- 原産:日本
- 科:アジサイ(Hydrangeaceae)
- 属:アジサイ/ハイドランジア(Hydrangea)
- 種:コアジサイ(hirta)
別名:シバアジサイ/ネトルリーブ・ハイドランジア(nettle-leaved hydrangea) - 開花時期:6月~7月
- 花の色:青色●白色〇
- 葉の色:緑色●
- 分類:落葉低木
- 草丈:約50~150cm
- 用途:日陰植物/切り花
目次 | ||
| ||
花壇土 | 鉢土 | 水やり |
肥料 | 剪定 | 夏越し |
冬越し | 増やし方 | 病気 |
コアジサイとは!?
コアジサイは学名Hydrangea hirta、別名「シバアジサイ」や「ネトルリーブ・ハイドランジア(nettle-leaved hydrangea)」とも呼ばれる日本原産の落葉低木です。日本では、本州(関東より西)・四国・九州に分布して明るい林内や林縁等に自生しています。
コアジサイの語源(由来)
- 属名のHydrangeaは、古代ギリシア語で「水」を意味する「ὕδωρ(húdōr)」と、「容器」を意味する「ἀγγεῖον(angeîon)」の2語からきており、水を入れるカップの様な形状をした果実の形に由来すると言われています。
- 種小名のhirtaはラテン語で「毛深い」「短い剛毛のある」を意味しており、葉や茎に毛がある事に由来します。
- コアジサイの由来は花が小さい事からきています。
コアジサイの特徴(魅力)
- コアジサイは普通のアジサイと比べて全体的に小さく、花は小さな両性花のみで構成されています。
- また両性花からは濃い青色の長い雄蕊(花糸)が突出するため、開花期には霞がかったような幻想的な雰囲気をつくり、花は甘い香りを漂わせます。
- 樹形は株立ち状で、地際から多数の茎を伸ばし、茎は非常によく枝分かれして広がる傾向にあります。
- 茎は粗い毛が生えており、種小名hirta(毛深い)の由来にもなっています。
- コアジサイの花は直径約5cmと他のアジサイと比べて小ぶりで、装飾花を持たず、両性花のみで構成されています。
- 両性花は雄蕊と雌蕊の両方をもった小花です。両性花は直径約0.4cmと非常に小さく、散房状(茎下部の花柄ほど長く頂部に花が集まる)に小花が多数集まります。
- 花弁の色は白色から青色、雄蕊(花糸)は濃い青色をしています。
コアジサイの樹高は約50(~150)cm、樹形は株立ち状(地際付近から幹・枝が立ち上がる茂る樹形)です。茎はよく枝分かれして広がる傾向があり、茎の色は緑色から赤色、粗い毛がはえており、木質化した樹皮は灰褐色から褐色、古くなると縦に裂けて薄く剥がれます。
葉序は対生葉序、葉色は緑色、疎らに粗い毛が生え、葉身の大きさは長さ約5(~8.5)cm、、葉身の形は卵形もしくは楕円形、縁部分に大きめの鋸歯があります。
花序は散房花序、散房花序は大きさが5cm、形は半球状、両性花のみで構成されています。両性花は直径0.4cm、花弁が5個、花弁の色は青色・白色があり、雄蕊は10個、雄蕊(花糸)の色は濃い青色です。果実は蒴果(複数の心皮からなり果皮が裂開して種子を放出する)、蒴果は長さ0.3cm、形は球形です。
コアジサイの園芸品種の紹介
アジサイ(ハイドランジア)の主な種と園芸品種は下のリンクから紹介しています。
アジサイ(ハイドランジア)の珍しい種類、主な種と園芸品種の紹介【2022】
コアジサイの育て方
花壇の土づくり
日当たり
コアジサイは半日影(直射日光3~5時間)から間接光の当たる明るい日陰までで育てられます。基本的に強い日差しや乾燥を好まないため、日向(直射日光6時間以上)は避けた方が無難です。
土壌の土質
コアジサイは通気性と保水性のバランスがよく水分が均一に保たれる状態にあり、また有機物(腐植)がしっかり入る肥沃な土壌を好みます。そのため植え付け前にしっかり土壌診断を行い、通気性と保水性のバランスがよい肥沃な壌土に改善してから植え付けを行いましょう。
- 土を掘る時に土が硬い場合は作土層が十分でない可能性があります。
- スコップで土を深くまで掘り返し石等を取り除きます。
- 適度に濡れた土を、手にとり握って土塊を作り、通気性・保水性などを診断します。
- 手のひらを開き土の塊がバラバラと崩れる場合は通気性と排水性の高い砂壌土や砂土に近い土壌です。栄養の乏しい土壌や乾燥に強い植物にむきます。
- 保水性を改善したい場合は保水性を高める用土(堆肥や黒土など)を入れると良いでしょう。
- 手のひらを開いても土の塊は崩れず、土塊を軽く指で押すと崩れる場合は通気性と保水性のバランスが良い壌土に近い土壌です。幅広い植物に向く土壌です。
- 植物に合わせて保水性を好む植物であれば保水性を高める用土(黒土なバーミキュライト等)を入れたり、乾燥を好む植物であれば排水性や通気性を高める用土(川砂やパーライトなど)を入れましょう。
- 手のひらを開いても土の塊が崩れず、指で押しても崩れる感じがない場合は粘土質で水捌けが悪い土壌の可能性があります。必要に応じて排水性・通気性を高める用土(川砂・パーライト等)を混和しましょう。
- 手のひらを開き土の塊がバラバラと崩れる場合は通気性と排水性の高い砂壌土や砂土に近い土壌です。栄養の乏しい土壌や乾燥に強い植物にむきます。
- 土壌に入る有機物の量を診断しましょう。土の色を見て、有機物が沢山入る肥沃な土の場合は有機物(腐植)が多く含むため土の色が黒っぽくなります。一方で有機物(腐植)が少ない場合は土の色が薄くなります。
- 土壌の状態とバランスを見ながら、2割から3割を目安に堆肥(腐葉土・バーク堆肥等)を土壌に混和しましょう。
鉢土づくり
日当り
コアジサイは半日影(直射日光3~5時間)から間接光の当たる明るい日陰までで育てられます。基本的に強い日差しや乾燥を好まないため、日向(直射日光6時間以上)は避けた方が無難です。
培養土
コアジサイは一般的な草花の培養土で育てられます。自作する場合は通気性と保水性のバランスが良く肥沃な培養土で育てましょう。
- 赤玉土(小粒・中粒)+腐葉土=6:4
- 黒土+腐葉土+パーライト(極小粒)=5:3:2
水やりの仕方
コアジサイは茎葉の健康な成長や大きな花を咲かせる為にも、生育期間中は十分な水分を必要とします。過剰な水分の含まれるジメジメとした土壌はよくないですが、水分が均一に含まれる状態を好むため、土壌の表面が乾燥してきたら水をしっかり与えるようにしましょう。
肥料の与え方
コアジサイの肥料は、晩冬から早春に1回、晩春から初夏に数回、花後に1回、計3回行います。基本的に肥沃な土壌を好むことから、晩冬から早春は堆肥と寒肥を与え、晩春と初夏には軽い追肥、花後には翌年の開花のためお礼肥を与えます。
コアジサイの寒肥と堆肥の与え方
- 寒肥は晩冬から早春に与える肥料です。
- 肥料の種類は、肥沃な土を好むため有機肥料(配合肥料)が理想ですが、緩効性肥料でも問題ありません、成分は水平型肥料(肥料成分がバランスよく入る)を選びましょう。
- 寒肥は株元から少し離れた場所に穴を掘り肥料を入れるか置き肥しましょう。
- 有機肥料の場合は匂い等で虫がよってくる可能性があるため、株から少し離した場所に穴を掘り肥料を与えた方が良いでしょう。
- 緩効性肥料の場合は株の近くの土の上に置く、置き肥で問題ありません。
- 堆肥とは有機物が微生物により分解された肥料もしくは土壌改良材です。生態サイクルのない庭の花壇や鉢植えは、風雨や微生物の働き等により、土壌が年々劣化していき土が硬くなったり水はけが悪くなったりします。堆肥には【化学性・物理性・生物性】を高める効果があり、劣化した土を肥沃(植物の生育がよく生産性が高い土)な土に変える働きがあります。
- 堆肥は寒肥を与える時期(初冬から早春の間)に、寒肥と一緒に与えると良いでしょう。株から少し離れた場所に堆肥(腐葉土もしくは牛糞堆肥等)を盛ってマルチングするか、穴を掘って堆肥を埋めましょう。
コアジサイの追肥の与え方
- コアジサイの追肥は晩春から初夏(5月~6月)に行います。
- 追肥は液肥もしくは化成肥料で与えると良いでしょう。
- 液肥の場合は規定された分量で希釈して約7~14日に1回のペースで水やりの際に一緒に液肥を与えるとよいでしょう。
- 化成肥料を与える場合は規定された量を与えましょう。
コアジサイのお礼肥の与え方
- コアジサイのお礼肥は開花後の初夏から秋(5月~6月)に行います。
- お礼肥は翌年の開花のため株を充実させる目的で有機肥料(発酵油カス)もしくは配合肥料を与えると良いでしょう。追肥に近いため、効果が早く出る発酵済みのものがおすすめです。
- 有機肥料は匂い等で虫がよってくる可能性があるため、株から少し離れた場所に穴を掘り肥料を入れて土を上から被せましょう。
おすすめの発酵油カス
剪定のやり方
コアジサイを剪定する目的は高さを抑え樹形を維持して、綺麗な花を咲かせる事にあります。剪定せずに育てる事も出来ますが、茎がどんどん伸びて樹形を悪くしたり、花が小さくなる事があります。
コアジサイの剪定方法
- コアジサイの剪定は花後すぐに行いましょう。
- 8月以降に剪定すると花芽を切ってしまい翌年の開花に悪い影響を与えるからです。
- 剪定は花が終わったら花の2~5節下、最低でも茎に葉を4枚残して切り戻し剪定を行いましょう。
- 株全体を観察しながら中央を少し高く、外側を低く剪定するとドーム状の綺麗な樹形になりやすいです。
- ただし完全に枯れてしまっている茎は季節を問わず何時でも剪定できます。日当たりや風通しを悪くして、健康な成長を阻害するため根元から間引き剪定しましょう。
- 落葉期の晩冬から早春は葉が落ちているため不要な茎を確認しやすいです。枯れた枝・芽のない枝・内側を向いた細い枝等の不要な枝を根元から間引きしましょう。間引きする事で他の枝に栄養が周り大きな花を咲かせる事にも繋がります。
夏越しする方法
コアジサイは夏の暑さでも問題なく成長しますが、強い日差しで葉焼け(葉の縁部分や一部が褐色に変色して萎れや落葉を招く症状)を引き起こしたり、乾燥により株全体が萎れ元気がなくなることがあります。そのため必要に応じて夏越し対策を行いましょう。
コアジサイの夏越し対策
- 西日の当たる環境は【強い暑さ・強い日差し・乾燥】などの複合的なストレスがかかり、茎葉が枯れたり萎れたりして株が弱りやすくなるため避けた方が良いでしょう。
- 鉢植えであれば西日の当たらない場所に移動します。
- 地植えであれば西日の当たらない場所に植えたり遮光ネットを利用したりしましょう。
- 乾燥を苦手にしていることから土の表面が乾燥してきたら水やりをしっかり行います。
- 特に鉢植えで育てている場合は、乾燥がより早くなるため注意が必要です。
冬越しする方法
Hardiness:6b~9a
コアジサイは冬になると葉を落としますが、寒さに強く基本的に冬越し対策は不要です。ただし寒風で花芽が傷む可能性があります。そのため必要に応じて寒冷紗を株に巻き寒風対策を行いましょう。
挿し木や株分けで増やす
コアジサイは挿し木によって増やす事ができます。
- コアジサイの挿し木時期は熟枝挿し(晩冬から早春)もしくは半熟枝(初夏)が適します。
- 挿し穂の長さ約10~15cmにわけます。
- 挿し穂の下部の葉を取り除き、上部の葉は残しますが、大きいため葉の半分をカットしましょう。
- 熟枝挿しの場合は葉がありません。
- 茎の下部分を斜めにカットして吸水部分を広くします。
- 挿し穂用の無菌の培養土を準備します。切り口を下にして培養土の中に挿し穂を挿します。
- 明るい日陰で土壌が完全に乾燥しない様に水やりを行いながら管理しましょう。
播種で増やす
コアジサイの種蒔の方法
播種時期:
発芽適温:約
発芽日数:
発芽条件:
植物の病気
コアジサイの病気
- うどん粉病
- 斑点病
- 炭素病
- ウィルス病
コアジサイの害虫
- ハダニ
- スリップス
- アブラムシ