原産:南ヨーロッパ
科:ナデシコ(Caryophyllaceae)
属:ナデシコ/ダイアンサス(Dianthus)
種:アメリカナデシコ(barbatus)
別名:ヒゲナデシコ/ビジョナデシコ/スイート・ウィリアム(sweet William)
花の色:赤色●桃色●白色〇
葉色:緑色●紫色●黒色●
分類:多年草
草丈:約30~60cm
草姿:直立
開花時期:4月~7月
花言葉:純粋な愛情/細やかな想い
用途:カラーリーフ/切り花
目次 | ||
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花壇土 | 鉢土 | 水やり |
肥料 | 剪定 | 夏越し |
冬越し | 増やし方 | 病気 |
アメリカナデシコとは!?
アメリカナデシコは学名Dianthus barbatus、別名「ビジョナデシコ」や「スイート ウィリアム(sweet William)」等とも呼ばれる南ヨーロッパが原産の二年草もしくは短命の多年草です。
アメリカナデシコの語源(由来)
- 属名のDianthusの由来はギリシャ語の「Dios(神聖な)」と「Anthos(花)」の2語からきており神聖な花を意味しています。
- 種小名のbarbatusの由来はラテン語で「ひげのある」「毛の生えた」を意味しており、苞の先端が鋭く伸び髭のようになる事からきています。
アメリカナデシコの特徴(魅力)
- アメリカナデシコの苞(花を支える部分)は先端が細長く伸びています。
- 苞が多数集まりヒゲの様になるため和名の「ヒゲナデシコ」や種小名「barbatus」の由来にもなっています。
- アメリカナデシコは茎の頂部に小花が5~30個集まり球状の豪華な花(複散房花序)を咲かせます。
- 個々の小花は直径2~3cmあります。
- 花弁は5個でふち部分にギザギザとした鋸歯をもちます。
- アメリカナデシコは切り花としても人気が高く管理の仕方にも左右されますが約5~14日の日持ちがあります。
- プレゼントとして贈る際は「純粋な愛情」「細やかな想い」等の花言葉を添えると喜ばれるかもしれません。
- 葉は狭楕円形から線形の形をしており通常は緑色です。
- 幾つかの品種では葉の色が紫色(~黒色)をしているためカラーリーフとして楽しむ事も出来ます。
- アメリカナデシコは多年草ですが短命のため夏の開花が終わったら枯れる一年草として扱われる事が多いです。
アメリカナデシコの茎は直立(殆ど垂直に伸びる)に伸び高さ約30(~60)cm、幅が約15(~30)cmに成長します。葉序は対生葉序、葉色は緑色もしくは紫色(~黒色)で、葉身の大きさは長さ約4(~10)cm、幅約1(~2)cm、葉身の形は披針形もしくは線形です。花序は複散房花序で茎の頂部に5(~30)個の花が密に集まり半球状(~球状)になります。個々の花は直径約2(~3)cm、花弁の数は5個でふち部分に鋸歯状のギザギザがあり、雄蕊は10個、雌蕊は2個あります。花後に出来る果実は蒴果で、種子は黒色です。
アメリカナデシコの切り花の楽しみ方
- アメリカナデシコの収穫は朝の涼しい時間帯もしくは夕方におこないましょう。
- アメリカナデシコは蕾から花弁が出て真っ直ぐたっている状態のものを収穫すると日持ちが良いです。
- 収穫したら水揚げを悪くする葉を出来るだけ取り除きましょう。
- 水に漬けて水切りを行います。
- 水切りしたら延命剤(栄養入り)入りの花瓶に生けましょう。
- 延命剤の効果によって蕾が開きやすくなったり日持ちが長くなります。
- 管理場所は出来るだけ低温環境(糖の消費や蒸散が抑えられる)でエチレン発生源から離した場所で楽しみましょう。
- 高温環境では極端に日持ちが悪くなり、またエチレンの感受性が非常に高い事からエチレンが発生する場所の近くに置くと花が萎れやすくなります。
- 管理は数日(約1~3日)ごとに水切りと水換えを行い雌蕊が伸びてきたら取り除きましょう。
- 雌蕊はエチレンの生成量が多く取り除く事で花弁の老化を遅らせる事が出来ます。
- 管理場所や管理の方法でも左右されますが日持ちは5~14日程度です。
水切り法
水切り法とは、切り花の切り口を水の中に付けた状態で切り戻しを行い、切り口の更新を行う水揚げ方法です。
水切りは、特定の植物または特定の条件を除いた、殆どの植物に行われている、最も一般的な水揚げ方法になります。
水切りは、水の中で茎を切るため導管内に気泡が入りにくいメリットがあります。また水切りを行うことで「微生物」「空気」「その他」が原因で詰まっている茎を取り除くため、切り口からの水揚げ正常に戻ります。
水切りの方法
切り花の切り口を水の中に浸けます。水の中につけた状態で、切口の根元から上に1~5cm程度を取り除くつもりで、ハサミを使って斜めにカットします。
切り口部分を斜めにすることで、吸水部分が広がり、水揚げの効果が高まります。
エチレン
エチレンは植物の世界では植物ホルモンの一つとして働いています。一般的には植物の成長の阻害や老化、成熟等に関与しており、切り花の世界では日持ちが短縮する要因として知られています。エチレンの感受性が低い切り花(キク・ガーベラ等)はエチレンの影響を受けにくいですが、エチレンの感受性が高い切り花(カスミソウ・スイートピー等)はエチレンの発生源から遠ざけて管理した方が良いでしょう。
エチレンの発生源
果実(バナナ・リンゴ・アボカド等)・枯れた植物(花がら等)・植物が病原菌に感染した部位・植物が損傷部位・たばこ・線香の煙・排気ガス等
おすすめの延命剤
アメリカナデシコの栽培方法
園芸では、小花が球状に集まり咲く豪華な花を鑑賞する目的だったり、その花を収穫して切り花として利用する目的だったり、また幾つかの品種で見られる黒葉をカラーリーフとして楽しむ目的で育てられる事が多いです。園芸品種には、1つの花序に桃色と赤色と白色の3色の花色があり可愛らしい雰囲気をつくる「ジョルト ピンクマジック」や口紅を連想させる様な赤黒い上品な花を咲かせる「ソーティー」等があり、それぞれお庭の雰囲気に合わせて品種を選ぶと良いでしょう。
アメリカナデシコを育てる際に注意する事は「長雨の浸水」や「高温多湿」です。何故ならアメリカナデシコは長雨による浸水や高温多湿環境になると、根腐れを引き起こしたり、病気になり枯れるリスクが高まるからです。そのため、出来るだけ長雨の影響が少ない場所に植えたり、土壌の排水性を高めておく等の対策が必要でしょう。
ナデシコ(ダイアンサス)の主な種と園芸品種は下のリンクから紹介しています。
ナデシコ(ダイアンサス)の珍しい種類、主な種や園芸品種の紹介【2021】
アメリカナデシコの育て方
花壇の土づくり
日当たり
アメリカナデシコは日光のよく当たる場所で最もよく成長して沢山の花を咲かせます。そのため基本的には直射日光が6時間以上当たる日向もしくは、午前中のみ日が当たる半日影で育てましょう。
土壌のPH
アメリカナデシコは土壌のPH7.0~7.5の中性から弱アルカリ性を好みます。PHが高すぎたり低すぎたりすると生育不良になる可能性が高くなります。そのため植付け前にPHを診断して、PHが高い場合はピートモスを入れたり、PHが低い場合は苦土石灰を入れる等してPHの改善を行いましょう。
土壌の土質
アメリカナデシコは、雨が降った後いつまでも湿っている様なじめじめした環境を苦手にしています。何故ならアメリカナデシコは萎凋病や根腐れ病等の様々な病気に弱く、じめじめした環境は病気に感染するリスクを上げるからです。そのため土壌の通気性を高めて水分が停滞しないようにして、また適度に有機物の入る肥沃な土壌に改良する必要があります。
植付けの前に土壌診断を行いましょう。
①土を掘る時に硬い場合は作土層が十分でない可能性があります。
②土を濡らして握った時にバラバラと崩れる場合は保水性がない可能性があります。逆に土の塊が出来ても崩れる感じがない場合は粘土質で水捌けが悪い土壌の可能性があります。
③肥沃な土の場合は土の色が黒っぽくなります。土の色が薄い場合は土壌が肥沃じゃない可能性があります。
土壌診断後、作土層が十分でない場合はスコップで土を深くまで掘り起こし石等を取り除きます。土壌が粘土質な場合は必要に応じて通気性を高めるパーライトや川砂を入れましょう。また肥沃さはそれほど必要ありませんが、必要に応じて腐葉土や牛糞等の堆肥を混ぜこみ土壌改善を行いましょう。
植える際の注意点
アメリカナデシコはじめじめとした多湿環境を苦手にしています。そのため定植する際は、一般的な標準植えではなく、浅植えされるのが一般的です。また長雨に当たると根腐れを引き起こしたり病気になりやすいため、軒下等の雨に当たらない環境で育てた方が良いかもしれません。
浅植え
浅植えとは苗や球根を浅く植える事をさしています。一般的にはポットから出した苗の肩部分や、球根の肩部分を、少し出した状態で定植する事をさしています。
鉢土づくり
日当り
アメリカナデシコは日当り好むため、基本的には直射日光が6時間以上当たる日向で管理しましょう。また3時間~5時間の半日影までで植えて育てる事が出来ます。ただし長雨が当たると根腐れや病気を引き起こす原因にもなるため、必要に応じて雨の当たらない場所(軒下等)に移動しましょう。
培養土
培養土は通気性の高い草花の培養土で育てられます。自作する場合は通気性が良く適度に肥沃な培養土で育てましょう。
- 赤玉土(小粒・中粒)+腐葉土+くん炭=6::3:1
- 赤玉土(小粒・中粒)+パーライト+腐葉土+苦土石灰(適量)=4:3:3:
培養土作成時の注意点
アメリカナデシコは酸性土壌を嫌うため、培養土にアルカリ性のくん炭や草木灰等を混ぜこむか、苦土石灰を混ぜ込む必要があります。
苦土石灰を混ぜ込む量は培養土の土質にも左右されますが、アメリカナデシコは一般的なバランス良い土壌を好むため恐らく壌土に近い培養土を使っているはずです。
壌土のPHを1上げるには培養土10Lに対して苦土石灰15~20g程度を目安に使用します。基本的には1Lあたり1.5~2.0gの苦土石灰を混ぜ込むとよいでしょう。ただし培養土を強い酸性に傾ける無調整ピートモスや鹿沼土を利用した場合は話しが変わります。そのため培養土に使う用土は中性のものを利用する事がおすすめです。
水やりの仕方
アメリカナデシコは水のやり過ぎで浸水したりすると、根腐れを引き起こしたり病気になる等して生育不良を引き起こす可能性があります。そのため土壌の状態を見ながら水やりを行いましょう。
水やりの方法
水やりの最高のタイミングは茎葉が萎れてきたタイミングですが、萎れたタイミングを逃すと株に致命的なダメージを残す可能性があるため、基本的には土の表面(数cm)が乾いてきタイミングで水やりを行うといいでしょう。乾燥の確認は土の色を目視で見て確認するか、指の第1関節まで入れて土の乾燥を確認します。
肥料の与え方
アメリカナデシコの肥料は植付け時に元肥を施し、また春から夏の開花期間中も持続的に追肥を施します。
元肥
元肥は植え付け時に与える肥料の事です。元肥は肥効が長い緩効性肥料を選びましょう。成分は水平型肥料(肥料成分がバランスよく入る)もしくは山型肥料(リン酸が多い)を選びます。
元肥の与え方は花壇の場合も鉢植えの場合も、基本的に土壌に均一に混ぜこむ全面施肥です。
追肥
アメリカナデシコの追肥は、春から夏の開花期間中持続的に行います。
肥料の成分は山型肥料(リン酸多め)を選ぶとよいでしょう。また肥料のタイプには普通化成肥料や緩効性肥料、液肥などがあります。どの肥料タイプでも問題ありませんが、アメリカナデシコはそこまで沢山の肥料を必要としないため、作業量が少なくすむ緩効性肥料がおすすめです。
剪定のやり方
アメリカナデシコの剪定は「花がら摘み」のみです。
花がら摘み
アメリカナデシコは開花期間中の花がら摘みが大切です。何故なら枯れた花を残すと見た目が悪いばかりか、種を作り初めて株が弱り生育が衰えたり、蕾の花が咲にくくなったりするからです。 枯れた花を摘む事は、沢山の新しい花を咲かせる事に繋がります。
花がら摘みの方法は花全体が萎れたり枯れてきたら、茎の半分程度を目安に剪定します。