

- 原産:
- 科:アジサイ(Hydrangeaceae)
- 属:アジサイ/ハイドランジア(Hydrangea)
- 品種群:ラグランジア(Hydrangea hybrid/Luxrangea)
- 品種:シャンデリーニ
- 開花時期:5月~7月
- 花の色:黄緑色・白色・桃色
- 葉の色:緑色
- 生活形:落葉低木
- 樹高:約100cm
- 用途:切り花/日陰植物
- 購入方法:ラグランジア(シャンデリーニ)を楽天で購入
■ラグランジア(シャンデリーニ)の特徴
- 開花時期:5月~7月
- 花型:テマリ型
- 装飾花:一重咲き
- 花の色:黄緑色・白色・桃色
- 樹高:約100cm
- 株張り:約120cm
- 豪華な花姿:旧枝の全ての側芽から花房を形成することが可能なため、枝を覆うように咲き誇る豪華な花姿が楽しめます。
- 色彩:咲き初めは薄いライムグリーン、咲き進むと純白になり、咲き終わりが近づくと薄い桃色になる。
■ラグランジアとは!?
ラグランジア(Hydrangea hybrid/Luxrangea)とは、育種家の坂嵜潮が各地に出向いた中で、葉が小さくて株いっぱいに花が咲く野生のアジサイと出会い、コガクウツギ(Hydrangea luteovenosa)、ヤマアジサイ(Hydrangea serrata)、アジサイ(Hydrangea macrophylla)などを交配して生まれた交雑種で、PWが展開する品種群です。
■ラグランジアの語源(由来)
- Hydrangeaの語源:古代ギリシア語で「水」を意味する「ὕδωρ(húdōr)」と、古代ギリシア語で「容器」を意味する「ἀγγεῖον(angeîon)」の2語で構成されており、本種の実が水を入れるカップの様な形状をしていることに由来します。
■ラグランジアの特徴(魅力)
- 形態:樹高は約50~100cm、生育型は叢生型で地際から複数の茎が伸び、茎は直立または斜上し、葉や花の重みで枝垂れることもあります。葉の形は楕円形・披針形です。花序は複合花序で集散花序が散房状に配列し、旧枝の節から側芽を出し、それぞれに花序を形成します。花は装飾花と両性花の2種類または装飾花の1種類で構成されます。
- 近縁種との比較:一般的なアジサイは枝の頂部に花房を一つ形成しますが、ラグランジアは旧枝の全ての節から花序を形成する能力があります。また葉が小振りな点も特徴です。
- 花の魅力:開花期は5月~7月頃、花房の形は「ガクアジサイ型」と「テマリ型」の2種類があり、花房の直径は約5~15cmで、旧枝の全ての側芽から花房を形成することが可能なため、枝を覆うように咲き誇る豪華な花姿が楽しめます。花の色は白色、または品種によりpH(アルミニウムの溶出)の差異で青色・紫色・桃色・範囲で変化することがあります。
- ガクアジサイ型:花序の形は扁平な円形の平型で、花は両性花と装飾花の2種類で構成されており、花序の外周に装飾花が並び額縁のような見た目をしています。
- テマリ型:花序の形は球形または扁球形で、花の全ては装飾花であるか、または少数の両性花は装飾花に埋もれています。
- 耐乾性:近縁種のアジサイと比べて葉のサイズが小さいため、蒸散量が減り耐乾性が高くなっています。そのため、日向でも栽培可能で、管理も楽になっています。
- 枝垂れ植物:ラグランジアは茎が比較的柔軟で枝垂れる性質もあるため、吊り鉢やハンギング鉢などに植えると鉢縁から滝のように枝垂れる優美な姿と、美しい花姿が鑑賞できます。これらの仕立て方で、人工物などが植物に覆われていく様は、優美な雰囲気を演出するだけでなく、時が流れ荒廃していく様を演出するのにも一役買い、独特な演出をすることが可能です。
■ラグランジアの生活形と形態
●生活形・茎の形態
- 生活形:落葉低木
- 樹高:約50~100cm
- 生育型:叢生型で、地際から茎が何本も出て叢生(株立ち)します。
- 茎の性質:若い茎は直立または斜上し、葉や花の重みで枝垂れる性質もあります。
- 茎の色:一般的に緑色から黄緑色でアントシアニンの影響で赤紫色(暗紫色)をしていたりします。
- 樹皮:色は淡い褐色から灰褐色、古くなると縦に裂けて薄く剥がれます。
●葉の形態
- 葉序:対生葉序
- 葉柄:有柄
- 葉身の概形:楕円形・披針形
- 葉縁:鋸歯
- 葉の色:緑色
●花の形態
- 花序:集散花序が散房状に配列される複合花序で、花序は枝頂部だけでなく、その下の多くの節から花序を形成出来ます。
- 花序の直径:約5~15cm
- 花序の概形:ガクアジサイ型(ガク咲き)は扁平な円形の平型になります。テマリ型(テマリ咲き)は球形または扁球形になります。
- 花柄:有柄
- 花:装飾花と両性花の2種類があります。
- 装飾花:ガクアジサイ型では花序の周辺に位置し、テマリ型では花序の殆どを構成しています。萼片・花弁・雄蕊・雌蕊(発達不全)で構成されており、花弁は開かないことも多く、両性花と比べて萼片が大きい所が最大の特徴です。
- 装飾花の萼:萼片の数は一般的に4枚(3~5枚)です。萼片の形は円形(丸弁)で、萼片の色は白色または青色・桃色・紫色です
- 装飾花の花弁:装飾花の中央にあり、個体により開花と共に花弁が開いたり、開かない個体があります。
- 両性花:ガクアジサイ型では花序の中央部に位置して密集しており、テマリ型では殆ど見られません。萼片・花弁・雄蕊・雌蕊で構成されており、装飾花と比べて萼片が著しく小さく、花弁よりも小さいため、殆ど目立たず、花弁が最も目立ちます。
- 両性花の萼:萼片の数は5枚、ただし基本的に花弁より小さく目立ちません。
- 両性花の花弁:花弁の数は一般的に5枚ですが4枚も見られます。花弁の形は楕円形。花弁の色は白色または青色・紫色・桃色が見られます。
- 装飾花:ガクアジサイ型では花序の周辺に位置し、テマリ型では花序の殆どを構成しています。萼片・花弁・雄蕊・雌蕊(発達不全)で構成されており、花弁は開かないことも多く、両性花と比べて萼片が大きい所が最大の特徴です。
●果実・種子の形態
※植物の形態についてはこちらのページも参考にしてください。
■ラグランジアの園芸品種
●ブライダルシャワー

開花時期:5月~7月
花型:ガクアジサイ型
装飾花:一重咲き
花の色:黄緑色・白色・桃色
樹高:約100cm
株張り:約120cm
豪華な花姿:旧枝の全ての側芽から花房を形成することが可能なため、枝を覆うように咲き誇る豪華な花姿が楽しめます。張り:約120cm
色彩:咲き初めは薄いライムグリーン、咲き進むと純白になり、咲き終わりが近づくと薄い桃色になる。
●クリスタルヴェール2

開花時期:5月~7月
花型:テマリ型
装飾花:一重咲き
花の色:黄緑色・青色・紫色・桃色
樹高:約100cm
株張り:約120cm
豪華な花姿:旧枝の全ての側芽から花房を形成することが可能なため、枝を覆うように咲き誇る豪華な花姿が楽しめます。
色彩:咲き初めは薄いライムグリーン、咲き進むとpHにより青色・紫色・桃色の範囲で変化します。またpHの調節によっては青色・紫色・桃色がグラデーションのようになるようです。
●シャンデリー

開花時期:5月~7月
花型:テマリ型
装飾花:一重咲き
花の色:黄緑色・白色・桃色
樹高:約100cm
株張り:約120cm
豪華な花姿:旧枝の全ての側芽から花房を形成することが可能なため、枝を覆うように咲き誇る豪華な花姿が楽しめます。
色彩:咲き初めは薄いライムグリーン、咲き進むと純白になり、咲き終わりが近づくと薄い桃色になる。
■アジサイ属の主な種と園芸品種は下のリンクから紹介しています。
■ラグランジアの育て方
花壇の土づくり
●日照条件
ラグランジアは、日向・半日陰・明るい日陰の範囲で育てることが出来ます。また本種は一般的なアジサイと比べて葉が小さいため蒸散量が少なくて耐乾性が高いため日向でも栽培が可能で、また日当たりの良い場所で花付きが良くなります。そのため、理想的な環境は日向、または午前中に日光が当たり午後から日陰になる半日陰になります。
日照条件の分類(参考)
- 日向:直射日光が一日を通して6時間以上当たる場所です。一般的に全方位に障害物がない、またはお庭の向きが南向きの場所になります。
- 半日陰:直射日光が3時間から5時間程度当たる場所です。一般的には、午前中のみ日が当たり、午後から日陰になる場所となります。そのため、お庭の向きは東向き、または木漏れ日がはいるような場所です。
- 明るい日陰:直射日光が二時間程度までしか当たらないか、殆ど当たらずに間接光だけで明るい場所です。一般的にお庭の向きが北向き、または建物の影など日差しを遮る障害物が多い環境です。
- 暗い日陰:森の中にあるような直射日光も間接光もほとんど当たらないような暗い場所です。
●土壌の土質
- 土質:通気性・排水性・保水性のバランスが良い壌土・埴壌土で栽培できます。土壌が砂質で極端に水捌けが良いと乾燥が早まり、栄養補給も上手くいかなかったり、逆に粘土質な硬い土壌では根張りが悪くなり生育不良を引き起こしやすくなります。
- 肥沃さ:有機物をしっかりと含む肥沃な土壌を好みます。腐葉土やピートモスなどの有機物を入れることで、土壌の団粒化が促されて物理性(通気性・排水性・保水性)が向上したり、陽イオン交換容量が高くなり保肥力が向上したり、植物が必要とする栄養分を含有するため成長を補助したりする効果が期待出来ます。
- pH:pHは5.0~7.0の弱酸性から中性の土壌で栽培可能です。花の色はpHを変えることで青色・紫色・桃色・赤色の範囲で変化するため、青色・紫色の花を楽しみたい場合はpHを酸性にし、桃色や赤色の花を楽しみたい場合はpHを中性に傾けると良いでしょう。
- 元肥:本種は栄養がしっかり含まれる土壌を好みます。そのため、植え付け前に緩効性肥料の元肥を全面施肥で混和しておくか、発酵済みの有機肥料を植え穴の底に施し、肥料に根が直接触れないよう間に土を1層被せて苗を植え付けます。
- 植え付け:苗は標準植えします。標準植えは、根鉢の肩の部分と地面を水平に合わせて、植物の根っこが完全に土に覆われるように植え付けます。
土壌診断と改善の行い方(参考)
- 排水性の診断:深さ30cm程度・幅30cm程度の穴を掘り、穴の中を水で完全に満たす。一時間あたり約3~10cmの排水があれば、一般的な植物を育てるのに適した排水性になります。※それ以下またはそれ以上である場合は排水が悪い、または排水がよすぎる可能性があります。
- 排水性の改善:花壇を高くしたり、ロックガーデンを作り、植物を植える場所を周囲より高くする。また縦穴暗渠(縦穴排水)や排水溝をつくる。
- 作土層の診断:調べたい箇所の土壌に支柱を出来るだけ深くまでさします。支柱の入った部分が30cm前後あれば一般的な植物であれば、根を張るのに十分な作土層がありますが、それ以下であれば改善が必要です。また土壌を観察して石やゴミがあれば根を伸ばすのに邪魔になるため取り除いた方が良いでしょう。
- 作土層の改善:植物を植える箇所とその周囲をシャベルを使って30cm程度の深さまで掘り起こして解します。また石がある場合は土ふるいを使用して取り除きましょう。
- 土壌(土性)の性質の診断:土壌の通気性・保水性・保肥力を知るために、土壌を砂土・砂壌土・壌土・埴壌土・埴土に分類して、植物に合わせて土壌の改良をしましょう。
- 砂土:排水性と通気性が高く乾燥しやすいため、水分過剰による根腐れを引き起こしにくい。診断は、適度に湿らせた土を触った時にザラザラとした砂の粗い感触がある。手のひらや指で捏ねても全く固まらずに簡単に崩れる。
- 砂壌土:排水性と通気性が高く乾燥しやすい傾向がある、砂土と比べると、保水性と保肥力が少しあるため、乾燥気味の土壌を好む植物などに向いています。診断は、適度に湿らせた土を触った時に砂のザラザラ・粘土のヌルヌルとした感触がある。手のひらや指で捏ねると、緩く固める事が出来るが崩れやすい。
- 壌土:通気性・保水性・保肥力のバランスが高いため土壌管理がしやすい。診断は、適度に湿らせた土を触った時に砂のザラザラ・粘土のヌルヌルとした感触がある。手のひらや指で捏ねて伸ばすと、鉛筆程度の太さの棒状まで伸ばすことが出来る。 ただし伸ばした棒を曲げるのは難しい。
- 埴壌土:保水性・保肥力が高いため乾燥しにくい傾向がある。診断は、適度に湿らせた土を触った時に粘土のヌルヌルとした感触があり、砂のザラザラも少し感じる。手のひらや指で捏ねて伸ばすと、マッチ棒程度の太さまで伸ばすことが出来て、輪っかに曲げても切れにくい。
- 土壌(土性)の性質の改善:土壌の診断をしたら、植物が求める環境に合わせて土壌改良材をいれます。
- 通気性・排水性の改善:通気性・排水性の高い土壌改良材(パーライト・日向土・川砂・バーク堆肥 など)を混ぜ込む。
- 保水性の改善:保水性の高い土壌改良材(腐葉土・ピートモス・バーク堆肥・黒土)を混ぜ込む。
- PHの診断:土壌のPHを調べる方法は土壌酸度計を土壌に突き刺すタイプ・リトマス紙を溶液に浸すタイプ・ペーハー測定器を溶液に浸すタイプ・アースチェック液を溶液に垂らすタイプ等があります。製品によって調べ方がことなるため、詳しい手順は製品の取り扱い説明書をご覧下さい。
- PHの改善:PHを診断後に植物の適正なPHに合わせて、土壌改良材を入れてPHの改善をおこないます。
- PHを酸性に改善:ピートモスを使用する場合はPHを1下げるために、1㎡あたり、ピートモスを約1.2kgを入れて混和します。
- PHをアルカリ性に改善:苦土石灰を使用してPH1上げるには、1㎡あたり苦土石灰を約100~200g入れて混和します。
- 肥沃さの診断:肥沃さは土壌の色によりある程度診断できます。土壌の色は成分や状態を示しており、簡易的に植物を育てるのに適しているか調べる事が出来ます。黒色の場合は腐植が多く肥沃な傾向があり、赤色・黄色・白色の場合は腐植が少なく肥沃でない傾向があります。
- 肥沃さの改善:土壌に堆肥または微生物資材を入れます。堆肥を入れる量は土の量に対して二割から三割程度にします。入れ過ぎると通気性・排水性・保水性のバランスが崩れて植物が育つのに不適な環境になりやすいため注意してください。
※詳しい土壌診断と改善方法はこちらのリンクからご覧下さい
鉢土づくり
●日照条件
ラグランジアは、日向・半日陰・明るい日陰の範囲で育てることが出来ます。また本種は一般的なアジサイと比べて葉が小さいため蒸散量が少なくて耐乾性が高いため日向でも栽培が可能で、また日当たりの良い場所で花付きが良くなります。そのため、理想的な環境は日向、または午前中に日光が当たり午後から日陰になる半日陰になります。
屋内で栽培する場合の必要光量
- 概要:アジサイの花を部屋で楽しむ目的で、一時的に部屋に置かれるのが一般的です。そのため、開花期が終わると屋外で栽培されます。
- 屋内環境:窓際で西日が当たらない場所、もしくは植物までは太陽光が直接届かないが、太陽の反射光などで十分に明るい場所です。
- 光量の目安:5000~20000Lux※1/92.5~370μmol/m2・s※2
- 注意点:屋内で管理時に光量が足らないと光合成の活動が低下して細胞の生成が滞り、生育不良になったり、茎が徒長したり、葉色が悪くなります。また逆に光量が強いと葉焼けを引き起こすリスクや乾燥が早まる可能性があるため避けてください。特に夏場の強光は強いストレスとなるため注意が必要です。
※1:Luxは物体の表面を照らす明るさの単位です。一般的に人間が感じる明るさを元に利用されていますが、植物の世界でも、植物が健康に成長するのに必要な明るさの目安、またはギリギリ生存が可能な明るさの目安として、一般的に屋内で植物を栽培される際に利用されています。
※2:μmol/m2・sはPPFDの単位です。これは植物が光合成に使用出来る400~700nmの波長域の光の強さを数値で示したものとなります。この値が大きいほどに植物の光合成が活発に行われたり、またこれが強すぎる場合は葉焼けなどを引き起こしたりします。Luxとは違い、光合成光量子束密度(PPFD)は植物に必要な光量を正確に評価する事が出来ます。
植物育成ライト
太陽光が全く当たらない場所で栽培する場合は、植物育成ライトが基本的に必要です。一般的なライトは人間が快適に過ごすため、部屋を明るくする目的で使わており、植物の成長に必要な赤色光や青色光といった波長が不足している場合が多いからです。
植物育成ライトを購入する場合はPPFDや色温度などが重要になります。詳しくは観葉植物の種類のページをご覧下さい。
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●培養土
ラグランジアの培養土を購入する場合は、一般的な草花や花木の培養土で良いでしょう。
培養土を自作する場合
- 培養土の特性:自生地が湿潤な林や林縁などにあり、基本的に腐植が多く、膨軟性があり肥沃な土壌です。そのため、培養土を作成する場合も、堆肥がしっかりと入っていながら、無機質の土壌改良材も入れて、通気性・ 排水性・保水性が長く保たれるものをつくります。またpH5.0~ 7.0の弱酸性~中性の土壌を好むため、pHの値にも注意しながら培養土を作成しましょう。
- 土壌改良材(無機質):通気性・排水性・保水性を改善する目的で、赤玉土や日向土などの土壌改良材を6割~7割を目安に配合します。土壌改良材の土粒は小粒・細粒を利用します。大きすぎる土粒を使うと、培養土の中に大きな空隙が出来て根の活着が悪くなり、保水性も悪くなり植物の生育が悪くなる原因となるため避けてください。
- 土壌改良材(有機質):腐葉土などの堆肥を全体の3割~4割を目安に培養土の中に配合すると、土壌の物理性・化学性・生物性を改善して、根の活着を高めて根張りをよくしたり、栄養素を含有しており、微生物の働きを促進して土質を改善したり、植物の栄養補給に寄与する働きがあります。
- pH:pHは5.0~7.0の弱酸性から中性の土壌で栽培可能です。花の色は、花弁に含まれるアントシアニンとアルミニウムが結合することで変化します。このアルミニウムはpHが酸性に傾くことで土壌から溶出し、アジサイに吸収されるため、pHが変化することで花色が変化します。そのため、花の色を青色・紫色にしたい場合はpHを酸性にし、桃色や赤色にしたい場合はpHを中性に傾けると良いでしょう。
- 元肥:本種は栄養がしっかり含まれる土壌を好みます。そのため、植え付け前に緩効性肥料の元肥を全面施肥で混和しておきましょう。
培養土の配合例
- 庭木
- 基本配合:赤玉土(小粒)6割+腐葉土4割+元肥適量
- 培養土が長持ちする配合:赤玉土(小粒・中粒)3割+日向土4割+バーク堆肥3割+元肥適量
- 肥沃な配合:赤玉土6割+腐葉土2割+完熟牛糞堆肥2割+元肥適量
水やりの仕方
ラグランジアは、基本的に一定の湿り気がある環境を好み、水切れを起こすと葉が萎れたり、芽が乾燥で枯れやすい傾向にあります。そのため、土壌や株の状態を見ながら、水やりを行うことがとても大切です。
●栽培環境
- 地植え:基本的に降雨に任せて育てることが出来ます。ただし、夏の季節は高温や強光で乾燥しやすいため水切れしやすく、また雨が降らず土壌が乾燥していたり、土壌が砂質で乾燥しやすい状態にあったり、日向などの乾燥しやすい場所で育てたりしている場合は水やりが必要となります。
- 鉢植え:地植えと比べて、土の容量が限られるため乾燥がかなり早いです。そのため、定期的な水やりが必要となります。
●水やりの方法
- 春の水やり:株は生育旺盛で、多くの水を必要とします。そのため、土壌の表面が乾燥したタイミングで水をたっぷり与え、土中の空気も入れ替えます。
- 夏の水やり:この時期は、特に乾燥しやすいため、水やりの頻度が多くなる傾向があります。朝の涼しい時間帯に土壌の表面が乾燥したタイミングで水をたっぷり与えることが基本ですが、夏場は乾燥が早く、水切れして株が弱りやすいため、土壌や株の状態を見ながら、必要に応じて夕方にも水を与えましょう。ただし、真昼の高温時に水やりを行うと、土の中で水がお湯になり根を傷めることがあるため避けてください。
- 秋の水やり:株の成長は緩やかになりますが、花芽形成などを行っており、生育期間中となります。そのため、土壌の表層が乾燥したタイミングで水をたっぷり与え、土中の空気も入れ替えます。
- 冬の水やり:冬は休眠期のため、水分の必要量が減ります。ただし、土壌が完全に乾燥すると、植物も乾燥し、枝についた花芽などが枯れることもあるため、土壌の表層が乾燥したら、必要に応じて水を与えた方が良いでしょう。
土壌の乾燥の確認方法
- 土壌表面の乾燥:土壌の表面の乾燥とは、土壌の最も上の部分の表面が乾燥している事です。土壌表面の乾燥の確認方法には目視・触感があります。
- 目視で確認:土は濡れているなら色が濃くなったり黒っぽくなったりしていて、乾燥すると色が白っぽくなります。
- 触感で確認:土の表面を指で触ってみます。土は濡れていると湿り気があり、乾燥しているとサラサラとしています。
- 土壌の表層の乾燥:土壌の表層の乾燥とは土壌の表面から5cm以下が乾燥していることになります。※土壌の表層の定義は様々ありますが、ここでは土の表面から5cm程度の深さと定義しています。
- 目視で確認:透明な植木鉢を使用して植物を育てます。透明で土の色の変化が分かるため、土表面から5cm以下の土の色が白っぽくなってきたら水やりを行います。
- 重量で確認:鉢植えで育てている場合は、水分量で鉢の重量が変わるため、土が乾燥した時の軽さを覚えておいて土の乾きを判断します。
- 道具で確認:割り箸・竹串などを用土の中に差してみて、引き上げた時の割り箸・竹串の色と湿り気を見て乾燥具合を確認します。
- 専用の道具:サスティーを土壌にさして使用します。サスティーは土壌が乾くと色が変化して水やりのタイミングを教えてくれます。
肥料の与え方
ラグランジアは土壌が十分に肥沃であれば肥料を施さなくても栽培出来ます。しかし、成長が始まる晩冬(寒肥)と、花が終わった後(お礼肥)に肥料を与えることで、株が大きく成長し、開花にもよい影響を与えることができます。
注意点:肥料を与え過ぎると、枝葉が茂り本種の楚々とした雰囲気が損なわれることがあります。またリン酸がアルミニウムと結合することで植物に吸収されにくくなることがあり花色に影響を与えることがあります。さらに肥料のpHが酸性またはアルカリ性の場合は、これも花色に大きな影響を与えるため、製品の説明欄のpHも注意して見た方が良いでしょう。
●堆肥の与え方
- 堆肥を入れる時期:植え付け時、または冬から早春に堆肥を入れます。
- 堆肥の入れ方:堆肥の入れ方は地植えと鉢植えでかわります。
- 地植え:植付けや植付け時などに土壌改良を行い堆肥を入れて混和する。または株の周囲に堆肥を盛ったり、株の周囲に穴を掘り堆肥を入れます。
- 鉢植え:植え替え時などに堆肥がしっかり入った新しい培養土を使う。または古い土を再利用する場合は、日光消毒などをした上で、新しい培養土または腐葉土を2割から3割を混ぜて再利用する。
●肥料の与え方
- 元肥:元肥は植付け前に土壌の中にあらかじめ入れて施す肥料です。
- 肥料の成分:一般的には窒素・リン酸・カリがバランスよく入る肥料を選びますが、花つきに好影響を与えたい場合はリン酸が多く入る肥料を選び、また青花を咲かせたい場合はリン酸が少ない肥料を選びます。
- 肥料の製品:有機肥料(植付け前)・緩効性肥料・配合肥料がおすすめです。
- 施し方:全面施肥・溝施肥(有機肥料)
- 全面施肥:植物を植付ける土壌・培養土の中に、規定の量の元肥を入れて、偏りがないように混和する方法です。有機肥料を使用する場合は発酵時のガスや高温で根を傷める事もあるため、植付け2週間程度前に肥料を入れて混和する。
- 溝施肥:植物の植付けを行う場所に深さ20cm程度の穴を掘り、溝(穴)の中に有機肥料を入れる。有機肥料に根が直接触れないよう間に土を1層被せて、苗の高さを調節しながら植付けを行います。
- 寒肥:寒肥とは、植物が休眠または成長が緩やかになってる冬の時期に与えられる肥料です。春の成長時期に栄養が出てくるように考えられて施されるため、一般的に有機肥料・有機配合肥料・緩効性肥料が使用されることが多いです。
- 肥料を与える時期:晩冬頃(1月~2月頃)
- 肥料の成分:一般的には窒素・リン酸・カリがバランスよく入る肥料を選びますが、花つきに好影響を与えたい場合はリン酸が多く入る肥料を選び、また青花を咲かせたい場合はリン酸が少ない肥料を選びます。
- 肥料の製品:固形肥料(有機肥料・有機配合肥料・緩効性肥料など)がおすすめです。
- 施し方(固形肥料):固形肥料の与え方は製品により置き肥タイプ・差し込みタイプ・埋め込みタイプがあります。製品に合わせて、規定された分量・規定された頻度・規定された方法で施しましょう。
- お礼肥:花や実がなった後に消耗したエネルギーを補う目的や、翌年の開花や結実をよくする目的で、植物に与えられる肥料です。
- 肥料を与える時期:花後(6月~7月頃)
- 肥料の成分:一般的には窒素・リン酸・カリがバランスよく入る肥料を選びますが、花つきに好影響を与えたい場合はリン酸が多く入る肥料を選び、また青花を咲かせたい場合はリン酸が少ない肥料を選びます。
- 肥料の製品:基本的に肥効が素早く出る液肥・固形肥料(有機肥料・有機配合肥料・緩効性肥料など)がおすすめです。
- 施し方(液肥):液肥を規定された分量の水で希釈して、約10~14日の頻度で与えます。液肥は1箇所にかけるのではなく、植物の株元を中心に根が張っている範囲にまんべんなく、全ての根に液肥が行き渡るように施しましょう。
- 施し方(固形肥料):固形肥料の与え方は製品により置き肥タイプ・差し込みタイプ・埋め込みタイプがあります。製品に合わせて、規定された分量・規定された頻度・規定された方法で施しましょう。
剪定のやり方
ラグランジアは剪定せずに育てる事も出来ますが、より健康で美しい株を維持するために剪定が推奨されます。例えば、剪定により、株の概形がコンパクトにまとまり洗練された見た目になります。さらに古い茎を剪定して新しい茎を伸ばすことでエネルギーが集中し大きく美しい花が咲きやすくなります。
注意点:本種は旧枝の側芽に花を咲かせるため、旧枝を切りすぎると花が楽しめなくなることがあります。
●剪定方法
- 株立ち仕立て:本種の生育型は叢生型(株立ち)で、その中でも幹(主枝)の寿命が中程度に分類されます。そのため、幹は数年ごとに樹勢が落ち枯れます。本種の剪定では、若い幹を切り戻したり、この古い幹を定期的に剪定することが主要な剪定となります。
- 剪定時期:開花後の6月~8月頃までに行います。
- 枯れ幹・不要な幹や枝の除去:株を観察し、枯れた幹・折れた幹・病気の幹を探し、地際から剪定して取り除きます。
- 古い幹や枝の除去:株を観察し、数年(約3~5年)成長し樹勢が落ちた古い幹(幹の色が褪せている・幹が太い・幹の丈が高い等)を探し、株全体のバランスを見ながら、不要と感じる古い幹または枝を根元から剪定して取り除きます。
- 外観を整える:株全体を観察して、樹形を乱している場合は見た目を整えるように誘引するか、邪魔にならない場所まで切り戻しましょう。
夏越しする方法
ラグランジアは、それほど夏越しが難しい植物ではありません。ただし、強光や乾燥は苦手にしています。例えば、強光は光合成を阻害して生育不良を引き起こしたり、細胞を破壊して葉焼けを引き起こしたりします。また乾燥は萎れや深刻だと枯れを招きます。そのため、夏越し対策として強光・乾燥の予防が重要となります。
●夏越し対策一覧
- 水やり:夏は高温で土壌が乾燥しやすいため、土壌の表面が乾燥したのを確認したら、朝の涼しい時間帯、また必要に応じて夕方にも水やりを行います。
- 日差しを避ける:この対策法は高温・強光・乾燥対策になります。鉢植えで育てている場合は、直射日光が当たらない軒下などに移動しましょう。地植えする場合は、夏に栽培することも考えて適切な場所に植えて下さい。
- 日除けをつくる:この対策法は高温・強光・乾燥対策になります。植物と太陽の間に遮光ネットを張り強光を遮ります。
- マルチング:この対策法は乾燥・病気対策になります。地面の表面をバークチップや藁などのマルチング資材で覆います。急激な地温の上昇を防ぎ、高温による蒸発、泥はねからの病気の感染なども防いでくれます。
冬越しする方法

Hardiness:6~9
ラグランジアは耐寒性が高く冬越しの準備をする必要は基本的にはありません。
ただし、寒風で花芽が傷む可能性があります。そのため必要に応じて植物をカバーで覆い寒風から保護しましょう。
挿し木や株分けで増やす
ラグランジアは挿し木によって増やす事ができます。
●挿し木の方法
- 概要:茎を採取して、この茎の長さや葉の数を調節し、切り口を土に挿して繁殖させる無性生殖の1種です。
- 挿し木時期:発根率の高い晩春から初夏頃が適します。また前年の枝を利用し晩冬から早春に熟枝挿しを行うこともできます。
- 培養土の準備:培養土は切り口が腐敗して吸水を阻害しないように、無菌のものを利用します。一般的にはバーミキュライト・赤玉土・パーライト・ピートモスなどが利用されていますが、専用の培養土もあるため近くのホームセンターで探すのも良いでしょう。
- 挿し穂の採取:晩春から初夏に行う場合は、当年枝の挿し穂を使用します。挿し穂は弾力があり健康な部分をカットして利用しましょう。 晩冬から早春の挿し穂は前年枝の健康な枝を使用します。
- 挿し穂の整形:挿し穂は長さを10~15cm程度にわけて、当年枝を使用する場合は、挿し穂の上部の2枚の葉以外の葉を取り除き、残した葉も半分にカットします。次に茎の下部分、節の少し下を斜めにカットして吸水部分を広くしておきましょう。
- 水揚げ:整形した挿し穂の切り口をボウルなどに入れた水に約1時間浸し、十分に吸水させます。
- 培養土に挿し穂を挿す:挿し穂を挿す場所を決めます。培養土の中に、割り箸等を利用して、事前に穴を開けておきます。挿し穂の切り口を下向きにして、培養土の中に挿し穂を入れましょう。通常は挿し穂の1/3程度を入れます。
- 管理:明るい日陰で土壌が完全に乾燥しない様に水やりを行いながら管理しましょう。











