弁は早落性、雄蕊の数は10本、雄蕊の花糸は白色~クリーム色、雌蕊がある。
- 果実は蒴果、蒴果の形はカップのような倒半円形、成熟すると果皮が裂開して種子を放出します。
- 主な用途
- イワガラミは壁面や岩壁を緑化する目的で栽培される事が多い植物です。
- イワガラミのツルは非常に長いため高い被覆力があり、また気根を利用しながら壁面(堀や木壁など)や植物の隙間などに浸透または付着して登攀する事ができます。※ただし気根は様々な隙間に侵入してしまうため、その部分を劣化させて損傷を与えるリスクがあります。またツルが長く旺盛に広がるため、逸出して手に負えなくなる可能性も考えられます。そのため、大事な場所にツルを這わせる場合は、保護パネルを利用するなどの計画を事前にたてておいた方がよいでしょう。
- ツルを人工物の壁面に誘引する事で、自然との境界が曖昧になり、歴史と共に荒廃していったよう独特な雰囲気を演出する事ができます。
- ツルを植物や自然の岩壁などに誘引する事で、深い森などの自然の中に包まれるような雰囲気を演出する事ができます。
アジサイ(ハイドランジア)の主な種と園芸品種は下のリンクから紹介しています。
イワガラミ(ロゼウム)の育て方
花壇の土づくり
日当り
イワガラミ(ロゼウム)は、日向から明るい日陰まで幅広い環境に適応します。ただし、強い日差しが葉焼けを引き起こしたり、日当たりの悪さが花付きを悪くしたりします。
そのため、理想的な環境は西日の当たらない半日影になります。
- 日向とは、直射日光が6時間以上当たる場所です。
- 半日影とは、直射日光が3時間から5時間程度当たる場所です。また基本的には午前中のみ日が当たり午後から日陰になる場所になります。
- 明るい日陰とは、直射日光が二時間程度まで、または間接光だけが当たるような比較的に明るい場所です。
- 暗い日陰とは、森の中にあるような直射日光も間接光もほとんど当たらないような暗い場所です。
土壌の土質
イワガラミは、通気性・排水性・保水性のバランスが良く、有機物がしっかり入る肥沃な土壌を好みます。
そのため、植え付けの前に土壌診断を行い、土壌の通気性と保水性のバランスを改善して、腐葉土等の有機物を入れ肥沃な土壌に改善しましょう。
土壌診断と改善の行い方
- 土を掘る時に土が硬い場合は作土層が十分でない可能性があります。
- スコップで土を深くまで掘り返し石等を取り除きます。
- 適度に濡れた土を、手にとり握って土塊を作り、通気性・保水性などを診断します。
- 手のひらを開き土の塊がバラバラと崩れる場合は通気性と排水性の高い砂壌土や砂土に近い土壌です。栄養の乏しい土壌や乾燥に強い植物にむきます。
- 保水性を改善したい場合は保水性を高める用土(堆肥や黒土など)を入れると良いでしょう。
- 手のひらを開いても土の塊は崩れず、土塊を軽く指で押すと崩れる場合は通気性と保水性のバランスが良い壌土に近い土壌です。幅広い植物に向く土壌です。
- 植物に合わせて保水性を好む植物であれば保水性を高める用土(黒土やバーミキュライト等)を入れたり、乾燥を好む植物であれば排水性や通気性を高める用土(川砂やパーライトなど)を入れましょう。
- 手のひらを開いても土の塊が崩れず、指で押しても崩れる感じがない場合は粘土質で水捌けが悪い土壌の可能性があります。必要に応じて排水性・通気性を高める用土(川砂・パーライト等)を混和しましょう。
- 手のひらを開き土の塊がバラバラと崩れる場合は通気性と排水性の高い砂壌土や砂土に近い土壌です。栄養の乏しい土壌や乾燥に強い植物にむきます。
- 土壌に入る有機物の量を診断しましょう。土の色を見て、有機物が沢山入る肥沃な土の場合は有機物(腐植)が多く含むため土の色が黒っぽくなります。一方で有機物(腐植)が少ない場合は土の色が薄くなります。
- 土壌の状態とバランスを見ながら、2割から3割を目安に堆肥(腐葉土・バーク堆肥等)を土壌に混和しましょう。
- PHを測る専用の道具を用意して診断します。※詳しくはPHを診断からご覧下さい。
- 酸性土壌を改善して土壌を中性またはアルカリ性にしたい場合は、苦土石灰を利用します。PHを1上げるのに必要な苦土石灰の量は1平方メートルあたり150g程度です。土壌に苦土石灰を撒いた後は、石灰が塊にならないようによく混和します。
- アルカリ性土壌を改善して酸性に傾けたい場合は無調整ピートモス(PH4程度)を利用しましょう。ピートモスを腐葉土のかわり等に利用して、よく混和しましょう。
植付け時の注意点
- 植え付け時期
- 休眠中の11月~3月が最適ですが、それ以外の季節でも植え付けを行うことが出来ます。
- 植え穴の深さ
- 地面から30~40cm程度の穴を掘り、根張りを邪魔したり保水性や栄養の保持を悪くする石やゴミ等を取り除きましょう。
- 植え付け方法
- 植付け方法は標準植えで行います。根が回っている場合は、軽く解してから植え付けましょう。
水やりの仕方
イワガラミ(ロゼウム)は、基本的にやや湿り気のある土壌を好みます。そのため、土壌の土質や周囲の環境にもよりますが、定期的な水やりが必要です。
注意することは、土壌を極端に乾燥させたり、水分の多い過湿状態に長くしない事です。乾燥は、葉の1部が枯れてチリチリになったり、生育不良を引き起こす原因となります。また湿り気のある土壌を好むとはいえ、過湿は根腐れを引き起こして生育不良を引き起こす原因になります。そのため、水やりの頻度には注意が必要となります。
水やりの頻度と与え方
- 水やりのタイミングは、土壌の表面が2cm程度乾いてきたら行うといいでしょう。乾燥の確認方法は、土の色の変化を見たり、土の中に指を入れて確認する方法等があります。不安な場合はサスティーを利用すると良いでしょう。
- 水やりの頻度は季節や気候・周囲の環境・土質によっても左右されるため一概ではありません。土壌の状態をみながら水やりを繰り返して、少しづつ掴んでいくと良いでしょう。
肥料の与え方
イワガラミ(ロゼウム)は、肥沃な土壌に植えてあれば多くの肥料を必要としません。必要に応じて堆肥と寒肥を施しましょう。
堆肥の与え方
- 堆肥を入れる時期
- 植え付け時、または冬から早春に堆肥を入れます。
- 堆肥の入れ方
- 地植えの場合は土壌改良を行い堆肥(腐葉土や牛糞堆肥等)をいれて混和するか、株の上に堆肥を盛るか、周囲に穴を掘り堆肥を入れましょう。
- 鉢植えの場合は、植え替え時に牛糞や腐葉土のしっかり入る新しい培養土を使うか、古い土を再利用する場合は、古い土の中に二割から五割ほど新しい土を混ぜて再利用しましょう。
肥料の与え方
- 肥料を与える時期
- 寒肥:12月~2月の冬の間に与えます。
- 肥料の選び方
- 寒肥:寒肥は一般的に有機肥料や配合肥料が使用されますが、緩効性肥料も利用できます。ただし基本的に肥沃な土壌を好むため、有機肥料や配合肥料がおすすめです。肥料の成分は窒素・リン・カリがバランスよく入っているものを選ぶと良いでしょう。
- 肥料の与え方
- 有機肥料を与える場合は、規定された分量を規定された場所に与えます。有機肥料を土に剥き出しにすると分解が遅くなったり、虫が寄ってくる事もあるため、基本は土の中に埋めます。株元から少し離れた場所に穴を掘り肥料を埋めるとよいでしょう。※地面にそのまま置き肥する場合もあります。
- 化成肥料(固形肥料)を与える場合は、規定された分量を規定された場所に与えます。基本的には置き肥のため、株から少し離れた場所に与えるようにしましょう。また、水やりの際に、きちんと肥料が解けるように水を肥料に当ててください。
剪定のやり方
イワガラミ(ロゼウム)は、定期的な剪定をする必要はありませんが、大きさを制御したい時、特定の場所で分枝を促したい時などに剪定されます。
剪定のやり方
- 剪定の時期
- 開花後に行います。剪定が遅れると翌年の開花に悪影響を及ぼすため注意が必要です。
- 剪定方法
- 株全体を観察して枯れた枝・損傷した枝(折れてる枝等)・病気の枝を探して、これを枝分かれしてる場所、もしくは被害を受けていない枝の途中の節(芽)の上で、剪定して取り除きましょう。
- 全体を観察して、ツルが予定の範囲よりも逸出している場合は、原因となるツルを切り戻し剪定しましょう。
- 株全体を観察して枝が混みあっていると感じる場合は、混みあっている原因の側枝または主枝を根元から間引き剪定するか、枝の途中で切り戻し剪定しましょう。
夏越しする方法
イワガラミ(ロゼウム)は、それほど夏越しが難しい植物ではありません。基本的な育て方に従えば夏越し対策を特段行う必要はありません。
夏越しで重要なポイント
- 夏場は、西日の当たらない半日影で育てた方が、株が弱りにくいでしょう。
- 鉢植えであれば西日の当たらない場所に移動します。
- 地植えであれば西日の当たらない場所に植えたりしましょう。
- 土壌が何時までも濡れていてジメジメした状態が続くと、根腐れをして枯れる事があります。
- 土壌の通気性・排水性をよくしておきましょう。
- 乾燥が続くと葉が萎れたり落ちたりする事があります。
- 土壌の状態を見ながら定期的に水やりを行いましょう。
- 半日影などの乾燥しにくい環境で管理するのもひとつの対策になります。
挿し木や株分けで増やす
イワガラミは挿し木によって増やす事ができます。
挿し木の方法
- 挿し木時期
- 熟枝挿し:晩冬から早春
- 半熟枝挿し:初夏
- 培養土を準備します
- 挿し穂用の培養土には切り口が腐敗して吸水を阻害しないように、無菌のものを利用します。一般的にはバーミキュライト・赤玉土・パーライト・ピートモスなどが利用されていますが、専用の培養土もあるため近くのホームセンターで探すのも良いでしょう。
- 培養土を容器に入れて事前に水をかけて湿らせておきます。
- 挿し穂を採取する
- 挿し穂の茎は弾力があり健康な部分をカットして利用しましょう。ただし熟枝挿しの場合は硬い枝になります。
- 挿し穂を整形する
- 挿し穂の長さを10~15cm程度にカットして調節します。
- 挿し穂の上部の葉を残して、下部の葉を取り除き、葉も大きすぎるため半分程度にカットしましょう。
- 茎の下部分を斜めにカットして吸水部分を広くしておきましょう。
- 培養土に挿し穂を挿す
- 挿し穂を挿す場所を決めて、培養土の中に、割り箸等を利用して、事前に穴を空けておきます。
- 挿し穂の切り口を下向きにして、培養土の中に挿し穂を入れましょう。通常は挿し穂の1/3程をいれます。
- 管理
- 明るい日陰で土壌が完全に乾燥しない様に水やりを行いながら管理しましょう。