- 原産:地中海沿岸(西ヨーロッパ)
- 科:アブラナ(Brassicaceae)
- 属:アブラナ(Brassica)
- 種:ヤセイカンラン(Brassica oleracea)
- 変種:ケール(Brassica oleracea var. acephala)
- 別名:リョクヨウカンラン/ハゴロモカンラン/ボアコール(borecole)
- 品種:カリーノケールロッソ(Brassica oleracea cv.)
- 開花時期:3月~5月
- 花の色:黄色
- 葉の色:紫色
- 香り:
- 生活形:二年草/多年草
- 誕生花:11月27日/12月30日
- 花言葉:祝福/利益/愛を包む
- 用途:カラーリーフ/種から育てる植物
- 購入方法:ケール(カリーノケールロッソ)を楽天で購入
■ケール(カリーノケールロッソ)の特徴
- 学名:Brassica oleracea cv.
- 花の色:黄色
- 葉の色:紫色
- 備考:葉の色は鮮やかな紫色を呈すため、サラダの中で彩りとしても使えます。葉の形は羽状に浅裂から全裂し、葉縁部が細かく縮れます。そのため、モコモコとしていて、サラダにした時にドレッシングがよく絡みます。味は青臭さや苦味が殆どないため、生食でも食べやすい。
■ケールとは!?


ケールの学名はBrassica oleracea var. acephalaで、アブラナ科アブラナ属ヤセイカンラン種の変種として扱われていますが、ヤセイカンラン(Brassica oleracea)の品種群のアセファラグループ(Acephala Group)として扱われることもある二年草または多年草です。別名では「リョクヨウカンラン」「ハゴロモカンラン」「ボアコール(borecole)」とも呼ばれており、原産地は地中海沿岸(スペイン、フランスなど)にあり、自生地は石灰岩を母岩とする崖地などに見られます。
■ケールの語源(由来)
- Brassicaの語源:古典ラテン語で「キャベツ」を意味しています。
- oleraceaの語源:ラテン語で「野菜・ハーブ」を意味しています。
- acephalaの語源:ラテン語で「頭のない」「頭花がない」を意味しています。
■ケールの特徴(魅力)
- 食用野菜:本種はβ-カロテンやビタミン類、ミネラル、食物繊維が非常に豊富に含まれる栄養価の高い野菜で、その機能性の高さからスーパーフードとも呼ばれています。そのため、大麦若葉と並び青汁の原料によく使用されます。苦味やエグ味が強いため、好き嫌いが分かれやすいですが、最近では、苦味やエグ味の抑えられた品種も開発されており、サラダにして生で食べられることも多くなり、スープや煮込み料理、野菜炒めにして食べられています。
- 近縁種との比較:本種(Brassica oleracea var. acephala)は、ヤセイカンラン(Brassica oleracea)の変種またはアセファラグループ(Acephala Group)に分類されます。これは、頭のない(Acephala)を意味し、ケールの葉が結球しないことを意味しており、近縁のキャベツ(Brassica oleracea var. capitata)などと区別されます。
- 品種群:ケールは品種改良が盛んで、形や色の異なる複数の変種と品種群、数多くの品種が開発されており、観賞用・食用・飼料用と多様な用途で活用されています。
葉牡丹(Ornamental kale):観賞用として栽培されるケールの品種群です。品種改良が盛んで、葉の形・色・草丈の種類が豊富にあり、パンジーなどと並んで冬を代表する園芸植物となっています。
- コラード(collard):食用として栽培されるケールです。本来は多年草ですが、冬に霜の降りる地域では二年草として扱われます。葉の形がキャベツのように円形・広楕円形と幅広で、質感は肉厚になり、草丈は成長すると100cmに達します。茎・葉は汁量が多いため青汁によく利用され、味はやや苦味がありますが、苦味の少ない改良品種はサラダなどにして食べられることもあり、霜の降りる季節が最も味に深みがあり、栄養価が高くなるとされています。
カーリーケール(curly kale):食用として栽培されるケールです。ちりめんケールとも呼ばれており、葉が細かく縮れ、葉の色が濃い緑色をしているケールの総称です。葉は厚みがあって歯応えがあり、他の品種と比べて胡椒のような辛味、苦味が多い傾向があり、生で食べられるよりも加熱調理後に食べられることが多いです。
- トスカーナケール(Tuscan kale):食用として栽培されるケールです。トスカーナ地方で古くから栽培されており、葉の形状が細長く、葉表面の大きな凹凸は恐竜の皮膚にも例えられます。見た目に反して葉は柔らかで、味はカーリーケールと比べて甘みがあり、苦味が少ないため、サラダにしても食べやすく、スープなどに加熱調理し食べられることも多いです。
- レッドロシアンケール(Red Russian Kale):食用として栽培されるケールです。茎・葉脈が赤紫色をしており、葉縁部に切れ込みや縮れがある傾向があります。味は甘みが強めです、マイルドで生でも食べやすいと言われます。
- ツリーケール(Tree Kale):主に家畜用、また食用としても栽培されるケールです。生活形は多年生で、株は大型になり、草丈は200~600cmに達し、茎は太く木質化し低木状に成長します。若い葉はキャベツのような風味があり食味がよく生で食べられることがあり、葉が成熟してくると苦味やスパイシーな風味が出てきます。
- マローステムケール(Marrow Stem Kale):主に家畜用、また食用としても栽培されるケールです。 草丈は100~150cm、茎は太く多肉質で、葉はフラットで広楕円形をしています。若い葉や茎は柔らかく食用として利用されますが、主な用途は家畜用です。
- サウザンドヘッドケール(Thousand Head Kale):主に家畜用、また食用としても栽培されるケールです。草丈は100~200cm、分枝が多く、茎の先端で葉が密生してロゼットのようになります。葉のサイズは90cmに達することもあり、比較的フラットで、形は広楕円形から卵形をしています。
■ケールの生活形と形態
●生活形・茎の形態
- 生活形:一・二年草
- ライフサイクル:一般的に初年度はロゼットを形成し、春化後の翌年に茎を伸ばし開花・結実をし衰退して枯れる。
- 草丈:約30~200cm
- 生育型:一時ロゼット型
- 一時ロゼット型:ある期間をロゼットで過ごしますが、その後に茎が直立して根生葉が枯れるもの。
- 茎の毛:無毛
- 茎の色:緑色・灰緑色・紫色
●葉の形態
- 葉の位置:根生葉・茎葉
- 葉序:互生葉序・束生(ロゼット)
- 葉柄:根生葉や下部は有柄で、上部は無柄です。
- 葉身の長さ:約15~40cm
- 葉身の概形:倒卵形・楕円形・円形
- 葉の先端:円形・鈍形
- 葉の縁部分:波状・羽状浅~深裂
- 葉の毛:無毛
- 葉の質感:肉質で厚みがあり、また個体により表面や縁部が平滑だったり縮れ(縮緬)たりします。
- 葉の色:緑色・紫色・赤色
●花の形態
- 花序:総状花序
- 花:花托・萼・花冠(花弁)・雄蕊・雌蕊で構成されています。
- 花托:萼・花冠(花弁)・雄蕊・雌蕊を支えている。
- 萼:4枚の離れた萼片がある離片萼です。萼片の形は長楕円形、色は灰緑色です。
- 花冠:十字形花冠に分類されます。花弁の数は4枚、花弁が相対して十字の見た目になり、花弁の形は倒卵形、花弁の色は黄色です。
- 雄蕊:6本で、この中で4本が長く2本が短い四強雄蕊に分類される。
- 雌蕊:1本
●果実・種子の形態
- 果実の分類:長角果に分類されます。これは、2心皮子房(子房の心皮の数が2枚)からなり、この心皮の長さは幅の3倍以上あり、果実が熟すと下の方から裂けて、中央部に膜質の隔膜を残す。
※植物の形態についてはこちらのページも参考にしてください。
■ケールの園芸品種を紹介
●カーボロネロ・トスカーナ
学名:Brassica oleracea ‘Cavolo Nero Toscano’
花の色:黄色
葉の色:濃緑色
備考:イタリア語で「黒いキャベツ」を意味し、トスカーナ地方で伝統的に親しまれる品種です。葉の形状が細長く、葉表面の大きな凹凸は恐竜の皮膚にも例えられます。見た目に反して葉は柔らかで、味はカーリーケールと比べて甘みがあり、苦味が少ないため、サラダにしても食べやすく、スープなどに加熱調理し食べられることも多いです。葉の色は黒みを帯びる濃緑色をしているため、サラダの彩りとしても利用できます。
●カーボロネロ・フォルツァ
学名:Brassica oleracea cv.
花の色:黄色
葉の色:緑色
備考:カーボロネロと比較して立性で、葉の揃いがよく、収量が改善している。葉表面に龍の鱗のような凹凸があり、サラダにした際はドレッシングがよく絡みます。
●カーボログランリーフ
学名:Brassica oleracea cv.
花の色:黄色
葉の色:緑色
草丈:
備考:葉の形はカーボロネロと比べて葉の幅が幅広で、葉縁が丸くならず、カーボロネロと同様に凹凸があり、ドレッシングがよく絡みます。味はカーボロネロと同様に青臭さや苦味が殆どなく、甘みがあり生食でも食べやすい。
●カリーノケールヴェルデ
学名:Brassica oleracea cv.
花の色:黄色
葉の色:緑色
備考:葉の形は羽状に浅裂から全裂し、葉縁部が細かく縮れます。そのため、モコモコとしていて、サラダにした時にドレッシングがよく絡みます。味はエグ味や苦味が比較的少ないため、生食でも食べやすい。
●カリーノケールロッソ
学名:Brassica oleracea cv.
花の色:黄色
葉の色:紫色
備考:葉の色は鮮やかな紫色を呈すため、サラダの中で彩りとしても使えます。葉の形は羽状に浅裂から全裂し、葉縁部が細かく縮れます。そのため、モコモコとしていて、サラダにした時にドレッシングがよく絡みます。味は青臭さや苦味が殆どないため、生食でも食べやすい。
●レッドキッチン
学名:Brassica oleracea cv.
花の色:黄色
葉の色:紫色
備考:葉の色は鮮やかな紫色を呈すため、サラダの中で彩りとしても使えます。葉の形は羽状に浅裂から全裂し、葉縁部が細かく縮れます。そのため、モコモコとしていて、サラダにした時にドレッシングがよく絡みます。
●エメラルドアイス
学名:Brassica oleracea var. acephala ‘Emerald Ice’
花の色:黄色
葉の色:緑色・白色
備考:葉は成熟すると葉脈や葉裏を中心に白っぽくなるため、カラーリーフとして楽しんだり、サラダの中で彩りになります。甘い風味で、シャキシャキとした食感があり、食味に優れサラダなどにして食べられます。
■アブラナ属の主な種と園芸品種は下のリンクから紹介しています。
■ケールの育て方
花壇の土づくり
●バイオーム
- 主なバイオーム:地中海植生
- 原産地:地中海沿岸(スペイン、フランスなど)
- 自生地:石灰岩を母岩とする崖地などに見られます。
- 気候:主に地中海性気候に属します。気温は夏場は高温で降水量が少なく乾燥し、冬場は最も寒い月の平均気温でも-3℃以上あり比較的温暖で、夏場の3倍以上の降雨量があり比較的湿潤です。本種は秋・冬・春の生育期に湿潤な環境を好み、休眠期の夏場は乾燥した環境を好みます。
- 日照:崖地などに自生しており日向から半日陰を好みます。
- 土壌:土壌は基本的に砂質で通気性・排水性が高く、比較的痩せた場所にあり、また石灰岩を母材とした土壌にあるため中性から弱アルカリ性土壌によく見られます。
※バイオームについてはこちらのページも参考にしてください。
●日照条件
ケールは、日向から半日陰の範囲で育てることが出来ます。ただし日光のよく当たる場所で最もよく成長するため基本的には日向で育てる方が良いでしょう。
日照条件の分類(参考)
- 日向:直射日光が一日を通して6時間以上当たる場所です。一般的に全方位に障害物がない、またはお庭の向きが南向きの場所になります。
- 半日陰:直射日光が3時間から5時間程度当たる場所です。一般的には、午前中のみ日が当たり、午後から日陰になる場所となります。そのため、お庭の向きは東向き、または木漏れ日がはいるような場所です。
- 明るい日陰:直射日光が二時間程度までしか当たらないか、殆ど当たらずに間接光だけで明るい場所です。一般的にお庭の向きが北向き、または建物の影など日差しを遮る障害物が多い環境です。
- 暗い日陰:森の中にあるような直射日光も間接光もほとんど当たらないような暗い場所です。
●土壌の土質
- 土質:基本的に通気性と排水性が十分であれば幅広い土壌に適応しますが、特に砂壌土や壌土で栽培するのが理想です。土壌が砂質で極端に水捌けが良いと乾燥が早まって萎れたり葉が落ちやすくなったり、栄養が極端に少ない土壌では生育が悪くなることがあります。また粘土質で硬い土壌は根張りが悪くなり、ジメジメとした過湿が続く土壌は根腐れを引き起こす可能性があるため避けた方が良いでしょう。
- 肥沃さ:自生地は、地中海沿岸の崖地などに見られ、肥沃さはほとんどない場所ですが、本種の栽培品種は一定の肥沃さがある土壌を好みます。そのため、土壌の状態を見ながら堆肥(腐葉土など)を用土全体の2割を目安に混ぜ込むとよいでしょう。堆肥を入れることで土壌の通気性・排水性・保水性が改善され、根の活着を高め根張りをよくしたり、堆肥に含有する有機物が微生物の働きを促進して土質を改善したり、さらに植物の栄養補給にも寄与します。
- pH:pHは6.0~7.0の弱酸性から中性に適応します。土壌のpHを測定して適正範囲外にある場合は土壌改良材などを用いてpHを調整しましょう。pHが適正範囲から極端に外れた土壌では微量要素などの栄養を上手く吸収出来ずに生育不良になる場合があります。
土壌診断と改善の行い方(参考)
- 排水性の診断:深さ30cm程度・幅30cm程度の穴を掘り、穴の中を水で完全に満たす。一時間あたり約3~10cmの排水があれば、一般的な植物を育てるのに適した排水性になります。※それ以下またはそれ以上である場合は排水が悪い、または排水がよすぎる可能性があります。
- 排水性の改善:花壇を高くしたり、ロックガーデンを作り、植物を植える場所を周囲より高くする。また縦穴暗渠(縦穴排水)や排水溝をつくる。
- 作土層の診断:調べたい箇所の土壌に支柱を出来るだけ深くまでさします。支柱の入った部分が30cm前後あれば一般的な植物であれば、根を張るのに十分な作土層がありますが、それ以下であれば改善が必要です。また土壌を観察して石やゴミがあれば根を伸ばすのに邪魔になるため取り除いた方が良いでしょう。
- 作土層の改善:植物を植える箇所とその周囲をシャベルを使って30cm程度の深さまで掘り起こして解します。また石がある場合は土ふるいを使用して取り除きましょう。
- 土壌(土性)の性質の診断:土壌の通気性・保水性・保肥力を知るために、土壌を砂土・砂壌土・壌土・埴壌土・埴土に分類して、植物に合わせて土壌の改良をしましょう。
- 砂土:排水性と通気性が高く乾燥しやすいため、水分過剰による根腐れを引き起こしにくい。診断は、適度に湿らせた土を触った時にザラザラとした砂の粗い感触がある。手のひらや指で捏ねても全く固まらずに簡単に崩れる。
- 砂壌土:排水性と通気性が高く乾燥しやすい傾向がある、砂土と比べると、保水性と保肥力が少しあるため、乾燥気味の土壌を好む植物などに向いています。診断は、適度に湿らせた土を触った時に砂のザラザラ・粘土のヌルヌルとした感触がある。手のひらや指で捏ねると、緩く固める事が出来るが崩れやすい。
- 壌土:通気性・保水性・保肥力のバランスが高いため土壌管理がしやすい。診断は、適度に湿らせた土を触った時に砂のザラザラ・粘土のヌルヌルとした感触がある。手のひらや指で捏ねて伸ばすと、鉛筆程度の太さの棒状まで伸ばすことが出来る。 ただし伸ばした棒を曲げるのは難しい。
- 埴壌土:保水性・保肥力が高いため乾燥しにくい傾向がある。診断は、適度に湿らせた土を触った時に粘土のヌルヌルとした感触があり、砂のザラザラも少し感じる。手のひらや指で捏ねて伸ばすと、マッチ棒程度の太さまで伸ばすことが出来て、輪っかに曲げても切れにくい。
- 土壌(土性)の性質の改善:土壌の診断をしたら、植物が求める環境に合わせて土壌改良材をいれます。
- 通気性・排水性の改善:通気性・排水性の高い土壌改良材(パーライト・日向土・川砂・バーク堆肥 など)を混ぜ込む。
- 保水性の改善:保水性の高い土壌改良材(腐葉土・ピートモス・バーク堆肥・黒土)を混ぜ込む。
- PHの診断:土壌のPHを調べる方法は土壌酸度計を土壌に突き刺すタイプ・リトマス紙を溶液に浸すタイプ・ペーハー測定器を溶液に浸すタイプ・アースチェック液を溶液に垂らすタイプ等があります。製品によって調べ方がことなるため、詳しい手順は製品の取り扱い説明書をご覧下さい。
- PHの改善:PHを診断後に植物の適正なPHに合わせて、土壌改良材を入れてPHの改善をおこないます。
- PHを酸性に改善:ピートモスを使用する場合はPHを1下げるために、1㎡あたり、ピートモスを約1.2kgを入れて混和します。
- PHをアルカリ性に改善:苦土石灰を使用してPH1上げるには、1㎡あたり苦土石灰を約100~200g入れて混和します。
- 肥沃さの診断:肥沃さは土壌の色によりある程度診断できます。土壌の色は成分や状態を示しており、簡易的に植物を育てるのに適しているか調べる事が出来ます。黒色の場合は腐植が多く肥沃な傾向があり、赤色・黄色・白色の場合は腐植が少なく肥沃でない傾向があります。
- 肥沃さの改善:土壌に堆肥または微生物資材を入れます。堆肥を入れる量は土の量に対して二割から三割程度にします。入れ過ぎると通気性・排水性・保水性のバランスが崩れて植物が育つのに不適な環境になりやすいため注意してください。
※詳しい土壌診断と改善方法はこちらのリンクからご覧下さい
鉢土づくり
●日照条件
ケールは、日向から半日陰の範囲で育てることが出来ます。ただし日光のよく当たる場所で最もよく成長するため基本的には日向で育てる方が良いでしょう。
●培養土
ケールの培養土を購入する場合は、一般的な草花の培養土で良いでしょう。
培養土を自作する場合
- 培養土の特性:本種の自生地は、地中海沿岸の崖地などに見られ、土壌は基本的に栄養が少なめで土質は砂質です。しかし、栽培品種は成長のため多くの栄養を必要とし、一定の肥沃さがある土壌を好みます。そのため、培養土を作成する場合は、通気性・排水性を重視しながら、適度に堆肥が入る肥沃な培養土を作る必要があり、また酸性土壌では栄養を上手く吸収出来ずに生育不良になる場合があるためpHは6.0~7.0の弱酸性から中性に調節しましょう。
- 土壌改良材(無機質):通気性・排水性・保水性を改善する目的で、赤玉土や日向土や鹿沼土などの土壌改良材を6割~7割を目安に配合します。土壌改良材の土粒は小粒・細粒を利用します。大きすぎる土粒を使うと、培養土の中に大きな空隙が出来て根の活着が悪くなり、保水性も悪くなり植物の生育が悪くなる原因となるため避けてください。
- 土壌改良材(有機質):腐葉土などの堆肥を全体の3割~4割を目安に培養土の中に配合します。堆肥は土壌の物理性・化学性・生物性を改善して、根の活着を高めて根張りをよくしたり、栄養素を含有しており、微生物の働きを促進して土質を改善したり、植物の栄養補給に寄与する働きがあったりします。
培養土の配合例
- 基本の配合:赤玉土(小粒)7割+腐葉土3割+苦土石灰適量+元肥適量
- 培養土が劣化しにくい配合:日向土(細粒・小粒)4割+硬質赤玉土(小粒)3割+腐葉土2割+くん炭1割+元肥適量
- 比重が軽い配合:赤玉土(小粒)4割+パーライト3割+バーミキュライト1割+腐葉土2割+苦土石灰適量+元肥適量
土壌改良材(無機質)
- 赤玉土:赤玉土とは関東ローム層の中層にある赤土を乾燥させて、粒の大きさごとに分けた土壌改良材です。
- 特徴:赤玉土は通気性・排水性・保水性のバランスが抜群に良いことから擬似団粒構造をした土壌改良材とも呼ばれています。無菌で雑菌が繁殖しにくく、雑草の種も含まれないため挿し木用土やインドアグリーンの土としても使われる。
- 比較:鹿沼土と比べて赤玉土の方が保水性・保肥力に優れており、PHが中性に近い弱酸性のため幅広い植物で利用しやすい。赤玉土は鹿沼土よりも粒が崩れて劣化しやすいため、使い続けると微塵が出て通気性・排水性を悪化させる事がある。
- 注意点:赤玉土はリン酸を固定してしまい、植物が吸収出来る状態で無くす事があるため、リン酸の肥料を多めにやる必要がある。赤玉土の粒はやや崩れやすいため再利用出来る割合が少ない傾向があり、微塵は粘土質になり通気性・排水性を悪くする事がある。
- 用途:一般的な草花・花木・多肉・サボテン・山野草・水生植物など幅広い植物の土壌改良材として利用されます。無菌のため挿し木・種まき用土・インドアグリーンの培養土などに利用される。
- 硬質赤玉土:硬質赤玉土は赤玉土を高温で焼いて硬質化したものです。
- 比較:硬質赤玉土は赤玉土と比べて、粒が硬いため砕けて劣化しにくく、通気性・排水性が高くなっています。一方で保水性が悪くなっているため、一般的な草花で使うと土壌が乾きやすくなり水やりの頻度が増えやすいです。
- 用途:多肉植物・サボテン・山野草などに使われる事が多い。
- パーライト:パーライトは、真珠岩や黒曜石を粉砕して小さくした後に、高温で熱して中に含まれる水分を発泡させ多孔質にした資材です。
- 特徴(真珠岩系):表面に光沢があり滑らか、通気性・排水性に非常に優れている、雑菌が発生しにくく、比重が0.1程度と小さく軽い。
- 特徴(黒曜石系):表面に光沢があり滑らか、通気性・排水性に非常に優れている、雑菌が発生しにくく、比重が0.1程度と小さく軽い。
- 用途:土壌の通気性・排水性を改善する目的、真珠岩系では通気性・排水性・保水性をバランスよく改善する目的で利用されます。一般的な草花の育成などでよく利用されており、比重が軽いため培養土の軽量化などに欠かせません。
- 日向土(ボラ土):日向土は別名でボラ土とも呼ばれる、宮崎県南部で産出される軽石です。
- 特徴:通気性と排水性に非常に優れており、多孔質なため保水性も適度に確保出来ている、比重は約0.6とバランスがよい。※鹿沼土と比較すると頑丈で形状が崩れにくいため再利用しやすく、PHが殆ど中性なため扱いやすい、一方で鹿沼土と比べると保水性がそれほど高くない。
- 用途:土壌の通気性や排水性を改善するのに利用されます。草地・岩場・高山地帯・砂地に自生する植物などを育てるのに向いており、一般的な草花から多肉・サボテン・山野草などの育成でも利用されます。す。
- 川砂:川砂は岩石(花崗岩・石英・長石等)が風化して生じる灰白色をした砂で、採られる場所により富士川砂・矢作砂などと呼ばれたりもしています。
- 特徴:粒子が大きく通気性・排水性が優れており、保水性と保肥力が殆どない。比重が約2.5~2.6と大きく安定感があるため植物をしっかりと支える事が出来る。
- 用途:土壌の通気性や排水性を改善するのに利用されます。岩場・高山地帯・砂地に自生する植物などを育てるのに向いており、多肉・サボテン・山野草・盆栽等の育成でよく利用されます。
- ゼオライト:ゼオライトは沸石とも呼ばれる鉱物の一種です。
- 特徴:水質浄化・脱臭効果・高い保肥力などにあります。そのため、根腐れ防止や肥料の流失や肥効の継続に効果を発揮します。一方で、入れすぎると肥料が効きにくくなるなどのデメリットがあるため、土壌や培養土に5%程度混ぜて使われる事が多いです。
土壌改良材(有機質)
- 腐葉土:腐葉土は広葉樹の落ち葉を腐熟させた改良用土です。
- 腐葉土を選ぶ基準:腐葉土は完熟していて湿り気のある物を選びましょう。完熟していると、見た目が黒っぽくなり、葉の断片が小さくなっています。逆に油脂成分の多い針葉樹の葉が入っていたり、未熟な茶色の葉が混じっていたり、断片が大きく乾燥していたりする腐葉土は、植物の根を傷める原因にもなるため避けた方が良いでしょう。
- 腐葉土の特徴:土壌の膨軟性を高めるため空気の通りが良くなり根の成長を助ける。土壌の通気性・保水性・保肥力を高めるため植物が育ちやすい環境となる。腐葉土は微量要素を含んでいるため植物が栄養を補給して健康に成長する助けとなり、また微生物の働きも活性化するため土壌が肥沃になる。PHが中性のため扱いやすい。
- 用途:土壌の保水性・保肥力・通気性を改善したり、微生物を活性化して土壌を肥沃にしたりする働きがあるため、多くの植物を育てる際の改良用土として利用されます。
- 牛糞堆肥:牛糞堆肥は、牛糞を主原料にして、籾殻・藁・オガクズなどを加えて、微生物の力で発酵さて作られた土壌改良材または肥料です。
- 選ぶ基準:牛糞堆肥は見た目が黒っぽく、悪臭がない、しっかりと発酵しているものを選びましょう。
- 特徴:牛糞堆肥には少量ですが窒素・リン・カリの肥料成分を含んでおり、また中量要素や微量要素の養分も含まれているため、植物が栄養を補給して健康に成長する助けとなり、また微生物の働きも活性化するため土壌に団粒構造を作り肥沃な土壌を作り出す助けとなります。また土に混ぜるだけでも通気性・保水性・保肥力を高める効果があり植物が育ちやすい環境となります。
- 注意:牛糞堆肥は塩分濃度が高めで、分解も早いため、土量に制限のあるコンテナ栽培(プランター)ではあまり利用されません。
- 用途:培養土の中にひと握りほどの少量の牛糞を入れて肥沃さを高められることがある。土壌の保水性・保肥力・通気性を改善する目的、土の団粒化や土壌の肥沃化を促す目的で土壌改良で使用される事が多いです。
- くん炭:くん炭は、もみ殻を炭化させたものです。
- 特徴:通気性と排水性が抜群によいため根腐れ防止効果があります。菌根菌などの有用微生物を活性化させる効果があるため、植物が菌根菌と共生して病気に強くなったり水分・栄養を補給しやすくなる事がある。植物の成長に必要とされるミネラルを含有していて、またケイ酸が50%近く含有しているため茎・葉が頑丈になりやすく病害虫に強くなる傾向がある。PH8前後の高いアルカリ性を示す。
- 用途:根腐れ防止・酸性土壌の改善などのために土壌に10%程度混ぜて使われる事が多いです。
水やりの仕方
ケールの自生地は、地中海沿岸の崖地などにあり比較的耐乾性が強い植物ですが、栽培品種は株を大きく成長させるため、適度に水が与えられる環境を好みます。そのため、土壌の状態を見ながら適切に水やりをしましょう。
地植えで栽培する場合は、基本的に降雨に任せて育てることが出来ます。ただし、雨が全く降らずに土壌が乾燥していたり、極端な暑さで乾燥が早くなっている場合は水やりが必要となります。鉢植えで育てる場合は、地植えと比べて乾燥がかなり早いため、定期的な水やりが必要です。培養土の状態を見ながら水やりをする必要があるでしょう。
注意することは、極端な過湿にしないことです。過湿は、病原菌の繁殖を招いて株を腐敗させたり、根の呼吸を妨げて根腐れを引き起こしたりする原因になります。そのため、水やりの頻度には十分な注意が必要です。
●水やりの方法
- 秋の水やり:種が発芽し生育が旺盛になる季節です。そのため、土壌の表面が乾燥したタイミングで、鉢植えなら鉢底から水が流れ出るまで、地植えなら土壌深くに水が染み込むまで、たっぷり水を与えましょう。
- 冬の水やり:土壌の乾燥は他の季節と比べると緩やかに進み、水やりの頻度も少なくなり、株の生育も緩やかですが生育期間中のため、水やりはしっかり行いましょう。基本的に水やりのタイミングは秋と同様に土壌の表面が乾燥したタイミングで水をたっぷり与えます。
- 春の水やり:株は生育旺盛で、多くの水を必要とします。そのため、秋と同様に土壌の表面が乾燥したタイミングで、鉢植えなら鉢底から水が流れ出るまで、地植えなら土壌深くに水が染み込むまで、たっぷり水を与えましょう。
- 夏の水やり:夏の高温多湿で株は枯れることが多いです。夏越しさせたい場合は、冷涼な環境で管理し、朝の涼しい時間帯に土壌の表面が乾燥したタイミングで水をたっぷり与えることが大切です。
土壌の乾燥の確認方法
- 土壌表面の乾燥:土壌の表面の乾燥とは、土壌の最も上の部分の表面が乾燥している事です。土壌表面の乾燥の確認方法には目視・触感・専用の道具があります。
- 目視で確認:土は濡れているなら色が濃くなったり黒っぽくなったりしていて、乾燥すると色が白っぽくなります。
- 触感で確認:土の表面を指で触ってみてます。土は濡れていると湿り気があり、乾燥しているとサラサラとしています。
- 専用の道具:サスティーを土壌にさして使用します。サスティーは土壌が乾くと色が変化して水やりのタイミングを教えてくれます。
- 土壌の表層の乾燥:土壌の表層の定義は様々ありますが、ここでは土壌の表面より5cm以下にある事にして、また土壌の表層の乾燥とは土壌の表面から5cm以下が乾燥していることになります。
- 目視で確認:透明な植木鉢を使用して植物を育てます。透明で土の色の変化が分かるため、土表面から5cm以下の土の色が白っぽくなってきたら水やりを行います。
- 重量で確認:鉢植えで育てている場合は、水分量で鉢の重量が変わるため、土が乾燥した時の軽さを覚えておいて土の乾きを判断します。
- 道具で確認:割り箸・竹串などを用土の中に差してみて、引き上げた時の割り箸・竹串の色と湿り気を見て乾燥具合を確認します。
- 専用の道具:サスティーを土壌にさして使用します。サスティーは土壌が乾くと色が変化して水やりのタイミングを教えてくれます。
肥料の与え方
ケールは、自生地が地中海沿岸の崖地などにあり、栄養の少ない痩せた土壌に生育しています。ただし、本種の栽培品種は栄養を多く含む肥沃な土壌を好み、また長期間に渡り葉の採取を行う場合は、元肥の他に定期的な追肥も必要です。
●肥料の与え方
- 元肥:元肥は植付け前または植付け時に土壌の中に入れて施す肥料です。
- 肥料の成分:窒素・リン酸・カリの割合がバランス良い肥料、または窒素の割合が多い肥料を選びます。
- 肥料の製品:有機肥料(植付け前)・緩効性肥料・配合肥料(BB肥料など)がおすすめです。
- 施し方:全面施肥・溝施肥(有機肥料)
- 全面施肥:植物を植付ける土壌・培養土の中に、規定の量の元肥を入れて、偏りがないように混和する方法です。有機肥料を使用する場合は発酵時のガスや高温で根を傷める事もあるため、植付け2週間程度前に肥料を入れて混和する。
- 溝施肥:植物の植付けを行う場所に深さ20cm程度の穴を掘り、溝(穴)の中に有機肥料を入れる。穴の中に土を少し戻す。苗の高さを調節しながら植付けを行う。
- 追肥:植物が生育する途中で施す肥料です。土壌中の栄養素は植物が吸収して減っていくため、追肥を入れる事で補います。
- 肥料を与える時期:秋から春の生育期間中※肥料をあたえる頻度は製品によりかわります。
- 肥料の成分:窒素・リン酸・カリの割合がバランス良い肥料、または窒素の割合が多い肥料を選びます。
- 肥料の製品:液肥・固形肥料(速効性・緩効性・BB肥料 など)がおすすめです。
- 施し方(液肥):液肥を規定された分量の水で希釈して、約10~14日の頻度で与えます。液肥は1箇所にかけるのではなく、植物の株元を中心に根が張っている範囲にまんべんなく、全ての根に液肥が行き渡るように施しましょう。
- 施し方(固形肥料):固形肥料の与え方は製品により置き肥タイプ・差し込みタイプ・埋め込みタイプがあります。製品に合わせて、規定された分量・規定された頻度・規定された方法で施しましょう。
剪定のやり方
ケールは基本的に剪定は不要ですが、葉を食べる目的で葉の収穫が行われたり、株の健康を保ち生産性を高める目的で古葉取りが行われたりします。
●剪定方法
- 収穫:株が十分に育ったら、外側の葉から収穫を行います。葉を収穫しすぎると強いストレスがかかり成長が止まる事もあるため、収穫の量は株全体の1/3程度を目安に行いましょう。また生産性を維持するため、成長点を摘み取らないように気をつけます。
- 古葉取り:株を観察して、枯れてしまった葉、葉が変色したり傷んでいて不要と感じる葉を探します。これらの不要な葉を根元付近でハサミなどを使いカットして取り除きましょう。これを行うことで、株元に太陽光が届き過湿を防ぎ、風通りが良くなり病害虫の発生を抑制します。また栄養が若い芽や葉に集中するため生産性も高まります。
夏越しする方法
ケールは、日本の高温多湿に弱く基本的に夏越しは難しいです。また普通は二年草で、春頃に開花し、それから結実したら、株が衰退し枯れるため、夏越しすることなく枯れます。ただし、特定の条件下では短命の多年草として振る舞うこともあります。その場合は、基本的に夏場も冷涼な環境となります。
播種で増やす
ケールの種蒔の方法
- 播種時期:2月~5月/7月~9月
- 発芽適温:約20~25度
- 発芽日数:約3日~5日
- 備考:
種まき手順
- 種まきの時期:2月~5月/7月~9月
- 培養土の準備:直播き・移植栽培※移植栽培はコストや手間が増えますが、苗を病害虫から保護したり、温度・水分の管理が楽になり成功率が高まります。
- 直播き:畑やプランターの土を整えます。
- 移植栽培:プラグトレー・ピートポット・ポリポット・不織布育苗ポット・ジフィーセブンなどに種まき用の培養土を入れて栽培できます。おすすめは沢山の苗を一気に生産できるプラグトレーなどです。
- 種の撒き方:点撒き・すじ撒き・バラ撒き
- 種まき後の管理:種が乾燥すると発芽率が落ちるため、基本的に土と種が乾燥しないように水やりを行い管理します。
- 発芽後:発芽が揃ったら、株同士の間隔を見て、混んでる場所の苗を間引きます。また間引きした苗は別の場所に移植することもできます。※直播きする場合は成長に合わせて株同士がくっついているものを状態がいい方を残し間引きするとよいでしょう。
- 移植:小さなプラグトレーやポットで移植栽培をしている場合は、本葉が2枚以上になったタイミングでポットなどに移植します。出来るだけ根鉢を崩さないように注意しましょう。
- 定植:株がある程度の大きさになったら定植します。定植が遅れると移植時に根を傷付けるリスクが増えると同時に、苗が老化して定植後の成長も悪くなるリスクが高まります。
※鎮圧は土と種の密着度を高め水分の吸収をよくします。