- 原産:カナリア諸島/マディラ諸島
- 科:シソ(Lamiaceae)
- 属:ラヴァンドラ(Lavandula)
- 種:ピナータ(pinnata)
流通名:レースラベンダー
別名:ファーンリーフ ラベンダー(fernleaf lavender)/ジャギド・ラベンダー(Jagged lavender)/プテロストエカス系(pterostoechas) - 開花時期:5月~10月(環境が良ければ周年)
- 花の色:青色●紫色●
- 葉の色:緑色●
- 香り:花・葉
- 分類:常緑低木
- 草丈:約30~100cm
- 誕生花:
- 花言葉:繊細/沈黙/清潔/あなたを待っています
- 用途:開花期間長い/カラーリーフ/香りが良い/切り花
目次 | ||
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花壇土 | 鉢土 | 水やり |
肥料 | 剪定 | 夏越し |
冬越し | 増やし方 | 病気 |
ラベンダー(ピナータ)とは!?
ラベンダー(ピナータ)は学名Lavandula pinnata、一般的に園芸ではムルチフィダ種(Lavandula multifida)も含めて「レースラベンダー」の名称で流通しており、別名では「ファーンリーフ・ラベンダー(fernleaf lavender)」や「ジャギド・ラベンダー(Jagged lavender)」とも呼ばれるカナリア諸島およびマディラ諸島が原産の常緑低木です。
ラベンダー(ピナータ)の語源(由来)
- 属名のLavandulaの由来は諸説あり、一説にはラテン語で「青みがった」を意味する「lividus」からきている説、古代ローマ人が入浴時の香水として利用したり洗濯に利用していたことから「洗っている」を意味する「lavo」もしくは「洗浄」を意味する「lavare」からきていると言う説の2説があります。
- 種小名のpinnataはラテン語で「羽状の」を意味し、葉が裂けて羽状になっている事に由来しています。
ラベンダー(ピナータ)の特徴(魅力)
- ラベンダー(ピナータ)は「レースの編み物」や「シダ植物」を連想させる羽状に広がる葉の形と、花茎の頂部で1~3個の花穂が並び咲く花姿が特徴の植物です。
- ラベンダー(ピナータ)は上部に葉が殆どないため茎と花だけの様な洗練された雰囲気をつくります。
- 葉は下部に多く集まり、こんもりと地面を覆うため、地被植物の様に働きます。
- 葉はシダ植物の様に羽状に広がり隙間から光を通すためレースの編み物の様な上品な外観をつくります。
- 葉は白色の毛が生えているため灰みを帯びた白緑色の外観をしており、シルバーリーフの様な上品な印象を与える事があります。
- ラベンダー(ピナータ)の花は、他のラベンダーの様に萼や苞葉が目立たず、開花する花弁が最も装飾的です。
- また1個の花茎に1~3個の花穂が並んでつく所も特徴です。
- 花(小花)は疎らに開花するため個性的な外観をしています。
- ピナータ種はムルチフィダ種と同様にレースラベンダーと呼ばれており、非常に似た樹形と葉の形、花の形をしています。
- ピナータは小花が規則正しく並ぶ傾向があると言われます。
- ムルチフィダ種は小花が螺旋状に並ぶ傾向にあると言われています。
- ラベンダー(ピナータ)は花や葉に「オレガノ」や「松」に似た刺激的な強い香りがあります。
- ラベンダー(ピナータ)に含まれる主な精油はカルバクロールです。
- カルバクロールは「オレガノ」「木の香り」「樟脳」等に例えられる刺激的な辛味を感じさせる香りがあり、また辛味を感じさせる風味があります。精油は食品(飲料等)の香料や化粧品等に利用されており、精油の効能には「抗菌・抗真菌作用」「抗酸化作用」等があります。
- ラベンダー(ピナータ)に含まれる主な精油はカルバクロールです。
- ラベンダー(ピナータ)の茎・葉・萼には腺毛があり、腺毛からは液体(精油)を分泌しており香りを漂わせています。
- また腺毛には精油が多く含まれているため茎・葉・萼を手で触ったりして壊すと、強い香りを周囲に漂わせます。
- ラベンダー(ピナータ)は非常に少ない水と肥料で育つため、環境が合えば殆ど放ったらかしでも育てる事が出来ます。
- ただし多湿を許容しないため、特に夏場などは雨に当てないなどの工夫が必要です。
- また茎は木質化すると芽を生成する事が殆どなくなるため、木質化を遅らせる剪定がとても重要です。
ラベンダー(ピナータ)の樹高は約30(~100)cm、樹形はブッシュ状で、茎は根元付近でよく枝分かれしながら直立します。若い茎の色は緑色、白色の毛が密に生えるため白緑色の外観をしています。成熟した茎は木質化して灰褐色もしくは褐色になります。葉は下部に多く集まり、葉序は対生葉序、葉色は緑色、白色の毛が生えるため白緑色の外観をしており、葉身の形は2回羽状深裂、小葉は線形もしくは披針形です。花序は輪散花序、輪散花序は長さ約1(~8)cm、花茎の頂部に1(~3)個つきます。花冠は唇形花、唇形花は上唇は2裂して下唇は3裂しています。
レースラベンダーの園芸品種の紹介
ラベンダーの主な種と園芸品種は下のリンクから紹介しています。
ラベンダーのおすすめの種類、主な種と珍しい園芸品種【2022】
ラベンダー(ピナータ)の育て方
花壇の土づくり
日当たり
ラベンダー(ピナータ)は日光のよく当たる場所で最も生産性が高まり沢山の花を咲かせます。そのため直射日光が6時間以上あたる日向が理想です。また直射日光が3時間から5時間の半日影までで育てられます。日当たりの悪い環境では花数が減ったり、徒長して茎が倒れやすくなったりするためさけたほうがよいでしょう。
土壌のPH
ラベンダー(ピナータ)は酸性土壌にも耐えますが、PH6.5~7.5の弱アルカリ性の土壌を好みます。PHが低すぎると生育不良になる可能性が高くなるため、植付け前にPHを診断して、PHが低い場合は苦土石灰を入れる等してPHの改善を行いましょう。
土壌の土質
ラベンダー(ピナータ)は栄養の乏しい土壌や乾燥した土壌に強い植物です。逆に、粘土質な土壌や有機物が豊富に入る肥沃な土壌を苦手にしています。何故なら、じめじめとした状態が続いたり、蒸れたりすると、根腐れや腐敗等をまねいて生育不良になり枯れる事があるからです。そのため植え付け前に土壌診断を行い、水捌けが良く有機物が少なめの砂壌土に改善してから植え付けを行いましょう。
- 土を掘る時に土が硬い場合は作土層が十分でない可能性があります。
- スコップで土を深くまで掘り返し石等を取り除きます。
- 適度に濡れた土を、手にとり握って土塊を作り、通気性・保水性などを診断します。
- 手のひらを開き土の塊がバラバラと崩れる場合は通気性と排水性の高い砂壌土や砂土に近い土壌です。栄養の乏しい土壌や乾燥に強い植物にむきます。
- 保水性を改善したい場合は保水性を高める用土(堆肥や黒土など)を入れると良いでしょう。
- 手のひらを開いても土の塊は崩れず、土塊を軽く指で押すと崩れる場合は通気性と保水性のバランスが良い壌土に近い土壌です。幅広い植物に向く土壌です。
- 植物に合わせて保水性を好む植物であれば保水性を高める用土(黒土なバーミキュライト等)を入れたり、乾燥を好む植物であれば排水性や通気性を高める用土(川砂やパーライトなど)を入れましょう。
- 手のひらを開いても土の塊が崩れず、指で押しても崩れる感じがない場合は粘土質で水捌けが悪い土壌の可能性があります。必要に応じて排水性・通気性を高める用土(川砂・パーライト等)を混和しましょう。
- 手のひらを開き土の塊がバラバラと崩れる場合は通気性と排水性の高い砂壌土や砂土に近い土壌です。栄養の乏しい土壌や乾燥に強い植物にむきます。
- 土壌に入る有機物の量を診断しましょう。土の色を見て、有機物が沢山入る肥沃な土の場合は有機物(腐植)が多く含むため土の色が黒っぽくなります。一方で有機物(腐植)が少ない場合は土の色が薄くなります。
- 土壌の状態とバランスを見ながら、2割から3割を目安に堆肥(腐葉土・バーク堆肥等)を土壌に混和しましょう。
鉢土づくり
日当り
ラベンダー(ピナータ)は日当りを好むため、基本的には直射日光が6時間以上当たる日向で管理しましょう。また長雨に当たると根腐れや病気を引き起こす原因にもなるため、必要に応じて雨の当たらない場所(軒下等)に移動しましょう。
培養土
培養土は通気性の高い草花の培養土で育てられます。自作する場合は通気性が良い培養土をつくります。腐葉土等の堆肥は多いと夏に蒸れる原因にもなるため少なめにします。
- 赤玉土(小粒・中粒)+パーライト+腐葉土+くん炭=5:2:2:1
- 赤玉土(小粒・中粒)+腐葉土+苦土石灰(適量)=7:3
培養土作成時の注意点
ラベンダー(ピナータ)はPH6.5~7.5の弱アルカリ性土壌を好むため、必要に応じて培養土にアルカリ性のくん炭や草木灰等を混ぜこむか、苦土石灰を混ぜこみましょう。
苦土石灰を混ぜ込む量は培養土の土質にも左右されますが、イングリッシュラベンダーは砂質の土壌を好むため恐らく砂土に近い培養土を使っているはずです。
砂土のPHを1上げるには培養土10Lに対して苦土石灰10~15g程度を目安に使用します。基本的には1Lあたり1~1.5gの苦土石灰を混ぜ込むとよいでしょう。ただし培養土を強い酸性に傾ける無調整ピートモスや鹿沼土を利用した場合は話しが変わります。そのため培養土に使う用土は中性のものを利用する事がおすすめです。
水やりの仕方
地植え
ラベンダー(ピナータ)は乾燥に強いため、地植えしている場合は極端に乾燥する場合を除いて、基本的には降水のみで育てられます。ただし雨が長く降らず、葉や茎が萎れている場合は直ちに水やりを行いましょう。
鉢植え
ラベンダー(ピナータ)を鉢植えで育てる場合は土の乾燥が早くなるため、定期的な水やりが必要になります。ただし水やりを行い過ぎてジメジメとした環境が続くと根腐れしてしまうため、土の表面(数cm)が乾いてきたタイミングで水やりを行うといいでしょう。
肥料の与え方
ラベンダー(ピナータ)は栄養の乏しい土壌で問題なく育つ事が出来ます。逆に栄養が多過ぎる土壌では生育不良を引き起こしたり、開花が少なくなる可能性があります。
基本的に肥料は必要としませんが、鉢植えで育てる場合は栄養が足りなくなる場合があります。そのため、早春に一度だけ緩効性肥料を与えましょう。
剪定のやり方
ラベンダー(ピナータ)の剪定の目的は木質化を遅らせる事や、コンパクトな樹形をつくる事にあります。何故なら茎が木質化すると、殆ど新芽の生成をする事がなくなるため、新しい芽が偏った場所からしか出なくなり、疎らで歪な樹形となったり、茎が徒長して外観が悪くなったりするからです。
剪定は毎年一度開花後(夏頃)に行う事が一般的ですが、早春に行う事も可能です。早春の剪定は開花を遅らせる可能性がありますが、花を開花させる新しい茎の成長を刺激してより多くの花を咲かせる可能性があり、またよりコンパクトな樹形で楽しむ事が可能です。
剪定の方法
剪定のやり方は、ドーム状の樹形をイメージしながら行います。全体として、株の中央の茎を少し長めに、外側の茎を短めにするとドーム状の整った樹形になりやすいです。枝分かれした部分より上で剪定するとより枝分かれが促される傾向にあります。
剪定する際に注意する事は、茎には必ず葉(芽)を残す事です。葉のない場所まで強く切り戻すと残された茎がそのまま枯れこんでしまいます。そのため各茎に最低でも2~3個以上の葉(芽)を残しましょう。ただし完全に枯れた茎は根元から剪定しても問題ありません。
夏越しする方法
ラベンダー(ピナータ)は夏の暑さに耐えますが多湿環境を苦手にしています。多湿環境では根腐れや病気を引き起こし枯れてしまう事も多いため必要に応じて夏越し対策をしましょう。
ラベンダー(ピナータ)の夏越し対策
- 湿度の高い環境を嫌うため乾燥した場所で管理しましょう。
- 雨に当たることが少ない場所
- 鉢植えの場合は雨に当たらない場所に移動すると良いでしょう。
- 地植えの場合は雨の当たりにく場所で育てると良いでしょう。
- 直射日光がよく当たる場所
- 直射日光6時間以上が理想です。
- 土壌の排水性がよい場所
- 植付けの際に土壌改良をしっかりおこないましょう。
- ロックガーデンなど、周りより高い場所に植えると、水が下に流れやすく、排水性が高まり根腐れしにくくなります。
- 空気の流れがあり風通しがいい場所
- 周りが壁に囲まれていたり、草が繁茂してる場所で管理すると空気が停滞して湿気が溜まりやすくなります。改善しましょう。
- 雨に当たることが少ない場所
冬越しする方法
Hardiness:9b~10a
ラベンダー(ピナータ)は、軽い霜であれば耐えられる事があるため、暖地であれば地植えで育てられる事があります。ただし基本的に霜が降りると枯れてしまうため、必要に応じて冬越し対策が必要になります。
ラベンダー(ピナータ)の冬越し対策
- 霜が降りる地域であらば、霜対策として腐葉土などでマルチングをしたり、不織布などを被せるとよいでしょう。
- 支柱を立ててビニールを被せるとより対策効果が上がります。
- スコップ等で株を掘り返して鉢植えに植え直し、室内等に移動する事も可能です。
- 鉢植えで育てている場合は、霜の当たらない軒下に移動したり、凍結が心配な場合は屋内や温室に移動したりするとよいでしょう。
挿し木や株分けで増やす
ラベンダー(ピナータ)は挿し木や取り木によって増やす事ができます。
ラベンダー(ピナータ)の挿し木の方法
- ラベンダー(ピナータ)の挿し木時期は晩春から初夏が適します。
- 挿し穂の茎は弾力があり健康な部分をカットしましょう。
- 挿し穂 の長さ約7cmにわけます。
- 挿し穂の下部の葉を取り除き上部の葉を残します。
- 挿し穂用の無菌の培養土を準備します。
- 水揚げした挿し穂の切り口に発根促進剤をつけます。
- 切り口を下にして培養土の中に挿し穂を挿します。
- 明るい日陰で土壌が完全に乾燥しない様に水やりを行いながら管理しましょう。
播種で増やす
ラベンダー(ピナータ)の種蒔の方法
播種時期:
発芽適温:約
発芽日数:約
光条件:
植物の病気
ラベンダー(ピナータ)の病気
- 灰色カビ病
- 葉枯細菌病
- 枝枯病
- 疫病
- 根腐れ病
ラベンダー(ピナータ)の害虫