- 原産:ポルトガル/スペイン/フランス/イタリア
- 科:シソ(Lamiaceae)
- 属:ラヴァンドラ(Lavandula)
- 種:ラティフォリア(latifolia)
- 英名:スパイク・ラベンダー(spike lavender)
- 別名:ヒロハ・ラベンダー/ラベンダー・ラティフォリア/ブロードリーブド・ラベンダー(broadleaved lavender)/ポーチュギーズ・ラベンダー(Portuguese lavender)
- 開花時期:6月~9月
- 花の色:青色●紫色●
- 葉の色:緑色●白色〇
- 香り:花・葉
- 分類:常緑低木
- 草丈:約30~100cm
- 誕生花:
- 花言葉:
- 用途:カラーリーフ/香りが良い/切り花
目次 | ||
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花壇土 | 鉢土 | 水やり |
肥料 | 剪定 | 夏越し |
冬越し | 増やし方 | 病気 |
スパイク・ラベンダーとは!?
スパイク・ラベンダーは学名Lavandula latifolia、別名「ヒロハ・ラベンダー」や「ラベンダー・ラティフォリア」等とも呼ばれるポルトガル及びスペイン、フランス、イタリアが原産の常緑低木です。
スパイク・ラベンダーの語源(由来)
- 属名のLavandulaの由来は諸説あり、一説にはラテン語で「青みがった」を意味する「lividus」からきている説、古代ローマ人が入浴時の香水として利用したり洗濯に利用していたことから「洗っている」を意味する「lavo」もしくは「洗浄」を意味する「lavare」からきていると言う説の2説があります。
- latifoliaはラテン語で「広い」を意味する「lati」と、ラテン語で「葉」を意味する「folia」の2語からきており、幅の広い葉に由来しています。
- 英名スパイク・ラベンダーの由来は、恐らく花穂(spike)が多いラベンダー(lavender)からきています。
- 和名ヒロハ・ラベンダーは葉が広い事に由来します。
スパイク・ラベンダーの特徴(魅力)
- スパイク・ラベンダーは樟脳の含有量が多いためイングリッシュラベンダーと比較して刺激的な香りがあり、直立する茎に複数の花穂をつけます。
- 花はイングリッシュラベンダーに似た花を咲かせますが、直立する茎が枝分かれして複数の花穂をつけます。
- 萼は筒状で花弁のように青色や紫色に色付き装飾的です。
- 萼からはシソ科でよく見られる唇形の花が咲きます。
- スパイク・ラベンダーの葉は細長いですが、イングリッシュラベンダーと比較すると幅広くなる傾向にあり、和名ヒロハ・ラベンダーの由来にもなっています。
- 葉は白色の腺毛が密生するため灰みを帯びた白緑色(~白色)の外観をしており、シルバーリーフの様な上品な印象を与えます。
- スパイク・ラベンダーは樟脳を多く含んでいるため、甘い香りがするイングリッシュラベンダーと比べ、薬品などを思わせるような刺激的な香りがあります。
- スパイク・ラベンダーに含まれる主な精油はリナロール(約20~40%)・酢酸リナリル(約20~30%)・樟脳(約10~20%)・シネオール(約10~20%)等です。
- リナロールは柑橘類やブルーベリーやバラ等に例えられる甘く華やかな香りがあり、風味は甘くフルーティーです。精油は化粧品やアロマテラピー等の様々な場面にも使われており、精油の効果にはイライラや興奮といった神経系の過活動を抑える働き(鎮静効果)や、不安や緊張を和らげる効果(抗不安効果)等があります。
- 酢酸リナリルはラベンダーやベルガモット(柑橘類)等に例えられる甘い香りがあります。精油はアロマセラピー等に利用されており、精油の効果には、痛みを抑える鎮痛作用や、イライラや興奮といった神経系の過活動を抑える鎮静作用があります。
- 樟脳はクスノキや薬品等に例えられるスッキリとした爽やかな香りがあります。精油は医薬品や防虫剤等に幅広く利用されており、精油の効果には抗菌作用・抗ウィルス作用・防虫作用等があります。
- シネオールは「ユーカリ」や「樟脳」等に例えられるスッキリとした爽やかな香りがあり、精油の効能には集中力を高め記憶力を上げる効果があるとされています。
- スパイク・ラベンダーに含まれる主な精油はリナロール(約20~40%)・酢酸リナリル(約20~30%)・樟脳(約10~20%)・シネオール(約10~20%)等です。
- スパイク・ラベンダーの茎・葉・萼には腺毛があり、腺毛からは液体(精油)を分泌しており香りを漂わせています。
- また腺毛には精油が多く含まれているため、茎・葉・萼を手で触ったりして壊すと強い香りを周囲に漂わせます。
- 花(萼)は乾燥しても色褪せが少ないためドライフラワーとしてよく利用されており、乾燥した後も香りが失われず残るためポプリ等に利用されたりします。
- スパイク・ラベンダーはイングリッシュラベンダーと違い食べると有毒な樟脳を多く含有するため、あまり食用には向きません。
- スパイク・ラベンダーは非常に少ない水と肥料で育つため、環境が合えば殆ど放ったらかしでも育てる事が出来ます。
- ただし多湿を許容しないため、特に夏場などは雨に当てないなどの工夫が必要です。
- また茎は木質化すると芽を生成する事が殆どなくなるため、木質化を遅らせる剪定がとても重要です。
スパイク・ラベンダーの樹高は約30(~100)cm、樹形はブッシュ状で、茎は根元付近でよく枝分かれして直立します。若い茎の色は緑色、白色の腺毛が生えるため白緑色(~白色)の外観をしています。成熟した茎は木質化して灰褐色もしくは褐色になります。葉序は対生葉序、葉色は緑色、白色の腺毛が多い場合は白緑色(~白色)の外観をしています。葉身の大きさは長さ約2(~6)cm、幅は約0.2(~8.5)cm、葉身の形は披針形もしくは線形です。花序は輪散花序、輪散花序は長さ約2(~5)cmで直立する茎に複数つきます。萼(蕾)は筒状で色は緑色・紫色・青色があり腺毛が密に付いています。花冠は唇形花、唇形花は上唇が2裂して下唇が3裂します。果実は分離果(雌蕊が複数室をもつ子房をもっており熟すと子房がそれぞれ縦に割れて分離します)です。
スパイク・ラベンダーの園芸品種の紹介
ラベンダーの主な種と園芸品種は下のリンクから紹介しています。
ラベンダーのおすすめの種類、主な種と珍しい園芸品種【2022】
スパイク・ラベンダーの育て方
花壇の土づくり
日当たり
スパイク・ラベンダーは日光のよく当たる場所で最も生産性が高まり沢山の花を咲かせます。そのため直射日光が6時間以上あたる日向が理想です。また直射日光が3時間から5時間の半日影までで育てられます。日当たりの悪い環境では花数が減ったり、徒長して茎が倒れやすくなったりするためさけたほうがよいでしょう。
土壌のPH
スパイク・ラベンダーは酸性土壌にも耐えますが、PH6.5~7.5の弱アルカリ性の土壌を好みます。PHが低すぎると生育不良になる可能性が高くなるため、植付け前にPHを診断して、PHが低い場合は苦土石灰を入れる等してPHの改善を行いましょう。
土壌の土質
スパイク・ラベンダーは地中海沿岸の岩場などに自生しており、もともと栄養の乏しい土壌や乾燥した土壌に強い植物です。逆に、粘土質な土壌や有機物が豊富に入る肥沃な土壌を苦手にしています。何故なら、じめじめとした状態が続いたり、蒸れたりすると、根腐れや腐敗等をまねいて生育不良になり枯れる事があるからです。そのため植え付け前に土壌診断を行い、水捌けが良く有機物が少なめの砂壌土に改善してから植え付けを行いましょう。
- 土を掘る時に土が硬い場合は作土層が十分でない可能性があります。
- スコップで土を深くまで掘り返し石等を取り除きます。
- 適度に濡れた土を、手にとり握って土塊を作り、通気性・保水性などを診断します。
- 手のひらを開き土の塊がバラバラと崩れる場合は通気性と排水性の高い砂壌土や砂土に近い土壌です。栄養の乏しい土壌や乾燥に強い植物にむきます。
- 保水性を改善したい場合は保水性を高める用土(堆肥や黒土など)を入れると良いでしょう。
- 手のひらを開いても土の塊は崩れず、土塊を軽く指で押すと崩れる場合は通気性と保水性のバランスが良い壌土に近い土壌です。幅広い植物に向く土壌です。
- 植物に合わせて保水性を好む植物であれば保水性を高める用土(黒土なバーミキュライト等)を入れたり、乾燥を好む植物であれば排水性や通気性を高める用土(川砂やパーライトなど)を入れましょう。
- 手のひらを開いても土の塊が崩れず、指で押しても崩れる感じがない場合は粘土質で水捌けが悪い土壌の可能性があります。必要に応じて排水性・通気性を高める用土(川砂・パーライト等)を混和しましょう。
- 手のひらを開き土の塊がバラバラと崩れる場合は通気性と排水性の高い砂壌土や砂土に近い土壌です。栄養の乏しい土壌や乾燥に強い植物にむきます。
- 土壌に入る有機物の量を診断しましょう。土の色を見て、有機物が沢山入る肥沃な土の場合は有機物(腐植)が多く含むため土の色が黒っぽくなります。一方で有機物(腐植)が少ない場合は土の色が薄くなります。
- 土壌の状態とバランスを見ながら、2割から3割を目安に堆肥(腐葉土・バーク堆肥等)を土壌に混和しましょう。
鉢土づくり
日当り
スパイク・ラベンダーは日当りを好むため、基本的には直射日光が6時間以上当たる日向で管理しましょう。また長雨に当たると根腐れや病気を引き起こす原因にもなるため、必要に応じて雨の当たらない場所(軒下等)に移動しましょう。
培養土
培養土は通気性の高い草花の培養土で育てられます。自作する場合は通気性が良い培養土をつくります。腐葉土等の堆肥は多いと夏に蒸れる原因にもなるため少なめにします。
- 赤玉土(小粒・中粒)+パーライト+腐葉土+くん炭=5:2:2:1
- 赤玉土(小粒・中粒)+腐葉土+苦土石灰(適量)=7:3
培養土作成時の注意点
スパイク・ラベンダーはPH6.5~7.5の弱アルカリ性土壌を好むため、必要に応じて培養土にアルカリ性のくん炭や草木灰等を混ぜこむか、苦土石灰を混ぜこみましょう。
苦土石灰を混ぜ込む量は培養土の土質にも左右されますが、イングリッシュラベンダーは砂質の土壌を好むため恐らく砂土に近い培養土を使っているはずです。
砂土のPHを1上げるには培養土10Lに対して苦土石灰10~15g程度を目安に使用します。基本的には1Lあたり1~1.5gの苦土石灰を混ぜ込むとよいでしょう。ただし培養土を強い酸性に傾ける無調整ピートモスや鹿沼土を利用した場合は話しが変わります。そのため培養土に使う用土は中性のものを利用する事がおすすめです。
水やりの仕方
地植え
スパイク・ラベンダーは乾燥に強いため、地植えしている場合は極端に乾燥する場合を除いて、基本的には降水のみで育てられます。ただし雨が長く降らず、葉や茎が萎れている場合は直ちに水やりを行いましょう。
鉢植え
スパイク・ラベンダーを鉢植えで育てる場合は土の乾燥が早くなるため、定期的な水やりが必要になります。ただし水やりを行い過ぎてジメジメとした環境が続くと根腐れしてしまうため、土の表面(数cm)が乾いてきたタイミングで水やりを行うといいでしょう。
肥料の与え方
スパイク・ラベンダーは栄養の乏しい土壌で問題なく育つ事が出来ます。逆に栄養が多過ぎる土壌では生育不良を引き起こしたり、開花が少なくなる可能性があります。
基本的に肥料は必要としませんが、鉢植えで育てる場合は栄養が足りなくなる場合があります。そのため、早春に一度だけ緩効性肥料を与えましょう。
剪定のやり方
スパイク・ラベンダーの剪定の目的は木質化を遅らせる事にあります。何故なら茎が木質化すると、殆ど新芽の生成をする事がなくなるため、新しい芽が偏った場所からしか出なくなり、疎らで歪な樹形となりやすいからです。毎年開花後に剪定を行う事は、外観の良いコンパクトでふさふさした樹形を保つ事に繋がります。
開花後の剪定
開花後の剪定のやり方は、ドーム状の樹形をイメージしながら行います。全体として、株の中央の茎を少し長めに、外側の茎を短めにするとドーム状の整った樹形になりやすいです。枝分かれした部分より上で剪定するとより枝分かれが促される傾向にあります。
剪定する際に注意する事は、茎には必ず葉(芽)を残す事です。葉のない場所まで強く切り戻すと残された茎がそのまま枯れこんでしまいます。そのため各茎に最低でも2~3個以上の葉(芽)を残しましょう。ただし完全に枯れた茎は根元から剪定しても問題ありません。
夏越しする方法
スパイク・ラベンダーは冷涼な夏を好む植物です。高温多湿環境では根腐れや病気を引き起こし枯れてしまう事も多いです。そのため必要に応じて夏越し対策が必要です。
スパイク・ラベンダーの夏越し対策
- 湿度の高い環境を嫌うため乾燥した場所で管理しましょう。
- 雨に当たることが少ない場所
- 鉢植えの場合は雨に当たらない場所に移動すると良いでしょう。
- 地植えの場合は雨の当たりにく場所で育てると良いでしょう。
- 直射日光がよく当たる場所
- 直射日光6時間以上が理想です。
- 土壌の排水性がよい場所
- 植付けの際に土壌改良をしっかりおこないましょう。
- ロックガーデンなど、周りより高い場所に植えると、水が下に流れやすく、排水性が高まり根腐れしにくくなります。
- 空気の流れがあり風通しがいい場所
- 周りが壁に囲まれていたり、草が繁茂してる場所で管理すると空気が停滞して湿気が溜まりやすくなります。改善しましょう。
- 雨に当たることが少ない場所
冬越しする方法
Hardiness:6b~9a
スパイク・ラベンダーは耐寒性が高く冬越しの準備をする必要は基本的にはありません。
挿し木や株分けで増やす
スパイク・ラベンダーは挿し木によって増やす事ができます。
スパイク・ラベンダーの挿し木の方法
- スパイク・ラベンダーの挿し木時期は晩春から初夏が適します。
- 挿し穂の茎は弾力があり健康な部分をカットしましょう。
- 挿し穂 の長さ約7cmにわけます。
- 挿し穂の下部の葉を取り除き上部の葉を残します。
- 挿し穂の切り口を水の中に30分程浸けて水揚げを行います。
- 挿し穂用の無菌の培養土を準備します。
- 水揚げした挿し穂の切り口に発根促進剤をつけます。
- 切り口を下にして培養土の中に挿し穂を挿します。
- 明るい日陰で土壌が完全に乾燥しない様に水やりを行いながら管理しましょう。
播種で増やす
スパイク・ラベンダーの種蒔の方法
播種時期:3月~4月・9月~10月
発芽適温:約15~20度
発芽日数:約15日~30日
光条件:
種は通気性・保水性のよい用土に撒き、指で種を軽く押し(鎮圧)上から軽く覆土します。1度撒いた種は乾燥させると極端に発芽率が落ちるため、必ず土と種を乾燥させないように水やりを行い管理して下さい。
植物の病気
スパイク・ラベンダーの病気
- 灰色カビ病
- 葉枯細菌病
- 枝枯病
- 疫病
- 根腐れ病
スパイク・ラベンダーの害虫