- 原産:ヨーロッパ/アジア
- 科:キク(Asteraceae)
- 属:ヨモギギク/タナセタム(Tanacetum)
- 種:ヨモギギク/ブルガリ(Tanacetum vulgare)
- 英名:タンジー(Tansy)
- 別名:ヨモギギク/コモン・タンジー(common tansy)/ビター・ボタン(bitter buttons)/カウ・ビター(cow bitter)/ゴールデン・ボタン(golden buttons)
- 品種:ゴールデンフリース(Tanacetum vulgare ‘Golden Fleece’)
- 開花時期:6月~9月
- 花の色:黄色
- 葉の色:黄緑色・黄色
- 香り:花・葉
- 生活形:多年草
- 草丈:約40~60cm
- 誕生花:8月12日/11月7日
- 花言葉:抵抗/あなたに挑む/婦人の美徳
- 用途:カラーリーフ/グランドカバー/切り花/ドライフラワー/香りが良い/種から育てる植物
- 購入方法:タンジー(ゴールデンフリース)を楽天で購入
■タンジー(ゴールデンフリース)の特徴
- 学名:Tanacetum vulgare ‘Golden Fleece’
- 花の色:黄色
- 葉の色:黄緑色・黄色
- 草丈:約40~60cm
- 備考:葉は2回羽状深裂で、裂片が縮れるような外観をしています。そのため、フリルのような優美な印象を与える葉姿をしています。また葉の色は黄色をしているため、明るさや元気の良さを感じさせるカラーリーフとしても楽しめます。
■タンジーとは!?


タンジー(学名: Tanacetum vulgare)は 、別名では「ヨモギギク」「コモン・タンジー(common tansy)」「ビター・ボタン(bitter buttons)」「カウ・ビター(cow bitter)」「ゴールデン・ボタン(golden buttons)」とも呼ばれるキク科ヨモギギク属の多年草です。
タンジーの原産地はヨーロッパとアジアにあり、自生地は草原、人為的に撹乱された荒れ地や道端などにあります。
■タンジーの語源(由来)
- Tanacetumの由来:ギリシャ語で「不滅」「不死」「永遠」を意味する「athanatos=a(否定)+thanatos(死んでいる)」からきており、花が乾燥しても色褪せせずに生きているように見えることに由来します。
- vulgareの由来:ラテン語で「普通の」「ありふれた」を意味しており、この植物がヨーロッパやアジアなどの広い地域で見られる事に由来します。
■タンジーの特徴(魅力)
- タンジーの魅力:この植物は、頭花が黄色の筒状花のみで構成されているため球状の可愛らしい外観をしており、さらに多数の頭花が茎の頂部で平面上に集まるため円盤のような個性的な花姿が楽しめます。また羽状に分裂する葉はレース模様のような繊細な雰囲気をつくるため、園芸ではこれらの花や葉を鑑賞する目的で栽培されます。また花・葉には樟脳やローズマリー等に例えられる爽やかな香りがある事からポプリにして芳香が楽しまれており、花材として切り花やドライフラワーにもされます。現在では毒性が知られて食べられることは殆どなくなりましたが、古代ギリシャの時代から薬草・食草にもされていました。このように、タンジーは魅力的な植物である一方で、繁殖力が強くて根茎や種子で広がり雑草化してしまう事があります。そのため、栽培する際は適切な管理を行い逸出させない事が大切です。
- 草姿:生育型は叢生型です。地面下にある根茎から複数の直立茎が真っ直ぐと伸びて高さ約50~150cmまで成長します。そのため、株の概形は、高さがあり整然とした行儀の良い群生をつくります。
- 葉の特徴:葉は2回羽状深裂、小葉の概形は狭楕円形と細く、縁部分も深裂しているため、 レース模様のような繊細でオシャレな外観をしています。そのため、野暮ったい印象を感じさせにくかったり、上品でエレガントな印象を感じさせたりします。
- 花の特徴:花序は頭状散房花序で、頭花が茎頂に集まり平面状の外観の花姿をつくりだします。頭花の概形は倒円錐形で、舌状花を欠いた黄色の筒状花のみで構成されているため、一般的なキク科の植物とは見た目の異なるユニークな外観を呈しています。
- フラワーアレンジメント:タンジーの花は収穫後に乾燥しても色褪せと型崩れほとんどなく、美しい外観を長く保ちます。この特性から、切り花として楽しまれるだけでなく、ドライフラワーに加工されて、スワッグやリース等のアレンジメントの素材として利用されたりもします。アレンジメントの中にタンジーを加えることで、鮮やかな黄色の花が明るさを加えて、羽状に分裂する葉は繊細さとボリューム感を演出してくれるでしょう。
- カラーリーフ:葉の色は緑色の他、品種を選べば黄色の葉色も楽しめます。そのため、開花期以外も明るく元気な印象を与えるカラーリーフとしてお庭を彩ることが出来ます。
- 精油:タンジーの花や葉には特有の芳香を生みだす精油が含まれており、この特有の芳香を生みだす主要な成分には、ツジョン(ツヨン)や樟脳(カンファー)やピネンなどが挙げられます。特に、花や葉にこの精油が多く含まれるため、これを触ると針葉樹のような爽やかな香りや薬品を想像させる独特な香りが広がり人々を楽しませます。そのため、この香りを楽しむ目的で、花や葉を収穫してポプリやサシェにされたり、お庭のガーデンファニチャーの傍に植栽して休憩しながら香りが楽しめるようにしたり、またよく通る小道の傍に植栽され花や葉に体が触れる時に香りが広がるように工夫して植栽されたりしています。※ただしツジョンは毒性があるため、基本的にハーブなどとして摂取して楽しむことはできません。
- 毒性:タンジーは古代ギリシア時代から薬草として利用されてきた歴史がありますが、この植物は有毒です。ツジョンなどの有毒な成分が含まれており、現代では一部のお酒などを除いて、殆ど食用とされていません。誤って摂取すると嘔吐・幻覚・痙攣などの中毒症状を引き起こすことがあるため、ハーブとして食べるのはやめた方がよいでしょう。
- その他の用途:この植物は虫除けとして防腐材に利用されたり、またハエなどの一部の植物が香りを忌避するため窓辺などで栽培されたりしています。タンジーの花を使って、黄色の染色がされることもあります。
タンジーの切り花とドライフラワーの楽しみ方
切り花の作り方
- 収穫:切り花の収穫は花が十分水分を含んでいる朝の涼しい時間帯もしくは夕方におこないましょう。
- 水揚げ:葉は水揚げを悪くするため必要な分を除いて茎から全て取り外します。茎の切り口は水切りまたは湯揚げを行います。
- 花を生ける:花瓶の中に水を入れて花を生けます。
- 管理:直射日光を避けた15~20度の涼しい環境で管理すると日持ちがよくなります。また徐々に水揚げが悪くなるため、必要に応じて水切りを再度して水換えをしましょう。管理の方法にも左右されますが日持ちは7日程度です。
湯揚げ法
湯揚げ法とは、切り花の切り口をお湯の中と冷水につけて、吸水を改善する水揚げ方法です。※水切りなどをしても、水揚げが上手くいかない場合等に行われます。
湯揚げは、導管内にある空気を熱で膨張させて外に押し出す効果があります。また熱のショックで一気に吸水する効果があります。またお湯で熱するため、切り口部分の雑菌が死滅して、微生物の影響が抑えられます。
湯揚げの方法
- 準備:容器・お湯(約60~100度)・冷水を準備します。
- 花材の保護:花や葉が蒸気で弱らないように、切り花の上部を新聞紙でくるみ覆います。切り口の部分はお湯につけるため、茎の下部は新聞紙から出しておきましょう。
- 茎の切断:切り口の根元から上に約1~5cmの場所で斜めにカットします。
- お湯に浸ける:お湯(約60~100度)の中に切り口を浸して、切り口から空気が出てこなくなるのを待ちます。お湯につける時間は約20~60秒の間です。
- 冷水に浸ける:お湯から切り花を出した後、そのまま冷水の中に2時間程度浸けて水揚げします。
- 切り花を生ける:切り花を花器に入れて飾ります。
水切り法
水切り法とは、切り花の切り口を水中につけた状態で切り戻しを行い、切り口の更新を行う水揚げ方法です。水切りは、特定の植物または特定の条件を除いた、殆どの切り花で行われている、最も一般的な水揚げ方法になります。
水切り法は、水中で茎を切るため導管内に気泡が入りにくいメリットがあります。また水切り法を行うことで茎が詰まっている原因(微生物・空気・樹液など)を取り除いて、切り口の状態を正常に戻す効果があります。
水切り法のやり方
- 準備:花材と水の入った容器を準備する
- 茎の切断:切り花の切り口を水中に漬けて、その中で切り口の根元から上に約1~5cmの場所で斜めにカットします。※斜めにカットする事で吸水部が増えて水揚げ効率がよくなります。
- 切り花を生ける:切り口を別の容器にいれて水揚げするか、花器に入れて飾ります。
ドライフラワーの作り方
- 準備:花材・麻紐・洗濯物干しを準備します。※花材は花が十分に開花している物を選んで下さい。
- 花材の下処理:花材が大きい状態のままでは乾燥に時間がかかったり、綺麗に乾燥しなかったりします。そのため花材を使いやすい大きさに切り分けて大きさを調整しましょう。花材の下葉は基本的に不要で、束ねる時などに邪魔になるため、茎の下部の不要な葉は落とします。
- 花材を束ねる:花材を1本または2~3本程度で束ねて、麻紐で茎の下部分をくくり固定しましょう。※花材を多く束ね過ぎると花材同士がくっついて乾燥した時に歪んだり、花材同士がくっつく事で風通しが悪くなり乾燥までに時間がかかり色落ちが進んだりします。
- 植物を吊るす:花材を逆さまにして、洗濯物干しに掛けたり、壁と壁の間に麻紐を張ってその間に花材を吊るしましょう。花材同士を密着させると風通しが悪くなり乾燥までに時間がかかり色落ちが進む事があるため、花材同士は離して乾かします。
- 管理する時の注意点:花は紫外線の影響で色褪せが進み痛みやすいため直射日光が当たる場所は避ける。多湿環境では乾燥までに時間がかかるため、風通しのよい部屋などに花を吊るして自然乾燥させたり、エアコン・除湿機を利用して部屋の湿度を減らす。またサーキュレーターで部屋全体の空気を循環させて花材を素早く乾燥させることも出来ます。
- 完成までの時間:温度・湿度・風通し等で変化しますが、普通は約1~2週間です。
- 完成後:花材として一時保管するか、スワッグやリース等のフラワーアレンジメントに利用できます。
■タンジーの生活形と形態
●生活形・茎の形態
- 草丈:約50~150cm
- 生育型:叢生型で地際から茎が何本も出て叢生(株立ち)するもの。
- 茎の種類:根茎・直立茎
- 根茎:普通の根っこのように見える地面下にある茎です。
- 直立茎:茎がほとんど垂直に伸びる。
- 茎の色:緑色
●葉の形態
- 葉序:互生葉序
- 葉身の概形:二回羽状浅裂・二回羽状中裂・二回羽状深裂
- 葉身の長さ:約4~20cm
- 葉身の幅:約2~10cm
- 小葉の概形:狭楕円形
- 小葉の縁部分:浅裂・中裂・深裂
- 裂片:狭楕円形で鋸歯がある
- 葉の色:緑色・黄色
●花の形態
- 花序:頭状花序が多数集まり、散房花序を呈するように開花する複合花序(頭状散房花序)です。ただし、頭状花序が開花していく順番は、中央(上)から始まり、後に外側(下)へと進みます。
- 頭状散房花序のヘッド:平面または半球形
- 頭状花序:花序軸の先端が短縮して円盤状になり、その表面に無柄の花が多数密集してつき、花序の基部を総苞が保護している。この植物の頭花の直径は約0.7~1.2cm、花序の中の花冠は舌状花を欠き、筒状花のみで構成されている。
- 頭状散房花序のヘッド:平面または半球形
- 総苞:頭状花序の基部で花を保護している、総苞片の集まりです。
- 総苞の長さ:約0.5~1cm
- 総苞片の列:2~3列
- 総苞片の形:披針形
- 総苞片の色:緑色
- 花冠:筒状花
- 筒状花:5枚の花弁が合着している合弁花冠で、長い花冠筒部と、小さな花冠裂片が5個ある。
- 筒状花の色:黄色
- 筒状花:5枚の花弁が合着している合弁花冠で、長い花冠筒部と、小さな花冠裂片が5個ある。
- 雄蕊:5本
- 雌蕊:1本
●果実・種子の形態
- 果実の分類:痩果
※植物の形態についてはこちらのページも参考にしてください。
■タンジーの園芸品種を紹介
イスラ ゴールド

学名:Tanacetum vulgare ‘isla gold’
花の色:黄色
葉の色:黄緑色・黄色
草丈:約40~70cm
備考:葉は他のタンジーと同様にレースのように細かく分裂したお洒落な外観をしており、葉の色は透き通るような黄緑色から黄色をしています。そのため、繊細で明るい雰囲気をつくるカラーリーフとして楽しめる品種です。
■ヨモギギク(タンジー)の主な種と園芸品種は下のリンクから紹介しています。
■タンジーの育て方
花壇の土づくり
バイオーム
タンジーの主なバイオームは温帯広葉樹林・温帯針葉樹林・ステップ・乾燥性灌木地、原産地はヨーロッパとアジアにあり、自生地は草原、人為的に撹乱された荒れ地や道端などにあります。
気候は温帯・冷帯・乾燥帯に属し、気温や降水量は場所により大きく変わります。土質に関しては水はけの良い砂礫質な土壌から、有機物を多く含む腐植質の多い土壌まで適応し、湿潤で栄養豊富な場所から、乾燥気味で栄養の乏しい場所まで、幅広い環境に生息します。このように、タンジーは幅広い環境適応性があり、生命力の強い植物であることがわかります。
※バイオームについてはこちらのページも参考にしてください。
日当り
タンジーは、日向から半日影の範囲で育てることが出来ます。ただし日光のよく当たる場所で最もよく成長して沢山の花を咲かせるため基本的には日向で育てる方が良いでしょう。
日当りの分類
- 日向:直射日光が6時間以上当たる場所です。一般的に全方位に障害物がない、またはお庭の向きが南向きの場所になります。
- 半日影:直射日光が3時間から5時間程度当たる場所です。一般的にお庭の向きが東向きになる、西向きも半日影になるが西日が当たる環境にもなるため注意が必要です。
- 明るい日陰:直射日光が二時間程度まで、または間接光だけが当たるような比較的に明るい場所です。一般的にお庭の向きが北向き、または日差しを遮る障害物が多い環境です。
- 暗い日陰:森の中にあるような直射日光も間接光もほとんど当たらないような暗い場所です。
土壌の土質
- 土質:基本的に通気性と排水性が十分であれば幅広い土壌に適応します。そのため砂壌土・壌土の土質で栽培するのがよいでしょう。注意点は、極端に水捌けが良くて乾燥が続く土壌や、栄養が極端に少ない土壌で栽培すると、生育が悪くなることがあります。また粘土質で硬い土壌は根張りが悪くなり、ジメジメとした過湿が続く土壌は根腐れを引き起こす可能性があります。
- 肥沃さ:有機物が豊富に入る肥沃な土壌から、栄養の乏しい土壌まで幅広く適応します。ただし堆肥は土壌の物理性・生物性などを改善する働きがあり植物の成長も促進するため、土壌の色や膨軟性、植物の状態などをみて肥沃さが足りないと感じる場合は堆肥をいれるとよいでしょう。
土壌診断と改善の行い方
- 排水性の診断:深さ30cm程度・幅30cm程度の穴を掘り、穴の中を水で完全に満たす。一時間あたり約3~10cmの排水があれば、一般的な植物を育てるのに適した排水性になります。※それ以下またはそれ以上である場合は排水が悪い、または排水がよすぎる可能性があります。
- 排水性の改善:花壇を高くしたり、ロックガーデンを作り、植物を植える場所を周囲より高くする。また縦穴暗渠(縦穴排水)や排水溝をつくる。
- 作土層の診断:調べたい箇所の土壌に支柱を出来るだけ深くまでさします。支柱の入った部分が30cm前後あれば一般的な植物であれば、根を張るのに十分な作土層がありますが、それ以下であれば改善が必要です。また土壌を観察して石やゴミがあれば根を伸ばすのに邪魔になるため取り除いた方が良いでしょう。
- 作土層の改善:植物を植える箇所とその周囲をシャベルを使って30cm程度の深さまで掘り起こして解します。また石がある場合は土ふるいを使用して取り除きましょう。
- 土壌(土性)の性質の診断:土壌の通気性・保水性・保肥力を知るために、土壌を砂土・砂壌土・壌土・埴壌土・埴土に分類して、植物に合わせて土壌の改良をしましょう。
- 砂土:排水性と通気性が高く乾燥しやすいため、水分過剰による根腐れを引き起こしにくい。診断は、適度に湿らせた土を触った時にザラザラとした砂の粗い感触がある。手のひらや指で捏ねても全く固まらずに簡単に崩れる。
- 砂壌土:排水性と通気性が高く乾燥しやすい傾向がある、砂土と比べると、保水性と保肥力が少しあるため、乾燥気味の土壌を好む植物などに向いています。診断は、適度に湿らせた土を触った時に砂のザラザラ・粘土のヌルヌルとした感触がある。手のひらや指で捏ねると、緩く固める事が出来るが崩れやすい。
- 壌土:通気性・保水性・保肥力のバランスが高いため土壌管理がしやすい。診断は、適度に湿らせた土を触った時に砂のザラザラ・粘土のヌルヌルとした感触がある。手のひらや指で捏ねて伸ばすと、鉛筆程度の太さの棒状まで伸ばすことが出来る。 ただし伸ばした棒を曲げるのは難しい。
- 埴壌土:保水性・保肥力が高いため乾燥しにくい傾向がある。診断は、適度に湿らせた土を触った時に粘土のヌルヌルとした感触があり、砂のザラザラも少し感じる。手のひらや指で捏ねて伸ばすと、マッチ棒程度の太さまで伸ばすことが出来て、輪っかに曲げても切れにくい。
- 土壌(土性)の性質の改善:土壌の診断をしたら、植物が求める環境に合わせて土壌改良材をいれます。
- 通気性・排水性の改善:通気性・排水性の高い土壌改良材(パーライト・日向土・川砂・バーク堆肥 など)を混ぜ込む。
- 保水性の改善:保水性の高い土壌改良材(腐葉土・ピートモス・バーク堆肥・黒土)を混ぜ込む。
- PHの診断:土壌のPHを調べる方法は土壌酸度計を土壌に突き刺すタイプ・リトマス紙を溶液に浸すタイプ・ペーハー測定器を溶液に浸すタイプ・アースチェック液を溶液に垂らすタイプ等があります。製品によって調べ方がことなるため、詳しい手順は製品の取り扱い説明書をご覧下さい。
- PHの改善:PHを診断後に植物の適正なPHに合わせて、土壌改良材を入れてPHの改善をおこないます。
- PHを酸性に改善:ピートモスを使用する場合はPHを1下げるために、1㎡あたり、ピートモスを約1.2kgを入れて混和します。
- PHをアルカリ性に改善:苦土石灰を使用してPH1上げるには、1㎡あたり苦土石灰を約100~200g入れて混和します。
- 肥沃さの診断:肥沃さは土壌の色によりある程度診断できます。土壌の色は成分や状態を示しており、簡易的に植物を育てるのに適しているか調べる事が出来ます。黒色の場合は腐植が多く肥沃な傾向があり、赤色・黄色・白色の場合は腐植が少なく肥沃でない傾向があります。
- 肥沃さの改善:土壌に堆肥または微生物資材を入れます。堆肥を入れる量は土の量に対して二割から三割程度にします。入れ過ぎると通気性・排水性・保水性のバランスが崩れて植物が育つのに不適な環境になりやすいため注意してください。
※詳しい土壌診断と改善方法はこちらのリンクからご覧下さい
鉢土づくり
日当り
タンジーは、日向から半日影の範囲で育てることが出来ます。ただし日光のよく当たる場所で最もよく成長して沢山の花を咲かせるため基本的には日向で育てる方が良いでしょう。
培養土
培養土を購入する場合は、一般的な草花の培養土で良いでしょう。
培養土を自作する場合
- 植物の好む環境に合わせて通気性・ 排水性・保水性のバランスを考えた用土の構成にする。
- 堆肥は土壌の物理性を改善して根張りをよくするだけでなく、栄養素を含有しており、微生物の働きを促進して土質を改善したり、植物の栄養補給に寄与する働きがあったりします。そのため、腐葉土などの堆肥をしっかり入れて植物の生育を促進しましょう。
- 鉢植えを移動する場合を考えて比重の軽い用土を利用したり、植物が倒れる可能性も考えて比重の重めの用土を選んだりする。
- 水やりの頻度を考えて保水性のよい用土を利用したり、植物の呼吸や成長を考えて通気性がしっかり保てる用土を選んだりする。
培養土の配合例
- 赤玉土(小粒・中粒)+腐葉土 +元肥=6:4:適量
- 赤玉土(小粒・中粒)+パーライト+腐葉土 +元肥=4:2:4:適量
- 日向土(細粒・小粒)+ピートモス+くん炭 +元肥=5:4:1:適量
鉱石の土壌改良用土
- 赤玉土:赤玉土とは関東ローム層の中層にある赤土を乾燥させて、粒の大きさごとに分けた土壌改良材です。
- 特徴:赤玉土は通気性・排水性・保水性のバランスが抜群に良いことから擬似団粒構造をした土壌改良材とも呼ばれています。無菌で雑菌が繁殖しにくく、雑草の種も含まれないため挿し木用土やインドアグリーンの土としても使われる。
- 比較:鹿沼土と比べて赤玉土の方が保水性・保肥力に優れており、PHが中性に近い弱酸性のため幅広い植物で利用しやすい。赤玉土は鹿沼土よりも粒が崩れて劣化しやすいため、使い続けると微塵が出て通気性・排水性を悪化させる事がある。
- 注意点:赤玉土はリン酸を固定してしまい、植物が吸収出来る状態で無くす事があるため、リン酸の肥料を多めにやる必要がある。赤玉土の粒はやや崩れやすいため再利用出来る割合が少ない傾向があり、微塵は粘土質になり通気性・排水性を悪くする事がある。
- 用途:一般的な草花・花木・多肉・サボテン・山野草・水生植物など幅広い植物の土壌改良材として利用されます。無菌のため挿し木・種まき用土・インドアグリーンの培養土などに利用される。
- 硬質赤玉土:硬質赤玉土は赤玉土を高温で焼いて硬質化したものです。
- 比較:硬質赤玉土は赤玉土と比べて、粒が硬いため砕けて劣化しにくく、通気性・排水性が高くなっています。一方で保水性が悪くなっているため、一般的な草花で使うと土壌が乾きやすくなり水やりの頻度が増えやすいです。
- 用途:多肉植物・サボテン・山野草などに使われる事が多い。
- 鹿沼土:鹿沼土は栃木県鹿沼地方で産出される、風化した軽石の総称です。
- 特徴:鹿沼土は通気性・排水性が抜群に優れており保水性・保肥力も高いため、培養土の通気性・保水性・保肥力のバランスをとりたい時に重宝されます。PHが4~5と酸性になります。
- 比較:赤玉土と比べると鹿沼土は粒が頑丈で崩れにくいため再利用しやすく、PHは酸性に強く傾いており、保水性が劣ります。一般的な軽石と比べると鹿沼土は保水性に優れており、やや粒が脆い傾向にあります。
- 注意点:酸性度が強めなため、アルカリ土壌を好む植物を育てる場合は避けた方がよい。
- 用途:一般的な草花・花木・多肉・サボテン・山野草・水生植物など幅広い植物の土壌改良材として利用されます。特にPHが酸性のため酸性土壌を好む植物に利用される事が多いです。
- ☆硬質鹿沼土:硬質鹿沼土は従来の鹿沼土から硬質なものを選別した用土です。その名前が示すとおり、鹿沼土よりも硬く丈夫で劣化しにくい用土です。
- パーライト:パーライトは、真珠岩や黒曜石を粉砕して小さくした後に、高温で熱して中に含まれる水分を発泡させ多孔質にした資材です。
- 特徴(真珠岩系):表面に光沢があり滑らか、通気性・排水性に非常に優れている、雑菌が発生しにくく、比重が0.1程度と小さく軽い。
- 特徴(黒曜石系):表面に光沢があり滑らか、通気性・排水性に非常に優れている、雑菌が発生しにくく、比重が0.1程度と小さく軽い。
- 用途:土壌の通気性・排水性を改善する目的、真珠岩系では通気性・排水性・保水性をバランスよく改善する目的で利用されます。一般的な草花の育成などでよく利用されており、比重が軽いため培養土の軽量化などに欠かせません。
- 日向土(ボラ土):日向土は別名でボラ土とも呼ばれる、宮崎県南部で産出される軽石です。
- 特徴:通気性と排水性に非常に優れており、多孔質なため保水性も適度に確保出来ている、比重は約0.6とバランスがよい。※鹿沼土と比較すると頑丈で形状が崩れにくいため再利用しやすく、PHが殆ど中性なため扱いやすい、一方で鹿沼土と比べると保水性がそれほど高くない。
- 用途:土壌の通気性や排水性を改善するのに利用されます。草地・岩場・高山地帯・砂地に自生する植物などを育てるのに向いており、一般的な草花から多肉・サボテン・山野草などの育成でも利用されます。す。
有機物の土壌改良用土
- 腐葉土:腐葉土は広葉樹の落ち葉を腐熟させた改良用土です。
- 腐葉土を選ぶ基準:腐葉土は完熟していて湿り気のある物を選びましょう。完熟していると、見た目が黒っぽくなり、葉の断片が小さくなっています。逆に油脂成分の多い針葉樹の葉が入っていたり、未熟な茶色の葉が混じっていたり、断片が大きく乾燥していたりする腐葉土は、植物の根を傷める原因にもなるため避けた方が良いでしょう。
- 腐葉土の特徴:土壌の膨軟性を高めるため空気の通りが良くなり根の成長を助ける。土壌の通気性・保水性・保肥力を高めるため植物が育ちやすい環境となる。腐葉土は微量要素を含んでいるため植物が栄養を補給して健康に成長する助けとなり、また微生物の働きも活性化するため土壌が肥沃になる。PHが中性のため扱いやすい。
- 用途:土壌の保水性・保肥力・通気性を改善したり、微生物を活性化して土壌を肥沃にしたりする働きがあるため、多くの植物を育てる際の改良用土として利用されます。
- ピートモス:ピートモス は水苔類やヨシ・スゲ等の植物が堆積して腐植し泥炭化した用土です。
- 特徴:腐葉土と比べて養分を殆ど含んでいないため、微生物を活性化する力が弱く無菌で清潔感がある。土壌の膨軟性を高めるため空気の通りが良くなり根の成長を助ける。土壌の保水力を高める効果が高く、通気性・保肥力も改善する。PHは基本的に強い酸性になる。
- 注意点:PHが3~4の強い酸性のため、一般的な植物を育てる際は調整済のピートモスを使用するか、アルカリ性の土壌改良材を入れて使用した方がよいでしょう。
- 用途:土壌の膨軟性を高めて、保水性・保肥力・通気性を改善するのに利用されたり、PHを酸性に調節する目的で利用されたり、無菌で雑菌が繁殖しにくいためインドアグリーンの植物の改良用土として利用されたり、挿し木や種まき用の培土として利用されたり、多くの植物を育てる際の改良用土として利用されたりしています。
- くん炭:くん炭は、もみ殻を炭化させたものです。
- 特徴:通気性と排水性が抜群によいため根腐れ防止効果があります。菌根菌などの有用微生物を活性化させる効果があるため、植物が菌根菌と共生して病気に強くなったり水分・栄養を補給しやすくなる事がある。植物の成長に必要とされるミネラルを含有していて、またケイ酸が50%近く含有しているため茎・葉が頑丈になりやすく病害虫に強くなる傾向がある。PH8前後の高いアルカリ性を示す。
- 用途:根腐れ防止・酸性土壌の改善などのために土壌に10%程度混ぜて使われる事が多いです。
水やりの仕方
タンジーは一度根付いてしまえば乾燥にとても強くなります。そのため、基本的に地植えで育てていれば降雨に任せて育てることが出来ます。
ただし、夏場などの乾燥しやすい季節、雨が長く降らない時、鉢植えで育てている場合などには、水やりが必要になることがあります。水やりのタイミングなどは下記を参考にして下さい。
水やりのタイミング
生育期間中は土壌の表面または表層が乾燥したタイミングで水をたっぷり与えます。
土壌の乾燥の確認方法
- 土壌表面の乾燥:土壌の表面の乾燥とは、土壌の最も上の部分の表面が乾燥している事です。土壌表面の乾燥の確認方法には目視・触感・専用の道具があります。
- 目視で確認:土は濡れているなら色が濃くなったり黒っぽくなったりしていて、乾燥すると色が白っぽくなります。
- 触感で確認:土の表面を指で触ってみてます。土は濡れていると湿り気があり、乾燥しているとサラサラとしています。
- 専用の道具:サスティーを土壌にさして使用します。サスティーは土壌が乾くと色が変化して水やりのタイミングを教えてくれます。
- 土壌の表層の乾燥:土壌の表層の定義は様々ありますが、ここでは土壌の表面より5cm以下にある事にして、また土壌の表層の乾燥とは土壌の表面から5cm以下が乾燥していることになります。
- 目視で確認:透明な植木鉢を使用して植物を育てます。透明で土の色の変化が分かるため、土表面から5cm以下の土の色が白っぽくなってきたら水やりを行います。
- 重量で確認:鉢植えで育てている場合は、水分量で鉢の重量が変わるため、土が乾燥した時の軽さを覚えておいて土の乾きを判断します。
- 道具で確認:割り箸・竹串などを用土の中に差してみて、引き上げた時の割り箸・竹串の色と湿り気を見て乾燥具合を確認します。
- 専用の道具:サスティーを土壌にさして使用します。サスティーは土壌が乾くと色が変化して水やりのタイミングを教えてくれます。
肥料の与え方
タンジーは、痩せ地でも生息している事からも分かる通り、基本的に肥料は不要です。土壌に一定の肥沃さを保つため、早春に一度だけ株の周りに堆肥を入れて上げたり、有機肥料や緩効性肥料を入れて上げるとよいでしょう。※注意することは、肥料を与え過ぎる事です。肥料が多いと茎が徒長したり、軟弱になったりして茎が倒伏して外観が悪くなったり、葉ばかりが茂り花数が減る事があります。
堆肥の与え方
- 堆肥を入れる時期:植え付け時、または冬から早春に堆肥を入れます。
- 堆肥の入れ方:堆肥の入れ方は地植えと鉢植えでかわります。
- 地植え:植付けや株分けする時などに土壌改良を行い堆肥をいれて混和する。または株の周囲に堆肥を盛ったり、株の周囲に穴を掘り堆肥を入れます。
- 鉢植え:植え替え時に堆肥がしっかり入った新しい培養土を使う。または古い土に二割から五割ほど新しい土を混ぜて再利用する。
剪定のやり方
タンジーは基本的に剪定不要です。ただし、繁殖力が強く、放置すると意図しない場所に逸出する可能性もあるため、花がら摘みをしてこぼれ種が出ないようにしたり、株が広がり過ぎた場合は根茎から取り除いたりして、雑草化を防ぐことも大切です。また清潔感を維持したり翌年の健全な成長を促進する目的で、晩秋頃に枯れた部分を剪定して取り除くこともできます。
挿し木や株分けで増やす
タンジーは挿し木や株分けによって増やす事ができます。
挿し木の方法
- 挿し木時期:発根率の高い晩春から夏頃が適します。
- 培養土の準備:培養土は切り口が腐敗して吸水を阻害しないように、無菌のものを利用します。一般的にはバーミキュライト・赤玉土・パーライト・ピートモスなどが利用されていますが、専用の培養土もあるため近くのホームセンターで探すのも良いでしょう。
- 挿し穂の採取:挿し穂の茎は弾力があり健康な部分をカットして利用しましょう。また花芽分化が始まり生殖成長をしている茎は、発根率が極端に下がるため挿し穂に使うのは避けた方がよいでしょう。
- 挿し穂の整形:挿し穂は長さを5~7cm程度にわけて、挿し穂の上部の葉を残して、下部の葉を取り除きます。茎の下部分を斜めにカットして吸水部分を広くしておきましょう。
- 培養土に挿し穂を挿す:挿し穂を挿す場所を決めます。培養土の中に、割り箸等を利用して、事前に穴を空けておきます。挿し穂の切り口を下向きにして、培養土の中に挿し穂を入れましょう。通常は挿し穂の1/3程度をいれます。
- 管理:明るい日陰で土壌が完全に乾燥しない様に水やりを行いながら管理しましょう。
挿し木の方法
- 株分け時期:春・秋
- 株を観察:株を観察して親株から離れた場所の地面から、発生している芽または新しい株を探します。ない場合は親株が十分に大きく成長しているのを確認します。
- 株を掘りあげる:親株と子株が離れている場合は子株のみをスコップで掘り起こして、根茎を切り離します。子株がない場合は親株を掘りあげます。
- 株を分割する:親株がひと塊になっている場合は、株を観察して根茎の節に芽・不定根が発生している場所をさがします。根茎に芽・不定根をつけた状態で親株から切り離します。
- 株分け後:株分け後は根が乾燥する前に素早く植付けをおこないます。
播種で増やす
タンジーの種蒔の方法
- 播種時期:3月~5月・9月~10月
- 発芽適温:約20度
- 発芽日数:7~21日
- 備考:
種まき手順
- 種まきの時期:春または秋
- 培養土の準備:直播き・移植栽培※移植栽培はコストや手間が増えますが、苗を病害虫から保護したり、温度・水分の管理が楽になり成功率が高まります。
- 直播き:花壇やプランターの土を整えます。
- 移植栽培:プラグトレー・ピートポット・ポリポット・不織布育苗ポット・ジフィーセブンなどに種まき用の培養土を入れて栽培できます。おすすめは移植の際に根を傷めにくい不織布育苗ポット・ジフィーセブンなどです。
- 種の撒き方:点撒き・すじ撒き・バラ撒き
- 種まき後の管理:種が乾燥すると発芽率が落ちるため、基本的に土と種が乾燥しないように水やりを行い管理します。
- 発芽後:発芽が揃ったら、株どうしの間隔を見て、混んでる場所の苗を間引きます。また間引きした苗は別の場所に移植することもできます。※直播きする場合は成長に合わせて株どうしがくっついているものを状態がいい方を残し間引きするとよいでしょう。
- 定植:株がある程度の大きさなったら定植します。定植が遅れると移植時に根を傷付けるリスクが増えると同時に、苗が老化して定植後の成長も悪くなるリスクが高まります。一方で、移植が早すぎると低温障害にあったり害虫からの食害に合うリスクが高まります。そのため、バランスを見ながら定植を行いましょう。
※鎮圧は土と種の接着を高め水分の吸収をよくします。