
- 原産:日本
- 科:アジサイ(Hydrangeaceae)
- 属:アジサイ/ハイドランジア(Hydrangea)
- 種:アジサイ(Hydrangea macrophylla)
- 別名:ホンアジサイ/ガクアジサイ/八仙花/ビッグリーフ・ハイドランジア(bigleaf hydrangea)/フレンチ・ハイドランジア(French hydrangea)/レースキャップ・ハイドランジア(lacecap hydrangea)/モップヘッド(mophead)/ハイドランジア(hydrangea)
- 開花時期:5月~7月
- 開花時期(四季咲き品種):5月~10月※秋に返り咲くことがあります
- 花の色:赤色・桃色・青色・紫色・緑色・白色・黒色
- 葉の色:緑色・黄色・赤色・橙色・紫色・白色・黒色
- 生活形:落葉低木
- 樹高:約100~200cm※条件の良い環境では400cmに達することがあります。
- 誕生花:6月3日/6月4日/6月29日
- 花言葉:冷淡/無情/高慢/移り気/辛抱強さ
- 用途:開花期間長い/カラーリーフ/生垣/景観植物/切り花/ドライフラワー/プリザーブドフラワー/日陰植物
- 購入方法:アジサイを楽天で購入
■アジサイとは!?
アジサイ(学名: Hydrangea macrophylla)は、アジサイ科アジサイ属(ハイドランジア属)に分類される種です。
アジサイはアジサイ属全体を指す言葉でもあるため、本種以外のアジサイ属の種もアジサイと呼ばれることもありますが、多くの場合は本種(Hydrangea macrophylla)を指していることが多いです。また別名では「ハイドランジア」「八仙花」「ビッグリーフ・ハイドランジア(bigleaf hydrangea)」「フレンチ・ハイドランジア(French hydrangea)」とも呼ばれています。それに加えて、花の咲き方などで呼び方が変わることもあり、野生種でガク咲きするタイプのアジサイは「ガクアジサイ(Hydrangea macrophylla f. normalis)」や「レースキャップ・ハイドランジア(lacecap hydrangea)」と呼ばれており 、野生種が変異または品種改良されテマリ咲きするタイプになったアジサイは「ホンアジサイ(Hydrangea macrophylla f. macrophylla)」「モップヘッド(mophead)」とも呼ばれています。
アジサイの原種であるガクアジサイ(Hydrangea macrophylla f. normalis)の原産地は日本で、本州の房総半島・伊豆半島・伊豆諸島・三浦半島に分布し、自生地は沿岸地の林や林縁などに見られます。
■アジサイの語源(由来)
- Hydrangeaの語源:古代ギリシア語で「水」を意味する「ὕδωρ(húdōr)」と、古代ギリシア語で「容器」を意味する「ἀγγεῖον(angeîon)」の2語で構成されており、本種の実が水を入れるカップの様な形状をしていることに由来します。
- macrophyllaの語源:古代ギリシア語で「大きい」を意味する「μακρός (makrós)」と、古代ギリシア語で「葉」を意味する「φύλλον(phúllon)」の2語で構成されており、本種の葉が大きいことに由来します。
- アジサイの語源:アジサイは元々「アヅサイ(集真藍)」と呼ばれていましたが、この呼び方が転訛して「アジサイ(紫陽花)」になりました。アヅサイは、小さなものが集まる様子を意味する「アヅ(集)」と、紫色の花をあらわしている「さあい(真藍)」の2語で構成されており、紫色の小さな花が多数集まり、一つの花姿を作る様子に由来しています。
- 紫陽花の語源:漢字での紫陽花は、唐の詩人である白居易が別の花(おそらくライラックの花)に付けた名前で、これを平安時代の学者である源順が日本のアジサイと誤認して、アジサイにこの漢字(紫陽花)を当てたことで広まったと考えられています。
- ガクアジサイの語源:本種の装飾花が、花房の外周に並び、額縁のように見えることに由来します。
■アジサイの特徴(魅力)

- 形態:樹高は一般的に約100~200cmですが、条件の良い環境では400cmに達することがあります。生育型は叢生型で、地際から複数の茎が直立に伸びます。葉は長さ約10~20cmと非常に大きく、形は楕円形・広楕円形・広卵形です。花序は複合花序で集散花序が散房状に配列し、花は装飾花と両性花の2種類または装飾花の1種類で構成されます。
- 近縁種との比較:本種は他のアジサイと比べて花の形・色・サイズが多種多様で園芸品種が非常に豊富です。また近縁種のヤマアジサイと比べ樹高が高く、葉・花のサイズが大きい点が特徴となります。
- 開花期間:開花は一般的に5月から7月に見られますが、花持ちがよい品種は秋頃までこの花が植物上に残り秋色アジサイとして楽しめます。また新旧両枝咲きの四季咲き品種では、秋に返り咲くこともあり、また秋に形成された小さな花房が冬を越し、しばしば春の早い時期から開花が始まり一般的なアジサイより早く花を楽しめることがあります。
- 花の魅力:本種の花房の形は「ガクアジサイ型」と「テマリ型」の2種類があり、花房の直径は約5~25cmと非常に巨大で強い存在感を感じさせます。花の色はpH(アルミニウムの溶出)の差異で青色・紫色・桃色・赤色の範囲で変化する性質があることで知られていますが、pHに影響を受けない品種もあり、上記の他に緑色・白色・黒色等の色も見られます。また萼片の色は成熟度でも変化し、特に萼片に厚みがあり花持ちのよい品種は、秋になっても花が長く残り、萼片が濃色に変化するため、秋色アジサイとして楽しまれています。
- ガクアジサイ型:花序の形は扁平な円形の平型で、花は両性花と装飾花の2種類で構成されており、花序の外周に装飾花が並び額縁のような見た目をしています。そのため、宝飾品やレースを見ているような高級感や上品さがあり、エレガントなお庭などによく調和する花房の形です。
- テマリ型:花序の形は球形または扁球形で、花の全ては装飾花であるか、または少数の両性花は装飾花に埋もれています。花序の直径は25cmに達することもあり、盛り上がる巨大な花房となるため、強い存在感を感じさせ、遠くからでも非常に目立つため、お庭の中にフォーカルポイントを作ることができます。
葉の魅力:葉の色は緑色が一般的ですが、アントシアニンの影響などで秋にくすみのある赤色・橙色・暗紫色に紅葉することがあります。また一部の品種は葉に光沢があるためラグジュアリーな見た目をしたリーフとして楽しんだり、葉に黄色・紫色・黒色(暗紫色)・白色等の斑が入る品種も見られるため、品種を選べば花のない時期もカラーリーフとして楽しんだりすることが出来ます。
生垣:本種は枝葉が密に茂りブッシュ状になり、一般的に高さ約100~200cmまで成長します。主に自然風の生垣として利用されますが、剪定で株の概形をある程度整えることも出来ます。また開花もしっかり楽しめる点も魅力です。生垣として利用する場合は、品種により変わりますが、株同士の間隔は100~150cm程にして植栽します。
フラワーアレンジメント:花は収穫して花瓶に生けて切り花として楽しんだり、また乾燥させてドライフラワーとしたり、プリザーブドフラワーに加工したりして、フラワーアレンジメントの花材として利用することができます。花房は非常に大きく豪華なため、主役として機能し、また切り花とした場合は花瓶の中で約7~10日ほどの寿命を保ちます。
景観植物:本種は、大株になると高さ100~200cmに達する事があり、直径約25cmに達する巨大な花房を咲かせます。そのため、遠くから見ても強い存在感があり、景観のひとつとして楽しむことができます。- シェードガーデン:本種は耐陰性があるため、午前中だけ日光に当たる場所から、日光が当たらず間接光しか入らないような明るい日陰までで栽培が可能です。
■アジサイの生活形と形態
●生活形・茎の形態

- 生活形:落葉低木
- ライフサイクル:春は休眠芽が展開し、新梢が伸長し、葉も展開し、早ければ晩春頃から花も見られます。夏は中夏頃まで開花が続き、生育旺盛に枝は伸長し、葉も展開します。秋は枝の伸長が止まり、旧枝咲きアジサイではこの時期に花芽が形成されます。冬は枝を残して葉が全て落ち休眠期に入ります。
- 樹高:通常は約100~200cmですが、条件の良い環境では400cmに達することがあります。
- 生育型:叢生型で、地際から茎が何本も出て叢生(株立ち)します。
- 茎の毛:無毛
- 茎の色:一般的に緑色から黄緑色で暗色の皮目がありますが、個体や品種により皮目が無かったり、アントシアニンの影響で赤紫色(暗紫色)をしていたりします。
- 樹皮:色は淡い褐色から灰褐色、古くなると縦に裂けて薄く剥がれます。
●葉の形態

- 葉序:対生葉序
- 葉柄:有柄
- 葉身の長さ:約10~20cm
- 葉身の幅:約5~15cm
- 葉身の概形:楕円形・広楕円形・広卵形
- 葉先:鋭尖形
- 葉縁:粗い鋸歯
- 葉の光沢:個体により光沢の無いものと有るものがあります。
- 葉の色:一般的に緑色ですが、秋にくすみのある赤色・橙色・暗紫色に紅葉し、また黄色・紫色・黒色・白色等の葉色の品種も見られます。
●花の形態


- 花序:集散花序が散房状に配列される複合花序です
- 花序の直径:約5~25cm
- 花序の概形:ガクアジサイ型(ガク咲き)は扁平な円形の平型になります。テマリ型(テマリ咲き)は球形または扁球形になります。
- 花柄:有柄
- 花:装飾花と両性花の2種類があります。
- 装飾花:ガクアジサイ型では花序の周辺に位置し、テマリ型では花序の殆どを構成しています。萼片・花弁・雄蕊・雌蕊(発達不全)で構成されており、花弁は開かないことも多く、両性花と比べて萼片が大きい所が最大の特徴です。
- 装飾花の直径:約2~5cm
- 装飾花の萼:萼片の数は一般的に4枚(3~5枚)ですが、八重咲き品種では6枚以上あります。萼片の長さは約1~2cm、萼片の形は円形・菱形・楕円形・狭楕円形・卵形・広卵形・倒卵形・披針形・倒披針形・線形・皿状(ウズアジサイ系)など個体により差異が非常に大きいです。萼片の色は一般的にpHで青色・紫色・桃色・赤色で変化しますが、pHに影響を受けない品種もあり上記の他に緑色・白色・黒色等の色も見られ、また萼片の成熟度で色が緑色などに変化する傾向があります。
- 装飾花の花弁:装飾花の中央にあり、個体により開花と共に花弁が開いたり、開かない個体があります。花弁の数は3~5枚です。花弁の形は卵形から楕円形です。花弁の色は一般的にpHで青色・紫色・桃色・赤色で変化し、pHに影響を受けない品種もあり上記の他に緑色・白色・黒色等の色も見られます。
- 雄蕊:約0~10本
- 雌蕊:発達不全で不稔性
- 両性花:ガクアジサイ型では花序の中央部に位置して密集しており、テマリ型では殆ど見られません。萼片・花弁・雄蕊・雌蕊で構成されており、装飾花と比べて萼片が著しく小さく、花弁よりも小さいため、殆ど目立たず、花弁が最も目立ちます。
- 両性花の萼:萼片の数は5枚、ただし非常に小さく目立ちません。
- 両性花の花弁:花弁の数は一般的に5枚ですが4枚も見られます。花弁の形は円形・楕円形・卵形・披針形などが見られます。花弁の色は青色・紫色・桃色・赤色・白色・緑色等が見られます。
- 雄蕊:数は10本で、色は花弁と同色になる傾向があります。
- 雌蕊:2~4本の花柱を持ちます
- 装飾花:ガクアジサイ型では花序の周辺に位置し、テマリ型では花序の殆どを構成しています。萼片・花弁・雄蕊・雌蕊(発達不全)で構成されており、花弁は開かないことも多く、両性花と比べて萼片が大きい所が最大の特徴です。
●果実・種子の形態

- 果実の分類:蒴果で、実が成熟すると頂部に裂開して種子を放出します。
- 蒴果の形:壺形で、先端に2~4本の角状の突起(花柱)が残っています。
- 蒴果の色:褐色・灰褐色
※植物の形態についてはこちらのページも参考にしてください。
アジサイの切り花とドライフラワーの楽しみ方
切り花の作り方

- 収穫:切り花の収穫は花が十分水分を含んでいる朝の涼しい時間帯もしくは夕方におこないましょう。
- 花材の選び方:完全に花が開いているか、ほとんど開いている花房を選びましょう。
- 水揚げ:アジサイは水揚げが悪い部類に入るためしっかり水揚げします。まずは、必要な葉を残し不要な葉を茎から全て取り外します。茎の切り口は燃焼で炭化させるか、茎の切り口を斜めに切り戻し後に、茎の内部の綿を取り除き表皮を少し削ぎ落としましょう。また必要に応じてミョウバン法や深水をすることも出来ます。※ミョウバン法とは、切り口にミョウバンを塗り込む水揚げ方法で、灰汁が抜けて水の吸い上げがよくなる効果や殺菌効果があります。
- 花を生ける:花瓶の中に水と延命剤を入れて花を生けます。
- 管理:直射日光を避けた15~20度の涼しい環境で管理すると日持ちがよくなります。また徐々に水揚げが悪くなるため、必要に応じて水切りを再度して水換えをしましょう。管理の方法にも左右されますが日持ちは7~10日程度です。
燃焼法
燃焼法とは、切り花の切り口の先端を火で炙り炭化させた後に、冷水に漬けて、吸水を改善する水揚げ方法です。※水切りなどをしても、水揚げが上手くいかない場合等に行われます。
燃焼は、導管内にある空気を熱で膨張させて外に押し出す効果があり、また熱のショックで一気に吸水する効果が期待できます。また火で熱するため、切り口部分の雑菌が死滅して、微生物の影響が抑えられます。
燃焼は湯揚げと原理が似ていますが、燃焼な向いているのは、茎が硬く水揚げが悪い花材等に向きます。水分を多く含んでいるような柔らかい茎の花材には向きません。
燃焼法のやり方
- 花材の保護:切り花の花や葉が熱気で弱らないように、切り花の上部を濡れた新聞紙でくるみ覆います。切り口の部分は火で炙るため、茎の下部は濡れた新聞紙から出しておきましょう。
- 茎の切断:切り口の根元から上に約1~5cmの場所で斜めにカットします。
- 切り口を炙る:切り口の先端から約1~3cmを火で炙り、炭化させます。
- 冷水に浸ける:切り口が炭化した後、そのまま冷水の中に2時間程度浸けて水揚げします。
- 切り花を生ける:切り花を花器に入れて飾ります。
深水法
深水法とは、容器の深くまで水を入れておき、切り花の大部分を水中に漬けて水揚げする方法です。一般的に、水揚げが苦手な植物や水切りなどをしても水揚げが上手くいかない場合に行われます。
深水は、切り花を深くまで水に浸けるため、高い水圧により水上がりがとてもよくなります。また茎や葉からも水分を吸水するため、萎れも素早く改善する効果も期待できます。
深水は基本的に茎葉が丈夫で、水の吸い上げが弱い花材(バラ・ダリア・ラナンキュラス等)でよく行われる方法です。茎や葉が繊細な植物で深水をすると傷んで腐敗する原因にもなるため、深水が出来る花材が確認してから行う事も大切になります。
深水法のやり方
- 容器に水を入れる:バケツの中に切り花の半分程度浸かる水をいれておきます。
- 花材を保護する:切り花の花や葉が潰れないように注意しながら、新聞紙で固定するように優しく包みます。その際、茎の下部数cmを新聞紙から出しておきましょう。
- 茎の切断:切り花の切り口を水中に漬けて、その中で切り口の根元から上に約1~5cmの場所で斜めにカットします。※斜めにカットする事で吸水部が増えて水揚げ効率がよくなります。
- 水揚げ:バケツの中に切り花が半分以上浸かる様にして、数時間程度放置して水揚げします。
- 切り花を生ける:切り花を花器に入れて飾ります。
ドライフラワーの作り方

- 準備:花材・麻紐・洗濯物干しを準備します。※花材は花は開花が進み、水分がある程度抜けている物を選んで下さい。
- 花材の下処理:花材が大きい状態のままでは乾燥に時間がかかったり、綺麗に乾燥しなかったりします。そのため花材を使いやすい大きさに切り分けて大きさを調整しましょう。花材の下葉は邪魔になるため落とします。
- 乾燥工程:本種は、ハンギング法またはドライ・イン・ウォーター法でドライフラワーが作成できます。
- 花材を束ねる:花材の茎の下部分を麻紐でしっかりくくり固定し、花材を逆さまにして、直射日光の当たらない洗濯物干しに掛けたり、壁と壁の間に麻紐を張ってその間に花材を吊るしましょう。花材同士を密着させると風通しが悪くなり乾燥までに時間がかかり色落ちが進む事があるため、花材同士は離して乾かします。
- ドライ・イン・ウォーター法:花瓶に水を深さ2~3cmほど入れて、収穫したアジサイをさしておき徐々に乾燥させます。
- 完成までの時間:温度・湿度・風通し等で変化しますが、普通は約1~2週間です。
- 完成後:花材として一時保管するか、スワッグやリース等のフラワーアレンジメントに利用できます。
プリザーブドフラワーの作り方

- 準備:新鮮な花材・プリザーブドフラワーの液・容器・アルミホイル・キッチンペーパー・網・新聞紙を準備する
- 作業場を整える:溶液が飛び散ってもいいように床や台に新聞紙をひきます。また溶剤系のプリザーブドフラワーの液を使用する場合は、屋外で作業するか窓をあけて換気しましょう。
- 花材の下準備:花房から装飾花を1~数個付けて切りわけます。溶液に浸すため、花房丸ごと着色することは難しいです。
- 脱水液に花材を浸す:容器の中に脱水液を入れて、花材をピンセットで掴み溶液の中に浸し、優しく左右に振りながら花弁の間にも溶液が入るようにします。花材が溶液から浮かび上がらないようにアルミホイルで落し蓋をしましょう。脱水液に浸す時間は製品や花の大きさなどにより変化します。※一工程タイプのプリザーブドフラワーの液はこの工程が省略されます。
- 着色液に浸す:脱水液の中にある花材をピンセットで取り出して、キッチンペーパーの上に置いて軽く脱水液を切ります。容器の中に着色液を入れ、脱水した花材をピンセットで掴みながら、溶液の中に花材を浸します。花弁の間にある空気がある場合は軽く抑えながら抜きます。また花材が溶液から浮かび上がらないようにアルミホイルで落し蓋をしましょう。着色液に浸す時間は半日から数日ですが、製品や花の大きさなどにより変化します。※一工程タイプのプリザーブドフラワーの液はこの工程のみが行われます。
- 洗浄:洗浄は花材の表面にある着色液のベタつきをとる目的で行われますが、1工程や2工程の製品では、洗浄工程を省いて、そのまま乾燥に入る場合もあります。着色液の中から花材をピンセットで取り出して、軽く着色液を落とした後に、脱水液の入った容器の中につけます。花材をピンセットで摘んだまま優しく左右に動かして着色液を落としたら、洗浄完了です。
- 乾燥:トレイの上にキッチンペーパーを敷いて、その上に網または猫よけシートなどを置きます。着色済みの花材を網または猫よけシートの上に乗せて乾燥させます。乾燥にかかる時間は数日から数週間、花材のサイズや環境に左右されます。基本的に花にベト付きがなくなったら完成です。
- 完成後:完成したプリザーブドフラワーは、そのままアレンジメントで利用することも出来ますし、直ぐに使用しない場合は適切な方法で保管しましょう。
■アジサイの園芸分類
●花型

ガクアジサイ型:花序の形は扁平な円形の平型で、花は両性花と装飾花の2種類で構成されており、花序の外周に装飾花が並び額縁のような見た目をしています。

半テマリ型:花序の形は平型と球形の間です。花は両性花と装飾花の2種類で構成されており、花序の外周に装飾花が並び額縁のような見た目をしており、花序の中央部にも装飾花が見られます。

テマリ型:花序の形は球形または扁球形で、花の全ては装飾花であるか、または少数の両性花は装飾花に埋もれています。
●装飾花の粗密

多い:花序中の装飾花は多く密に集まります。

中程度:花序中の装飾花は中程度です。

少ない:花序中の装飾花は少なく疎らに集まります。
●装飾花の形

一重咲き:萼片の数は3~5枚で1裂に並びます。

八重咲き:萼片が二列以上に並びます。
●萼片の向き

抱え咲き:萼片が直立または半直立し、平開しません。

盃状咲き:萼片が斜上し盃のような咲き方をします。

平咲き(平開):萼片が殆ど水平に開きます。

反転咲き:萼片が水平を超え反り返りながら開きます。
●萼片の形

丸弁:丸い形状をしています。

剣弁:弁先が尖ります。

細弁:弁が細長い形状をしています。

皿状弁:萼片の縁部分が内側に緩く巻いているため皿のような形状をしています。

樋弁:萼片の縁部分が上側に湾曲して、雨樋のような形状をしています。※写真は八丈千鳥

フリンジ弁:縁部分が波打っています。

ナデシコ弁:萼片に鋸歯があり、ギザギザとした形状をしています。
連弁:萼片は隣同士で合着してくっついています。
●花の模様

ピコティー(覆輪):萼片の縁部分に沿って線状の斑(模様)が入ります。上品で洗練された印象を感じさせやすい模様です。

ベイン(脈斑):萼片の脈に沿うように入る模様です。網目状の独特な斑(模様)となるため、個性的な色彩が好きな人に好まれます。
斑点:萼片の中に円状の斑(模様)が入ります。

絞り(飛沫):萼片の中に筆で描いたような細長い斑(模様)が入ります。

爪斑:萼片の先端部に小さな斑(模様)が入ります。
アイ(弁底):萼片の基部に小さな斑(模様)が入ります。

ボカシ:色の境界が曖昧でハッキリとせず、中心から外側へ色が滲んでいるような斑(模様)が入ります。
●葉の斑

うぶ(全斑):葉全体の色が抜けて白色(クリーム色)になります。

覆輪:葉の縁部分に沿って斑が入ります。
散斑:葉の中に細かな点状の斑が入ります。

黒葉(ブラックリーフ):葉の色は黒色または暗紫色に単色です。
●葉の光沢

照り葉:葉には強い艶と光沢があり高級感があります。光を反射し、強光と乾燥に強い傾向にあります。

艶消し:葉の光沢は、照り葉と照り無しの中間にある。

照り無し:葉には光沢が無い。強光と乾燥を苦手にする傾向にあります。
■アジサイ属の主な種と園芸品種は下のリンクから紹介しています。
■アジサイの育て方
花壇の土づくり
●バイオーム
- 主なバイオーム:温帯広葉樹林・温帯林
- 原産地:日本の本州(房総半島・伊豆半島・伊豆諸島・三浦半島)
- 自生地:沿岸地の湿潤な林や林縁などに見られます。
- 気候:主に温暖湿潤気候に属します。夏の気温は高温になり、冬の気温も比較的温暖です。降水量は中程度で、特に梅雨時期に多くなります。
- 日照:半日陰から明るい日陰
- 土壌:主に黒ボク土(Andosols)などの土壌が見られます。土壌の表層に厚い腐植層があり、団粒構造が発達し、通気性・排水性・保水性・保肥力が高い、非常に肥沃な土壌が形成されています。
※バイオームについてはこちらのページも参考にしてください。
●日照条件
アジサイは、日向・半日陰・明るい日陰の範囲で育てることが出来ます。ただし、乾燥を苦手にしており、強光で葉焼けを引き起こしやすいため、日向は避けた方が無難です。また日照不足で花付きが悪くなるため、日光が当たらない暗い日陰も避けた方が無難でしょう。そのため、理想的な環境は午前中に日光が当たり午後から日陰になる半日陰になります。
日照条件の分類(参考)
- 日向:直射日光が一日を通して6時間以上当たる場所です。一般的に全方位に障害物がない、またはお庭の向きが南向きの場所になります。
- 半日陰:直射日光が3時間から5時間程度当たる場所です。一般的には、午前中のみ日が当たり、午後から日陰になる場所となります。そのため、お庭の向きは東向き、または木漏れ日がはいるような場所です。
- 明るい日陰:直射日光が二時間程度までしか当たらないか、殆ど当たらずに間接光だけで明るい場所です。一般的にお庭の向きが北向き、または建物の影など日差しを遮る障害物が多い環境です。
- 暗い日陰:森の中にあるような直射日光も間接光もほとんど当たらないような暗い場所です。
●土壌の土質
- 土質:通気性・排水性・保水性のバランスが良い壌土・埴壌土で栽培できます。土壌が砂質で極端に水捌けが良いと乾燥が早まり、栄養補給も上手くいかなかったり、逆に粘土質な硬い土壌では根張りが悪くなり生育不良を引き起こしやすくなります。
- 肥沃さ:有機物をしっかりと含む肥沃な土壌を好みます。腐葉土やピートモスなどの有機物を入れることで、土壌の団粒化が促されて物理性(通気性・排水性・保水性)が向上したり、陽イオン交換容量が高くなり保肥力が向上したり、植物が必要とする栄養分を含有するため成長を補助したりする効果が期待出来ます。
- pH:pHは5.0~7.0の弱酸性から中性の土壌で栽培可能です。花の色はpHを変えることで青色・紫色・桃色・赤色の範囲で変化するため、青色・紫色の花を楽しみたい場合はpHを酸性にし、桃色や赤色の花を楽しみたい場合はpHを中性に傾けると良いでしょう。
- 元肥:本種は栄養がしっかり含まれる土壌を好みます。そのため、植え付け前に緩効性肥料の元肥を全面施肥で混和しておくか、発酵済みの有機肥料を植え穴の底に施し、肥料に根が直接触れないよう間に土を1層被せて苗を植え付けます。
- 植え付け:苗は標準植えします。標準植えは、根鉢の肩の部分と地面を水平に合わせて、植物の根っこが完全に土に覆われるように植え付けます。
土壌診断と改善の行い方(参考)
- 排水性の診断:深さ30cm程度・幅30cm程度の穴を掘り、穴の中を水で完全に満たす。一時間あたり約3~10cmの排水があれば、一般的な植物を育てるのに適した排水性になります。※それ以下またはそれ以上である場合は排水が悪い、または排水がよすぎる可能性があります。
- 排水性の改善:花壇を高くしたり、ロックガーデンを作り、植物を植える場所を周囲より高くする。また縦穴暗渠(縦穴排水)や排水溝をつくる。
- 作土層の診断:調べたい箇所の土壌に支柱を出来るだけ深くまでさします。支柱の入った部分が30cm前後あれば一般的な植物であれば、根を張るのに十分な作土層がありますが、それ以下であれば改善が必要です。また土壌を観察して石やゴミがあれば根を伸ばすのに邪魔になるため取り除いた方が良いでしょう。
- 作土層の改善:植物を植える箇所とその周囲をシャベルを使って30cm程度の深さまで掘り起こして解します。また石がある場合は土ふるいを使用して取り除きましょう。
- 土壌(土性)の性質の診断:土壌の通気性・保水性・保肥力を知るために、土壌を砂土・砂壌土・壌土・埴壌土・埴土に分類して、植物に合わせて土壌の改良をしましょう。
- 砂土:排水性と通気性が高く乾燥しやすいため、水分過剰による根腐れを引き起こしにくい。診断は、適度に湿らせた土を触った時にザラザラとした砂の粗い感触がある。手のひらや指で捏ねても全く固まらずに簡単に崩れる。
- 砂壌土:排水性と通気性が高く乾燥しやすい傾向がある、砂土と比べると、保水性と保肥力が少しあるため、乾燥気味の土壌を好む植物などに向いています。診断は、適度に湿らせた土を触った時に砂のザラザラ・粘土のヌルヌルとした感触がある。手のひらや指で捏ねると、緩く固める事が出来るが崩れやすい。
- 壌土:通気性・保水性・保肥力のバランスが高いため土壌管理がしやすい。診断は、適度に湿らせた土を触った時に砂のザラザラ・粘土のヌルヌルとした感触がある。手のひらや指で捏ねて伸ばすと、鉛筆程度の太さの棒状まで伸ばすことが出来る。 ただし伸ばした棒を曲げるのは難しい。
- 埴壌土:保水性・保肥力が高いため乾燥しにくい傾向がある。診断は、適度に湿らせた土を触った時に粘土のヌルヌルとした感触があり、砂のザラザラも少し感じる。手のひらや指で捏ねて伸ばすと、マッチ棒程度の太さまで伸ばすことが出来て、輪っかに曲げても切れにくい。
- 土壌(土性)の性質の改善:土壌の診断をしたら、植物が求める環境に合わせて土壌改良材をいれます。
- 通気性・排水性の改善:通気性・排水性の高い土壌改良材(パーライト・日向土・川砂・バーク堆肥 など)を混ぜ込む。
- 保水性の改善:保水性の高い土壌改良材(腐葉土・ピートモス・バーク堆肥・黒土)を混ぜ込む。
- PHの診断:土壌のPHを調べる方法は土壌酸度計を土壌に突き刺すタイプ・リトマス紙を溶液に浸すタイプ・ペーハー測定器を溶液に浸すタイプ・アースチェック液を溶液に垂らすタイプ等があります。製品によって調べ方がことなるため、詳しい手順は製品の取り扱い説明書をご覧下さい。
- PHの改善:PHを診断後に植物の適正なPHに合わせて、土壌改良材を入れてPHの改善をおこないます。
- PHを酸性に改善:ピートモスを使用する場合はPHを1下げるために、1㎡あたり、ピートモスを約1.2kgを入れて混和します。
- PHをアルカリ性に改善:苦土石灰を使用してPH1上げるには、1㎡あたり苦土石灰を約100~200g入れて混和します。
- 肥沃さの診断:肥沃さは土壌の色によりある程度診断できます。土壌の色は成分や状態を示しており、簡易的に植物を育てるのに適しているか調べる事が出来ます。黒色の場合は腐植が多く肥沃な傾向があり、赤色・黄色・白色の場合は腐植が少なく肥沃でない傾向があります。
- 肥沃さの改善:土壌に堆肥または微生物資材を入れます。堆肥を入れる量は土の量に対して二割から三割程度にします。入れ過ぎると通気性・排水性・保水性のバランスが崩れて植物が育つのに不適な環境になりやすいため注意してください。
※詳しい土壌診断と改善方法はこちらのリンクからご覧下さい
鉢土づくり
●日照条件
アジサイは、日向・半日陰・明るい日陰の範囲で育てることが出来ます。ただし、乾燥を苦手にしており、強光で葉焼けを引き起こしやすいため、日向は避けた方が無難です。また日照不足で花付きが悪くなるため、日光が当たらない暗い日陰も避けた方が無難でしょう。そのため、理想的な環境は午前中に日光が当たり午後から日陰になる半日陰になります。
屋内で栽培する場合の必要光量
- 概要:アジサイの花を部屋で楽しむ目的で、一時的に部屋に置かれるのが一般的です。そのため、開花期が終わると屋外で栽培されます。
- 屋内環境:窓際で西日が当たらない場所、もしくは植物までは太陽光が直接届かないが、太陽の反射光などで十分に明るい場所です。
- 光量の目安:5000~20000Lux※1/92.5~370μmol/m2・s※2
- 注意点:屋内で管理時に光量が足らないと光合成の活動が低下して細胞の生成が滞り、生育不良になったり、茎が徒長したり、葉色が悪くなります。また逆に光量が強いと葉焼けを引き起こすリスクや乾燥が早まる可能性があるため避けてください。特に夏場の強光は強いストレスとなるため注意が必要です。
※1:Luxは物体の表面を照らす明るさの単位です。一般的に人間が感じる明るさを元に利用されていますが、植物の世界でも、植物が健康に成長するのに必要な明るさの目安、またはギリギリ生存が可能な明るさの目安として、一般的に屋内で植物を栽培される際に利用されています。
※2:μmol/m2・sはPPFDの単位です。これは植物が光合成に使用出来る400~700nmの波長域の光の強さを数値で示したものとなります。この値が大きいほどに植物の光合成が活発に行われたり、またこれが強すぎる場合は葉焼けなどを引き起こしたりします。Luxとは違い、光合成光量子束密度(PPFD)は植物に必要な光量を正確に評価する事が出来ます。
植物育成ライト
太陽光が全く当たらない場所で栽培する場合は、植物育成ライトが基本的に必要です。一般的なライトは人間が快適に過ごすため、部屋を明るくする目的で使わており、植物の成長に必要な赤色光や青色光といった波長が不足している場合が多いからです。
植物育成ライトを購入する場合はPPFDや色温度などが重要になります。詳しくは観葉植物の種類のページをご覧下さい。
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●培養土
アジサイの培養土を購入する場合は、一般的な草花や花木の培養土で良いでしょう。
培養土を自作する場合
- 培養土の特性:自生地が湿潤な林や林縁などにあり、基本的に腐植が多く、膨軟性があり肥沃な土壌です。そのため、培養土を作成する場合も、堆肥がしっかりと入っていながら、無機質の土壌改良材も入れて、通気性・ 排水性・保水性が長く保たれるものをつくります。またpH5.0~ 7.0の弱酸性~中性の土壌を好むため、pHの値にも注意しながら培養土を作成しましょう。
- 土壌改良材(無機質):通気性・排水性・保水性を改善する目的で、赤玉土や日向土などの土壌改良材を6割~7割を目安に配合します。土壌改良材の土粒は小粒・細粒を利用します。大きすぎる土粒を使うと、培養土の中に大きな空隙が出来て根の活着が悪くなり、保水性も悪くなり植物の生育が悪くなる原因となるため避けてください。
- 土壌改良材(有機質):腐葉土などの堆肥を全体の3割~4割を目安に培養土の中に配合すると、土壌の物理性・化学性・生物性を改善して、根の活着を高めて根張りをよくしたり、栄養素を含有しており、微生物の働きを促進して土質を改善したり、植物の栄養補給に寄与する働きがあります。
- pH:pHは5.0~7.0の弱酸性から中性の土壌で栽培可能です。花の色は、花弁に含まれるアントシアニンとアルミニウムが結合することで変化します。このアルミニウムはpHが酸性に傾くことで土壌から溶出し、アジサイに吸収されるため、pHが変化することで花色が変化します。そのため、花の色を青色・紫色にしたい場合はpHを酸性にし、桃色や赤色にしたい場合はpHを中性に傾けると良いでしょう。
- 元肥:本種は栄養がしっかり含まれる土壌を好みます。そのため、植え付け前に緩効性肥料の元肥を全面施肥で混和しておきましょう。
培養土の配合例
- 庭木
- 基本配合:赤玉土(小粒)6割+腐葉土4割+元肥適量
- 培養土が長持ちする配合:赤玉土(小粒・中粒)3割+日向土4割+バーク堆肥3割+元肥適量
- 肥沃な配合:赤玉土6割+腐葉土2割+完熟牛糞堆肥2割+元肥適量
水やりの仕方
アジサイは、自生地が日陰の林の中にあり、基本的に一定の湿り気がある環境を好み、水切れを起こすと葉が萎れたり、芽が乾燥で枯れやすい傾向にあります。そのため、土壌や株の状態を見ながら、水やりを行うことがとても大切です。
●栽培環境
- 地植え:基本的に降雨に任せて育てることが出来ます。ただし、夏の季節は高温や強光で乾燥しやすいため水切れしやすく、また雨が降らず土壌が乾燥していたり、土壌が砂質で乾燥しやすい状態にあったり、日向などの乾燥しやすい場所で育てたりしている場合は水やりが必要となります。
- 鉢植え:地植えと比べて、土の容量が限られるため乾燥がかなり早いです。そのため、定期的な水やりが必要となります。
●水やりの方法
- 春の水やり:株は生育旺盛で、多くの水を必要とします。そのため、土壌の表面が乾燥したタイミングで水をたっぷり与え、土中の空気も入れ替えます。
- 夏の水やり:この時期は、特に乾燥しやすいため、水やりの頻度が多くなる傾向があります。朝の涼しい時間帯に土壌の表面が乾燥したタイミングで水をたっぷり与えることが基本ですが、夏場は乾燥が早く、水切れして株が弱りやすいため、土壌や株の状態を見ながら、必要に応じて夕方にも水を与えましょう。ただし、真昼の高温時に水やりを行うと、土の中で水がお湯になり根を傷めることがあるため避けてください。
- 秋の水やり:株の成長は緩やかになりますが、花芽形成などを行っており、生育期間中となります。そのため、土壌の表層が乾燥したタイミングで水をたっぷり与え、土中の空気も入れ替えます。
- 冬の水やり:冬は休眠期のため、水分の必要量が減ります。ただし、土壌が完全に乾燥すると、植物も乾燥し、枝についた花芽などが枯れることもあるため、土壌の表層が乾燥したら、必要に応じて水を与えた方が良いでしょう。
土壌の乾燥の確認方法
- 土壌表面の乾燥:土壌の表面の乾燥とは、土壌の最も上の部分の表面が乾燥している事です。土壌表面の乾燥の確認方法には目視・触感があります。
- 目視で確認:土は濡れているなら色が濃くなったり黒っぽくなったりしていて、乾燥すると色が白っぽくなります。
- 触感で確認:土の表面を指で触ってみます。土は濡れていると湿り気があり、乾燥しているとサラサラとしています。
- 土壌の表層の乾燥:土壌の表層の乾燥とは土壌の表面から5cm以下が乾燥していることになります。※土壌の表層の定義は様々ありますが、ここでは土の表面から5cm程度の深さと定義しています。
- 目視で確認:透明な植木鉢を使用して植物を育てます。透明で土の色の変化が分かるため、土表面から5cm以下の土の色が白っぽくなってきたら水やりを行います。
- 重量で確認:鉢植えで育てている場合は、水分量で鉢の重量が変わるため、土が乾燥した時の軽さを覚えておいて土の乾きを判断します。
- 道具で確認:割り箸・竹串などを用土の中に差してみて、引き上げた時の割り箸・竹串の色と湿り気を見て乾燥具合を確認します。
- 専用の道具:サスティーを土壌にさして使用します。サスティーは土壌が乾くと色が変化して水やりのタイミングを教えてくれます。
肥料の与え方
アジサイは土壌が十分に肥沃であれば肥料を施さなくても栽培出来ますが、成長が始まる晩冬(寒肥)と花が終わった後(お礼肥)に肥料を与えることで、株が大きく成長し、開花にもよい影響を与えることができます。そのため、堆肥・元肥・寒肥・お礼肥を意識して肥料を与えると良いでしょう。
肥料を与える時の注意点として、リン酸がアルミニウムと結合することで植物に吸収されにくくなることがあります。また肥料のpHが酸性またはアルカリ性で花色に大きな影響を与えるため、製品の説明欄のpHも注意して見た方が良いでしょう。
●堆肥の与え方
- 堆肥を入れる時期:植え付け時、または冬から早春に堆肥を入れます。
- 堆肥の入れ方:堆肥の入れ方は地植えと鉢植えでかわります。
- 地植え:植付けや植付け時などに土壌改良を行い堆肥を入れて混和する。または株の周囲に堆肥を盛ったり、株の周囲に穴を掘り堆肥を入れます。
- 鉢植え:植え替え時などに堆肥がしっかり入った新しい培養土を使う。または古い土を再利用する場合は、日光消毒などをした上で、新しい培養土または腐葉土を2割から3割を混ぜて再利用する。
●肥料の与え方
- 元肥:元肥は植付け前に土壌の中にあらかじめ入れて施す肥料です。
- 肥料の成分:一般的には窒素・リン酸・カリがバランスよく入る肥料を選びますが、花つきに好影響を与えたい場合はリン酸が多く入る肥料を選び、また青花を咲かせたい場合はリン酸が少ない肥料を選びます。
- 肥料の製品:有機肥料(植付け前)・緩効性肥料・配合肥料がおすすめです。
- 施し方:全面施肥・溝施肥(有機肥料)
- 全面施肥:植物を植付ける土壌・培養土の中に、規定の量の元肥を入れて、偏りがないように混和する方法です。有機肥料を使用する場合は発酵時のガスや高温で根を傷める事もあるため、植付け2週間程度前に肥料を入れて混和する。
- 溝施肥:植物の植付けを行う場所に深さ20cm程度の穴を掘り、溝(穴)の中に有機肥料を入れる。有機肥料に根が直接触れないよう間に土を1層被せて、苗の高さを調節しながら植付けを行います。
- 寒肥:寒肥とは、植物が休眠または成長が緩やかになってる冬の時期に与えられる肥料です。春の成長時期に栄養が出てくるように考えられて施されるため、一般的に有機肥料・有機配合肥料・緩効性肥料が使用されることが多いです。
- 肥料を与える時期:晩冬頃(1月~2月頃)
- 肥料の成分:一般的には窒素・リン酸・カリがバランスよく入る肥料を選びますが、花つきに好影響を与えたい場合はリン酸が多く入る肥料を選び、また青花を咲かせたい場合はリン酸が少ない肥料を選びます。
- 肥料の製品:固形肥料(有機肥料・有機配合肥料・緩効性肥料など)がおすすめです。
- 施し方(固形肥料):固形肥料の与え方は製品により置き肥タイプ・差し込みタイプ・埋め込みタイプがあります。製品に合わせて、規定された分量・規定された頻度・規定された方法で施しましょう。
- お礼肥:花や実がなった後に消耗したエネルギーを補う目的や、翌年の開花や結実をよくする目的で、植物に与えられる肥料です。
- 肥料を与える時期:花後(6月~9月頃)
- 肥料の成分:一般的には窒素・リン酸・カリがバランスよく入る肥料を選びますが、花つきに好影響を与えたい場合はリン酸が多く入る肥料を選び、また青花を咲かせたい場合はリン酸が少ない肥料を選びます。
- 肥料の製品:基本的に肥効が素早く出る液肥・固形肥料(有機肥料・有機配合肥料・緩効性肥料など)がおすすめです。
- 施し方(液肥):液肥を規定された分量の水で希釈して、約10~14日の頻度で与えます。液肥は1箇所にかけるのではなく、植物の株元を中心に根が張っている範囲にまんべんなく、全ての根に液肥が行き渡るように施しましょう。
- 施し方(固形肥料):固形肥料の与え方は製品により置き肥タイプ・差し込みタイプ・埋め込みタイプがあります。製品に合わせて、規定された分量・規定された頻度・規定された方法で施しましょう。
剪定のやり方
アジサイは剪定せずに育てる事も出来ますが、より健康で美しい株を維持するために剪定が推奨されます。例えば、剪定により、株の概形がコンパクトにまとまり洗練された見た目になります。さらに古い茎を剪定して新しい茎を伸ばすことでエネルギーが集中し大きく美しい花が咲きやすくなります。
またアジサイは一般的に旧枝咲きですが、新旧両枝咲きの品種等もあり、剪定の方法が違ってくるため、栽培している品種を確認し、剪定することも大切になります。
●旧枝咲きの剪定方法
通常の株の剪定
- 株立ち仕立て:本種の生育型は叢生型(株立ち)で、その中でも幹(主枝)の寿命が中程度に分類されます。そのため、幹は数年ごとに樹勢が落ち枯れます。本種の剪定では、若い幹を切り戻したり、この古い幹を定期的に剪定することが主要な剪定となります。
- 剪定時期:開花後の6月~7月頃に行うのが最適です。花芽分化の始まる8月以降に強い剪定をすると、翌年に花が咲かなくなることもあるため注意が必要です。
- 枯れ幹・不要な幹(主枝)の除去:株を観察し、枯れた幹・折れた幹・病気の幹を探し、地際から剪定して取り除きます。
- 若い幹の切り戻し:花がら摘みの要領で、花後の茎に葉の付いている節を2~3節残しながら、充実した芽の上で切り戻し剪定します。
- 古い幹(主枝)の除去:株を観察し、数年(約3~5年)成長し樹勢が落ちた古い幹(幹の色が褪せている・幹が太い・幹の丈が高い等)を探し、株全体のバランスを見ながら、不要と感じる古い幹または枝を根元から剪定して取り除きます。
- 外観を整える:株全体を観察して、歩道などに侵入するように横に広がる枝がある場合は、邪魔にならない場所まで切り戻すか、幹の根元または2~3節だけ残して強剪定しましょう。
花持ち良い品種の剪定
- 概要:旧枝咲きの内、株のサイズが矮性でコンパクトな品種や、花持ちがよい品種は、一般的なアジサイの剪定と異なる剪定がされることもあります。
- 剪定時期:3月頃に行います。3月頃まで花を残す事で、寒風や霜で芽が傷むのを防ぎ、また芽吹きを確認してから剪定することで、花芽を剪定するリスクを低減できます。
- 花がら摘み:最初に枯れた花が残っている場合は、これを下で剪定し取り除きます。
- 枯れ幹(主枝)・不要な幹(主枝)の除去:株を観察し、枯れた幹・折れた幹・病気の幹を探し、地際から剪定して取り除きます。
- 古い幹(主枝)の除去:株を観察し、数年(約3~5年)成長し樹勢が落ちた古い幹(幹の色が褪せている・幹が太い・幹の丈が高い等)を探し、株全体のバランスを見ながら、不要と感じる古い幹または枝を根元から剪定して取り除きます。
- 若い幹(主枝)の剪定:若い幹を観察して枝の上部にある「芽吹いた緑色の芽」と「乾燥した茶色の芽」を探します。芽吹いた芽は花を咲かせるため残します。干からびた茶色の芽は枯れているため、生きている芽のすぐ上から剪定して、不要な芽を取り除きます。
●新旧枝咲きの剪定方法
- 株立ち仕立て:本種の生育型は叢生型(株立ち)で、その中でも幹(主枝)の寿命が中程度に分類されます。そのため、幹は数年ごとに樹勢が落ち枯れます。本種の剪定では、若い幹を切り戻したり、この古い幹を定期的に剪定することが主要な剪定となります。
- 剪定時期:春と夏の期間に行います。秋に剪定すると翌年の早い時期の開花に悪影響を及ぼすため、必ず春の芽吹きまで待ってから剪定しましょう。
- 早春(春)の剪定:株全体の枝数を減らしたり、高さを調節し、樹形を整える剪定です。
- 枯れ幹(主枝)・不要な幹(主枝)の除去:株を観察し、枯れた幹・折れた幹・病気の幹を探し、地際から剪定して取り除きます。
- 古い幹(主枝)の除去:株を観察し、数年(約3~5年)成長し樹勢が落ちた古い幹(幹の色が褪せている・幹が太い・幹の丈が高い等)を探し、株全体のバランスを見ながら、不要と感じる古い幹または枝を根元から剪定して取り除きます。
- 若い幹(主枝)の剪定:若い幹を観察して枝の上部にある「芽吹いた緑色の芽」と「乾燥した茶色の芽」を探します。芽吹いた芽は花を咲かせるため残します。干からびた茶色の芽は枯れているため、生きている芽のすぐ上から剪定して、不要な芽を取り除きます。
- 外観を整える:樹形が悪い場合は、必要に応じてドーム状に剪定して見た目を整えることが出来ます。ただし剪定を行い過ぎると、花の数が減ることもあるためバランスを見て剪定しましょう。
- 夏の剪定:再開花を促す目的で剪定をします。
- 花がら摘み:花が色褪せたら、花から2節~5節下に戻り、葉が付いてる節の上で剪定します。この作業を行うことで次の花が咲きやすくなります。
夏越しする方法
アジサイは、それほど夏越しが難しい植物ではありません。ただし、強光や乾燥は苦手にしています。例えば、強光は光合成を阻害して生育不良を引き起こしたり、細胞を破壊して葉焼けを引き起こしたりします。また乾燥は萎れや深刻だと枯れを招きます。そのため、夏越し対策として強光・乾燥の予防が重要となります。
●夏越し対策一覧
- 水やり:夏は高温で土壌が乾燥しやすいため、土壌の表面が乾燥したのを確認したら、朝の涼しい時間帯、また必要に応じて夕方にも水やりを行います。
- 日差しを避ける:この対策法は高温・強光・乾燥対策になります。鉢植えで育てている場合は、直射日光が当たらない軒下などに移動しましょう。地植えする場合は、夏に栽培することも考えて適切な場所に植えて下さい。
- 日除けをつくる:この対策法は高温・強光・乾燥対策になります。植物と太陽の間に遮光ネットを張り強光を遮ります。
- マルチング:この対策法は乾燥・病気対策になります。地面の表面をバークチップや藁などのマルチング資材で覆います。急激な地温の上昇を防ぎ、高温による蒸発、泥はねからの病気の感染なども防いでくれます。
冬越しする方法

Hardiness:6~9
アジサイは耐寒性が高く冬越しの準備をする必要は基本的にはありません。
ただし、寒風で花芽が傷む可能性があります。そのため必要に応じて植物をカバーで覆い寒風から保護しましょう。
挿し木や株分けで増やす
アジサイは挿し木によって増やす事ができます。
●挿し木の方法
- 概要:茎を採取して、この茎の長さや葉の数を調節し、切り口を土に挿して繁殖させる無性生殖の1種です。
- 挿し木時期:発根率の高い晩春から初夏頃が適します。また前年の枝を利用し晩冬から早春に熟枝挿しを行うこともできます。
- 培養土の準備:培養土は切り口が腐敗して吸水を阻害しないように、無菌のものを利用します。一般的にはバーミキュライト・赤玉土・パーライト・ピートモスなどが利用されていますが、専用の培養土もあるため近くのホームセンターで探すのも良いでしょう。
- 挿し穂の採取:晩春から初夏に行う場合は、当年枝の挿し穂を使用します。挿し穂は弾力があり健康な部分をカットして利用しましょう。 晩冬から早春の挿し穂は前年枝の健康な枝を使用します。
- 挿し穂の整形:挿し穂は長さを10~15cm程度にわけて、当年枝を使用する場合は、挿し穂の上部の2枚の葉以外の葉を取り除き、残した葉も半分にカットします。次に茎の下部分、節の少し下を斜めにカットして吸水部分を広くしておきましょう。
- 水揚げ:整形した挿し穂の切り口をボウルなどに入れた水に約1時間浸し、十分に吸水させます。
- 培養土に挿し穂を挿す:挿し穂を挿す場所を決めます。培養土の中に、割り箸等を利用して、事前に穴を開けておきます。挿し穂の切り口を下向きにして、培養土の中に挿し穂を入れましょう。通常は挿し穂の1/3程度を入れます。
- 管理:明るい日陰で土壌が完全に乾燥しない様に水やりを行いながら管理しましょう。











