
- 原産:ブルガリア/トルコ/クリミア半島/レバノン/シリア/コーカサス地方
- 科:サクラソウ(Primulaceae)
- 属:シクラメン(Cyclamen)
- 種:コウム(Cyclamen coum)
- 別名:イースターン・ソーブレッド(eastern sowbread)
- 品種:シルバープリンス(Cyclamen coum ‘silver prince’)
- 開花時期:12月~3月
- 花の色:桃色
- 葉の色:灰緑色・灰白色
- 香り:
- 生活形:多年草
- 草丈:約5~15cm
- 用途:カラーリーフ/グランドカバー/球根植物/日陰植物
- 購入方法:シクラメン・コウム(シルバープリンス)を楽天で購入
■シクラメン・コウム(シルバープリンス)の特徴
- 学名:Cyclamen coum ‘silver prince’
- 花の形:一重咲き
- 花の色:桃色
- 葉の色:灰緑色・灰白色
- 葉の模様:中斑
- 草丈:約5~15cm
- 備考:葉の色は灰緑色と灰白色、葉の中に灰白色の大きな中斑が入るため、上品な印象を与えるシルバーリーフになります。また丸みを帯びた可愛らしいハート形の葉と、鮮やかな桃色の花が可愛らしさも感じさせる品種です。
■シクラメン・コウムとは!?

シクラメン・コウム(学名: Cyclamen coum)は、別名で「イースターン・ソーブレッド(eastern sowbread)」とも呼ばれるサクラソウ科シクラメン属の多年草です。
シクラメン・コウムの原産地はブルガリア、トルコ、クリミア半島、レバノン、シリア、コーカサス地方で、自生地は森林や湿潤な岩場、高山の草原等で見られます。
■シクラメン・コウムの語源(由来)
- Cyclamenの由来:古代ギリシア語で「円」を意味する「κύκλος(kýklos)」から来ており、円形の形をしている塊茎に由来しています。
- coumの由来:トルコの古代の地域名と考えられています。
■シクラメン・コウムの特徴(魅力)
- シクラメン・コウムの魅力:この植物の生育型はロゼット型で、秋頃になると塊茎から複数の葉を広げてロゼットを形成し地表を覆いながら、冬から早春にかけて多数の花茎を伸ばし頂部に一個の花を咲かせます。本種の魅力は、葉の形が円形に近いハート形をしており可愛らしい見た目をしている点、葉の色は基本的に複色で帯状の模様が入る点、一般的なシクラメンと比べて花弁に丸みがあり可愛らしい見た目をしている点、耐寒性が非常に高く屋外で栽培しやすい点にあります。園芸では、このハート形の葉を利用してお庭に可愛らしさを演出したり、また葉が地表を覆うように広がるため地被植物として利用されたり、耐陰性が高いことからシェードガーデンなどで利用されたりしています。
- 草姿:草丈は約5~15cm、生育型はロゼット型で、地中に塊茎があり、この塊茎は扁球形で母球の更新がなく毎年大きくなり、最大5cmになる。塊茎からは複数の葉が放射状に広がりロゼットを形成し、株中央から花茎を何本も伸ばして12月頃から花を咲かせます。
- 葉の特徴:葉は塊茎から発生する根生葉で、この根生葉は放射状に広がることでロゼットを形成します。葉の概形は縦幅と横幅が同程度か横幅が広いハート型の心形で、葉先端に丸みがあり、葉の質感は肉質で滑らかです。葉の色は緑色の単色、または淡緑色・灰白色の中斑・帯斑・覆輪などが入ることがある。
- 花の特徴:開花期は12月~3月頃、開花期になると葉に先駆けて塊茎の花茎を何本も伸ばし、花茎は直立し先端でU字に強く曲がりながら花を下向きに開花させます。花は5枚の花弁が基部で合着する合弁花冠で、花弁の基部は合着し短い花冠筒部を形成し、そこから花弁が離弁して、円形または倒卵形をした裂片が上側に反転し、篝火に例えられる個性的な花姿を形成します。花の色は桃色・紫色・白色などがあり、花冠筒部とその周辺に斑が入る傾向がある。
- 寄せ植え:シクラメン・コウムはロゼットを形成し、一定の範囲より大きくならず、比較的行儀よく成長するため、他の植物と組み合わせがしやすいです。
- 地被植物:シクラメン・コウムはロゼット状に葉を広げて地表面を上手く覆うため、地被植物として利用できます。ただし株は一定の範囲以上は横に広がらないため、広範囲の地面を覆いたい場合は、株を複数用意する必要があり、また夏の期間は地上部が枯れて休眠し、多湿で枯れることもあるため、管理には注意が必要になるでしょう。
- シェードガーデン:シクラメン・コウムは耐陰性があるため、午前中だけ日光に当たる場所から、日光が当たらず間接光しか入らないような明るい日陰までで栽培が可能です。
■シクラメン・コウムの生活形と形態
●生活形・茎の形態
- 生活形:多年草
- 草丈:約5~15cm
- 生育型:ロゼット型
- ロゼット型:地際から出る根生葉がロゼットを形成する。
- 茎の種類:
- 塊茎:短縮した茎が肥大化して球状または塊状になり、球茎のように薄皮で包まれておらず、塊根と比較し芽を発生させるものです。母球の更新があるものと無いものがあり、カラジュームなどは更新しますが、シクラメンなどは更新がありません。
- 塊茎の直径:最大5cm
- 塊茎の形:扁球形
- 花茎:基本的に葉を付けず花のみをつける茎です。
- 塊茎:短縮した茎が肥大化して球状または塊状になり、球茎のように薄皮で包まれておらず、塊根と比較し芽を発生させるものです。母球の更新があるものと無いものがあり、カラジュームなどは更新しますが、シクラメンなどは更新がありません。
●葉の形態
- 葉序:根生葉
- 葉柄:有柄で、色は淡い赤褐色または緑色です。
- 葉身の長さ:約5~10cm
- 葉身の概形:腎形
- 葉の先端:円形・鈍形
- 葉の基部:心形
- 葉の縁部分:全縁
- 葉脈:網状脈
- 葉の質感:肉質で表面は滑らかです。
- 葉の色:緑色の単色、または淡緑色・灰白色の中斑・帯斑・覆輪などが入ることがある。
●花の形態
- 花序:単生
- 花茎:塊茎から直立・斜上に伸び、花の付け根の手前でU字に曲がり、花を下向きにつける。
- 花:花の直径は約2cm、花托・萼・花冠(花弁)・雄蕊・雌蕊で構成されています。
- 花托:萼・花冠(花弁)・雄蕊・雌蕊を支えている。
- 萼:合片萼で裂片は5個ある。
- 花冠:合弁花冠で、5枚の花弁が合着した花冠筒部は短く、花冠裂片は花冠筒部から強く反り返り軽く捻れながら上側に伸び、裂片の数は5枚、裂片の形は円形・倒卵形、色は桃色・紫色・白色などがあり、花冠筒部とその周辺の色に斑が入る傾向がある。
- 雄蕊:5本
- 雌蕊:1本
●果実・種子の形態
- 果実の分類:蒴果
※植物の形態についてはこちらのページも参考にしてください。
■シクラメン・コウムの園芸品種を紹介
●シルバーリーフ
学名:Cyclamen coum ‘silver leaf’
花の形:一重咲き
花の色:桃色
葉の色:灰緑色・灰白色
葉の模様:中斑
草丈:約5~15cm
備考:葉の中に灰白色の大きな中斑が入るため、上品な印象を与えるシルバーリーフになります。また丸みを帯びた可愛らしいハート形の葉と、桃色の花が可愛らしさも感じさせる品種です。
●シルバープリンス

学名:Cyclamen coum ‘silver prince’
花の形:一重咲き
花の色:桃色
葉の色:灰緑色・灰白色
葉の模様:中斑
草丈:約5~15cm
備考:葉の色は灰緑色と灰白色、葉の中に灰白色の大きな中斑が入るため、上品な印象を与えるシルバーリーフになります。また丸みを帯びた可愛らしいハート形の葉と、鮮やかな桃色の花が可愛らしさも感じさせる品種です。
●アルバム

学名:Cyclamen coum ‘album’
花の形:一重咲き
花の色:白色・紫色
葉の色:緑色・灰緑色
葉の模様:
草丈:約5~15cm
備考:花の色は白色を基調として、花弁の基部に紫色のアイ(斑)が入ります。
■シクラメン属の主な種と園芸品種は下のリンクから紹介しています。
■シクラメン・コウムの育て方
花壇の土づくり
●バイオーム
- 主なバイオーム:混合林・温帯広葉樹林・地中海植生
- 原産地:ブルガリア、トルコ、クリミア半島、レバノン、シリア、コーカサス地方にかけて分布します。
- 自生地:森林や湿潤な岩場、高山の潅木地や草原等で見られます。
- 気候:温帯から亜寒帯の幅広い気候帯で見られます。 気温は夏に高温になる地域から冷涼な地域まであり、冬は寒冷な地域では氷点下になります。ただし、本種は夏場冷涼な地域を好み、高温環境下では塊茎が傷んだり干からびたりしやすくなります。降水量は中程度あり、場所によっては夏場に乾燥することがあります。また基本的に本種は湿潤な環境を好みますが、休眠期の夏場は乾燥気味を好みます。
- 日照:半日影から明るい日陰
- 土壌:通気性・排水性・保水性のバランスがよく、腐葉土などを多く含んだ肥沃な場所を好みます。
※バイオームについてはこちらのページも参考にしてください。
●日照条件
シクラメン・コウムは、西日の当たらない半日影または明るい日陰で栽培可能です。理想的な環境は、落葉樹の下で、夏場の高温期に明るい日陰に入り、冬の低温期は落葉した樹木の下で柔らかな日差しをしっかり浴びる環境です。
日照条件の分類(参考)
- 日向:直射日光が一日を通して6時間以上当たる場所です。一般的に全方位に障害物がない、またはお庭の向きが南向きの場所になります。
- 半日陰:直射日光が3時間から5時間程度当たる場所です。一般的には、午前中のみ日が当たり、午後から日陰になる場所となります。そのため、お庭の向きは東向き、または木漏れ日がはいるような場所です。
- 明るい日陰:直射日光が二時間程度までしか当たらないか、殆ど当たらずに間接光だけで明るい場所です。一般的にお庭の向きが北向き、または建物の影など日差しを遮る障害物が多い環境です。
- 暗い日陰:森の中にあるような直射日光も間接光もほとんど当たらないような暗い場所です。
●土壌の土質
- 土質:生育期の秋・冬・春は、適度な湿潤環境を好みますが、夏場に土壌が湿っていると塊茎が腐敗しやすいため、通気性・排水性・保水性のバランスを上手くとることが大切です。基本的には、土壌の土質を診断して、土質が悪い場合は壌土に改善するとよいでしょう。
- 肥沃さ:自生地は森林の林床にあり、沢山の落ち葉に囲まれ、動物や昆虫なども多く生息しているため、基本的に土壌もかなり肥沃です。そのため、土壌の状態を見ながら堆肥(ピートモス・腐葉土など)を入れて土壌の物理性・生物性・化学性などを改善しましょう。
- PH:PHは6.0~7.5の弱酸性から弱アルカリ性に適応します。土壌のPHを測定して適正範囲外にある場合は土壌改良材などを用いてPHを調整しましょう。PHが適正範囲から極端に外れた土壌では微量要素などの栄養を上手く吸収出来ずに生育不良になる場合があります。
土壌診断と改善の行い方(参考)
- 排水性の診断:深さ30cm程度・幅30cm程度の穴を掘り、穴の中を水で完全に満たす。一時間あたり約3~10cmの排水があれば、一般的な植物を育てるのに適した排水性になります。※それ以下またはそれ以上である場合は排水が悪い、または排水がよすぎる可能性があります。
- 排水性の改善:花壇を高くしたり、ロックガーデンを作り、植物を植える場所を周囲より高くする。また縦穴暗渠(縦穴排水)や排水溝をつくる。
- 作土層の診断:調べたい箇所の土壌に支柱を出来るだけ深くまでさします。支柱の入った部分が30cm前後あれば一般的な植物であれば、根を張るのに十分な作土層がありますが、それ以下であれば改善が必要です。また土壌を観察して石やゴミがあれば根を伸ばすのに邪魔になるため取り除いた方が良いでしょう。
- 作土層の改善:植物を植える箇所とその周囲をシャベルを使って30cm程度の深さまで掘り起こして解します。また石がある場合は土ふるいを使用して取り除きましょう。
- 土壌(土性)の性質の診断:土壌の通気性・保水性・保肥力を知るために、土壌を砂土・砂壌土・壌土・埴壌土・埴土に分類して、植物に合わせて土壌の改良をしましょう。
- 砂土:排水性と通気性が高く乾燥しやすいため、水分過剰による根腐れを引き起こしにくい。診断は、適度に湿らせた土を触った時にザラザラとした砂の粗い感触がある。手のひらや指で捏ねても全く固まらずに簡単に崩れる。
- 砂壌土:排水性と通気性が高く乾燥しやすい傾向がある、砂土と比べると、保水性と保肥力が少しあるため、乾燥気味の土壌を好む植物などに向いています。診断は、適度に湿らせた土を触った時に砂のザラザラ・粘土のヌルヌルとした感触がある。手のひらや指で捏ねると、緩く固める事が出来るが崩れやすい。
- 壌土:通気性・保水性・保肥力のバランスが高いため土壌管理がしやすい。診断は、適度に湿らせた土を触った時に砂のザラザラ・粘土のヌルヌルとした感触がある。手のひらや指で捏ねて伸ばすと、鉛筆程度の太さの棒状まで伸ばすことが出来る。 ただし伸ばした棒を曲げるのは難しい。
- 埴壌土:保水性・保肥力が高いため乾燥しにくい傾向がある。診断は、適度に湿らせた土を触った時に粘土のヌルヌルとした感触があり、砂のザラザラも少し感じる。手のひらや指で捏ねて伸ばすと、マッチ棒程度の太さまで伸ばすことが出来て、輪っかに曲げても切れにくい。
- 土壌(土性)の性質の改善:土壌の診断をしたら、植物が求める環境に合わせて土壌改良材をいれます。
- 通気性・排水性の改善:通気性・排水性の高い土壌改良材(パーライト・日向土・川砂・バーク堆肥 など)を混ぜ込む。
- 保水性の改善:保水性の高い土壌改良材(腐葉土・ピートモス・バーク堆肥・黒土)を混ぜ込む。
- PHの診断:土壌のPHを調べる方法は土壌酸度計を土壌に突き刺すタイプ・リトマス紙を溶液に浸すタイプ・ペーハー測定器を溶液に浸すタイプ・アースチェック液を溶液に垂らすタイプ等があります。製品によって調べ方がことなるため、詳しい手順は製品の取り扱い説明書をご覧下さい。
- PHの改善:PHを診断後に植物の適正なPHに合わせて、土壌改良材を入れてPHの改善をおこないます。
- PHを酸性に改善:ピートモスを使用する場合はPHを1下げるために、1㎡あたり、ピートモスを約1.2kgを入れて混和します。
- PHをアルカリ性に改善:苦土石灰を使用してPH1上げるには、1㎡あたり苦土石灰を約100~200g入れて混和します。
- 肥沃さの診断:肥沃さは土壌の色によりある程度診断できます。土壌の色は成分や状態を示しており、簡易的に植物を育てるのに適しているか調べる事が出来ます。黒色の場合は腐植が多く肥沃な傾向があり、赤色・黄色・白色の場合は腐植が少なく肥沃でない傾向があります。
- 肥沃さの改善:土壌に堆肥または微生物資材を入れます。堆肥を入れる量は土の量に対して二割から三割程度にします。入れ過ぎると通気性・排水性・保水性のバランスが崩れて植物が育つのに不適な環境になりやすいため注意してください。
※詳しい土壌診断と改善方法はこちらのリンクからご覧下さい
●植え付け方法
基本的に浅植えです。球根の半分程度を目安に、培養土から出して植え付けをおこないます。成長点が培養土に埋まると、病気が発生して腐敗しやすいため、避けてください。
鉢土づくり
●日照条件
シクラメン・コウムは、西日の当たらない半日影または明るい日陰で栽培可能です。理想的な環境は、夏場の高温期に明るい日陰に入り、冬の低温期は半日陰で日差しがしっかりと当たる環境です。
●培養土
シクラメン・コウムの培養土を購入する場合は、シクラメン専用の培養土や、通気性が高い草花の培養土で良いでしょう。
培養土を自作する場合
- 培養土の特性:自生地は森林の林床などです。そのため、基本的に有機物と腐植に富む肥沃な土壌であり、通気性・ 排水性・保水性が優れており、長く保たれるものを好みます。またPHは6.0から7.5を好むため、極端に酸性に傾く土壌改良材は控えた方が良いでしょう。
- 土壌改良材(無機質):通気性・排水性・保水性を改善する目的で、赤玉土や日向土などの土壌改良材を全体の6割~7割を目安に配合します。土粒が大きいと、空隙ができすぎてしまい根が安定せず成長が悪くなったり、保水性も著しく落ちて生育が悪くなる原因となるため、土粒は小粒を選んだ方がよいでしょう。
- 土壌改良材(有機質):腐葉土などの堆肥を全体の3割~4割を目安に培養土の中に配合すると、土壌の物理性・化学性・生物性を改善して、根の活着を高めて根張りをよくしたり、栄養素を含有しており、微生物の働きを促進して土質を改善したり、植物の栄養補給に寄与する働きがあったりします。
培養土の配合例
- 基本の配合:赤玉土(小粒)6割+腐葉土4割+元肥適量
- 保水性の高い配合:赤玉土(小粒)5割+バーミキュライト2割+腐葉土3割+元肥適量
- 培養土が長持ちする配合:日向土(細粒・小粒)5割+ピートモス(酸度調整済)4割+くん炭1割+元肥適量
- 軽量の培養土:赤玉土2割+パーライト3割+バーミキュライト2割+ピートモス(酸度調整済)3割+元肥適量
- 肥沃な配合:赤玉土5割+ 腐葉土3割+牛糞堆肥2割+元肥適量
●植え付け方法
基本的に浅植えです。球根の半分程度を目安に、培養土から出して植え付けをおこないます。成長点が培養土に埋まると、病気が発生して腐敗しやすいため、避けてください。
水やりの仕方
シクラメン・コウムは、基本的に生育期の秋・冬・春は十分な水分が必要です。一方で、休眠に入る夏場は乾燥気味に管理します。
注意する事は、極端な過湿にしないことです。過湿が続くと病原菌が増えて株が腐敗する原因を作ったり、根の呼吸を邪魔して根腐れを引き起こす原因になったりします。そのため、水やりの頻度には十分な注意が必要です。
●水やりの方法
- 生育期(秋・冬・春):株は生育旺盛で、多くの水を必要とします。土壌の表面の乾燥を確認したら、凍結の心配が無くなった朝から昼の時間帯に水やりを行いましょう。夕方以降の水やりは、土が乾きにくく、夜間ずっと湿ったままになり、病気や根腐れのリスクを高めるため避けた方が無難です。また頻繁に水やりを行い、ジメジメとした環境を作ると根腐れを引き起こすこともあるため、必ず土壌の状態を確認してから水やりをして下さい。水の与え方は、株元と底面給水法の2パターンがあります。
- 株元に水を与える:球根(塊茎)と葉を避けて、土に直接、水を与えます。鉢底から水が流れ出るまで、たっぷりと与えるのが目安です。
- 底面給水法で与える:受け皿に1cm程度の水をためておき、鉢底から水を吸水させます。また専用の底面給水鉢で育てている場合は、タンクの水が3分の2程度に保てるように定期的に水を入れましょう。
- 夏:本種は一般的に休眠期に入ります。葉の数が減ってくる晩春頃から水やりを減らしていき、初夏頃に水やりを止めて、休眠が覚める秋頃に水やりを再開します。ただし、塊茎が完全に乾き干からびると発芽能力が失われるため、塊茎の状態を見ながら適度に地面を湿らせ管理するとよいでしょう。
土壌の乾燥の確認方法
- 土壌表面の乾燥:土壌の表面の乾燥とは、土壌の最も上の部分の表面が乾燥している事です。土壌表面の乾燥の確認方法には目視・触感・専用の道具があります。
- 目視で確認:土は濡れているなら色が濃くなったり黒っぽくなったりしていて、乾燥すると色が白っぽくなります。
- 触感で確認:土の表面を指で触ってみてます。土は濡れていると湿り気があり、乾燥しているとサラサラとしています。
- 専用の道具:サスティーを土壌にさして使用します。サスティーは土壌が乾くと色が変化して水やりのタイミングを教えてくれます。
- 土壌の表層の乾燥:土壌の表層の定義は様々ありますが、ここでは土壌の表面より5cm以下にある事にして、また土壌の表層の乾燥とは土壌の表面から5cm以下が乾燥していることになります。
- 目視で確認:透明な植木鉢を使用して植物を育てます。透明で土の色の変化が分かるため、土表面から5cm以下の土の色が白っぽくなってきたら水やりを行います。
- 重量で確認:鉢植えで育てている場合は、水分量で鉢の重量が変わるため、土が乾燥した時の軽さを覚えておいて土の乾きを判断します。
- 道具で確認:割り箸・竹串などを用土の中に差してみて、引き上げた時の割り箸・竹串の色と湿り気を見て乾燥具合を確認します。
- 専用の道具:サスティーを土壌にさして使用します。サスティーは土壌が乾くと色が変化して水やりのタイミングを教えてくれます。
肥料の与え方
シクラメン・コウムは、土壌に十分な肥沃さがあれば肥料を与える量を減らしたり、また肥料なしで育てる事も可能です。 肥料は、生育を促進するために、秋から春の生育期に与えることができます。ただし、過剰な栄養分は根腐れを引き起こしたり、株が軟弱になり病気や害虫や高温・低温などへの耐性が落ちる原因になるため、適切な時期と頻度で肥料を与える事が大切です。
●肥料の与え方
- 追肥:植物が生育する途中で施す肥料です。土壌中の栄養素は植物が吸収して減っていくため、追肥を入れる事で補います。
- 肥料を与える時期:球根から芽が出て生育が始まる9月下旬頃から、葉が黄色くなり休眠が始まり出す4月頃まで与えます。※肥料をあたえる頻度は製品によりかわります。
- 肥料の成分:窒素・リン酸・カリがバランス良く入る水平型、またはリンが多く入る山型を選びます。
- 肥料の製品:液肥・固形肥料(速効性・緩効性・BB肥料 など)がおすすめです。
- 施し方(液肥):液肥を規定された分量の水で希釈して、約10~14日の頻度で与えます。液肥が球根・葉・花にかかると腐敗する原因にもなるため、水やりと同様に土に直接、液肥を優しく与えましょう。
- 施し方(固形肥料):固形肥料の与え方は製品により置き肥タイプ・差し込みタイプ・埋め込みタイプがあります。製品に合わせて、規定された分量・規定された頻度・規定された方法で施しましょう。
剪定のやり方
シクラメン・コウムは剪定せずに育てる事も出来ますが、より健康で美しい株を維持するために剪定が推奨されます。例えば、花がら摘みは開花期を伸ばし花数を増やす目的で行われます。また古葉取りは健康な葉に光を十分当てて病害虫予防のために行われます。
剪定をするかは剪定理由を見ながら決めるとよいでしょう。
●剪定方法
- 花がら摘み:12月~3月の開花期間中に行います。株を観察して、花の色が褪せたり、外観が崩れたりしている、花がらを花茎の根元から指でつまみ、くるくると軽く捻じり回しながら、真上に引き抜きます。これを行うことで、種作りによる株の消耗を防ぎ、次の花芽に栄養がまわり沢山の花が咲くようになります。
- 古葉取り:生育期間中に行います。株を観察して、枯れた葉、変色した葉を探して、この葉の葉柄の根元を指でつまみあ、くるくると軽く捻じり回しながら、真上に引き抜きます。これを行うことで、健康な葉に多くの光が当たり生産性が高まり花数や葉の数が増えたり、株元の成長点に光が当たり新芽が勢いよく伸長したり、多湿環境が改善されて病害虫予防に繋がったりします。
夏越しする方法
シクラメン・コウムは、本種は基本的に夏場は休眠しています。休眠中は、極端な高温で株が消耗しやすく、また株元がじめじめ濡れていると球根が腐敗してしまうため多湿には注意が必要です。
●夏越し対策
- 休眠法:晩春頃になると、葉が変色して枯れてくるため、鉢植えごと日陰に移動するか、株の上に日除けを張り、水やりを減らします。初夏に入ると株の葉は落ちて休眠するため、水やりを止めて秋まで乾燥気味で管理します。ただし、球根が完全に干からびるのを防ぐため、土が軽く湿る程度の水を必要に応じて与えましょう。秋になり涼しくなってくると、休眠が覚めて芽が出てくるため水やりを再開して下さい。
播種で増やす
シクラメン・コウムの種蒔の方法
- 播種時期:3月~5月/9月10月
- 発芽適温:約15~20度
- 発芽日数:21日~28日
- 備考:嫌光性種子
種まき手順
- 種まきの時期:春撒き・秋撒き
- 培土の準備:直播き・移植栽培※移植栽培はコストや手間が増えますが、苗を病害虫から保護したり、温度・水分の管理が楽になり成功率が高まります。
- 直播き:花壇やプランターの土を整えます。
- 移植栽培:プラグトレー・ピートポット・ポリポット・不織布育苗ポット・ジフィーセブンなどに種まき用の培養土を入れて栽培できます。おすすめは移植の際に根を傷めにくい不織布育苗ポット・ジフィーセブンなどです。
- 種の撒き方:種子は嫌光性のため、種を撒いたら必ず覆土します。種の撒き方は、点撒き・すじ撒きするとよいでしょう。
- 種まき後の管理:種が乾燥すると発芽率が落ちるため、基本的に土と種が乾燥しないように水やりを行い管理します。
- 発芽後:発芽が揃ったら、株同士の間隔を見て、混んでる場所の苗を間引きます。いい苗を残しながら1~3本程度になるように間引きするとよいでしょう。また間引きした苗は別の場所に移植することもできます。※直播きする場合は成長に合わせて株どうしがくっついているものを状態がいい方を残し間引きするとよいでしょう。
- 移植:移植栽培してる場合は、本葉が2枚以上になったらポットなどに移植して栽培します。
※鎮圧は土と種の接着を高め水分の吸収をよくします。