
- 原産:ギリシャ
- 科:サクラソウ(Primulaceae)
- 属:シクラメン(Cyclamen)
- 種:グラエクム(Cyclamen graecum)
- 変種:グラエクム(Cyclamen graecum ver.candidum)
- 開花時期:9月~11月
- 花の色:桃色・白色
- 葉の色:濃緑色・灰白色
- 香り:
- 生活形:多年草
- 草丈:約10~15cm
- 用途:カラーリーフ/グランドカバー/球根植物/日陰植物
- 購入方法:シクラメン・カンディダムを楽天で購入
■シクラメン・カンディダムの特徴
シクラメン・カンディダム(学名:Cyclamen graecum ver.candidum)は、シクラメン・グラエクムの変種です。葉の色が濃い緑色を基調として、灰白色の中斑・帯斑・脈斑などが入り、まるでステンドグラスのような美しい模様がはいります。
■シクラメン・グラエクムとは!?

シクラメン・グラエクム(学名: Cyclamen graecum)は、別名で「ギリシャ・シクラメン(Greek cyclamen)」とも呼ばれるサクラソウ科シクラメン属の多年草です。
シクラメン・グラエクムの原産地はギリシャ、キプロス島、で、自生地は石灰岩土壌の丘陵地の斜面や岩場、潅木地等で見られます。
■シクラメン・グラエクムの語源(由来)
- Cyclamenの由来:古代ギリシア語で「円」を意味する「κύκλος(kýklos)」から来ており、円形の形をしている塊茎に由来しています。
- graecumの由来:ラテン語で「ギリシャの」を意味しており、この植物の原産地に由来します。
■シクラメン・グラエクムの特徴(魅力)
- シクラメン・グラエクムの魅力:この植物の生育型はロゼット型で、秋頃になると塊茎から複数の葉を広げてロゼットを形成し、地表を覆いながら、秋に花茎を伸ばし頂部に一個の花を咲かせます。本種の魅力は、葉の質感がベルベットのようで高級感を感じさせる点、ハート形の葉が可愛らしい印象を感じさせる点、葉は複色で帯状の模様が入り大理石のような美しさがある点、秋の早い時期から篝火のような美しい花を咲かせ、この花には目立つ耳介(突起)がある点、塊茎の中央下部に太い牽引根がある点にあります。園芸では、このベルベットのような質感をもつ葉を利用してお庭にラグジュアリーな雰囲気を演出したり、また葉が地表を覆うように広がるため地被植物として利用されたり、耐陰性があることからシェードガーデンなどで利用されたりしています。本種は、自生地が地中海沿岸にあり、夏場は降水量がほとんどないため休眠しており、秋から冬にかけて成長します。そのため、栽培する際は、夏の多湿に注意する必要があり、ジメジメとした環境が続くと塊茎が腐敗し失われることも多いです。
- 草姿:草丈は約10~15cm、生育型はロゼット型で、地中に塊茎があり、この塊茎は扁球形で母球の更新がなく毎年大きくなり、20cmを越えることもある。塊茎の中央下部からは太い牽引根が発生し、塊茎を地中に引き込む働きを持ち、塊茎の上部からは複数の葉が放射状に広がりロゼットを形成し、株中央から花茎を何本も伸ばして9月頃から花を咲かせます。
- 葉の特徴:葉は塊茎から発生する根生葉で、この根生葉は放射状に広がることでロゼットを形成します。葉の概形はハート型の心形で、縁部に細鋸歯があり、葉の質感はベルベットのようです。葉の色は個体差がありますが、基本的に緑色・濃緑色を基調として、淡い緑色または灰白色の斑が入り、この斑は中斑・帯斑・覆輪などが見られます。
- 花の特徴:開花期は9月~11月頃、開花期になると葉に先駆けて塊茎の花茎を何本も伸ばし、花茎は直立し先端でU字に強く曲がりながら花を下向きに開花させます。花は花弁が5枚ありますが、花弁は基部で合着し短い花冠筒部を形成し、そこから花弁が離弁して裂片は上側に反転し、篝火に例えられる個性的な花姿を形成し、花弁の基部には耳介と呼ばれる突起があります。花の色は桃色・紫色・白色などがあり、花冠筒部とその周辺の色が濃くなる傾向がある。
- 寄せ植え:シクラメン・グラエクムはロゼットを形成し、一定の範囲より大きくならず、比較的行儀よく成長するため、他の植物と組み合わせがしやすいです。本種を寄せ植えに利用することで、大理石のような美しい葉がラグジュアリーでエレガントな雰囲気を演出し、また色鮮やかな花が華やかさを演出してくれます。
- 地被植物:シクラメン・グラエクムはロゼット状に葉を広げて地表面を上手く覆うため、地被植物として利用できます。特に、大理石を想像させる美しい葉は、格式高い雰囲気の庭やエレガントなお庭によく馴染み、上品さを演出するのに一役買うでしょう。ただし株は一定の範囲以上は横に広がらないため、広範囲の地面を覆いたい場合は、株を複数用意する必要があり、また夏の期間は地上部が枯れて休眠し、多湿で枯れることもあるため、管理には注意が必要になるでしょう。
- カラーリーフ:シクラメン・グラエクムは、葉の色が基本的に複色で、緑色を基調に、淡い緑色や灰白色の斑が入ります。葉の中に入る斑は、大理石を思わせるような模様となるため、非常に高級感を感じさせるカラーリーフとなります。
- シェードガーデン:シクラメン・グラエクムは耐陰性があるため、午前中だけ日光に当たる場所から、日光が当たらず間接光しか入らないような明るい日陰までで栽培が可能です。
■シクラメン・グラエクムの生活形と形態
●生活形・茎の形態
- 生活形:多年草
- ライフサイクル:秋から春に生育し、開花は秋、夏の乾季に休眠する。
- 草丈:約10~15cm
- 生育型:ロゼット型
- ロゼット型:地際から出る根生葉がロゼットを形成する。
- 茎の種類:
- 塊茎:短縮した茎が肥大化して球状または塊状になり、球茎のように薄皮で包まれておらず、塊根と比較し芽を発生させるものです。母球の更新があるものと無いものがあり、カラジュームなどは更新しますが、シクラメンなどは更新がありません。
- 塊茎の直径:成熟した個体では20cmを越えることもある。
- 塊茎の形:扁球形
- 塊茎の根:塊茎の中央下部から牽引根が数本発生し、塊茎を地中に引き込もうとする。
- 花茎:基本的に葉を付けず花のみをつける茎です。
- 塊茎:短縮した茎が肥大化して球状または塊状になり、球茎のように薄皮で包まれておらず、塊根と比較し芽を発生させるものです。母球の更新があるものと無いものがあり、カラジュームなどは更新しますが、シクラメンなどは更新がありません。
●葉の形態
- 葉序:根生葉
- 葉柄:有柄で、葉柄の色は淡い赤褐色または緑色です。
- 葉身の長さ:約5~12cm
- 葉身の概形:広卵形・心形
- 葉の縁部分:細鋸歯
- 葉脈:網状脈
- 葉の色:緑色または濃緑色を基調として、淡緑色または灰白色の脈斑・帯斑・中などが入る。
●花の形態
- 花序:単生
- 花茎:塊茎から直立・斜上に伸び、花の付け根の手前でU字に曲がり、花を下向きにつける。
- 花:花の長さは約1.5~2.5cm、花托・萼・花冠(花弁)・雄蕊・雌蕊で構成されています。
- 花托:萼・花冠(花弁)・雄蕊・雌蕊を支えている。
- 萼:合片萼で裂片は5個ある。
- 花冠:合弁花冠で、5枚の花弁が合着した花冠筒部は短く、花冠裂片は花冠筒部から強く反り返り上側に伸び、裂片の基部の側面には耳介(突起)があり、裂片の数は5枚、裂片の形は楕円形・長楕円形、色は桃色・紫色・白色などがあり、花冠筒部とその周辺の色が濃くなる傾向がある。
- 雄蕊:5本
- 雌蕊:1本
●果実・種子の形態
- 果実の分類:蒴果
※植物の形態についてはこちらのページも参考にしてください。
■シクラメン・グラエクムの園芸品種を紹介
■シクラメン属の主な種と園芸品種は下のリンクから紹介しています。
■シクラメン・グラエクムの育て方
花壇の土づくり
●バイオーム
- 主なバイオーム:地中海植生
- 原産地:ギリシャ、キプロス島
- 自生地:石灰岩土壌の丘陵地の斜面や岩場、潅木地等で見られます。
- 気候:主に地中海性気候に属します。気温は夏場は高温で降水量が少なく乾燥し、冬場は最も寒い月の平均気温でも-3℃以上あり比較的温暖で、夏場の3倍以上の降雨量があり比較的湿潤です。本種は秋・冬・春の生育期に湿潤な環境を好み、休眠期の夏場は乾燥した環境を好みます。
- 日照:半日影から明るい日陰
- 土壌:土壌は基本的に砂質で通気性・排水性が高く、比較的痩せた場所にあり、また石灰岩を母材とした土壌にあるため中性から弱アルカリ性土壌によく見られます。
※バイオームについてはこちらのページも参考にしてください。
●日照条件
シクラメン・グラエクムは、西日の当たらない半日影または明るい日陰で栽培可能です。理想的な環境は、落葉樹の下で、夏場の高温期に明るい日陰に入り、冬の低温期は落葉した樹木の下で柔らかな日差しをしっかり浴びる環境です。
日照条件の分類(参考)
- 日向:直射日光が一日を通して6時間以上当たる場所です。一般的に全方位に障害物がない、またはお庭の向きが南向きの場所になります。
- 半日陰:直射日光が3時間から5時間程度当たる場所です。一般的には、午前中のみ日が当たり、午後から日陰になる場所となります。そのため、お庭の向きは東向き、または木漏れ日がはいるような場所です。
- 明るい日陰:直射日光が二時間程度までしか当たらないか、殆ど当たらずに間接光だけで明るい場所です。一般的にお庭の向きが北向き、または建物の影など日差しを遮る障害物が多い環境です。
- 暗い日陰:森の中にあるような直射日光も間接光もほとんど当たらないような暗い場所です。
●土壌の土質
- 土質:基本的に高い通気性と排水性を兼ね備える土壌を好みます。そのため土質は水捌けのよい砂土・砂壌土が適します。水分が停滞してジメジメと湿り過湿になりやすい粘土質の土質は適さず、根腐れを引き起こす原因になるため避けた方が良いでしょう。
- 肥沃さ:過度な肥沃さは必要ありません。土壌の状態を見ながら、痩せていると感じる場合は適度に堆肥を入れるとよいでしょう。肥沃すぎる土壌は、特に夏場に蒸れやすく、根腐れの原因となるため注意が必要です。
- PH:PHは6.0~7.5の弱酸性から弱アルカリ性に適応します。土壌のPHを測定して適正範囲外にある場合は土壌改良材などを用いてPHを調整しましょう。PHが適正範囲から極端に外れた土壌では微量要素などの栄養を上手く吸収出来ずに生育不良になる場合があります。
土壌診断と改善の行い方(参考)
- 排水性の診断:深さ30cm程度・幅30cm程度の穴を掘り、穴の中を水で完全に満たす。一時間あたり約3~10cmの排水があれば、一般的な植物を育てるのに適した排水性になります。※それ以下またはそれ以上である場合は排水が悪い、または排水がよすぎる可能性があります。
- 排水性の改善:花壇を高くしたり、ロックガーデンを作り、植物を植える場所を周囲より高くする。また縦穴暗渠(縦穴排水)や排水溝をつくる。
- 作土層の診断:調べたい箇所の土壌に支柱を出来るだけ深くまでさします。支柱の入った部分が30cm前後あれば一般的な植物であれば、根を張るのに十分な作土層がありますが、それ以下であれば改善が必要です。また土壌を観察して石やゴミがあれば根を伸ばすのに邪魔になるため取り除いた方が良いでしょう。
- 作土層の改善:植物を植える箇所とその周囲をシャベルを使って30cm程度の深さまで掘り起こして解します。また石がある場合は土ふるいを使用して取り除きましょう。
- 土壌(土性)の性質の診断:土壌の通気性・保水性・保肥力を知るために、土壌を砂土・砂壌土・壌土・埴壌土・埴土に分類して、植物に合わせて土壌の改良をしましょう。
- 砂土:排水性と通気性が高く乾燥しやすいため、水分過剰による根腐れを引き起こしにくい。診断は、適度に湿らせた土を触った時にザラザラとした砂の粗い感触がある。手のひらや指で捏ねても全く固まらずに簡単に崩れる。
- 砂壌土:排水性と通気性が高く乾燥しやすい傾向がある、砂土と比べると、保水性と保肥力が少しあるため、乾燥気味の土壌を好む植物などに向いています。診断は、適度に湿らせた土を触った時に砂のザラザラ・粘土のヌルヌルとした感触がある。手のひらや指で捏ねると、緩く固める事が出来るが崩れやすい。
- 壌土:通気性・保水性・保肥力のバランスが高いため土壌管理がしやすい。診断は、適度に湿らせた土を触った時に砂のザラザラ・粘土のヌルヌルとした感触がある。手のひらや指で捏ねて伸ばすと、鉛筆程度の太さの棒状まで伸ばすことが出来る。 ただし伸ばした棒を曲げるのは難しい。
- 埴壌土:保水性・保肥力が高いため乾燥しにくい傾向がある。診断は、適度に湿らせた土を触った時に粘土のヌルヌルとした感触があり、砂のザラザラも少し感じる。手のひらや指で捏ねて伸ばすと、マッチ棒程度の太さまで伸ばすことが出来て、輪っかに曲げても切れにくい。
- 土壌(土性)の性質の改善:土壌の診断をしたら、植物が求める環境に合わせて土壌改良材をいれます。
- 通気性・排水性の改善:通気性・排水性の高い土壌改良材(パーライト・日向土・川砂・バーク堆肥 など)を混ぜ込む。
- 保水性の改善:保水性の高い土壌改良材(腐葉土・ピートモス・バーク堆肥・黒土)を混ぜ込む。
- PHの診断:土壌のPHを調べる方法は土壌酸度計を土壌に突き刺すタイプ・リトマス紙を溶液に浸すタイプ・ペーハー測定器を溶液に浸すタイプ・アースチェック液を溶液に垂らすタイプ等があります。製品によって調べ方がことなるため、詳しい手順は製品の取り扱い説明書をご覧下さい。
- PHの改善:PHを診断後に植物の適正なPHに合わせて、土壌改良材を入れてPHの改善をおこないます。
- PHを酸性に改善:ピートモスを使用する場合はPHを1下げるために、1㎡あたり、ピートモスを約1.2kgを入れて混和します。
- PHをアルカリ性に改善:苦土石灰を使用してPH1上げるには、1㎡あたり苦土石灰を約100~200g入れて混和します。
- 肥沃さの診断:肥沃さは土壌の色によりある程度診断できます。土壌の色は成分や状態を示しており、簡易的に植物を育てるのに適しているか調べる事が出来ます。黒色の場合は腐植が多く肥沃な傾向があり、赤色・黄色・白色の場合は腐植が少なく肥沃でない傾向があります。
- 肥沃さの改善:土壌に堆肥または微生物資材を入れます。堆肥を入れる量は土の量に対して二割から三割程度にします。入れ過ぎると通気性・排水性・保水性のバランスが崩れて植物が育つのに不適な環境になりやすいため注意してください。
※詳しい土壌診断と改善方法はこちらのリンクからご覧下さい
●植え付け方法
基本的に浅植えです。球根の半分程度を目安に、培養土から出して植え付けをおこないます。成長点が培養土に埋まると、病気が発生して腐敗しやすいため、避けてください。
鉢土づくり
●日照条件
シクラメン・グラエクムは、生育期間の秋・冬・春は西日の当たらない半日影または明るい日陰で栽培可能です。
●培養土
シクラメン・グラエクムの培養土を購入する場合は、通気性が高い草花の培養土を利用すると良いでしょう。
培養土を自作する場合
- 培養土の特性:自生地が地中海沿岸の斜面や岩場などにあり、土壌は基本的に栄養が少なめで土質は砂質です。そのため、培養土を作成する場合は、通気性・排水性を重視しながら、水やりの頻度も考えて適度な保水性も確保することが大切です。また堆肥も適度に入れる事で植物の成長がよくなります。
- 土壌改良材(無機質):一般的な植物の培養土よりも、特に通気性と排水性を改善する目的で、赤玉土や日向土などの土壌改良材を7割~8割を目安にして多めに配合します。ただし、通気性・排水性を高めるために、大きすぎる土粒を使うと、培養土の中に空隙ができすぎてしまい根の活着が悪くなったり、保水性も著しく落ちて生育が悪くなる原因となるため避けた方が良いでしょう。基本的には小粒を使用しましょう。
- 土壌改良材(有機質):腐葉土などの堆肥を全体の2割~3割を目安に培養土の中に配合します。堆肥は土壌の物理性・化学性・生物性を改善して、根の活着を高めて根張りをよくしたり、栄養素を含有しており、微生物の働きを促進して土質を改善したり、植物の栄養補給に寄与する働きがあったりします。ただし、堆肥の入れすぎは、夏場に蒸れて過湿状態になり、根腐れを引き起こす原因ともなるため注意が必要です。
培養土の配合例
- 基本の配合:赤玉土(小粒)7割+腐葉土3割+苦土石灰適量+元肥適量
- 培養土が劣化しにくい配合:日向土(細粒・小粒)4割+硬質赤玉土(小粒)3割+腐葉土2割+くん炭1割+元肥適量
- 比重が軽い配合:赤玉土(小粒)4割+パーライト3割+バーミキュライト1割+腐葉土2割+苦土石灰適量+元肥適量
●植え付け方法
基本的に浅植えです。球根の半分程度を目安に、培養土から出して植え付けをおこないます。成長点が培養土に埋まると、病気が発生して腐敗しやすいため、避けてください。
水やりの仕方
シクラメン・グラエクムは、自生地が地中海沿岸の丘陵地や岩の隙間などにあり、夏場は乾燥していて、冬場は湿潤な環境にあります。基本的に生育期の秋・冬・春は十分な水分が必要です。一方で、休眠に入る夏場は乾燥気味に管理します。
注意する事は、極端な過湿にしないことです。過湿が続くと病原菌が増えて株が腐敗する原因を作ったり、根の呼吸を邪魔して根腐れを引き起こす原因になったりします。そのため、水やりの頻度には十分な注意が必要です。
●水やりの方法
- 生育期(秋・冬・春):株は生育旺盛で、多くの水を必要とします。土壌の表面の乾燥を確認したら、凍結の心配が無くなった朝から昼の時間帯に水やりを行いましょう。夕方以降の水やりは、土が乾きにくく、夜間ずっと湿ったままになり、病気や根腐れのリスクを高めるため避けた方が無難です。また頻繁に水やりを行い、ジメジメとした環境を作ると根腐れを引き起こすこともあるため、必ず土壌の状態を確認してから水やりをして下さい。水の与え方は、株元と底面給水法の2パターンがあります。
- 株元に水を与える:球根(塊茎)と葉を避けて、土に直接、水を与えます。鉢底から水が流れ出るまで、たっぷりと与えるのが目安です。
- 底面給水法で与える:受け皿に1cm程度の水をためておき、鉢底から水を吸水させます。また専用の底面給水鉢で育てている場合は、タンクの水が3分の2程度に保てるように定期的に水を入れましょう。
- 夏:自生地では、この時期は乾季になり、本種は一般的に休眠期に入ります。葉の数が減ってくる晩春頃から水やりを減らしていき、初夏頃に水やりを止めて、休眠が覚める秋頃に水やりを再開します。ただし、塊茎が完全に乾き干からびると発芽能力が失われるため、塊茎の状態を見ながら適度に地面を湿らせ管理するとよいでしょう。
土壌の乾燥の確認方法
- 土壌表面の乾燥:土壌の表面の乾燥とは、土壌の最も上の部分の表面が乾燥している事です。土壌表面の乾燥の確認方法には目視・触感・専用の道具があります。
- 目視で確認:土は濡れているなら色が濃くなったり黒っぽくなったりしていて、乾燥すると色が白っぽくなります。
- 触感で確認:土の表面を指で触ってみてます。土は濡れていると湿り気があり、乾燥しているとサラサラとしています。
- 専用の道具:サスティーを土壌にさして使用します。サスティーは土壌が乾くと色が変化して水やりのタイミングを教えてくれます。
- 土壌の表層の乾燥:土壌の表層の定義は様々ありますが、ここでは土壌の表面より5cm以下にある事にして、また土壌の表層の乾燥とは土壌の表面から5cm以下が乾燥していることになります。
- 目視で確認:透明な植木鉢を使用して植物を育てます。透明で土の色の変化が分かるため、土表面から5cm以下の土の色が白っぽくなってきたら水やりを行います。
- 重量で確認:鉢植えで育てている場合は、水分量で鉢の重量が変わるため、土が乾燥した時の軽さを覚えておいて土の乾きを判断します。
- 道具で確認:割り箸・竹串などを用土の中に差してみて、引き上げた時の割り箸・竹串の色と湿り気を見て乾燥具合を確認します。
- 専用の道具:サスティーを土壌にさして使用します。サスティーは土壌が乾くと色が変化して水やりのタイミングを教えてくれます。
肥料の与え方
シクラメン・グラエクムは、自生地が地中海沿岸の栄養の乏しい荒れ地などにもあり、土壌に一定の肥沃さがあれば肥料が無くても育てる事ができます。過剰な栄養分は根腐れを引き起こしたり、株が軟弱になり病気や害虫や高温・低温などへの耐性が落ちる原因になるため、適切な時期と頻度で肥料を与える事が大切です。肥料は、生育を促進するために、秋から春の生育期に追肥を与えることができます。
●肥料の与え方
- 追肥:植物が生育する途中で施す肥料です。土壌中の栄養素は植物が吸収して減っていくため、追肥を入れる事で補います。
- 肥料を与える時期:球根から芽が出て生育が始まる9月下旬頃から、葉が黄色くなり休眠が始まり出す4月頃まで与えます。※肥料をあたえる頻度は製品によりかわります。
- 肥料の成分:窒素・リン酸・カリがバランス良く入る水平型、またはリンが多く入る山型を選びます。
- 肥料の製品:液肥・固形肥料(速効性・緩効性・BB肥料 など)がおすすめです。
- 施し方(液肥):液肥を規定された分量の水で希釈して、約10~14日の頻度で与えます。液肥が球根・葉・花にかかると腐敗する原因にもなるため、水やりと同様に土に直接、液肥を優しく与えましょう。
- 施し方(固形肥料):固形肥料の与え方は製品により置き肥タイプ・差し込みタイプ・埋め込みタイプがあります。製品に合わせて、規定された分量・規定された頻度・規定された方法で施しましょう。
剪定のやり方
シクラメン・グラエクムは剪定せずに育てる事も出来ますが、より健康で美しい株を維持するために剪定が推奨されます。例えば、花がら摘みは開花期を伸ばし花数を増やす目的で行われます。また古葉取りは健康な葉に光を十分当てて病害虫予防のために行われます。
剪定をするかは剪定理由を見ながら決めるとよいでしょう。
●剪定方法
- 花がら摘み:9月~11月の開花期間中に行います。株を観察して、花の色が褪せたり、外観が崩れたりしている、花がらを花茎の根元から指でつまみ、くるくると軽く捻じり回しながら、真上に引き抜きます。これを行うことで、種作りによる株の消耗を防ぎ、次の花芽に栄養がまわり沢山の花が咲くようになります。
- 古葉取り:生育期間中に行います。株を観察して、枯れた葉、変色した葉を探して、この葉の葉柄の根元を指でつまみあ、くるくると軽く捻じり回しながら、真上に引き抜きます。これを行うことで、健康な葉に多くの光が当たり生産性が高まり花数や葉の数が増えたり、株元の成長点に光が当たり新芽が勢いよく伸長したり、多湿環境が改善されて病害虫予防に繋がったりします。
夏越しする方法
シクラメン・グラエクムは、自生地が岩の多い丘陵地や潅木地などにあり、気候は地中海性気候で夏は暑く乾燥しています。そのため、この過酷な環境の夏を超えるため、本種は基本的に夏場は休眠しています。休眠中は、極端な高温で株が消耗しやすく、また株元がじめじめ濡れていると球根が腐敗してしまうため注意が必要です。
●夏越し対策
- 休眠法:晩春頃になると、葉が変色して枯れてくるため、鉢植えごと日陰に移動するか、株の上に日除けを張り、水やりを減らします。初夏に入ると株の葉は落ちて休眠するため、水やりを止めて秋まで乾燥気味で管理します。ただし、球根が完全に干からびるのを防ぐため、土が軽く湿る程度の水を必要に応じて与えましょう。秋になり涼しくなってくると、休眠が覚めて芽が出てくるため水やりを再開して下さい。
播種で増やす
シクラメン・グラエクムの種蒔の方法
- 播種時期:3月~5月/9月10月
- 発芽適温:約15~20度
- 発芽日数:21日~28日
- 備考:嫌光性種子
種まき手順
- 種まきの時期:春撒き・秋撒き
- 培土の準備:直播き・移植栽培※移植栽培はコストや手間が増えますが、苗を病害虫から保護したり、温度・水分の管理が楽になり成功率が高まります。
- 直播き:花壇やプランターの土を整えます。
- 移植栽培:プラグトレー・ピートポット・ポリポット・不織布育苗ポット・ジフィーセブンなどに種まき用の培養土を入れて栽培できます。おすすめは移植の際に根を傷めにくい不織布育苗ポット・ジフィーセブンなどです。
- 種の撒き方:種子は嫌光性のため、種を撒いたら必ず覆土します。種の撒き方は、点撒き・すじ撒きするとよいでしょう。
- 種まき後の管理:種が乾燥すると発芽率が落ちるため、基本的に土と種が乾燥しないように水やりを行い管理します。
- 発芽後:発芽が揃ったら、株同士の間隔を見て、混んでる場所の苗を間引きます。いい苗を残しながら1~3本程度になるように間引きするとよいでしょう。また間引きした苗は別の場所に移植することもできます。※直播きする場合は成長に合わせて株どうしがくっついているものを状態がいい方を残し間引きするとよいでしょう。
- 移植:移植栽培してる場合は、本葉が2枚以上になったらポットなどに移植して栽培します。
※鎮圧は土と種の接着を高め水分の吸収をよくします。