- 原産:メキシコ
- 科:サトイモ(Araceae)
- 属:アンスリウム(Anthurium)
- 種:クラリネルビウム(Anthurium clarinervium)
- 別名:ベルベット・カードボード・アンスリウム(Velvet Cardboard Anthurium)
- 開花時期:周年
- 花の色:緑色・クリーム色
- 葉の色:緑色・灰緑色・白色
- 香り:
- 生活形:多年草
- 草丈:約30~60cm
- 用途:カラーリーフ/インドアグリーン/日陰植物
- 購入方法:アンスリウム・クラリネルビウムを楽天で購入
■アンスリウム・クラリネルビウムとは!?
アンスリウム・クラリネルビウム(学名: Anthurium clarinervium)は、別名で「ベルベット・カードボード・アンスリウム(Velvet Cardboard Anthurium)」とも呼ばれるサトイモ科アンスリウム属に分類される多年草の種です。
アンスリウム・クラリネルビウムの原産地はメキシコ(チアパス州)で、自生地は熱帯雨林の露頭です。
■アンスリウム・クラリネルビウムの語源(由来)
- Anthuriumの語源:古代ギリシア語で「花」を意味する「ᾰ̓́νθος(ắnthos)」と、古代ギリシア語で「尻尾」を意味する「οὐρᾱ́(ourā́)」の二語で構成されており、花(肉穂花序)の形が尻尾のように見えることに由来します。
- clarinerviumの語源:ラテン語で「明るく」「明確」を意味する「clari」と、ラテン語で「神経」「脈」を意味する「nervium」の二語で構成されており、葉の葉脈がくっきりとしていることに由来しています。
■アンスリウム・クラリネルビウムの特徴(魅力)
- 形態:草丈は約30~60cm、生育型は偽ロゼット型、茎は節間の短い短縮茎です。葉序は互生、ただし節間が狭いため束生しているようにも見えます。葉の形は心形、質感は革質で葉表面に小さな乳頭状の突起(Papillose)があるためビロードのような外観を呈し、色は緑色を基調として葉脈が白色(灰白色)です。花序は肉穂花序、花序の基部に仏炎苞が水平または反り返るように付きます。
- ライフサイクル:生活形は常緑の多年草です。
- 春:暖かくなってくると新芽が展開し、花芽分化が活発になり、生育旺盛に茎も伸長します。
- 夏:高温期も生育旺盛にぐんぐん成長し開花も見られます。
- 秋:この時期も生育期間中で開花も見られますが、気温が低くなり始めると生育がやや鈍ります。
- 冬:温暖な地域では、この時期も茎葉が成長し、開花も見られますが、日本などの寒さが厳しい地域では生育がほぼ止まります。
- 近縁種との比較:本種はベルベットリーフ系に分類されるアンスリウムです。他の系統と比べて、葉に小さな乳頭状の突起があるため【ベルベット】のような見た目をしています。また他のアンスリウムと比べて、葉脈に白色(灰緑色)の明瞭な太い脈斑があるため、濃緑色と白色のコントラストがネオンサインを見ているような色彩が楽しめます。
- 葉の魅力:本種の葉は、短縮茎に密生し葉柄は直立または斜上に広がるため、優美さと洗練された印象を感じさせる葉姿が楽しめます。また葉の形はハート型をしているため可愛らしさがあり、葉表面を覆う乳頭状の突起がベルベットのような質感を感じさせるため高級感も感じさせます。そのため、インテリアとしてお部屋に飾るとラグジュアリーな豪華さを演出することが出来るでしょう。
- 花の特徴:本種の花は、フラミンゴフラワー系と比べて花の数が少なく、美しさも控えめです。そのため、美しい葉に栄養を優先的に回すため、開花する前に剪定し取り除かれることが多いです。
- シェードガーデン:本種は耐陰性があるため、明るい日陰での栽培が可能です。ただし、15度を下回る環境では成長が停止して葉が変色して落ちるなど株が弱るため、熱帯・亜熱帯以外での屋外での年間を通じた栽培は難しいです。
- インドアグリーン:本種は非常に高い耐陰性があり、インドアグリーンとして栽培することも可能です。本種を栽培するのに必要な光量の目安は2500~10000Luxまたは46.25~185μmol/m2・sで、生存ラインは1000Luxです。そのため、レース越しに太陽光が届く範囲から、太陽光が直接届きませんが太陽の反射光などで十分に明るい場所までで栽培が可能です。
- ⚠️毒性⚠️:本種は全草に有毒なシュウ酸カルシウムの針状結晶を含有しており有毒です。樹液は皮膚に付くと炎症を引き起こす可能性があり、粘膜に付くと激しい痛みを伴います。また食べても有毒で【口内の炎症】【嘔吐】【尿路結石】等の症状を引き起こす可能性があります。
■アンスリウム・クラリネルビウムの生活形と形態
●生活形・茎の形態
- 生活形:多年草
- 生活場所:岩生植物
- 生育型:偽ロゼット型で、短い主軸(短縮茎)を直立または傾伏に伸ばします。
- 草丈:約30~60cm
- 茎の種類:短縮茎・直立茎・傾伏茎
- 短縮茎:節間が極端に短い茎です。
- 直立茎:茎がほとんど垂直に伸びます。
- 傾伏茎:茎は横に這って伸びて途中で先端が立ち上がります。
- 茎の節:節間が非常に短いですが、成長に伴いわずかに節間が伸びていきます。節からは気根を伸ばします。
- 茎の色:緑色・赤褐色・暗褐色
- 備考:茎は短く、宿存する低出葉に覆われています。気根は岩に着生し体を支え、湿気から水分を吸収するのにも利用されます。
●葉の形態
- 葉序:互生
- 低出葉:葉柄の基部に位置し、芽を保護し、 宿存性があり、色は赤褐色・暗褐色です。
- 葉柄:向きは直立・斜上、長さ約10~30cm、色は緑色です。
- 葉身の長さ:約20~30cm
- 葉身の幅:約15~20cm
- 葉身の概形:心形
- 葉先:鋭尖頭
- 葉縁:全縁
- 葉脈:掌状脈
- 葉の質感:厚みのある革質で、葉表面に小さな乳頭状の突起(Papillose)があるためビロードのような外観を形成します。
- 葉の色:灰緑色・濃緑色を基調として、白色(灰緑色)の脈斑が入ります。
- 備考:クチクラ層が発達しており、 環境ストレスに耐性があります。
●花の形態
- 花序:肉穂花序
- 肉穂花序の概要:花序軸は太く多肉質で、花序軸に多数の両性花をつけます。
- 肉穂花序の形状:細長い円柱形で、直立に伸びます。
- 肉穂花序の長さ:約5~10cm
- 肉穂花序の色:緑色・クリーム色・淡褐色・暗褐色
- 仏炎苞:花序の基部に位置し、水平または反るように付きます。
- 苞の形:披針形
- 苞の色:緑色・クリーム色
●果実・種子の形態
- 果実の分類:果皮が柔らかく多肉多汁の【液果】です。
- 液果の概形:球状
- 液果は色:緑色・橙色
※植物の形態についてはこちらのページも参考にしてください。
アンスリウム・クラリネルビウムの不調の原因
| 原因 | 葉の変色 | 葉先の枯れ | 落葉 |
|---|---|---|---|
| 強光 | 〇 茶色 | 〇 | |
| 光不足 | 〇 薄くなる | 〇 | |
| 水不足 | 〇 茶色 | 〇 | 〇 |
| 過湿 | 〇 黄色 | 〇 | 〇 |
| 湿度不足 | 〇 茶色 | 〇 | 〇 |
| 低温 | 〇 黒色 | 〇 | |
| 欠乏症 | 〇 黄色 | ||
| 肥焼け | 〇 茶色 | 〇 | |
| 老化 | 〇 黄色 | 〇 |
■アンスリウム・クラリネルビウムの園芸品種を紹介
■アンスリウム属の主な種と園芸品種は下のリンクから紹介しています。
■アンスリウム・クラリネルビウムの育て方
花壇の土づくり
●バイオームと植生
- 主なバイオームと植生:熱帯雨林・露頭
- 熱帯雨林(Tropical forests): 一年を通して温暖で、雨季と乾季の区別がなく降水量の多い地域に見られるバイオームです。生命の宝庫と呼ばれるほどに、生物の多様性が高く、数十mに達するほどの高木が多数密生しています。生物の多様性がある一方で、高温による分解の早さや、降水量の多さから、腐植層は浅く肥沃さがほぼない土壌となります。
- 露頭(Rocky Outcrops):表層堆積物や土壌、植生に覆われることなく地表に直接露出している基盤岩です。土壌と呼べるものはほぼ存在せず、厳しい環境下(乾燥、強風、激しい温度変化、極端な貧栄養状態)に置かれており、ここに自生する植物は独自の適応を遂げています。
- 石灰岩地植生・カルスト植生(Karst Vegetation):炭酸カルシウムを主成分とする石灰岩やドロマイトなどの水に溶けやすい岩石が、弱酸性の雨水や地下水によって溶食(化学的風化)されて形成された特殊な地形で見られる植生です。土壌は極端に薄く、強いアルカリ性を示すため、これに適応する独特な植生が形成されます。
- 原産地:メキシコ(チアパス州)
- 自生地:露頭
- 気候:主に熱帯雨林気候に属します。
- 日照:半日陰・明るい日陰
- 土壌:レプトソル(Leptosol)など
- レプトソル:連続した岩石の上にある非常に浅い土壌の層で深さ25cm未満です。土壌は岩と砂礫質が主体のため通気性・排水性は非常に高いです。砂礫は水を留める力が弱く、さらに土層も薄いため保水性は皆無に等しいです。有機物も少なく、保肥力・肥沃度ともに低いです。
※バイオームについてはこちらのページも参考にしてください。
●日照条件
アンスリウム・クラリネルビウムは【半日陰(西日無し)・明るい日陰】の範囲で育てることができます。西日は、光飽和点を超えて植物に強いストレスを与えます。さらに夏場は高温ストレスと重なり複合ストレスとなるため、葉焼けを引き起こしたり、株を弱らせて生育不良を引き起こしたりして、最悪の場合は枯れる原因をつくります。そのため、適した生育環境で栽培することが大切です。
※1 光飽和点:光の強さを上げても、それ以上光合成速度が増加しなくなる限界です。これを大幅に超える光の強さ、またはこれを超える光の強さが長期間続くと強光ストレスで植物は様々な障害を引き起こします。
日照条件の分類(参考)
- 日向:直射日光が6時間以上当たる場所です。主として全方位に遮蔽物がない、または遮蔽物を背にして開けた空が南向き・西向き(午後から日向)にある場所です。
- 半日陰:直射日光が3時間から5時間程度当たる場所ですが、西日の当たる半日陰は夏場の強光と地温の上昇が日向と変わらないため、一般的に午前中に日が当たる場所が半日陰と考えます。主として遮蔽物を背にして開けた空が東向きにある場所、または木漏れ日がはいるような場所です。
- 明るい日陰:直射日光が2時間程度当たる場所、または間接光だけが当たる比較的明るい場所です。主として、遮蔽物を背にして開けた空が北向きにある場所、または樹木から木漏れ日が当たる場所や周囲が開けているが太陽が当たらない場所などになります。
- 暗い日陰:直射日光も間接光もほとんど当たらないような暗い場所です。主に高い建物に囲まれているような、深い森の中にいるような場所になります。
●土壌の土質
本種の自生地は石灰岩の露頭にあり、基本的に岩の上に自生しています。そのため、軽石(大粒・中粒・小粒)や硬質赤玉土などを主体とした、通気性・排水性および【気相】を重視した礫質の土壌にします。有機質資材は保水性を高めて過湿による根腐れを引き起こしやすくなるため、極めて少なくし、入れても全体の1割程度に抑えます。
【注意点】熱帯植物のため、寒さに非常に弱いです。沖縄などの亜熱帯気候を除いて冬季の屋外での栽培は難しいため屋内(温室など)での管理が推奨されます。
土壌診断と改善の行い方(参考)

- 排水性の診断:診断したい場所に深さ30cm程度・幅30cm程度の穴を掘ります。一度穴を水で満たし、完全に排水されるまで待ちます。再度、穴の中を水で完全に満たし、一時間あたり約3~10cmの排水があれば、一般的な植物を育てるのに適した排水性になり、それ以下またはそれ以上である場合は排水が不良、または排水が過剰すぎる可能性があります。
- 排水性の改善:環境に合う植物を栽培するか、レイズドベッド(背の高い花壇)やロックガーデンを作るか、縦穴暗渠(縦穴排水)や排水溝をつくる方法などがあります。
- 作土層の診断:調べたい箇所の土壌に支柱を垂直に押し込み、ほとんど抵抗なく入る深さが20~30cm(樹木50cm)前後あれば、一般的な園芸植物が根を張るのに十分な作土層があります。それ以下であれば通常改善が必要です。また土壌を観察して石やゴミがあれば根を伸ばすのに邪魔になるため取り除いた方が良いでしょう。
- 作土層の改善:植物を植える箇所とその周囲をシャベルを使って必要な深さまで掘り起こして土を解します。また石や異物がある場合は【土ふるい】等を使用して取り除きましょう。
- 土性の診断:土壌の通気性・排水性・保水性・保肥力を知るために、土壌の土性を【砂土・砂壌土・壌土・埴壌土・埴土】に分類して、植物に合わせて土壌の改良をしましょう。診断法は適度に湿らせた土を触った時の感触と、こねた時の様子から判断します。
- 砂土:排水性と通気性が非常に高く乾燥しやすい土壌です。土を触った時にザラザラとした砂の粗い感触があり、手のひらや指で捏ねても全く固まらずに簡単に崩れます。
- 砂壌土:排水性と通気性が高く比較的乾燥しやすい土壌です。土を触った時に砂のザラザラ・粘土のヌルヌルとした感触があり、手のひらや指で捏ねると、緩く土を固めることが出来ますが、簡単に土塊は崩れます。
- 壌土:通気性・保水性・保肥力のバランスが高い土壌です。土を触った時に砂のザラザラ・粘土のヌルヌルとした感触があり、手のひらや指で捏ねて伸ばすと、鉛筆程度の太さの棒状まで伸ばすことが出来ます。 ただし伸ばした棒を曲げるのは難しいです。
- 埴壌土:保水性・保肥力が高いため乾燥しにくい土壌です。土を触った時に粘土のヌルヌルとした感触があり、砂のザラザラも少し感じます。手のひらや指で捏ねて伸ばすと、マッチ棒程度の太さまで伸ばすことが可能で、緩く曲げることも可能です。
- 埴土:保水性・保肥力が非常に高い乾燥しにくい土壌です。土を触った時に粘土のヌルヌルとした感触のみがあり、手のひらや指で捏ねて伸ばすと、コヨリ程度の太さまで伸ばすことが可能で、輪っかに曲げても殆ど切れません。
- 土性の改善:土性の診断をしたら、栽培する園芸植物に合わせて土性を改善します。
- 通気性・排水性の改善:植物の自生地の環境に適した通気性・排水性を向上させる園芸用土(硬質赤玉土・硬質鹿沼土・パーライト・日向土・川砂・軽石・ゼオライト・腐葉土・ピートモス・バーク堆肥・くん炭・木炭・籾殻)を土壌の状態に合わせて必要量(1~3割程度またはそれ以上)の土壌改良材を入れて、スコップを使い作土層の部分を混和します。
- 保水性の改善:植物の自生地の環境に適した保水性を向上させる土壌改良用土(赤玉土・バーミキュライト・荒木田土・ゼオライト・腐葉土・ピートモス・バーク堆肥・黒土)を土壌の状態に合わせて必要量(1~3割程度またはそれ以上)の土壌改良材を入れて、スコップを使い作土層の部分を混和します。
- pHの診断:土壌のpHを【土壌酸度計・pH試験紙・ペーハー測定器・アースチェック液】などを利用して診断します。製品によって調べ方がことなるため、詳しい手順は製品の取り扱い説明書をご確認ください。
- pHの改善:pHを診断後に植物の適正なpHに合わせて、土壌改良材を入れてpHの改善をおこないます。
- pHを酸性に改善:酸度未調整のピートモスを使用する場合はpHを約1下げるために、一般的に1㎡あたり約10L~15L(乾燥重量で約1〜2kg)を入れて、よく混和します。
- pHをアルカリ性に改善:苦土石灰を使用してpHを約1上げるには、1㎡あたり苦土石灰を約100~200g入れて、よく混和します。
- 肥沃度の診断:肥沃度は【土壌の色・触感・香り・団粒構造の有無】によりある程度診断できます。土壌の色は黒色や茶色の場合は腐植が多く肥沃度が高い傾向があり、赤色・黄色・白色の場合は腐植が少なく肥沃度が低い傾向があります。また触るとふわふわとした質感がありますが、肥沃でない土壌は粘土質で乾いているとガチガチに硬かったり、砂質でザラザラとして握っても固まらない質感があります。また土粒を観察すると小さな団子のように団粒構造を形成している場合は土粒を観察すると粘土や腐植がくっつき小さな団子のようになっておりコロコロとしています。
- 肥沃度の改善:診断を元にして、栽培する植物の生育環境に合わせた土壌改良を行います。
鉢土づくり
●日照条件
アンスリウム・クラリネルビウムは【半日陰(西日無し)・明るい日陰】の範囲で育てることができます。西日は、光飽和点を超えて植物に強いストレスを与えます。さらに夏場は高温ストレスと重なり複合ストレスとなるため、葉焼けを引き起こしたり、株を弱らせて生育不良を引き起こしたりして、最悪の場合は枯れる原因をつくります。そのため、適した生育環境で栽培することが大切です。
インドアグリーンの光環境

- 屋内環境:窓際から1m以内のレース越しに太陽光が届く範囲から、太陽光が直接届きませんが太陽の反射光などで十分に明るい場所までで栽培が可能です。窓から離れていて間接光が全く当たらない場所で栽培したい場合は【植物育成ライト】の導入を検討しましょう。
- 生存ライン:1000Lux/18.5μmol/m2・s
- Lux※1:2500~10000Lux
- PPFD※2:46.3~185μmol/m2・s
- DLI※3:3~7mol·m⁻²·d⁻¹
- 注意点:植物が求める光は基本的には光飽和点を目安にしながら、これを超えない光強度の範囲で、適切な時間を確保して栽培するのが最適(暗い時間も重要)となります。ただ生き残るためであれば光補償点を上回る程度の光の強さでも栽培可能ですが、光が足りないと日照不足で植物の外観が悪くなることもあるため適切な光を知っておくことが大切です。
【日照積算量(DLI)の照射時間の算出】
※1 Lux:人間の目が感じる明るさに基づいて数値化された単位です。照度では人間の目が最も明るいと感じる緑色(555nm)の光を最も高く評価しており、植物が光合成で必要とする赤色光(600~700nm)や青色光(400~500nm)はやや過小評価されています。そのため、照度(Lux)は光の量を測る手法として最も広く用いられていますが、植物の成長に必要な光の質(光合成有効放射)と量を厳密に測る手法としては不十分と言えます。
※2 PPFD:植物の光合成に有効な波長域である【光合成有効放射(PAR):400~700nm】の光の量(密度)を測定した指標です。この単位は【μmol/m2・s】で示されており、この値が大きいほど植物に供給する光の量が多いことを示します。
※3 DLI:植物が1日で受け取る光合成有効放射(PAR)の総量で、これは光合成光量子束密度(PPFD)と時間(照射時間)の累積値です。植物を健康に栽培する上での最も重要な指標になり、これを活用してPPFDの値と照射時間を調整することもできます。
植物育成ライト
室内で十分な光を確保出来ない場合は植物育成ライトの購入を検討しましょう。植物育成ライトでは、PPFDが指標として使われているため、光合成に必要な赤色光(600~700nm)や青色光(400~500nm)といった波長の強さが分かり、植物に必要な光の量を十分に確保・調整することができます。
植物育成ライトを購入する場合はPPFDや色温度などが重要になります。詳しくは観葉植物のページをご覧下さい。
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●培養土
アンスリウム・クラリネルビウムの培養土を購入する場合は多肉・サボテンの培養土や山野草の培養土を購入すると良いでしょう。自作する場合は、一般的な観葉植物の培養土と比べて、通気性・排水性および気相を重視した礫質の培養土を作成します。そのため、粗い粒子の無機質資材(軽石・硬質赤玉土など)を主体として有機質資材の割合を抑えた培養土を作りましょう。有機物資材は、生育を促進させる効果もありますが、保水性を高めて夏場に蒸れて根腐れを引き起こす原因にもなるため注意してください。
培養土の配合例
- 基本配合:日向土(小粒・中粒)4割+硬質鹿沼土(小粒・中粒)3割+硬質赤玉土(小粒・中粒)2割+軽石1割
- 排水性高めの配合:富士砂5割+日向土 (小粒・中粒)3割+軽石2割
- 肥沃な配合:硬質赤玉土(小粒・中粒)3割+軽石3割+赤玉土(小粒・中粒)2割+ バーク堆肥1割+ゼオライト1割+元肥少量
水やりの仕方
アンスリウム・クラリネルビウムは、自生地が日陰の森林の中にあり、基本的に一定の湿り気がある環境を好みます。ただし停滞水は嫌うため、排水性の高い培養土で栽培する必要があります。
過湿が続くと病原菌が増えて株が腐敗する原因となったり、根の呼吸を妨げて根腐れを引き起こす原因になったりします。そのため、水やりの頻度にも十分な注意が必要です。
●水やりの管理
- 生育期(春・夏・秋):株は生育旺盛で、多くの水を必要とします。そのため、土壌の表面が乾燥したタイミングで、土中の古い空気(ガス)も全て抜いて空気を入れ替えるイメージで水をたっぷり与えましょう。
- 冬の水やり:気温が下がり生育が緩慢になる季節です。植物は水をそれほど必要としないため、土壌の乾燥も他の季節と比べると緩やかに進み、水やりの頻度も少なくなります。ただし、完全に乾燥すると枯れてしまうため、土壌の表層が乾燥した数日後に水を与えると良いでしょう。
土壌の乾燥の確認方法

- 土壌表面の乾燥:土壌の表面の乾燥とは、土壌の最も上の部分の表面が乾燥している事です。土壌表面の乾燥の確認方法には目視・触感があります。
- 目視で確認:土は濡れているなら色が濃くなったり黒っぽくなったりしていて、乾燥すると色が白っぽくなります。
- 触感で確認:土の表面を指で触ってみます。土は濡れていると湿り気があり、乾燥しているとサラサラとしています。
- 土壌の表層の乾燥:土壌の表層の乾燥とは土壌の表面から5cmが乾燥していることになります。※土壌の表層の定義は様々ありますが、ここでは土の表面から5cm程度の深さと定義しています。
- 目視で確認:透明な植木鉢を使用して植物を育てます。透明で土の色の変化が分かるため、土表面から5cmの土の色が白っぽくなってきたら水やりを行います。
- 重量で確認:鉢植えで育てている場合は、水分量で鉢の重量が変わるため、土が乾燥した時の軽さを覚えておいて土の乾きを判断します。
- 道具で確認:割り箸・竹串などを用土の中にさしてみて、引き上げた時の割り箸・竹串の色と湿り気を見て乾燥具合を確認します。
- 専用の道具:サスティーを土壌にさして使用します。サスティーは土壌が乾くと色が変化して水やりのタイミングを教えてくれます。
●湿度の管理
本種は熱帯雨林に自生しており、基本的に約60~80%の高湿度を好む植物です。低湿度の環境では【葉の変色】【葉の変形】【落葉】などを起こして、葉の観賞価値を落としたり、生育不良を引き起こす原因にもなります。そのため、一定の湿度を保つことが大切です。
【注意点】高湿度環境で風の流れがないと、病気(軟腐病)などの発生リスクを高めます。そのため、湿度を高める場合は風通し対策(サーキュレーター)なども活用しましょう。
高湿度を保つ方法
- 霧吹き:霧吹きを利用して葉の表面と裏面に水を吹き掛ける方法です。霧吹きの効果は一時的ですが、植物の周りの湿度を上げ、乾燥した葉の水分補給が期待できます。霧吹きを行う頻度は、基本的には数日に1回程度を目安に行うとよいでしょう。冬は乾燥しやすいため頻度を増やすと良いかもしれません。霧吹きを行う時間帯は、光合成が始まる早朝に行うのがベストです。夕方以降に行うと水滴が植物上に長く残り、真菌性・細菌性の病気になるリスクを高めるため避けた方がよいでしょう。
- 葉を拭く:植物の葉を湿らせた布で拭きます。これにより、葉の乾燥を防いだり、葉に溜まった埃などの汚れを落とすことが出来ます。葉の状態を見ながら、週一くらいの頻度で拭いてあげるとよいでしょう。
- 受皿に水をためる:観葉植物を栽培している植木鉢の受皿に水をためておきます。これにより、トレイの水が蒸発して、湿度が上がり周囲に独自の微気候が発生します。注意することは、鉢底と水を接触させないことです。鉢底(培養土)と水が接触すると毛細管現象で培養土が過剰に水を吸い上げて過湿となり根腐れを招く原因になるため、受皿の上に化粧石などを置いて、水と鉢底が接触しないようにしましょう。
- 加湿器:加湿器を使い空気中の湿度を調節します。手軽に広範囲の湿度を維持できることから、たくさんの観葉植物を栽培している場合は最も有効な方法です。
- グルーピング:グルーピングとは、複数のものをひとまとめにすることです。観葉植物をグルーピングすることで、それぞれの植物が放出する蒸散で局所的に湿度が高まり周囲に微気候が形成されます。
肥料の与え方
アンスリウム・クラリネルビウムは、根の浸透圧の調整能力が低いため、高濃度の肥料成分に対する耐性も低いです。そのため、過剰な施肥が、肥料焼けを引き起こし根腐れして枯れるリスクを高めます。肥料は基本的に【控えめ】を心がけましょう。
●肥料の与え方
- 追肥:植物が生育する途中で施す肥料です。土壌中の栄養素は植物が吸収して減っていくため、追肥を施すことで補います。
- 肥料を与える時期:生育が緩慢になる冬を除いた、春から秋に与えます。
- 肥料の成分:窒素・リン酸・カリがバランスよく入る肥料、または窒素の含有率が高い肥料を選びます。
- 肥料の製品:液肥または固形肥料(緩効性肥料など)がおすすめです。
- 液肥の与え方:液肥は、本種専用ではない場合は、規定された分量の4分の1程度を使い、水で薄めに希釈します。液肥の回数は2週間に1度程度の頻度で与えます。液肥は1箇所にかけるのではなく、植物の株元を中心に根が張っている範囲にまんべんなく、全ての根に液肥が行き渡るように施しましょう。
- 固形肥料の与え方:固形肥料の与え方は製品により置き肥タイプ・差し込みタイプ・埋め込みタイプがあります。専用の製品の場合は規定された分量・規定された頻度・規定された方法で施しましょう。通常の製品の場合は4分の1程度の分量を与えてください。
剪定のやり方
アンスリウム・クラリネルビウムは剪定せずに育てることも出来ますが、より健康で美しい株を維持するために剪定が推奨されます。例えば、花がら摘みを行うことで開花期間の花数が増えます。また古葉を取ることで病気予防や外観的に清潔感を保ちます。
剪定をするかは剪定理由を見ながら決めるとよいでしょう。
●剪定方法
- 花がら摘み:花がら摘みとは、色褪せたり外観が崩れたりした花を摘みとることです。これを行うことで、花が種作りをすることを防ぎ、次の花芽に栄養が回り咲きやすくなります。花がら摘みの方法は、株を観察して仏炎苞が変色していたり、肉穂花序が萎れている花を探します。これらの花を見つけたら、花茎の根元からハサミを使い剪定しましょう。
- 古葉取り:古葉取りを行う時期は春から秋にかけてです。株を観察して、【枯れた葉】【変色した葉】【病気にかかっている葉】を探して、これらの不要な葉を根元付近でハサミなどを使いカットして取り除きましょう。これを行うことで、風通りが良くなり病害虫の発生を抑制し、栄養が若い芽や葉に集中するため生産性も高まり、外観も綺麗に保ち清潔感を保ちます。
夏越しする方法
アンスリウム・クラリネルビウムは、それほど夏越しが難しい植物ではありません。基本的な育て方に従えば夏越し対策を特段行う必要はありません。
夏は強光で葉焼けをしやすいため、西日の当たらない場所で管理し、土壌は乾燥しやすいため定期的に土の観察をして表面が乾燥したら水を与えるようにしましょう。
冬越しする方法

Hardiness:11~12
アンスリウム・クラリネルビウムは熱帯・亜熱帯の気候の地域に自生しており冬の低温に弱い植物です。本種は基本的に、気温が15度を下回ると成長が停止して葉が変色して落ちるなど株が弱る可能性があり、10度を下回ると致命的な低温障害を引き起こし枯死する恐れがあります。そのため、熱帯・亜熱帯気候で栽培していない場合は、鉢植えで管理し、屋内管理で冬越しした方が無難でしょう。
●冬越しの条件
- 屋内環境:窓際から1m以内のレース越しに太陽光が届く範囲から、太陽光が直接届きませんが太陽の反射光などで十分に明るい場所までで栽培が可能です。窓から離れていて間接光が全く当たらない場所で栽培したい場合は【植物育成ライト】の導入を検討しましょう。
- 温度:理想的な温度は15度以上です。
- 光量の目安:2500~10000Lux/46.3~185μmol/m2・s ※光量を確保できない場所で栽培したい場合は、植物育成ライトが基本的に必要となります。
- 水やり頻度:気温が下がり生育が緩慢になる季節です。土壌の表層が乾燥した数日後に水を与えると良いでしょう。
●冬越し対策一覧
挿し木や株分けで増やす
アンスリウム・クラリネルビウムは挿し木や株分けによって増やす事ができます。
●挿し木の方法
- 概要:茎を採取して、この茎の長さや葉の数を調節し、切り口を土に挿して繁殖させる無性生殖の1種です。
- 挿し木時期:晩春から夏頃が適します。
- 培養土の準備:培養土は切り口が腐敗して吸水を阻害しないように、清潔な軽石などが利用されています。
- 挿し穂の採取:挿し穂は気根のついた茎を採取します。
- 培養土に挿し穂を挿す:挿し穂を挿す場所を決めます。培養土の中に、割り箸等を利用して、事前に穴を開けておきます。挿し穂の切り口を下向きにして、培養土の中に挿し穂を入れましょう。通常は挿し穂の1/3程度を入れます。
- 管理:明るい日陰で土壌が完全に乾燥しない様に水やりを行いながら管理しましょう。
●株分けの方法
- 株分け時期:晩春から夏頃が適します。
- 培養土の準備:培養土は切り口が腐敗して吸水を阻害しないように、清潔なヤシ殻チップ(べラボン等)や軽石などが利用されています。
- 株を観察:株を観察し、親株の根元から発生した子株を探します。
- 株を分割:子株と根を傷めないように、ナイフを使い慎重に子株の付け根から切り取ります。
- 子株を植える:子株を植える場所を決めます。培養土の中に、割り箸等を利用して、事前に穴を開けておき、子株を植えましょう。
- 管理:明るい日陰で培養土が完全に乾燥しない様に水やりを行いながら管理しましょう。













