- 原産:アルバニア/ブルガリア/ギリシャ/マケドニア/ルーマニア/トルコ
- 科:スイカズラ(Caprifoliaceae)
- 属:クナウティア(Knautia)
- 種:アカバナマツムシソウ(Knautia macedonica)
- 別名:クナウティア・マケドニカ/マケドニアン・スカビオサ(Macedonian scabious)
- 品種:メルトンパステル(Knautia macedonica ‘melton pastels’)
- 開花時期:5月~8月
- 花の色:淡い桃色・赤色・赤紫色・薄い紫色
- 葉の色:緑色
- 香り:
- 生活形:多年草
- 草丈:約50~100cm
- 誕生花:
- 花言葉:
- 用途:カラーリーフ/切り花/種から育てる植物
- 購入方法:クナウティア(メルトンパステル)を楽天で購入
■クナウティア(メルトンパステル)の特徴
学名:Knautia macedonica ‘melton pastels’
花の色:淡い桃色・赤色・赤紫色・薄い紫色
葉の色:緑色
草丈:約50~100cm
備考:実生系の品種になり、花の色は個体差により淡い桃色・赤色・赤紫色・薄い紫色などがあり、カラフルな色合いを楽しめます。
■アカバナマツムシソウとは!?

アカバナマツムシソウ(学名: Knautia macedonica)は、別名では「クナウティア・マケドニカ」「マケドニアン・スカビオサ(Macedonian scabious)」とも呼ばれるスイカズラ科クナウティア属の多年草です。
アカバナマツムシソウの原産地はアルバニア、ブルガリア、ギリシャ、マケドニア、ルーマニア、トルコにあり、自生地は乾燥した草原や丘陵地などにあります。
■アカバナマツムシソウの語源(由来)
- Knautiaの由来:ドイツ人医師で植物学者のChristian Knaut (1656 – 1716)への献名です。
- macedonicaの由来:原産地であるマケドニアからきています。
■アカバナマツムシソウの特徴(魅力)
- アカバナマツムシソウの魅力:本種は花の色が赤色をしているため、近縁のクナウティア・アーベンシス(Knautia arvensis)の薄い青紫色の花と区別する事が出来ます。花(頭花)はサイズが1.5~4cmあり、頭花を集散状に次々と咲かせます。頭花を構成する外側の周辺花は中心花と比べて大きめでフリルしているため、ドーム状に盛り上がる中心花との組み合わせでクッションのような可愛らしい外観をしています。そのため、園芸では、この真っ赤で派手な花をお庭に添えて鑑賞したり、また収穫して切り花やアレンジメント等で利用する目的で栽培されたりします。
- 草姿:生育型は叢生型、または一時ロゼット型で、冬の期間をロゼットで過ごした後、春になると高さ約30~100cmまで茎を何本も伸ばして概ね5月頃から花を咲かせはじめます。
- 葉の特徴:葉は基部から発生する根生葉と茎から発生する茎葉があります。葉の概形は個体差が大きく、単葉のヘラ形から分裂葉の奇数羽状浅裂から奇数羽状深裂まであります。
- 花の特徴:開花期は5月~8月です。花序は頭状花序または頭花集散花序で、これは茎頂で頭状花序が開花した後、茎の下部で枝分かれして更に頭状花序が集散状に次々と開花していく咲き方です。 頭状花序は直径が1.5~4cm、長い花柄に支えられています。花序を構成する花は、裂片が4個ある合弁花冠になるため、花の形が類似していて花冠に裂片が5個あるスカビオサと区別する事が可能です。合弁花冠のうち、外側にある周辺花はやや大きめで放射状に広がり、中央にある中心花はサイズはサイズが小さめでドーム状に密集します。花の色は一般的に赤色ですが、品種により桃色や紫色もあります。
- カラーリーフ:葉の色は緑色の他、品種を選べば白色の葉色も楽しめます。そのため、開花期以外も明るく元気な印象を与えるカラーリーフとしてお庭を彩ることが出来ます。
- フラワーアレンジメント:スカビオサ・アトロプルプレアの花や花後に出来る卵形の果実を収穫して切り花として楽しんだり、またドライフラワーにしてフラワーアレンジメントの素材として活用できたりします。球状のポンポンに似ている花は可愛らしい見た目をしてるため、切り花やアレンジメントの中で可愛らしい雰囲気を添える事が出来るでしょう。切り花として用いた場合、花瓶の中での寿命は5~7日ほどになります。
■アカバナマツムシソウの生活形と形態
●生活形・茎の形態
- 草丈:約30~100cm
- 生育型:一時ロゼット型・叢生型
- 一時ロゼット型:ある期間をロゼットで過ごしますが、その後に茎が直立して根生葉が枯れるもの。
- 叢生型:地際から茎が何本も出て叢生(株立ち)するもの。
- 茎の種類:直立茎
- 直立茎:茎がほとんど垂直に伸びる。
- 茎の色:緑色
●葉の形態
- 葉序:根生葉・対生葉序
- 葉身の概形:ヘラ形・羽状浅裂・羽状中裂・羽状深裂※切れ込みの有り無しや深さは個体差が大きい
- 分裂葉の裂片:楕円形・狭楕円形
- 葉縁部分:全縁・鋸葉・波状※個体差がある。
- 葉の毛:有毛
- 葉の色:緑色
●花の形態
- 花序:頭状花序または頭状集散花序で、頭状花序が咲いた後も、茎が集散花序のように枝分かれしながら、茎頂に新たな頭花を次々と咲かせます。
- 頭状花序:花序軸の先端は短縮して円盤状になり、基部に総苞があり上面に花が密集します。総苞は、キク科の頭花の総苞とは異なり、より葉状で総苞片が1~3列に重なり平面的に広がります。花序を構成する花は、外側(周辺花)がやや大きく発達していて、中央(中心花)は小さい。
- 頭状花序の直径:約1.5~4cm
- 総苞:頭状花序の基部で、複数の総苞片が集まり、花を保護している。
- 総苞の概形:平開・杯状
- 総苞片の列:約1~3列
- 総苞片の形:披針形
- 総苞片の色:緑色
- 小総苞:有り
- 萼:萼筒または合片萼で剛毛状の裂片がある。
- 花冠:合弁花冠で、花冠筒部は細長く、花冠裂片は4枚あり、3枚の大きな裂片と小さな1枚の裂片がある。※類似のスカビオサ属は5枚のため裂片の数でも区別出来る。
- 花冠の色:赤色・桃色
- 雄蕊:4本
- 雌蕊:1本
●果実・種子の形態
- 果実の分類:痩果型多花果※複数の花が集まってついており、花の雌蕊が痩果になり、複数の痩果が癒着してひとまとまりになる事で、ひとつの果実のように見られるものです。
- 痩果型多花果の概形:球形・卵形
※植物の形態についてはこちらのページも参考にしてください。
■アカバナマツムシソウの園芸品種を紹介
サンダーアンドライトニング

学名:Knautia macedonica ‘thunder and lightning’
花の色:赤紫色・紫色
葉の色:灰緑色・白色
草丈:約30~40cm
備考:葉の色が灰緑色と白色で、葉縁部分に白色の覆輪が入るため、明るい印象を添えるカラーリーフとして楽しめる品種です。また開花期には赤紫色の花が咲くため、灰緑色と白色の葉との組み合わせで、非常に上品な雰囲気を醸しだします。そのため、エレガントなお庭などによく合うでしょう。
メルトンパステル
学名:Knautia macedonica ‘melton pastels’
花の色:淡い桃色・赤色・赤紫色・薄い紫色
葉の色:緑色
草丈:約50~100cm
備考:実生系の品種になり、花の色は個体差により淡い桃色・赤色・赤紫色・薄い紫色などがあり、カラフルな色合いを楽しめます。
レッドナイト
学名:Knautia macedonica ‘red knight’
花の色:濃い赤色・赤紫色
葉の色:緑色
草丈:約50~80cm
備考:花の色が濃い赤色から赤紫色をしていて、派手さの中に上品さを感じさせる品種です。
■クナウティアの主な種と園芸品種は下のリンクから紹介しています。
■アカバナマツムシソウの育て方
花壇の土づくり
バイオーム
アカバナマツムシソウが生息する主なバイオームは温帯広葉樹林・地中海植生などにあります。
この植物の原産地はアルバニア、ブルガリア、ギリシャ、マケドニア、ルーマニア、トルコにあり、自生地は乾燥した草原や丘陵地などで、主な気候は温帯に属します。気温は夏季は暑く冬季も比較的に温暖で、降水量は基本的に少なく、特に夏季は顕著に乾燥しています。土質に関しては基本的に砂礫質で、水捌けがよく乾燥気味で、栄養も乏しい場所を好んで生息しています。一方で、多湿を苦手にしているため、ジメジメとした環境では根腐れして枯れる事が多いです。
※バイオームについてはこちらのページも参考にしてください。
日当り
アカバナマツムシソウは、日向から半日影の範囲で育てることが出来ます。ただし日光のよく当たる場所で最もよく成長して沢山の花を咲かせるため基本的には日向で育てる方が良いでしょう。
日当りの分類
- 日向:直射日光が6時間以上当たる場所です。一般的に全方位に障害物がない、またはお庭の向きが南向きの場所になります。
- 半日影:直射日光が3時間から5時間程度当たる場所です。一般的にお庭の向きが東向きになる、西向きも半日影になるが西日が当たる環境にもなるため注意が必要です。
- 明るい日陰:直射日光が二時間程度まで、または間接光だけが当たるような比較的に明るい場所です。一般的にお庭の向きが北向き、または日差しを遮る障害物が多い環境です。
- 暗い日陰:森の中にあるような直射日光も間接光もほとんど当たらないような暗い場所です。
土壌の土質
- 土質:基本的に高い通気性と排水性を兼ね備える土壌を好みます。そのため土質は水捌けのよい砂壌土が適します。水分が停滞してジメジメと湿り過湿になりやすい粘土質の土質は許容せず、根腐れを引き起こすため避けた方が良いでしょう。
- 肥沃さ:土壌の診断を行い、極端に痩せていると感じる場合は、土壌の土に対して1~2割を目安に土壌に混ぜ込むとよいでしょう。自生地では、ステップなどの肥沃な場所から、砂や礫の多い栄養が少ない場所まであります。ただし、雨の多い日本では、土壌に沢山の堆肥を入れて肥沃にしてしまうと、夏場に蒸れて根腐れを引き起こす原因になることがあります。そのため、やや痩せた土壌で栽培した方が上手くいきやすいです。
土壌診断と改善の行い方
- 排水性の診断:深さ30cm程度・幅30cm程度の穴を掘り、穴の中を水で完全に満たす。一時間あたり約3~10cmの排水があれば、一般的な植物を育てるのに適した排水性になります。※それ以下またはそれ以上である場合は排水が悪い、または排水がよすぎる可能性があります。
- 排水性の改善:花壇を高くしたり、ロックガーデンを作り、植物を植える場所を周囲より高くする。また縦穴暗渠(縦穴排水)や排水溝をつくる。
- 作土層の診断:調べたい箇所の土壌に支柱を出来るだけ深くまでさします。支柱の入った部分が30cm前後あれば一般的な植物であれば、根を張るのに十分な作土層がありますが、それ以下であれば改善が必要です。また土壌を観察して石やゴミがあれば根を伸ばすのに邪魔になるため取り除いた方が良いでしょう。
- 作土層の改善:植物を植える箇所とその周囲をシャベルを使って30cm程度の深さまで掘り起こして解します。また石がある場合は土ふるいを使用して取り除きましょう。
- 土壌(土性)の性質の診断:土壌の通気性・保水性・保肥力を知るために、土壌を砂土・砂壌土・壌土・埴壌土・埴土に分類して、植物に合わせて土壌の改良をしましょう。
- 砂土:排水性と通気性が高く乾燥しやすいため、水分過剰による根腐れを引き起こしにくい。診断は、適度に湿らせた土を触った時にザラザラとした砂の粗い感触がある。手のひらや指で捏ねても全く固まらずに簡単に崩れる。
- 砂壌土:排水性と通気性が高く乾燥しやすい傾向がある、砂土と比べると、保水性と保肥力が少しあるため、乾燥気味の土壌を好む植物などに向いています。診断は、適度に湿らせた土を触った時に砂のザラザラ・粘土のヌルヌルとした感触がある。手のひらや指で捏ねると、緩く固める事が出来るが崩れやすい。
- 壌土:通気性・保水性・保肥力のバランスが高いため土壌管理がしやすい。診断は、適度に湿らせた土を触った時に砂のザラザラ・粘土のヌルヌルとした感触がある。手のひらや指で捏ねて伸ばすと、鉛筆程度の太さの棒状まで伸ばすことが出来る。 ただし伸ばした棒を曲げるのは難しい。
- 埴壌土:保水性・保肥力が高いため乾燥しにくい傾向がある。診断は、適度に湿らせた土を触った時に粘土のヌルヌルとした感触があり、砂のザラザラも少し感じる。手のひらや指で捏ねて伸ばすと、マッチ棒程度の太さまで伸ばすことが出来て、輪っかに曲げても切れにくい。
- 土壌(土性)の性質の改善:土壌の診断をしたら、植物が求める環境に合わせて土壌改良材をいれます。
- 通気性・排水性の改善:通気性・排水性の高い土壌改良材(パーライト・日向土・川砂・バーク堆肥 など)を混ぜ込む。
- 保水性の改善:保水性の高い土壌改良材(腐葉土・ピートモス・バーク堆肥・黒土)を混ぜ込む。
- PHの診断:土壌のPHを調べる方法は土壌酸度計を土壌に突き刺すタイプ・リトマス紙を溶液に浸すタイプ・ペーハー測定器を溶液に浸すタイプ・アースチェック液を溶液に垂らすタイプ等があります。製品によって調べ方がことなるため、詳しい手順は製品の取り扱い説明書をご覧下さい。
- PHの改善:PHを診断後に植物の適正なPHに合わせて、土壌改良材を入れてPHの改善をおこないます。
- PHを酸性に改善:ピートモスを使用する場合はPHを1下げるために、1㎡あたり、ピートモスを約1.2kgを入れて混和します。
- PHをアルカリ性に改善:苦土石灰を使用してPH1上げるには、1㎡あたり苦土石灰を約100~200g入れて混和します。
- 肥沃さの診断:肥沃さは土壌の色によりある程度診断できます。土壌の色は成分や状態を示しており、簡易的に植物を育てるのに適しているか調べる事が出来ます。黒色の場合は腐植が多く肥沃な傾向があり、赤色・黄色・白色の場合は腐植が少なく肥沃でない傾向があります。
- 肥沃さの改善:土壌に堆肥または微生物資材を入れます。堆肥を入れる量は土の量に対して二割から三割程度にします。入れ過ぎると通気性・排水性・保水性のバランスが崩れて植物が育つのに不適な環境になりやすいため注意してください。
※詳しい土壌診断と改善方法はこちらのリンクからご覧下さい
鉢土づくり
日当り
アカバナマツムシソウは、日向から半日影の範囲で育てることが出来ます。ただし日光のよく当たる場所で最もよく成長して沢山の花を咲かせるため基本的には日向で育てる方が良いでしょう。
培養土
培養土を購入する場合は、一般的な草花の培養土よりも少し通気性・排水性を高めた培養土がおすすめです。※一般的な培養土に通気性・排水性を高める改良用土を混ぜるのも良いでしょう。
培養土を自作する場合
- 培養土の特性:自生地が乾燥した草原や荒れ地などの場所にあり、基本的に乾燥した栄養の少ない環境を好みます。本種は多湿・過湿を好まないため、培養土は基本的に通気性・ 排水性が優れていて、適度に保水性が保たれるものを作成する事が大切です。
- 土壌改良材(無機質):一般的な植物の培養土よりも、特に通気性と排水性を改善する目的で、赤玉土や日向土などの土壌改良材を7割~8割を目安にして多めに配合します。ただし通気性・排水性を高めるために、土粒が大き過ぎるものを使う事は、やめた方がいいでしょう。土粒が大きいと、空隙ができすぎてしまい根の活着が悪くなったり、保水性も著く落ちて生育が悪くなる原因となります。
- 土壌改良材(有機質):腐葉土などの堆肥は、一般的な植物よりも少なめに2~3割を目安にしながら培養土の中に配合します。堆肥は培養土の水分・養分を保持して、根の活着を助け、生育を促進する効果がありますが、本種の場合は堆肥を入れ過ぎると、夏場に蒸れて過湿状態になり根腐れを引き起こす原因ともなります。そのため、バランスを考えて必要量を入れる事が大切です。
培養土の配合例
- 日向土(細粒・小粒) + 赤玉土(小粒) + 腐葉土+ くん炭 + 元肥 =3:4:2:1:適量
- 赤玉土(小粒) + 桐生砂(細粒・小粒) + パーライト + 腐葉土 + ゼオライト + 元肥 =3:3:2:2:適量:適量
土壌改良材(無機質)
- 赤玉土:赤玉土とは関東ローム層の中層にある赤土を乾燥させて、粒の大きさごとに分けた土壌改良材です。
- 特徴:赤玉土は通気性・排水性・保水性のバランスが抜群に良いことから擬似団粒構造をした土壌改良材とも呼ばれています。無菌で雑菌が繁殖しにくく、雑草の種も含まれないため挿し木用土やインドアグリーンの土としても使われる。
- 比較:鹿沼土と比べて赤玉土の方が保水性・保肥力に優れており、PHが中性に近い弱酸性のため幅広い植物で利用しやすい。赤玉土は鹿沼土よりも粒が崩れて劣化しやすいため、使い続けると微塵が出て通気性・排水性を悪化させる事がある。
- 注意点:赤玉土はリン酸を固定してしまい、植物が吸収出来る状態で無くす事があるため、リン酸の肥料を多めにやる必要がある。赤玉土の粒はやや崩れやすいため再利用出来る割合が少ない傾向があり、微塵は粘土質になり通気性・排水性を悪くする事がある。
- 用途:一般的な草花・花木・多肉・サボテン・山野草・水生植物など幅広い植物の土壌改良材として利用されます。無菌のため挿し木・種まき用土・インドアグリーンの培養土などに利用される。
- 硬質赤玉土:硬質赤玉土は赤玉土を高温で焼いて硬質化したものです。
- 比較:硬質赤玉土は赤玉土と比べて、粒が硬いため砕けて劣化しにくく、通気性・排水性が高くなっています。一方で保水性が悪くなっているため、一般的な草花で使うと土壌が乾きやすくなり水やりの頻度が増えやすいです。
- 用途:多肉植物・サボテン・山野草などに使われる事が多い。
- パーライト:パーライトは、真珠岩や黒曜石を粉砕して小さくした後に、高温で熱して中に含まれる水分を発泡させ多孔質にした資材です。
- 特徴(真珠岩系):表面に光沢があり滑らか、通気性・排水性に非常に優れている、雑菌が発生しにくく、比重が0.1程度と小さく軽い。
- 特徴(黒曜石系):表面に光沢があり滑らか、通気性・排水性に非常に優れている、雑菌が発生しにくく、比重が0.1程度と小さく軽い。
- 用途:土壌の通気性・排水性を改善する目的、真珠岩系では通気性・排水性・保水性をバランスよく改善する目的で利用されます。一般的な草花の育成などでよく利用されており、比重が軽いため培養土の軽量化などに欠かせません。
- 日向土(ボラ土):日向土は別名でボラ土とも呼ばれる、宮崎県南部で産出される軽石です。
- 特徴:通気性と排水性に非常に優れており、多孔質なため保水性も適度に確保出来ている、比重は約0.6とバランスがよい。※鹿沼土と比較すると頑丈で形状が崩れにくいため再利用しやすく、PHが殆ど中性なため扱いやすい、一方で鹿沼土と比べると保水性がそれほど高くない。
- 用途:土壌の通気性や排水性を改善するのに利用されます。草地・岩場・高山地帯・砂地に自生する植物などを育てるのに向いており、一般的な草花から多肉・サボテン・山野草などの育成でも利用されます。す。
- ゼオライト:ゼオライトは沸石とも呼ばれる鉱物の一種です。
- 特徴:水質浄化・脱臭効果・高い保肥力などにあります。そのため、根腐れ防止や肥料の流失や肥効の継続に効果を発揮します。一方で、入れすぎると肥料が効きにくくなるなどのデメリットがあるため、土壌や培養土に5%程度混ぜて使われる事が多いです。
土壌改良材(有機質)
- 腐葉土:腐葉土は広葉樹の落ち葉を腐熟させた改良用土です。
- 腐葉土を選ぶ基準:腐葉土は完熟していて湿り気のある物を選びましょう。完熟していると、見た目が黒っぽくなり、葉の断片が小さくなっています。逆に油脂成分の多い針葉樹の葉が入っていたり、未熟な茶色の葉が混じっていたり、断片が大きく乾燥していたりする腐葉土は、植物の根を傷める原因にもなるため避けた方が良いでしょう。
- 腐葉土の特徴:土壌の膨軟性を高めるため空気の通りが良くなり根の成長を助ける。土壌の通気性・保水性・保肥力を高めるため植物が育ちやすい環境となる。腐葉土は微量要素を含んでいるため植物が栄養を補給して健康に成長する助けとなり、また微生物の働きも活性化するため土壌が肥沃になる。PHが中性のため扱いやすい。
- 用途:土壌の保水性・保肥力・通気性を改善したり、微生物を活性化して土壌を肥沃にしたりする働きがあるため、多くの植物を育てる際の改良用土として利用されます。
- くん炭:くん炭は、もみ殻を炭化させたものです。
- 特徴:通気性と排水性が抜群によいため根腐れ防止効果があります。菌根菌などの有用微生物を活性化させる効果があるため、植物が菌根菌と共生して病気に強くなったり水分・栄養を補給しやすくなる事がある。植物の成長に必要とされるミネラルを含有していて、またケイ酸が50%近く含有しているため茎・葉が頑丈になりやすく病害虫に強くなる傾向がある。PH8前後の高いアルカリ性を示す。
- 用途:根腐れ防止・酸性土壌の改善などのために土壌に10%程度混ぜて使われる事が多いです。
- 木炭(竹炭):木炭(竹炭)は木材または竹材を材料にして低酸素状態で高温に加熱して作られる炭です。
- 特徴:通気性と排水性が抜群によいため根腐れ防止効果があります。菌根菌などの有用微生物を活性化させる効果があるため、植物が菌根菌と共生して病気に強くなったり水分・栄養を補給しやすくなる事がある。植物の成長に必要とされるミネラルを含有していて、またケイ酸が50%近く含有しているため茎・葉が頑丈になりやすく病害虫に強くなる傾向がある。PHが8~10と高いアルカリ性を示す。
- 用途:根腐れ防止・酸性土壌の改善などのために土壌に10%程度混ぜて使われる事が多いです。
水やりの仕方
アカバナマツムシソウは耐乾性が高い植物です。そのため、地植えで栽培している場合は、基本的に降雨に任せて栽培することが出来ます。ただし、生育期間に乾燥が続くと、生育や花付きが悪くなったりします。そのため、土壌や植物の状態を見ながら水やりを行う事が大切です。
注意する事は、極端に過湿状態にしてしまうことです。過湿が続くと病原菌が増えて株が腐敗する原因を作ったり、根の呼吸を邪魔して根腐れを引き起こす原因になったりします。そのため、長雨や水やりする頻度には注意が必要となります。
水やりのタイミング
生育期間中の春から秋は、土壌の表層が乾燥したタイミングで水をたっぷり与えます。頻繁に水やりを行い、ジメジメとした環境を作ると根腐れを引き起こすこともあるため、必ず土壌の状態を確認してから水やりをおこないましょう。
冬の期間は生育が緩慢になるため、植物は水をそれほど必要としません。そのため、乾かし気味に管理してあげるとよいでしょう。
土壌の乾燥の確認方法
- 土壌表面の乾燥:土壌の表面の乾燥とは、土壌の最も上の部分の表面が乾燥している事です。土壌表面の乾燥の確認方法には目視・触感・専用の道具があります。
- 目視で確認:土は濡れているなら色が濃くなったり黒っぽくなったりしていて、乾燥すると色が白っぽくなります。
- 触感で確認:土の表面を指で触ってみてます。土は濡れていると湿り気があり、乾燥しているとサラサラとしています。
- 専用の道具:サスティーを土壌にさして使用します。サスティーは土壌が乾くと色が変化して水やりのタイミングを教えてくれます。
- 土壌の表層の乾燥:土壌の表層の定義は様々ありますが、ここでは土壌の表面より5cm以下にある事にして、また土壌の表層の乾燥とは土壌の表面から5cm以下が乾燥していることになります。
- 目視で確認:透明な植木鉢を使用して植物を育てます。透明で土の色の変化が分かるため、土表面から5cm以下の土の色が白っぽくなってきたら水やりを行います。
- 重量で確認:鉢植えで育てている場合は、水分量で鉢の重量が変わるため、土が乾燥した時の軽さを覚えておいて土の乾きを判断します。
- 道具で確認:割り箸・竹串などを用土の中に差してみて、引き上げた時の割り箸・竹串の色と湿り気を見て乾燥具合を確認します。
- 専用の道具:サスティーを土壌にさして使用します。サスティーは土壌が乾くと色が変化して水やりのタイミングを教えてくれます。
肥料の与え方
アカバナマツムシソウは、自生地が乾燥した草原や荒れ地などにあり、基本的に痩せた土壌に生息しています。そのため、日本の高温多湿環境で、栄養が豊富な土壌で栽培すると根腐れを引き起こしやすくなります。
この植物は、基本的に腐葉土などの堆肥が配合された土壌であれば、生育に必要な一定の栄養が含まれており、肥料がなくても栽培する事ができます。ただし、肥料には生育を促進する働きもあります。そのため、必要に応じて春に株の周りに緩効性肥料を施してあげるのもよいでしょう。注意することは、土壌を過度に肥沃にしたり、肥料を与え過ぎることです。これらの過剰な栄養は根腐れを引き起こす原因となります。
肥料の与え方
- 芽出し肥:早春から春頃に新芽が動き出す前に、発芽の促進や初期の成長を促す目的で与えられる肥料です。
- 肥料の成分:窒素・リン・カリがバランス良く入る水平型、またはリンが多く入る山型を選びます。
- 肥料の製品:固形肥料(速効性・緩効性・BB肥料 など)がおすすめです。
- 施し方(固形肥料):固形肥料の与え方は製品により置き肥タイプ・差し込みタイプ・埋め込みタイプがあります。製品に合わせて、規定された分量・規定された頻度・規定された方法で施しましょう。
剪定のやり方
アカバナマツムシソウは剪定せずに育てる事も出来ますが、一般的に沢山の花を咲かせる目的などで剪定が行われます。
剪定をするかは剪定理由を見ながら決めるとよいでしょう。
剪定を行う理由
- 開花期間の延長:花がらを残すと種作りにエネルギーが使われるため、花芽に栄養がまわらず次の花が咲きにくくなります。花がら摘みをする事で、花芽に栄養がいって次の花が咲きやすくなります。
花がら摘み
- 剪定の時期:開花期間中
- 開花後の剪定:株を観察して、花が色褪せたり萎れたりしているものをみつけます。花の下に枝分かれしている部分が有り、そこから新たな花が咲いている場合は、枝分かれしている節の上で剪定します。枝分かれがない場合は茎の根元付近から剪定しましょう。
夏越しする方法
アカバナマツムシソウの原産地はアルバニア、ブルガリア、ギリシャ、マケドニア、ルーマニア、トルコにあり、これらの地域の気候は温帯に属し、自生地は乾燥した草原や荒れ地などにあるため、基本的に夏場は暑く乾燥気味の環境となります。
従って、日本の夏越しで注意する点は多湿・過湿、特に高温多湿が根腐れや腐敗などの病気を招き、株を衰退させて枯れることが多いため、夏越し対策として多湿・過湿の予防が必要になってくるでしょう。
夏越し対策一覧
- 多湿・過湿の改善:空気中・土壌中の湿度が高い状態です。原因は様々で、壁に囲まれて空気の流れや太陽光が遮られている場所、雑草などで太陽光が遮られている場所、雨水が貯まりやすい場所、土壌の土質が悪い場所などでおきやすいです。多湿・過湿の改善の方法は幾つかあるため下記を参考にして下さい。
- 植物を移動:植物と育てる場所の相性が悪い場合は、植物を相性の良い場所に移動しましょう。
- 雑草の除去:雑草は風の流れや太陽光を遮り、育てている植物の成長を妨げる原因になると同時に、多湿を生み出す原因にもなります。多様性の一部ではありますが、見た目にも良くないことが多いため定期的に抜きましょう。
- 排水性の改善:雨水などが周囲から集まりやすい環境にあったり、硬盤があったりすると排水が上手くいかない場合があります。対策として排水溝を作ったり、縦穴暗渠(縦穴排水)をつくり雨水が外に流れる仕組みをつくりましょう。
- 花壇を高くする:植物を植える環境を周囲よりも高くして排水性を改善する事も出来ます。花壇をレイズベットにしたり、岩を並べてロックガーデンなどにしたりして、植物を育てるのもよいでしょう。
- 雨避けをつくる:植物の上に雨が当たらないように雨避けを張り、雨から植物を守る方法があります。雨避けの方法は様々ですが、雨避けの製品もあるため探してみるのもよいでしょう。雨避けは病気予防、多湿・過湿の改善にもなります。
- 土壌の改善:土壌は土質により乾燥のしやすさが変わります。植物の植え付け時や植え替え時に、植物に合わせた土壌の改善をしましょう。詳しくは花壇土からご覧下さい。
冬越しする方法

Hardiness:5~10
アカバナマツムシソウは耐寒性が高く冬越しの準備をする必要は基本的にはありません。
冬越し対策一覧
- 軒下に移動する:植物を植えている鉢植えを軒下に移動する事で、霜を避けることができます。霜があまり降りない地域であれば、霜を避けるだけで冬越し出来ることもあります。
マルチング:株の周囲にマルチング資材を入れて株元と根を保護する。根を凍結や霜から守ったり、乾燥対策になったりします
- 方法:霜が降りる前の11月頃に行います。バーク堆肥や藁などのマルチング資材を準備します。育てている植物の周りに、マルチング資材を5~8cmほどの厚みになるように入れます。
植物にカバー:植物にビニールや寒冷紗などをかけます。植物を寒風から保護したり、霜から保護したり、昼夜の急激な温度変化を防ぐ働きがあったりします。
- ビニール・寒冷紗:植物の周りに支柱を立てて、ビニールまたは寒冷紗を支柱に巻き付けます。巻き付けたビニールまたは寒冷紗が落ちないように洗濯バサミや紐などを使い固定しましょう。※ビニールを巻く場合は穴を開けて通気性を確保してください。
- 苗キャップ:透明のカバーで苗や小さな植物を保護するための専用の製品です。専用のカバーを苗または小さな植物の上に被せて、風などで飛んでいかないように固定して利用します。
- 植物保護カバー:不織布などの保護カバーで植物を保護するための専用の製品です。大きめの植物や複数の植物を囲うのにも対応しており、専用の製品になるため、チャックなどがついていて扱いやすい所も魅力です。
温室:内部の温度を一定に保てるようにガラスやプラスチックフィルムなどで作られた建物です。植物を温室の中に入れる事で、寒さの軽減や寒風対策、霜・凍結対策ができます。
屋内に取り込む:植物を建物の中になります。冬の屋内は屋外と比べて温度が高く植物が凍結するリスクもありません。ただし屋内は太陽光が当たらないため、明るさなどには注意が必要になります。植物を窓辺で管理したり、植物育成ライトを活用して、植物が弱らないよう管理することが大切になるでしょう。
挿し木や株分けで増やす
アカバナマツムシソウは株分けや挿し木によって増やす事ができます。
株分けの方法
- 株分け時期:春の成長が始まる前、または秋の生育が落ち着いてきた頃が最適です。
- 株を観察:株を観察して、株元から複数の芽が発生して株分け出来る状態になっている、または茎や葉が込み合ってきている状態を確認します。
- 株を掘りあげる:株をスコップで掘り起こして、地下茎から発生している根・新しい芽・既に伸びている茎などを観察します。
- 株を分割する:分割する地下茎に、それぞれ一つ以上の根と芽、または芽のかわりに茎が付いた状態になるように、清潔なハサミやナイフを用いて切り離します。
- 株分け後:株分け後は根が乾燥する前に素早く植付けをおこないます。
挿し木の方法
- 挿し木時期:発根率の高い晩春から夏頃が適します。
- 培養土の準備:培養土は切り口が腐敗して吸水を阻害しないように、無菌のものを利用します。一般的にはバーミキュライト・赤玉土・パーライト・ピートモスなどが利用されていますが、専用の培養土もあるため近くのホームセンターで探すのも良いでしょう。
- 挿し穂の採取:株元から発生した健康な茎をカットして利用しましょう。また花芽分化が始まり生殖成長をしている茎は、発根率が極端に下がるため挿し穂に使うのは避けた方がよいでしょう。
- 挿し穂の整形:挿し穂は長さを5~7cm程度にわけて、挿し穂の上部の葉を残して、下部の葉を取り除きます。茎の下部分を斜めにカットして吸水部分を広くしておきましょう。
- 培養土に挿し穂を挿す:挿し穂を挿す場所を決めます。培養土の中に、割り箸等を利用して、事前に穴を空けておきます。挿し穂の切り口を下向きにして、培養土の中に挿し穂を入れましょう。通常は挿し穂の1/3程度をいれます。
- 管理:明るい日陰で土壌が完全に乾燥しない様に水やりを行いながら管理しましょう。
播種で増やす
アカバナマツムシソウの種蒔の方法
- 播種時期:3月~5月・9月~10月
- 発芽適温:約20度
- 発芽日数:
- 備考:低温要求性種子
低温要求性種子
自家採取した種子は、生理的休眠をしていて、温度・水分・空気の条件が整っていても発芽しないことがあります。発芽させるには冬の寒さを経験させるか、低温湿層処理する必要があるため、秋に種を撒いて冬を経験させて春まで発芽を待つか、低温湿層処理をして発芽準備をさせてから種を撒く必要があるでしょう。※市販の種は発芽促進処理が一般的に行われています。
低温湿層処理のやり方
- 袋・バーミキュライト・完熟した種を準備する。
- バーミキュライトを水で軽く湿らせてから、袋の中に入れる。
- 袋の中のバーミキュライトの中に種を入れる。
- 袋の中の湿潤を保った状態で冷蔵庫(約4度)の中に入れて2ヶ月程度保管します。
- 種を撒くのによい時期(発芽適温)になったら冷蔵庫から種を取り出して種を撒きます。
種まき手順
- 種まきの時期:春または秋
- 培養土の準備:直播き・移植栽培※移植栽培はコストや手間が増えますが、苗を病害虫から保護したり、温度・水分の管理が楽になり成功率が高まります。
- 直播き:花壇やプランターの土を整えます。
- 移植栽培:プラグトレー・ピートポット・ポリポット・不織布育苗ポット・ジフィーセブンなどに種まき用の培養土を入れて栽培できます。おすすめは移植の際に根を傷めにくい不織布育苗ポット・ジフィーセブンなどです。
- 種の撒き方:点撒き・すじ撒き・バラ撒き
- 種まき後の管理:種が乾燥すると発芽率が落ちるため、基本的に土と種が乾燥しないように水やりを行い管理します。
- 発芽後:発芽が揃ったら、株どうしの間隔を見て、混んでる場所の苗を間引きます。また間引きした苗は別の場所に移植することもできます。※直播きする場合は成長に合わせて株どうしがくっついているものを状態がいい方を残し間引きするとよいでしょう。
- 定植:株がある程度の大きさなったら定植します。定植が遅れると移植時に根を傷付けるリスクが増えると同時に、苗が老化して定植後の成長も悪くなるリスクが高まります。一方で、移植が早すぎると低温障害にあったり害虫からの食害に合うリスクが高まります。そのため、バランスを見ながら定植を行いましょう。
※鎮圧は土と種の接着を高め水分の吸収をよくします。